2021年5月8日土曜日

NPO法人「はぐくみ」の活動を紹介します

 子どもたちの成長をみんなでサポートしようと立ち上げたNPO法人「はぐくみ」。

 私も、監事としてお手伝いしています。

 ということで、この間の「はぐくみ」の活動の一部を紹介します。

 3月25日、「はぐくみ」とスクールソーシャルワーカーとの意見交換が行われました。

 紋別市内にもスクールソーシャルワーカーを、と訴え続け、ようやく配置されて1年が経過しました。(といっても、まだ週一回程度の勤務ですが)

 「まだまだ試行錯誤の段階ですが、ようやく先生方にも受け入れられ、子どもたちの状況も少しづつ見え始めてきています」といいます。

 その中でも「不登校」の課題が話のテーマになりました。

 3月の予算委員会で不登校の現状をただした際、市教委は、「小学校で11人、中学校で30人で増加している」と答えています。

 その理由は、まさに様々です。友人関係、学力問題、教師との関係、そして発達にかかわる障害…。

 「紋別は、不登校の児童の割合が多いような気がします」とワーカーさんも感じているといいます。

 今回の懇談会でも、親としての自らの経験も語られるなど、子どもの気持ちにしっかり寄り添うことの大切さと、教育環境のあり方についても大いに話し合われました。

 4月20日、NPO法人「はぐくみ」の第1回総会が行われました。

 昨年12月に正式にNPO法人として承認されてから初めての総会です。

 とはいっても、NPO法人の承認以前から子ども服のフリーマーケットを開催するなど、精力的に活動しています。

 今月も19日には夏服限定の「はぐくみマーケット」を氷紋の駅の催事スペースで開催します。よろしかったら、ぜひ足を運んでください。

 総会では、今年度の活動として「みんなの学校」の上映会の企画も話し合われました。

 映画「みんなの学校」は、ともすれば排除されがちな発達に障害のある子どもたちも、すべて普通学級で受け入れ、すべての子どもたちに居場所のある学校づくりに取り組む、ある公立小学校のドキュメンタリーです。

 具体化はこれからですが、実行委員会をつくって取り組もうと張り切っています。

 でもやはり気になるのは、コロナの感染ですが…

 4月28日、「はぐくみ」として枝幸町の子育てサポート拠点施設「にじの森」に、理事の川口夫婦と視察に出かけました。





 「にじの森」は、お母さんたち自らが立ち上げたファミリーサポートセンターで、やがて枝幸町も支援し、今では子育て支援になくてはならない事業、拠点となっています。

 紋別市では、このファミリーサポートセンターが利用者が少ないとして廃止されました。

 でも、その需要は少なくありません。子どもの一時預かりや送り迎えなど。「はぐくみ」としても、子育て支援事業として取り組めないか、そんな考えがあります。

 「にじの森」では、どう運営しているのか。聞きたいことは山ほどありました。

 代表の村山純子さんの話は、まさに刺激的です。できることはすべてやる。行政にも言いたいことは遠慮しない。みんなの力を信頼する。なによりも子どもたちの幸せのため。

 移設内にあるカフェで昼食をとって3時間以上。話は尽きませんでした。

 小さな町の大きな実践に、大きな刺激と感動をもらいました。

 NPO法人「はぐくみ」は、今年、市街地に拠点を設け活動を進める計画もあり、忙しくなるかもしれませんね。

 

「レインボーファミリー」の武藤義弘さんにお会いして


武藤さん(右)と
                                         

3月議会の一般質問で、「誰も置き去りにしないやさしいマチづくり」を一つのテーマにしようと考えました。

 コロナ禍の中、特に社会的に弱い立場の人が苦境に追い詰められているのではないか、孤立し、置き去りにされているのではないか、という問題意識がありました。

 そこで、障害者、生活保護、ジェンダー問題。そして、LGBT・性的マイノリティについて取り上げることにしたのです。

 LGBTには関心をもっていたものの、その問題の本質を語るにはまだまだ未熟です。

 そこで2月、札幌に出張で出かけるにあわせ、ぜひお会いしたいと、初対面ながら突然メールし、快く承諾してくださった方が「レインボーファミリー」の代表・武藤義弘さんです。

 札幌エルプラザの一室で、たっぷり2時間、貴重なお話を伺うことができました。

 それは私にとっても、強い刺激と深い思いを感じさせてくれるものでした。話は尽きませんでした。

 「レインボーファミリー」は、LGBT当事者とその親たちの交流と相談支援、理解を広げるための講演活動などを行っています。

 主に「LGBT親子交流会」を開催し、LGBTの悩みやカミングアウトまでの経緯、親子関係の変化など、カフェの形式で自由に参加しながら交流しているといいます。

 LGBT、性的マイノリティという言葉は広がってきていても、当事者の思いや悩みは親子であっても、親子であるからこそ、深いものがあるといいます。

 それは、武藤さん自身の経験でもあります。

 「私は小さいころから女性アイドルの振り付けで踊るのが好きな子でした。特に中学生の時は、女のようだといじめにあいました。男らしくしようとしても、それができない。自分がわからなくなりました」

 「同性が好き。こんな変態は札幌で自分一人だけだと思っていました。でも、コンビニでアルバイトをしていた時、ふと目にとまった雑誌に『同性愛者として生きる』という記事があったんです。そこに載っていた連絡先に思い切って電話しました。そこから自分だけじゃない。同じ悩み、同じ思いを感じている仲間がいることを知ったのです。そして、自分を受け入れられたとき、母にカミングアウトしました」

 武藤さんお話は、一片のドラマを見ているようでした。

 「自分がわからなくなる」という言葉には、重いものを感じました。

 LGBT・性的マイノリティの方は人口の8%といわれています。

 「男だから」とか「女らしく」とかの無意識の思い込みが、彼らの居場所を狭めています。

 武藤さんはいま、学校などへ出向いて子どもたちに講演活動を行っています。

 人はそれぞれ違っていい。多様な人がいていい。それが社会の姿だと。

 でもまずは、子どもたちより前に、先生方に講義するのだそうです。なんだかわかる気がします。

 私自身、今回武藤さんとお会いをし、LGBTの本質をどれほど理解できたのか、正直おぼつきません。

 でも、武藤さんのさわやかな笑顔と飾りのない話に、時には胸を打たれ、時には感心し、時には笑い、時を忘れて時を過ごすことができました。

 そんな人としてのつながりこそ、大事なんだと感じます。

 「こうやって、直接話を聞きに来てくれて、こちらこそありがたいです。野村さんは若いでね」

 そんな武藤さんの言葉に少し励まされ、再会を誓って別れました。

 もちろん、3月議会ではLGBTの問題も取り上げました。



2021年5月7日金曜日

2021年第1回北海道後期高齢者広域連合議会 質疑より(2021年2月9日)

 



○野村淳一議員 
 
 紋別市議会議員の野村淳一でございます。 

 それでは、議案第6号北海道後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例案、議案第7号令和3年度北海道後期高齢者医療広域連合一般会計予算及び議案第8号令和3年度北海道後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療会計予算、これら3議案について一括して質疑をさせていただきます。 

【低所得者に負担を強いる軽減特例廃止は認められない】
 
 まず、議案第6号についてです。本議案は、軽減特例措置 7.75 割軽減を廃止しようとするものであり、これにより軽減特例は全て廃止されることになります。 

 そこでまず、この廃止に伴う影響についてその対象者数とその割合、廃止によって新たに負担増となる1人当たりの金額とその総額についてそれぞれお聞きします。 

軽減特例の制度は、もともと所得の少ない被保険者に対する支援策としてその所得要件に応じ、9割軽減と 8.5 割軽減としてスタートしたもので、その役割は非常に大きいものがありました。それが今年全て廃止となり、本則の7割軽減となってしまうわけです。

 この間、消費税の増税、年金額の減少、そしてコロナ禍という状況の中、低所得層の暮らしは厳しさを増すばかりではありませんか。この下で今なぜ軽減特例を廃止しなければなら ないのでしょうか。

