2017年12月28日木曜日

どうなる地域医療~2017年第1回定例市議会一般質問①

地域医療について
①医療従事者の確保について

②「地域医療構想」について

〇野村淳一議員
 宮川市長は市政執行方針で、依然として将来への不安を拭い切れない切実な思いを市民の皆さんが抱いていると感じていると述べられています。
 
 市民生活は、まさに将来への不安の中にあります。雇用も医療も介護も子育ても、ますます広がる格差と貧困の中で、地方政治の役割は住民の暮らしを守る防波堤となって、この地に住む住民に寄り添い、住民の利益を第一に、少しでも将来に希望の持てるまちづくりを進めることにあります。何よりも、今この地に住む市民がいつまでも住み続けたいと思い、いつまでも住み続けられるふるさとをつくることです。

 外からの移住もいいでしょう、避暑地化宣言、交流人口を増やすこと、否定はしません。しかし、やるべきは心ならずも紋別を離れなければならない市民をなくし、将来への不安を拭い切れない市民の命と暮らしを守ることを第一に安心できるまちづくりを進めること、これこそ最大の政治課題だと思っています。私は、この思いから特に弱者の目線に立ち、通告の順に従い、以下質問をさせていただきます。

 まず、地域医療についてお尋ねします。
 宮川市長は、市政執行方針の中で、地域医療の再生は私の最大の政治課題であると述べ、医療従事者の確保に向け最大限の努力を傾注していくと決意を述べています。これら医療従事者の確保に向け、まずその現状についてお聞きするとともに、今後の見通しと取り組みについてお尋ねいたします。
 
 北海道は、昨年12月22日、北海道地域医療構想を策定しました。これは団塊の世代が75歳以上となる2025年に各地域で必要となる病床数などを定めたもので、それによると北海道の2025年時点での必要病床数は7万3,190床とされ、2013年の道内病床数8万3,556床から1万336床も削減する内容となっています。

 遠紋地区においても1,210床から432床削減し、778床にする計画になっています。実に36%もの削減で、道内3番目の大幅な削減率となっているのです。これは、今後の住民生活に重大な不安を与えるものであり、誰もが必要な医療や介護を受けられ、安心して住み続けられる地域づくりという観点からはほど遠いものであり、到底看過できません。

 確かに遠紋地域の病床利用率は70%台ですが、その背景に医師など医療従事者不足があります。人口10万人当たりの医師数は、全道平均230.2人なのに、遠紋地域は130.7人、56%にとどまっています。病床利用率や稼働病床数が少ないのはこうした医師不足が背景にあり、必要な医療を地元で受けられず、やむを得ず遠方まで出かけなければならない実態が数多く存在しています。

 この構想にはこれらの実態も現状も考慮されておらず、さらに地域の医療事情を悪化させ、医療難民を増加させるものと言わざるを得ません。

 同時に、構想では特に高齢者の医療区分1の70%を慢性期病床から外し在宅に移行するとしており、遠紋地域では1,085人分もの在宅医療などの確保が必要だとしています。

 しかし、その取り組みとして述べているのは、地域住民や市町村とともに取り組みを進めるという内容にとどまり、ここでもまた地方任せであり、行き場を失った介護難民の増加が懸念されます。

 まさにこの構想にあるのが、医療費の削減という財政課題を最優先にして、地方から病床を一方的に削減することにあると言わざるを得ません。

 そこでまず、今回の地域医療構想に対する市長の認識をお聞きするとともに、紋別市としての今後の対応、取り組みについてお聞きするものです。

 同時に今必要なのは、超高齢社会を迎える中で誰もが安心して暮らしていける地域づくりを目指して、効率的で持続可能な医療、介護の提供体制を整備することです。

 そのために、それぞれの地域で、そしてこの紋別でどんな医療が必要なのか、地域で暮らしていくためにはどのような医療、介護の体制が必要なのかを議論し、考え、文字どおり地域主体、市民主体の医療と介護の構想を築き上げることではないでしょうか。