 当然廃止する理由はなく、低所得者の負担をさらに強いる軽減特例廃止は到底認められません。軽減特例廃止に当たり、広域連合としての認識をお尋ねするものです。 

【マイナンバーカードと保険証の一体化を強行すべきでない】 

 次に、議案第7号令和3年度一般会計予算に関連してお尋ねします。 

 この3月からマイナンバーカードの健康保険証としての利用、いわゆるマイナンバーカードと健康保険証との一体化が開始されます。それに伴い、マイナンバーカード申請書送付分として2億 6,864 万円余りが計上されています。 

 しかし、この事業には多くの国民や医師会などからも反対の意見が根強く出されていま す。昨年 11 月6日に開催された北海道後期高齢者医療広域連合運営協議会でも、公募委員 の1人は「私はいまいち信頼できません」とし、「国民の情報を把握するほうに重点ばかり置いて、利便性は取ってつけたような感じが正直しています」と述べています。

 また、北海道医師会の委員は、「私たちはマイナンバーカードを医療保険証として使うというのは前からずっと反対していました」と明確に述べた上で、「マイナンバーカードを扱うときには、扱える人を限定し、別個用意した部屋で厳重に取り扱わなければならないことになっています。それが、何か軽々しく扱うような印象を受けています。例えば医療機関にマイナンバーカードを持ってきてそのまま置いていくお年寄りがいらっしゃるのではないかなど、いろいろな心配がある中で、何かせっかちにどんどんやれというような進め方をしているので、 これについては強く反対しています」と述べています。

 もともとマイナンバーカードの普及率はいまだ2割にも届かず、多くの国民もその信頼性に疑問を持っています。その下での保険証との一体化の強行は、まさに乱暴であり、無理があると言わざるを得ません。 

 そこで5点にわたりお聞きします。

 1つは、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けてどのような手だてと段取りで進めるのか。 

 2つ目には、各市町村や被保険者、そして各医療機関への対応はどのように進めるのか。 

 3つ目には、マイナンバーカードの保険証利用に伴い、各医療機関ではどのような対応が必要となるのか。 

 4つには、個人情報の保護と漏洩に対する措置と対策はどのようになっているのか。 

 そして、5つ目です。各医療機関は今コロナ禍の中で最前線の戦いを続けています。その下での一体化は、医療現場と被保険者に無用な混乱をもたらすだけです。しかもこんなコロナ禍に乗じて行うべきものではなく、いま一度立ち止まり、反対論を含め、まさに根本からの国民的議論が必要なのではありませんか。

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化に対する広域連合としての認識をお尋ねするものです。 

【コロナ禍における医療費の伸びをどう考える。急増する療養給付費】

 次に、議案第8号令和3年度後期高齢者医療会計予算に関連してお尋ねします。 

 最初に、療養給付費についてですが、予算案では 8,829 億 934 万円を見込んでいます。 これは前年比 195 億 9,820 万円の増額となり、伸び率は 2.27%となっています。

 それは主に被保険者の増加が要因だと考えられますが、それにしても令和3年度の増額の幅が極めて大きい印象を持ちます。

 なぜなら、令和2年度予算に比べ、今予算案では被保険者数の伸びを 1.12%から 1.24%と 0.12 ポイント程度の伸びと見込んでいるにもかかわらず、療養給付費の伸びは 0.95%から 2.27%へと極めて大きく、その金額も約 80億円から 196億円増と倍以上も増えているのです。

 療養給付費が昨年度に比べなぜこのように大幅に増える結果となるのか、その根拠と要因についてお尋ねするものです。 

 一方、コロナ禍において受診抑制が懸念され、その事実も顕著になっており、その傾向は続いています。このようなコロナ禍における医療費の推移については、どのように判断し分析されているのでしょうか。見解をお聞きするとともに、その内容は今予算にどのように反映されているのか、お尋ねいたします。

【拡大する債権管理推進事業とは】

 次に、債権管理推進事業についてお聞きします。 

 この事業には、前年度に比べて6,350 万円、実に371%増の 8,064 万円が計上されてい ます。

 その内容は医療費の適正化を推進するというものですが、同時に債権の徴収、滞納整理体制の適正化を推進するため、債権管理システムを抜本的に再構築するとしています。この予算増額の理由とともに、これら事業の内容をお聞きします。

 また、債権の徴収、滞納整理体制の適正化とは何なのか、お知らせください。 

【コロナ禍における傷病手当の拡充を】

 来年度の医療会計予算では新型コロナウイルス感染症関連の経費として、傷病手当金 300 万円、保険料減免に伴う保険料還付金に 4,000 万円がそれぞれ計上されています。

 新型コロナウイルス感染の収束がいまだに見えない中で、これらの措置は当然だと考えます。今議会においても、保険料減免に関連した補正予算が提案され、可決されました。

 この間 の傷病手当金と保険料減免の実績はどのようなものかお聞きするとともに、内容に変更はないのか、被保険者への周知と働きかけはどうか、それぞれお尋ねします。 

【保険料増加抑制のため財政安定化基金の活用を】

 次に、財政安定化基金と保険料の抑制について質問します。 

 予算案では、道支出金として財政安定化基金 10 億 7,865 万円が計上されており、保険料 増加抑制に活用されています。

 来年、令和4年度には、また新たな保険料が設定されますが、これ以上の保険料の増嵩は回避しなければなりません。そのために財政安定化基金が活用できるよう、その増額を含め、今からでも道との協議を開始する必要があると考えますが、いかがお考えか、お聞かせください。 

 また、保険料の増加抑制のために、財政安定化基金を活用することを特例措置としている現状を恒久化し、制度の安定化を図るよう、国に対し働きかけるべきと考えますが、見解をお聞かせください。 

【高齢者施設の入所者とスタッフへ定期的なPCR検査を】

 次に、今般の高齢者医療をめぐる情勢についてお聞きいたします。 

 新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言はさらに延長され、北海道もいまだその衰えを見せていません。その下で、病院経営や医療体制の確保が逼迫している状況が続いています。それでも、後期高齢者が受診を控えることなく、安心して地域の病院にかかれるようにしなければなりません。

 そのためにも地域医療の確保とともに、医療機関 に対する財政支援や医療体制確保に向けたコロナ対策を早急に講ずる必要があります。国に対し、広域連合としても強力な対策を講じるよう訴えるべきと考えますが、いかがでしょうか。 

 また、多くの後期高齢者が入所する高齢者施設でのクラスターの発生が頻発しており、その対策と予防は待ったなしです。少なくとも全ての高齢者施設において入所者やスタッフへの定期的なPCR検査の実施を国の施策として実現すべきだと考えます。広域連合としても強く要請すべきと考えますが、見解をお尋ねします。 

【広域連合として医療費窓口負担2割導入に反対を】 

後期高齢者医療をめぐる情勢で今最も焦眉の課題となっているのは、医療費窓口負担の問題、2割負担導入の問題です。

 国は 75 歳以上の高齢者の窓口負担を単身世帯で、課税所得が 28 万円以上かつ年収 200 万円以上、複数世帯の場合は、後期高齢者の年収合計が 320 万円以上を2割とすることを 決定し、今国会での成立を狙っています。 

 そこでまず、これら基準に該当する被保険者数と割合をお知らせください。 

 言うまでもなく、この影響は極めて甚大です。家計に及ぼす負担増は言うまでもなく、このコロナ禍の中、受診抑制が問題になっている下で、一層高齢者の受診抑制が深刻化するのは明らかではありませんか。

 それは病状の悪化を招き、医療費の増大にもつながりかねず、医療制度維持にも逆行する、まさに改悪です。

 2割負担の実施は来年の 10 月からであり、まだ時はあります。この期を捉え、広域連合として2割負担導入の中止を国に強く訴えるよう求めるものです。連合長の見解をお聞かせください。 