 逆にそれがなければ、黙っていれば国や道言いなりの医療構想に飲み込まれかねないのです。

 だからこそ、医療・介護・保健を一体とした紋別市としての医療、介護の構想、プランづくりが必要です。これもまた誰もが安心して住み続けられる紋別を目指す戦略的な政治課題ではないかと考えるものですが、いかがでしょうか、お考えをお聞かせください。

 また、広域紋別病院では、この地域医療構想を踏まえ、新しい改革プランを策定するとしていますが、紋別市全体の医療体制にもかかわるだけに、その内容について概要をお聞かせください。

〇宮川良一紋別市長
 それでは、野村議員のご質問にお答えいたします。
 
 初めに、地域医療についてであります。

 1点目の医療従事者の確保につきましては、さきに横内議員のご質問にお答えしたことでご理解を願います。

(横内議員への答弁~
 宮川市長「医療従事者の確保に伴う今後の取組方針につきましては、札幌医科大学や旭川医科大学では依然として派遣医師の確保に苦慮している医局が多く、大変厳しい状況となっております。そのような中、休日夜間急病センターに非常勤として勤務される医師に対し、広域紋別病院の勤務を提案すると同時に、当該病院に対し医師の紹介を行ってきた結果、現在は2名の医師が1カ月に一度ずつ非常勤として両医療機関で勤務しており、今月にはさらにもう一名が勤務する予定であります。

 市といたしましては、西紋別地区総合開発期成会で北海道に対する要望活動や企業団との医育大学に対する医師派遣要請、また市ホームページや広報もんべつで実施しております本市にゆかりのある医師及び看護師などの医療従事者の情報収集を行うとともに、休日夜間急病センターで接点があった医師などを含め、新たな人脈を活用して全国を視野に入れ、医師の確保に努めてまいります。

 また、看護師につきましては道立紋別高等看護学院の卒業生がここ3カ年は確実に複数就職されていることから、引き続き修学資金の貸し付けを行い、確保に努めてまいります。)
 
 2点目の地域医療構想につきましては、必要病床数については、国が示す基準に基づき算出されたものであり、地域医療構想策定の際には、医療従事者不足の要因によりやむを得ず休床している現状で算出され、地域の実情に配慮した数値ではないことから、単なる病床削減は地域医療の崩壊につながるおそれがあることや、今後の病床稼働状況を継続的に把握し、状況に応じて数値の見直しが必要であることなどを附帯意見として付したところであります。これからも地域の医療を守るため、地域医療構想に対し、調整会議の場において地域の実情を訴えてまいります。

 医療、介護の構想でありますが、私は市民の命や健康を守ることが地方自治体の最大の使命であると認識しており、医療の再生に全力で取り組んでまいりました。

 これまでも地域医療を取り巻く危機的状況が何度もあり、1次救急を担う休日夜間急病センターの開設をはじめ、上渚滑診療所の改築、さらには医療の中心である地域のセンター病院、旧道立紋別病院を北海道から移管を受け、新広域紋別病院の移転改築を行ってまいりました。

 また、限られた医療資源を100%活用するため、不足する医療の部分を保健、福祉でカバーすることはできないかと保健・医療・福祉連携推進会議を発足させ、さまざまな課題について協議してまいりました。

 医療の再生はまだ道半ばでありますが、地域医療の確保は今後も最優先で取り組むべき課題であると考えております。地域住民の皆様が住みなれた紋別で安心して暮らしていくためには、地域医療構想の有無にかかわらず、地域に合った保健・医療・福祉の連携体制の構築が不可欠であり、今後とも全力で取り組んでまいります。

 広域紋別病院改革プランの内容についてでありますが、広域紋別病院は西紋別地域唯一の地域センター病院として17診療科を標榜し、2次救急をはじめ、小児、周産期、精神医療のほか、眼科、泌尿器科、呼吸器内科など他の病院にはない診療科を有しており、地域医療の中心的役割を担っておりますことから、今後も現状の150床の維持に努め、地域医療構想を踏まえた地域完結型医療を目指していく内容と聞いております。

~再質問~

〇野村淳一議員
 それでは、何点か再質問をさせていただきます。

 最初に、地域医療についてでありますが、医療従事者の問題についてはきのうも議論がありましたので、ぜひ引き続き努力をお願いをしたいというふうに思っております。

 地域医療構想についてです。
これ市長も今ご答弁ありました。これ778床という数字になりますが、これが地域の医療崩壊につながりかねないということで、この778床という病床数が固まったものではないということで、さらに見直しが必要だという附帯意見をつけたということだというふうに思いますし、これからもさまざまな調整会議で市長みずから訴えていくということでしたので、期待をしたいというふうに思うんです。

 ただ、やっぱり、この778床というのは衝撃的な数字だと言わざるを得ないと思っていますよ。確かに人口は下がっていくんだろうというふうに思いますけども、しかし高齢化という中で、医療というのは重要になってきます。

 今までの闘う医療から支える医療、質が変わってきても需要は特別減るわけではない。ただ、国はベッド数を減らせば、それは当然入院する人がいなくなるから医療費は下がるかもしれませんけど、こんな乱暴な話はありませんよね。

 どう言っても、これから紋別で医療や介護という問題がどういうふうになっていくのか、どんなプランをつくるのか、どんな将来像が必要なのか、私はじっくり議論する必要があるんじゃないかなということをずっと考えています。

 きのうの議論の中であらっと思ったのは、いわゆる観光の問題では官民一体となって何か戦略委員会みたいなのをつくったという話になりました。私はそのぐらいの位置づけがこの医療や介護あるいは保健も含めて研究し、議論をする、市民主体でやっていくということが必要ではないのかなという気がしてなりません。改めて見解をお聞かせください。

○保健福祉部参事兼広域病院連携推進室参事兼健康推進課参事(大野貴光君)
  お答えいたします。
 市長答弁にもありましたとおり、過去の医療崩壊の際にですね、医療の部分を保健、福祉でカバーできないかということで連携会議というのを発足させてございます。この中でワーキング会議というのがあるんですけども、市内医療機関とか薬剤とかそういう、保健センターとかそういうような関係者を含めた形でいろいろ16名で構成されているんですけども、その中で、一応その中のテーマとしまして、医療の再生というのは決して医療、医師確保だけでは解決しないというところで、医療・保健・福祉の連携により、既にある資源を有効に生かして問題解決を図っていくためということで、これ平成21年からやってございます。

 このような中で、この会議の中の目的、メインテーマとしましては、やっぱり大きく一人ひとりのライフステージに応じて医療と保健、福祉を連携しながらサービスを継続的に提供していくというようなことがございます。

 地域としてこういうような体制を実現したいということがあります。連携会議の中では、医療削減による受け皿の不足とかそういうものも言われておりますので、解決を図っていくためにはそういうような、どういう手法なり、そういうものができるのかというようなところをそういう連携会議で議論をしていきながら、誰もが住み続けられる紋別というのを実現していきたいというふうに考えてございます。
以上でございます。

○野村淳一議員
  確かにこの連携会議というのは最初スタートしたときに注目を浴びまして、グランドデザインとかなんとかってつくったんですね。それで、いろんなワークショップだとかいろんな地域に出ていって会議やられてきました。私もずっと見てましたよ。

 ただ、この数年なかなか動きが見えてこないんです。もちろん、頭の問題、心臓の問題、救急の問題なんか相当努力をされて一定のルートはできてきた、これも連携会議の一つの成果だと思ってますけども、もしそこを中心にしてやるんだとしたら、本格的に腰を据えて、今の言った取り組みをその連携会議の中で中心の課題としてぜひ取り組んでください、期待をしたいと思います。よろしくお願いします。

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