○金谷 学事務局長

 多くの御質問をいただきましたけれども、まず1点目のほうから、保険料の軽減特例措置の関係でございます。 

 軽減特例措置の廃止ということでございますけれども、令和2年度確定賦課の結果を基 に、その影響についてお答えいたしますと、約 19 万人の方が現在の 7.75 割軽減から7割 軽減に該当となり、被保険者全体に対する割合は約 22%でございます。

 1人当たりの保険料で年間 3,900 円、北海道全体では総額7億 4,000 万円ほどの保険料の増額となる見込みでございます。 

 この軽減特例措置の関係について広域連合の認識ということでございます。軽減特例の見直しにつきましては、保険料収入の増により制度の持続可能性に資するという面はありますけれども、広範囲の方が負担増になるということから、当広域連合では国に対して軽減特例の継続についての意見を述べてきた経緯がございます。 

 軽減特例は国庫補助を基に行われてきたものでありますので、財政状況が厳しい中でこのたびの国庫補助の廃止に併せて軽減特例を廃止するということは、やむを得ないことではないかと考えているところでございます。 

 続きまして、マイナンバーカードの関係でございます。マイナンバーカードを健康保険証として使えるというようなことの御質問ございますけれども、予算の説明でも若干申し上げましたけれども、今年度というか、新年度の予算で計上しておりますのは、マイナンバーカードが健康保険証と一体化すると、そういうこととは直接関係がないものでございまして、議員御指摘のとおり、マイナンバーカードの普及率はそれほど高くございません。

 さらに、当広域連合の運営協議会の中でも、そもそもマイナンバーカードの信用みたいなものがそれほど高くないという御発言が多く聞かれたというのも議員御指摘のとおりでございます。 

 そういう中ですけれども、新年度予算で計上しておりますのは、マイナンバーカードをまだ取得をされていない方々に対して、マイナンバーあるいは住所、氏名など必要な情報が印字されたカード取得の申請書を郵送すると、そのための費用でございます。

 これは現段階で厚生労働省からの依頼に応じるものでございまして、実施に当たっては、多方面への影響があると思いますので、そういうことについて様々な検討が必要ではないかと考えているところでございます。 

 3月からの実施に向けまして、国のほうで準備を進めておりますということにつきましては、医療機関において、専用の機器を導入して、その機械を使って被保険者の資格の情報が速やかに確認できる、そういう取組を3月からスタートさせるということだと理解をしております。 

 最近の情報によりますと、3月4日頃から試験的に全国の医療機関でマイナンバーカードを使った資格の確認というふうなものを試行的にスタートをさせて、3月の下旬には全国のその機器を導入している医療機関において、マイナンバーカードをかざすと被保険者の資格が確認できると、そういう仕組みがスタートするということでございます。 

 ただ、紙の健康保険証がすぐなくなるとは聞いてございません。まだ、医療機関のほうでの機器の導入も進んでいないようでございますので、それの動向を見ていく必要性があると考えております。 

 なかなか分かりづらいというか、道民の方に、あるいは国民の方にきちんと情報が伝わっているかというと、なかなか難しい面もあるのかなと考えておりまして、国民の皆様に、あるいは特にデジタルの情報に不慣れな後期高齢者の皆様に、後期高齢者医療制度の被保険者の皆様なのですけれども、そういうふうな皆様にしっかりと分かりやすい情報を国の責任において届けていただきたいということを切に願っているところでございます。 

 続きまして、療養給付費の関係でございます。 令和2年度から令和3年度にかけて療養給付費等が伸びているのではないかと、その根拠と要因ということでございます。 

 療養給付費等の推計につきましては、通例では前年度の決算見込額に1人当たり医療費の伸び率と被保険者数の見込みを乗じて行っているところであります。 

 しかしながら、令和3年度の推計におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けている令和2年度の決算見込みを使用することは難しいのではないかということから使用しておりません。 

 どうしているかといいますと、令和元年度の実績に診療報酬改定がない年の対前年増加率を2年分乗じまして、さらに推計の被保険者数を乗じることで、令和3年度の療養給付費等を算出しているところでございます。

 この方法ですと、令和2年度の診療報酬改定の影響を見込むことができませんので、若干高めの推計となっているというのは、議員御指摘のとおりだと考えているところでございます。 

 続きまして、債権管理等推進事業でございます。 

 本事業で取り扱います債権につきましては、広域連合が直接管理をしている債権、給付債権、給付に係る債権でございまして、市町村が管理をしております保険料については、本事業の対象からは除かれるものであります。 

 具体的には、医療機関に対する診療報酬不正利得等の返還金、負担割合相違や資格喪失後受診による医療給付費返還金、第三者行為求償金などであります。 

 これらの給付債権につきましては、平成 24 年度以降簡易的なシステムにより管理をして おりまして、システムの老朽化等によりまして、債権管理システムの再構築に向けた検討を進めているということでございます。 

 発生する債権額、給付のほうの債権額ですけれども、実は年々増加の傾向でございまし て、給付債権回収に向けた取組を進めていくために、令和3年度に債権管理の専門部署を新設するほか、令和4年度からの施行を念頭に置きまして、債権管理条例の上程につきましても、考えているところでございます。

 次に、新型コロナウイルス感染症関連の実績ということでございます。 令和3年1月末時点でありますけれども、傷病手当金の支給はお1人のみでございます。 

 保険料減免につきましては 2,959 人、総額2億 4,800 万円ほどとなっております。 

 傷病手当金及び減免制度は、国の財政支援の基準に準拠して運用を行っているものでありまして、令和3年度も国の財政支援の対象になるかどうかということについては、現時点では明確に示されていないところであります。

 ですけれども、国の財政支援の対象となった場合を想定いたしまして、予算を計上しているところであります。制度継続となった場合には、制度を必要としている皆様に活用していただけるように、 幅広い周知に努めてまいりたいと考えております。 

 続きまして、財政安定化基金と保険料との関係での北海道との協議ということでございます。 

 実は、今年度から北海道と当広域連合におきまして、年3回程度定期的な意見交換会というのをスタートさせたところでございます。 

 令和4年度の保険料率改定に向けまして、北海道とは十分に協議を行いながら、試算作業を進めていく予定でございます。 

 また、財政安定化基金の恒久化につきましては、直近で令和2年 11 月ですけれども、全 国後期高齢者医療広域連合協議会を通じまして、厚生労働大臣宛てに要望を実施しております。今後も機会を捉えて、国への要望を行ってまいりたいというふうに考えております。

 最後の御質問でございますが、今般の高齢者医療をめぐる情勢ということでございます。 

 新型コロナウイルス感染症に関しまして、地域医療の確保、全ての高齢者施設での定期的なPCR検査の実施を国に要請するべきでは、というような御質問かと思います。 

 新型コロナウイルス感染症に関しましては、なかなか収束が見通せない状況ではございますけれども、感染防止に関して分かってきたこと、分かってきていることも徐々に増えているのではないかと考えるところであります。 

 国、北海道、保健所を設置している市などにおきまして、様々な観点から検討を行って引き続き必要な取組を進めていただけるものと考えているところであります。 

 当広域連合といたしましても、後期高齢者の皆様にどのような影響があるのかといったことを中心に置きまして、危機感を持って状況の把握に努めてまいりたいと考えております。 

 次に、後期高齢者の窓口負担に関しての御質問でございます。 

 年金収入が 200 万円以上の被保険者の数については、約 16 万人でございます。全被保険 者の約 19.2%に当たります。これは令和3年1月4日時点におきまして、当方で把握でき た数字であり、現役並み所得者、3割負担の所得者の方々ですが、そういう方々については除いた数字となっております。 

 また、国に対する要求ということでございますけれども、全国知事会のほうで「現役世代の支えによりこの制度が成り立っていること、世代間の対立ではなく、世代間が相互に理解することが大切であり国民に分かりやすく丁寧な周知を行うこと」というような内容の要請を厚生労働大臣に行っているところであります。

 私も同感でございまして、引き続き国に求めてまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。

○野村淳一議員 

 それでは、2回目の質問でございますが、1点目にその議案第6号の軽減特例の廃止の問題でした。

 やむを得ないという御答弁だったかなと思います。 ただ、平成 28 年 11 月のこの広域連合議会、平成 28 年の2定です。このときに、この議会の場で軽減特例措置の継続を求める意見書というのが可決されているのです。

 極めて重要な意見書が可決されているのです。軽減特例の継続を求めると、北海道のこの広域連合議会の総意としてここで可決をしたものでした。

 この重要なものを持っていて、やむを得ないと今おっしゃったけれども、私は、こういう問題も含めてしっかり議会として、広域連合としてこの問題に向かっていく必要があるのだろうと思います。

 改めて、この特例軽減廃止に向けての御答弁、私はすべきでないと思いますので、それら、その決議の意見書の可決という問題も含めて、改めて御答弁ください。 

 マイナンバーカードの問題です。これはちょっと教えていただきたいのですが、今回の予算はマイナンバーカードの申請書を送付するのだということですね。後期高齢者にその保険証の更新時に一緒に申請書を入れて送るのですか。そういうことになるのでしょうか。

 この入れられた申請書を後期高齢者がどうするのですか。どのような手続をするのか。これは、非常に個人情報の問題、扱い方、極めて慎重にしなければならない。

 特に、後期高齢者ですから、ですからという 表現悪いけれども、状況が分からなかったり、なかなかそういうものに、マイナポータルに接続しなければならないとかいろいろあるのです。そういう問題があるので、今回の送付についても、非常にこれは簡単にすべき話ではないのだと思っています。それについての在り方を教えていただきたいのです。 

 ただ、どちらにしても、今回のこの措置はマイナンバーカードが進んでいかないという国の焦りだと私は言わざるを得ないと思っています。無理やり普及を強制しようというものでしかない。

 まさに、同時に不便と不安を押しつけるものだと。これは病院もそうです。そういう意味では、この実施はすべきでないと私は思っておりますので、その立場で広域連合としても対応していただきたいと思います。もう一度御答弁いただきたいと思います。 

 それと議案第8号関連で、療養給付費の問題です。

 私は今回相当金額大きいと言いました。では、この令和3年度はいつものやり方とは違うという話ですよね。コロナの影響があるので、いつものような算定の仕方はできないのだといって、これは莫大な金額です。196 億円も増えているのです。

 療養給付費が増えるということは、市町村負担金も増えるということなのです。市町村にとっても大変な問題なのです。でも、その根拠がよく分からないではないですか。令和元年のを持ってきたと言われたって、その根拠がどうも曖昧でしかない。やむを得ないのだろうという話も感じなくはないけれども、やっぱりこれは市町村の状況にも直接関係するものです。この在り方について私は非常に疑問を持ちます。

 実際コロナで受診抑制が起きているというのも現実ですので、これを認めるわけにはいか ないけれども、その辺の判断についてもう一度御答弁いただきたいと思います。 

 それと、コロナ関係で傷病手当減免の取組がありました。これは、まだ国の通知がないわけですが、しかし、実現させるという思惑だと思います。これはぜひ、そういうふうに広域連合としても国に対して取組をしていただきたいと。

 1つだけお聞きします。 傷病手当なのです。これは1件だと御答弁ありました。傷病手当というのは、これは国保と同じですが、従業員が対象なのです。事業主には傷病手当は対象にならない。

 しかし、今このコロナ禍の中で、どの企業だって経営が大変なのです。事業主だからといってお金があるわけではない。しかも、誰がいつどういう形で感染するか分からないのです。

 この 傷病手当に対して、事業主もこれを対象にしている自治体があります。こういうことが考えられないのか、すべきだというふうに思います。連合としての考え方を教えてください。 

 それから、財政安定化基金です。 これも道との協議を進めたいということでした。それで、この保険料の増嵩を抑えるためにもう一つ運営安定化基金というのがあります。

 これは、保険料の剰余分を積み立てたものです。これを使ってこの北海道の広域連合でも保険料を下げたことがありました。で はなかったかと思うのですが。ただ、今回予算を見ると、この運営安定化基金も積立金額 が半分ぐらいに減ってしまっているのです。なので、ちょっとこれも期待できないのかな と思ったりしますが、この運営安定化基金の状況と見通しもちょっと併せてお聞きいただければと思います。 

 それと2割負担も問題なのです。これは 16 万人、約2割の方が新たに2割負担になると いうことです。2割の方です。何も富裕層の方ではありません。その方々が2割になる。 

 改めてお聞きしますが、2割になって1人当たり年間幾らの負担増となると見込まれていますか。入院と通院でお示しをいただければと思います。 

 今、御答弁もありましたが、この2割負担の根拠にしているのは、世代間の公平ということでした。負担の公平だという話をしています。

 しかし、そうでしょうか。現役世代が医療費が増えて増嵩分、それを実は今でも増えた分を現役世代と後期高齢者で折半しているのではないですか。増えた分は現役世代と、そして後期高齢者で折半している。後期高齢者もその分今でも負担しているのです。

 当初は 10%の負担率でよかったのが、今、後期高齢者は 11.1%負担しているのです。もう既に後期高齢者はこの負担を払っている。私はそう思います。 そういう意味では、この2割負担、世代間の公平というのは、私は論拠にならないという気がしています。

 今の1割でさえ受診抑制が現実に起きています。コロナ禍でさらに受診抑制が広がっています。そして、2割になればさらにそれが広がるのです。それは明らかだと思います。

 受診抑制を起こさせない、そういう意味でも、この2割負担というのは何としても私回避すべきだと思います。それに向けて改めて広域連合としてその立場を明確にしていただきたいと、その立場で国に強力に訴えていただきたいと思います。 それで、2回目です。 

○金谷 学事務局長

 何点か再質問いただいたところであります。 

 まず、軽減特例の関係ですけれども、議会で可決されたということについては、非常に重いことだと思うところであります。それについては、国にしっかりと届けて、全国でもそういう声を上げたのだと思いますけれども、それを踏まえて、いろんな議論を経て軽減特例の廃止が決定されたということだと考えております。 

 そういう中で、反対の意見、継続の意見を述べてきたということは間違いないのですけれども、それが残念ながらかなわなかったと考えるところでございます。 

 続きまして、マイナンバーカードでございますけれども、お送りする申請書、今のところ考えておりますのは、被保険者証とマイナンバーカードはイコールでございませんので、被保険者証に同封することについては考えておりません。

 別途申請書をお送りしたいと考 えております。国のほうでも要請としては、令和3年度の要請としてはそういう要請にな っております。 

 マイナンバーが印字された申請書ですので、議員御指摘のとおり、個人情報の問題等があるということから、通常の郵送料ではなくて、特定記録郵便でしたか、高い郵送料を払ってお送りするということを見込んでおりますので、郵送料が莫大になっているということでございます。 

 高齢者の方はマイナンバーの通知が大分前にありましたけれども、既に自分のマイナンバーを御存じでないというお年寄りもたくさんいらっしゃると思います。そういう方に、実は今年も厚生労働省は被保険者証と一緒に送ってくださいという要請はあったのですけれども、後期高齢者の方にただ申請書をお送りしても、マイナンバーそのものを御存じでない方々が、その自分のマイナンバーを把握するために市町村の窓口に駆けつけるということも十分想定されますので、いかがなものかということで、令和2年度については御協力できませんと実は回答をしております。

 ただ、令和3年度につきましては、マイナンバーを印字された申請書をお送りして、写真を撮ってそれを広域連合に送り返すのではなく、市町村にも送り返すのではなく、マイナンバーの発行のところに送っていただく。

 あとは 通常のマイナンバーカードの取得の手続と同じ形で進んでいくということを想定しております。 

 次に、その療養給付費、大変申し訳ないところで、よく分からない推計ではないかという御指摘もあろうかと思います。

 ですけれども、新型コロナの関係について正確にその影響を把握することは残念ながら難しいという状況でありますので、令和元年度の実績に対前年増加率を掛けていって、推計の被保険者数を乗じることで療養給付費の算定をしているということになります。 

 市町村につきましては、市町村連絡会議を年2回ほど開催しておりますけれども、その中でこういうような推計になって、このぐらいの負担になりそうだということについては、情報提供しているところでございますので、各市町村において予算措置等していただいているのではないかと考えているところでございます。

 ただ、無駄に使うわけではございませんし、使わなかったものについては実は後から出てくる運営安定化基金に積まれていくということになりますので、次の保険料の抑制財源に使っていくことも可能になりますので、そういう中で、推計を苦労しながら、苦労と自分で言って申し訳ないのですけれども、できる範囲の推計をしたと御理解をいただければと思います。 

 あとは、コロナの関連で、傷病手当金でございますけれども、傷病手当金については、そもそもは全国の国保あるいは広域連合では全て任意給付ということで条例で定めなければ支給できないお金でございました。

 それをコロナというようなことで働いていらっしゃる方が傷病、つまりコロナでその働けなくなった期間があって、その期間について手当てをしようということで取り組んだものでございます。

 たまたま後期高齢者の医療制度については、勤労者の方がそれほど多くないということから、さらにコロナにかかるということになりますので、可能性として若干低かったのかなと考えております。

 そのかわり、保険料の減免については多くの方が御利用いただいているという状況かと思います。 

 あと、運営安定化基金の関係につきましては、議員御指摘のとおり、残余のお金を積み立てておりまして、その基金につきましては、毎回保険料の抑制財源に使っております。 

 次の保険料の試算の際にも活用してまいりたいと考えております。 

 あとは、窓口負担の関係でございますけれども、どのぐらい増えるのかということです が、今、国のほうの試算でいきますと、11.5 万円になって、3.4 万円ほど増えるというこ とになっております。

 経過措置も考えられておりますので、経過措置を導入することによ って年間で 2.6 万円程度の増に抑えられるのではないかということで、国のほうで検討を進めていると承知しております。 以上でございます。 

 ○野村淳一議員 

 いろいろ承知できないところもありますが、とりあえず、最後そのコロ ナの関係についてだけ改めてお示しをいただきたいと思うのです。 

 私は、このコロナの中で、本当に先が見通せない中で、お年寄りの皆さんの暮らしを守るという広域連合の役割も非常に試されていると。何をすべきか、何ができるかということが非常に試されている気がしてなりません。

 私はその医療機関への支援、それから、高齢者施設へのPCR検査などを提案させていただきました。 

 実は、これから、4月からでいいのでしょうか、高齢者のワクチン接種が始まります。これは私は、後期高齢者の広域連合としても、全く無関係ではないのだろうと思っています。

 このコロナワクチン、それぞれの自治体、非常に状況が分からない中、苦労されていると思いますが、このコロナワクチンの接種について広域連合としても重要な取組になると思いますので、この見通し、あるいは広域連合としてはどのような関わり方、どのような対応とされるのか、お聞かせください。 

 そして、最後に新年度に当たって、コロナという全く新しい状況の中で去年、今年を迎えることになります。そういう意味で、その高齢者の暮らしを守るという広域連合の役割をどう果たしていくのか、どういう方向性とどういう方針を持つのか、このことが非常に問われていると思いますので、最後にそのことについての方向性、所信を述べていただきたいと思います。 お言葉をいただいて、私の質疑を終わります。よろしくお願いします。 

○金谷 学事務局長

 では、簡単に。 ワクチン接種の関係なのですけれども、全額国庫で負担ということがあって、利用者の方には接種費用がかからないということから、当広域連合で直接関わるということについては現段階ではないのではないかと考えているところでございます。 

 そういう中でございますけれども、後期高齢者の皆さんがコロナの中でも必要な医療を、 医療が必要な方が必要な医療を受けられるようにするというのが広域連合の一番の役割だと考えておりますので、そういうことを念頭に置いて、新年度も鋭意努力してまいりたいと考えております。 以上でございます。 


コムケ湖の利活用とラムサール条約への登録を~2020年第4回定例市議会一般質問④

コムケ湖

〇野村淳一議員

 最後に、コムケ湖周辺エリアの利活用とラムサール条約について質問します。 

 宮川市長は、市政執行方針の中で、コムケ湖を含む周辺エリアについて、野鳥観察所の設置やアクティビティーの創出などで利活用を推進する施策の検討に努めると述べています。 

 言うまでもなく、コムケ湖の持つ自然環境とその景観は、多くの市民や観光客、バードウオッチャーたちに愛されている貴重な資源です。それを生かし、自然に親しみ、自然を学ぶ場として整備することは重要な施策だと考えます。 

 そこで、野鳥観察所の設置などについて、現在どのような検討と対応がなされているのか、お聞きします。 

 当然、「コムケの会」や「もんべつかいはつくらぶ」など、従来からコムケ湖の環境保全に携わっている関係団体との連携協議が必要であり、認識を共有しながら進めるべきと考えますが、お考えをお尋ねします。 

 また、これも従来から求めていたコムケ湖のラムサール条約への登録については現在どのような検討状況となっているのか、その内容と見通しをお聞きするものです。


〇宮川良一市長

 次に、コムケ湖周辺エリアの利活用とラムサール条約についてであります。 

 本市では、本年度、大山エリア、コムケ湖エリアを避暑地化推進エリアに定め、両エリアの持つポテンシャルを最大限生かし、市民に喜ばれ、また、市外からの交流人口の拡大にも寄与する実現可能な避暑地化構想の具体化を図るため、両エリアの再整備の方向性などを定める利活用構想の策定に取り組んでおります。 

 構想策定に当たっては、各エリアに関係が深い市民や団体等の声を十分に聞くことが極めて重要でありますことから、エリアごとに検討部会を設け、日ごろから各エリアで活動されております皆様方からもご意見をいただきながら検討を重ねているところであります。 

 このうち、コムケ湖エリアにつきましては、エリア内の野鳥や植物についての専門的な知識を有するとともに、エリア内における自然保護、美化活動の中心的な役割を担っているコムケの会の皆様に検討部会へご参画いただき、5月以降、現地での検討も含め、これまで4回の検討会を実施してきたところであります。 

 検討部会では、エリアの現況整備を初め、将来的なエリアのあり方やそれに向けた展開など、基本的な方向性はもとより、ビジターセンター機能を有した野鳥観察ハウスの開設など、コムケの会が主体となった本エリアの利活用、再整備に向けた具体的かつ前向きなご意見を頂戴しているところであり、次年度以降の事業化を視野に、引き続き検討部会において協議を進め、利活用構想を取りまとめてまいります。 

 ラムサール条約登録についての検討状況、その内容と見通しにつきましては、昨年8月にオホーツク総合振興局の職員を講師として招き、各推進団体及び農漁業関係者を集めた勉強会を開催し、その後の意見交換の場では、双方の歩み寄りにつながる建設的な議論を期待しておりましたが、残念ながら、特段の意見はなく、終了したところであります。

 登録に当たっては、地域総意の取り組みであることが重要であることから、それ以降、市が主体となっての動きはとれておりません。 以上で答弁を終わらせていただきます。


【 再質問 】

〇野村淳一議員

 次に、コムケ湖についてです。野鳥観測所が来年度に何らかの形でできるのかなと思っています。

 これまで、コムケ湖の環境保全のために頑張ってきたコムケの会などの皆さんの活動がやっと一つの形になるのかなと思って期待しています。ぜひ、コムケの会の皆さん方の意向をしっかりと受けとめながら進めていただきたいことを要望し、質問を終わります。   

障害者雇用と発達支援の充実を~2020年第4回定例市議会一般質問③

 〇野村淳一議員

 次に、障害者及び障害児などの福祉事業について質問いたします。 

【紋別市役所ー障害者雇用未達成で国から『勧告』】 

 障害者の就労と定着に向けた支援は、総合戦略にも位置づけられているように、紋別市の重要な政治課題の一つです。

 そこで、紋別市役所における障害者の採用と雇用について取り上げたいと思います。 

 ことし3月31日、北海道労働局から、法定雇用率2.5%の達成に向けた改善が見られなかったとして、4市9町2村4公立病院の計19機関に適正実施勧告が出されました。 その中に残念ながら紋別市が含まれています。 

 そこでまず、この内容と状況をお聞きするとともに、障害者採用計画に基づき、どのような取り組みが行われてきたのか、お伺いします。そして、この勧告を受け、どのように対応され、現状はどうなっているのか、お尋ねするものです。 

 また、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正により、地方公共団体の責務として、みずから率先して障害者を雇用するよう努めなければならないとして、ことしの3月31日までに障害者活躍推進計画を作成し、公表することが義務づけられています。

 その際、地方公共団体は、障害者雇用推進者と障害者生活相談員を選任しなければならないとしています。 

 紋別においては障害者活躍推進計画の策定はどうなっているでしょうか。いまだ公表されていませんが、その策定状況をお聞きするとともに、庁内における障害者雇用推進者と障害者生活相談員の選任者についてお尋ねします。 

 いずれにしても、障害者雇用の範となり、モデルとなるべき市役所において勧告を受けるという今回の事態を決して見過ごすことはできません。今後、身体、知的、精神の3障害の区別なく、また、障害の重さにかかわりなく、障害者が周囲の理解と合理的配慮のもとで生き生きと働き続けられる市役所をつくることが必要ですし、何よりも急がれています。

 そのためにも、一般障害者の採用はもちろんのこと、紋別高等養護学校の卒業生の積極的な採用を進めること、さらに、職場環境の整備や障害者への理解を高めるためにも、ジョブコーチなどの採用を位置づける必要があると考えますが、いかがお考えか、お尋ねします。 

【日中一時支援事業への支援を】

 障害福祉サービスにおける地域生活支援事業の一つに日中一時支援事業があります。 

 これは、障害者や障害児の日中における活動の場の確保と見守り、それに家族の一時的な休息を図る事業として紋別市内でも幾つかの事業所で開設されています。 

 この日中一時支援事業は、各市町村が実施主体となって運営しており、紋別市でも利用者は拡大し、既になくてはならない事業になっています。

 この事業の運営にかかわる経費、いわゆる報酬単価はそれぞれの市町村が独自に決定しており、市町村で差が生まれています。 

 紋別市の場合、平成18年にこの事業が導入されてからこの間、一度も報酬単価の改定がされず、据え置かれたままになっています。

 この15年間、国による障害者サービスの報酬単価は、スタッフの待遇改善を含め、数度にわたり引き上げられてきました。消費税も当時の5%から10%へと引き上げられ、経費も増加しています。 

 そこで、お聞きします。紋別市においても日中一時支援事業の報酬単価を見直し、引き上げを実施すべきと 考えるものですが、いかがお考えか、見解をお聞きします。 

【切れ目のない発達支援の取り組みを】

西紋発達支援センター「すてっぷ」

 子供の発達支援は、西紋発達支援センター「すてっぷ」の開設で質的にも向上していると思います。

発達障害など、子供の状況からその違いに気づき、その違いを理解し、その違いに適切に支援することが何より重要です。そして、幼児期から小学校、中学校そして高校と、一貫した包括的な支援を続けることが何より求められています。 

 そのためにも、各関係機関との連携の強化をはじめ、保健師、保育士、教師など、関係者の知識と技術の向上を図ることが何より重要です。

 発達に障害のある子供たちの不安とその保護者の皆さんの戸惑い、その大きな困難にしっかり寄り添い、支援できる仕組みが何より必要なのです。

 紋別市として、子供の発達支援について、どのような認識のもと、どのように取り組み、どのような方向性を持って今後進めていくおつもりか、それぞれお聞きするものです。 

 その上で、ますます対象児童がふえる傾向の中、「すてっぷ」の果たすべき役割は極めて重要だと考えます。その体制強化を図るとともに、療育活動の充実とアウトリーチの実践的取り組み、質的向上に向けた研修会の開催や関係機関との連携強化など、まさに西紋の発達支援の中核として「すてっぷ」の取り組みが期待されています。 今後どのような役割を担うべきとお考えか、その方向性についてお聞きします。 

【「ひきこもり」など制度のはざまで孤立する人への支援を】

  いわゆるひきこもりは、現代において今や社会的な問題として、その対応と解決が強く求められています。

 さきの議会でひきこもりへの対策を求めた私の質問に対し、市長から、ひきこもり支援検討委員会を設置し、実態把握のもとで専門的で包括的な支援体制を構築するとの前向きなご答弁をいただきました。まず、これに基づいた現状の取り組みと今後の方向性をお聞きします。 

 親が80代、子供が50代でひきこもるなど、親子で生活に困窮する8050問題、親の介護と育児を同時に担うダブルケアなど、複合的で深刻な課題を抱える家庭がふえています。

 このような家庭に対し、一括して相談に乗れるよう、市町村に財政面で支援する改正社会福祉法が6月に成立し、来年4月から施行されます。 

 これまで、分野ごとに相談窓口が分かれ、時にはたらい回しや、情報が共有されず、支援が途絶えてしまうケースもあるなど、その改善が全国的に求められていまし た。

 今回の法改正によってそれがどう改善するのか、どのようなことが可能となるのか、紋別市としてはどのように対応するお考えか、見解をお聞かせください。


〇宮川良一市長

 次に、障害者等への福祉対策についてであります。 

 1点目の紋別市の障害者雇用に関し、適正実施勧告の内容と状況についてですが、平成30年6月1日現在で地方公共団体等に課せられている法定雇用率2.5%を達成できておらず、昨年1年間の障害者採用計画においても未達成の機関に勧告を行うものであり、未達成の本市が勧告対象となったものであります。 

 障害者採用計画に基づく取り組みにつきましては、年度ごとの採用人数を定め、人材の確保に向け、障害者就業支援センター等との情報交換を行ってまいりました。 

 勧告を受けてどのように対応し、現状はどのようになっているかについてですが、 ハローワーク等との連携を密にし、職員採用応募者の確保に努め、本年の基準日である6月1日以降の採用になりますが、1名の採用を行い、現在、本市は法定雇用率を達成している状態にあります。 

 障害者活躍推進計画の策定状況につきましては現在作成中であり、本年度末の策定を予定しております。 

 障害者雇用推進者と障害者職業生活相談員の選任状況につきましては、厚生労働省の通知による選任資格により、大卒後2年以上の雇用管理の実務に従事した経験を有する者とあり、庶務課長を選任しております。 

 高等養護学校卒業生の積極的な採用やジョブコーチの採用につきましては、本年2月に人事担当職員が紋別高等養護学校企業向け見学会に参加し、授業見学や障害者雇用に関する説明等を受けており、今後、市役所でどのような就労が可能なのか、学校と情報交換を図ってまいります。 

 ジョブコーチにつきましては、専門性の高い人材確保に向けて、関係機関等からの情報収集に取り組んでまいります。 

 2点目の日中一時支援事業についてでありますが、議員もご承知のとおり、報酬単価の引き上げは利用者負担金の増額にもつながることから、本市といたしましては、今後、近隣市町村の報酬単価等を調査するなど、見直しの必要性も含め、検討してまいります。 

 3点目の子供の発達支援についてであります。子供の発達支援に対する本市の認識についてですが、少子化が進行する中、発達障害においては、全国的傾向と同様に西紋地域も増加傾向であることから、その対策にいち早く対応するために充実した療育を行う拠点整備が必要との認識のもと、西紋こども発達支援センターを開設したところであります。 

 現在の西紋こども発達支援センターの取り組みといたしましては、聴覚検査室の設置や体幹機能を強化できる感覚統合遊具など、新たな機能を備えたことでハード面での療育が充実したことや、ソフト面では、療育アドバイザーの学校や保育所等に赴いての発達検査、カンファレンスに加え、教職員や自治体職員など、関係者を対象とした研修会、事例検討などの勉強会のほか、本年は、当センター職員の資質向上のため、リモートで複数回に及ぶ専門研修を受講していただくなど、不足する専門職の補塡と関係職員の質的向上に取り組んでおります。 

 また、方向性につきましても、さきの人材育成に加え、職員体制強化に向けた作業療法士など、専門職員確保を考慮しながら、西紋地域全体で充実した療育が受けられるように事業展開してまいります。

 今後どのような役割を担うべきかにつきまして、現在、療育アドバイザーや外部講師による支援を受けているところでありますが、将来的には、当センターが中心となり、発達検査や保護者へのカンファレンス、保護者や教職員など、関係者への療育指導を実施してまいりたいと考えております。

 また、発達におくれのある幼児の早期発見、早期療育につなげるべく、こども園や保育所等への訪問に加え、地域課題対策会議にて、教職員や保育士などの課題解決に向けて取り組むとともに、就学に向けた教育相談への関与など、関係機関との連携強化を図りながら拠点施設としての役割をさらに拡充するよう努めてまいります。 

 4点目のひきこもり対策に関し、現状の取り組みと今後の方向性につきましては、新年度からの事業実施に向けて専門機関であります北海道ひきこもり相談支援センタ ーからのアドバイス等をいただきながら調整を進めております。

 また、社会福祉法等の一部を改正する法律によってどのようなことが可能となるのかについてですが、地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズに対応するため、包括的な福祉サービス提供体制を市町村が構築する場合、国から新たな財政支援を受けることが可能と認識しております。 

 本市といたしましては、ひきこもりなど、制度のはざまで孤立した人や家庭への支援の充実に向け、引き続き取り組んでまいります。 


【 再質問 】

〇野村淳一議員

 今回、紋別市役所の障害者の雇用の問題を取り上げましたが、私は、これまで、障害者の就労について何度も議会で取り上げてきました。総合戦略でも、高等養護学校の卒業生について、5人、10人と、一般就労に取り組むということが書かれていました。

 ところが、市役所という足元では勧告を受けなければならないような事態だったのです。私はびっくりしましたし、がっかりもしました。非常に残念ですし、遺憾です。

 しかも、つくって公表していなければならない障害者活躍推進計画がまだつくられていないとのことです。 

 この事態からは、障害者雇用と口では言うけれども、その本気度がどうなっているのかというところに疑問を持たざるを得ないのです。改めて、どのような認識をお持ちですか、お聞きします。 

 ○小林昌史庶務課長

 お答えいたします。障害者雇用につきましては、法定雇用率について、今回勧告を受けたのは事実で、深く受けとめております。

 その後、採用計画をもとに募集し、先ほど答弁いたしましたけれども、ことしの基準日以降、1人を採用したことによって法定雇用率に達している状態にあります。 

 私も相談員の選任を担っており、これから講習を受けるべき立場にありますけれども、コロナ禍の中でうまく進んでいないというところもあります。とはいえ、令和3年の4月1日から、法定雇用率が2.5から2.6に引き上げられることになっておりますので、採用に向けた準備等をしていきたいと考えております。 

 ○野村淳一議員

 そうなのです。来年度から2.6になるのです。ですから、課題はまた出てきます。これは当然だと私は思っていて、法定雇用率を超えればいいというだけの問題ではないわけで、生かしていくといいますか、障害者の雇用をどんどんとふやしていくことの範をぜひ皆さんに示していただきたいと思います。 

 だからこそですが、ことし、社会福祉課に障害者雇用担当の参事がついたのですよね。ところが、この間に行ったら、その参事が人事異動でいなくなっていたのです。では、誰かがそれを補完するのかといったら、誰もいないのです。 

 紋別市ではヘジタブルファクトリーの問題なんかもあったから、就労担当を課長職としてちゃんと置いたのだなと思い、これからの動きに注目していたら、人事異動でいなくなってしまったのです。どうしたのかなと思いますし、非常に残念でなりません。 

 どうやって補完するのか、どうやって強化するのか、その体制が必要だと思いますが、それについてはどうお考えですか。 

 ○牧野昌教総務部長

 人事の関係でございますので、私からお答えをさせていただきます。 

 まず、参事を異動させたことについてですが、ことしの大きな仕事でございましたベジタブルファクトリーに関し、来年からの請負業者が決定したということがあります。

 ただ、議員からもご指摘があったとおり、職員があそこに座って雇用先を開拓しようと思ってもなかなか難しいというようなことがございまして、さきの議会でも答弁させていただいたように、来年度からは専門職員を確保したいと考えております。 

 なお、これは内部の事情ではございますが、病気によって職員が休職になった部署があり、そこに職員を補充しなければ今後の業務が立ちいかないという状況になったことから、参事を異動させました。 

 ですから、決して後ろ向きではなく、来年度に向け、人材確保に動いているところでございまして、来年度からは議員のご希望のような専門職を配置したいと考えておりますので、ご理解をお願いいたします。 

 ○野村淳一議員君

 期待をしたいと思います。ただ、いなくなったのにびっくりしたのです。一生懸命相談していたものですから、よろしくお願いします。 

 次に、日中一時支援事業についてです。 現状を教えてください。今、市内には何カ所あり、利用している障害者は何人いらっしゃいますか。 

 ○大平一也社会福祉課長

 お答えいたします。 市内の事業者数は、10月末現在ですが、7事業所となっておりまして、利用人数は50名となっております。 

 ○野村淳一議員

 単価の引き上げについては検討するという話でした。自己負担が出る可能性があるのです。ただ、皆さんもよく知っているはずですが、障害者の皆さんはほとんど出ませんよ。場合によっては親がいる障害児については可能性があるかもしれません。

 しかし、実際は、事業所では日中一次支援事業に関してはどこも赤字ですよ。ほかの事業からお金を補塡してやりくりをしているのです。

 紋別市の事業が赤字になっている現状があるので、これはしっかりと見直さなければならないと思います。 そういう方向性ということでよろしいでしょうか。 

 ○大平一也社会福祉課長

 お答えいたします。議員のおっしゃられることは十分に把握してございますが、それも含めまして、答弁もいたしましたが、近隣市町村の報酬単価等を調べるとともに、利用者の負担増についての見直しの必要性も含め、検討してまいりたいと考えております。 

 ○野村淳一議員

 早急に、そして、ぜひ前向きにやっていただきたいと思います。事業所では約50人の障害者、障害児の活用があるのです。それなのに事業所の不利益になるようなことがあってはならないので、よろしくお願いします。 

 次に、ひきこもりについてお聞きします。以前、市長は、委員会の設置や現状把握、さらには、専門的、包括的にやる取り組みだということを答弁していましたが、その方向性でやることは間違いないのですか、 確認させてください。 

 ○大平一也社会福祉課長

 お答えいたします。答弁いたしました委員会の設置や窓口の明確化等につきましては、専門機関であります北海道ひきこもり成年相談センターと協議し、助言等をいただきながら、来年度の実施という方向で進めております。 

 ○野村淳一議員

 ひきこもりの問題はなかなか表面に出てきませんが、極めて大きな問題だと私は思っています。ワンストップ相談窓口をぜひつくっていただきたいと思います。 

高齢者に安心と生きがいを~2020年第4回定例市議会一般質問②

 〇野村淳一議員

 次に、介護保険と高齢者福祉について質問します。 

【第8期介護保険事業計画と介護保険料の見通し】 

 現在、第8期の介護保険事業計画の策定作業が続いていると思います。そこでまず、今回の介護保険事業計画のポイント、基本的指針についてお聞きするとともに、主な新規の事業予定についてもお聞きします。

 その上で、来年度からの介護保険料の動向と見通し及び値上げの抑制に向けた対策についてはどのようにお考えか、お尋ねします。 

 また、現第7期計画では、小規模多機能型居宅介護の整備が挙げられておりました。第7期計画は今年度で終了するわけですが、どのような整備状況となっているのか、お聞きします。 

【医療と見守り体制の充実で、誰もが安心の認知症対策を】

 介護計画の基本指針の中でも重要な柱の一つに認知症施策の推進があります。まず、現在、市内において認知症の高齢者はどの程度存在し、今後どの程度増加すると考えているのか、お尋ねします。 

 認知症の対策では、共生と予防が重要な取り組みとなってきます。たとえ認知症になっても地域の中で安心して暮らせる体制づくりが求められているのです。

 その一つ に認知症患者の早期診断早期対応に取り組む認知症初期集中支援チームの活動があります。まず、その活動内容と実績についてお知らせください。 

 さらに、認知症高齢者が徘回し、行方不明などになった場合の対応と対策も重要です。そのため、いわゆるSOSネットワークなど、関係機関や市民と連携した見守りと捜索の仕組みが必要となっていると考えます。紋別の場合、どのような状況で、どのような仕組みとなっているのか、お尋ねします。

 認知症のお年寄りが徘回などによりトラブルや事故を起こしてしまう場合も少なくありません。時には大きな損害を与え、家族の賠償が問題になることもあります。

 そういう場合に備え、自治体が個人賠償責任保険に加入し、損害を救済する制度が広がっています。全国では50を超える市町村で、北海道では北広島市などで導入され、本人や家族を街全体で支える取り組みとして注目され、喜ばれています。

 認知症の高齢者が住みなれたまちで安心して暮らしていける共生のまちづくりを進める上でもぜひ実施に向けた検討をすべきと考えますが、いかがでしょうか。 

【交通弱者対策と補聴器購入助成の実現をーニーズ調査の結果から】

 今回の介護保険事業計画の策定に当たって、高齢者の生活実態調査やニーズ調査が行われたと思います。そこに示されたアンケートの数字や高齢者の切実な言葉をいかに計画に反映させるかが重要であり、そうしなければならないと思います。

 私もこれら調査結果を拝見させていただきました。在宅で介護認定を受けていない高齢者の方々の要望の中で最も多かったのが足の問題です。いわゆる、交通弱者の課題です。 

 高齢者の声の一部ですが、「足腰が悪いので、ハイヤー券を出してほしい」「バス券よりハイヤー券にしてほしい」「バスは乗るのに遠い、年金生活でタクシーばかり乗ると大変」などです。

 紋別市のタクシー助成券は、要介護認定者が条件のため、これらの方々には適用されません。

 これからの介護予防の観点から言えば、これらの声は極めて重要な指摘であり、具体的な施策が求められていると考えているものです。そして、これらの声を無視すべきではありません。 

 これら交通弱者と言われる高齢者の声に対して、紋別市はどのような見解と対策をお持ちなのか、お尋ねするものです。 

 また、その要望の中に、「グループ活動はしてみたいが、耳が聞こえないので足が向かない」という声がありました。

 私は、議会の場で加齢性難聴者への補聴器購入助成を求めた経緯がありますが、その際、アンケート調査を活用し、ニーズや実態の把握に努め、今後研究したいとの答弁でした。 

 さらに、今回のアンケートでは、7%の高齢者が耳の聞こえの障害で外出を控えているという結果も出ています。この数字は決して少なくありません。

 これもまた介護予防の観点からも重要な視点であり、無視できない現状です。 これらを受け、補聴器購入の助成に向けた取り組みについて、どのように判断されているのか、お尋ねするものです。

【あってはならない、財政的インセンティブによる介護抑制】

 2017年に介護保険法が改正、いわゆる地域包括ケアシステム強化法が制定されました。

 ここでは、市町村が保険者機能を発揮して自立支援、重度化防止に取り組むこととされ、介護保険計画にその取り組み内容と目標を記載し、達成状況を公表することが義務づけされました。

 それと同時に、国がその達成度を評価、点数化し、それに応じて保険者機能強化推進交付金を支給する仕組みが持ち込まれました。

 これは、介護からの自立、言いかえれば、介護保険からの卒業を出せば出すほど国からの交付金が多く支給されるという仕組みです。これは、結果として、要介護認定者数を抑制し、サービス利用を抑え、介護給付費を減らすことに市町村を誘導することになりかねず、そこにこそ国の狙いがあると考えるものです。 

 そこで、昨年度の国による評価の内容と保険者機能強化推進交付金の交付額を聞くとともに、今年度の見通しについてもお尋ねします。 

 また、第8期介護保険事業計画に記載する自立支援、重度化防止に向けた取り組み内容と目標についてお聞きするとともに、保険者機能強化推進交付金をどの程度見込んでいるのかもお尋ねします。 

 いずれにしても、高齢者の介護予防と重度化防止は重要な課題であることは間違いありません。しかし、その取り組みは、その人の状況と能力に応じてきめ細かに対応、支援するべきものです。

 交付金というあめをぶら下げ、介護抑制につなげようとするこれら国の財政的インセンティブに対する紋別市の見解をお尋ねするものです。 


〇宮川良一市長

 次に、介護保険と高齢者福祉についてであります。 

 1点目の第8期介護保険事業計画に関し、今回の改正ポイント、基本的指針と主な新規事業予定についてですが、国の基本指針といたしましては、団塊の世代が75歳になる2025年、団塊ジュニアが65歳になる2040年を見据えた基盤整備や地域共生社会の実現などが挙げられますが、中でも、介護離職を防ぐためには、特別養護老人ホームや有料老人ホームなど、高齢者の住まいの確保が重要視されており、本市といたしましても、計画改正のポイントとして、地域密着型特別養護老人ホームの新設を予定しております。 

 介護保険料の動向と見通し、値上げ抑制に向けた対策につきましては、今後の要介護認定者の増加も見据え、介護保険料の上昇は避けられないと考えており、基金を活用した保険料の抑制を図ってまいりたいと考えております。

 第7期計画における小規模多機能の整備状況につきましては、コロナ禍の影響もあり、当初の予定よりおくれておりますが、令和3年度中の開設を見込んでおります。 

 2点目の認知症対策に関し、現在の市内の認知症高齢者数と今後の増加の見通しについてですが、認知症で日常生活に何らかの支障があるとされる要介護認定者は、第8期計画では、今後3年間は850名程度で推移すると見込んでおりますが、認定を受けていない軽度の認知症の方や長期入院の方の人数は把握できない状況であります。 

 認知症初期集中支援チームの活動内容と実績につきましては、専門の研修を受けた認知症サポート医と地域包括支援センター職員が在宅で40歳以上の方が認知症と思われる行動、心理症状で、生活に支障があるとされる方について、早期対応、早期診断により医療機関への安定的な受診や介護のサービス利用につなげ、本人や家族の負担を改善する役割を担っており、本年度の実績として支援対象件数は12件となっております。

 見守りと捜索の仕組みと状況につきましては、認知症高齢者の徘回など、行方不明になった場合は、高齢者、障害者、児童も含め、警察に家族等から捜索願が出された際に市が実施するメール配信を活用した行方不明者の情報の発信を希望されたときは24時間体制で受け付ける体制をとっております。

 このほか、地域包括支援センターでは、介護サービス事業所などの利用者または家族が見守り登録を希望した場合に、事業所間で情報を共有し、捜索をする見守りネットワーク事業を実施しております。

 市が個人賠償責任保険に加入し、損害を救済する仕組みを検討すべきと考えることにつきましては、認知症高齢者の個人賠償責任保険は、JR東海の認知症高齢者事故など、高額な賠償を請求されるケースは考えられますが、本市では、踏切事故などの多大な損害賠償が発生する可能性は低く、実施は考えておりません。

 3点目の高齢者ニーズに応えた交通弱者対策と補聴器購入助成についてでありますが、バス助成事業とタクシー料金助成事業の両事業を実施している自治体が少ない中、本市のタクシー料金助成事業は、介護度の要介護1以上と、対象範囲も広く、介護タクシーの利用も含めるなど、利用者に配慮した内容となっておりますことでご理解願います。

 補聴器購入助成につきましては、機種の選定で良好な聞こえが得られない事例もあり、医師と専門業者につながる障害福祉サービスへの相談を促すべきものと考えますので、高齢者を対象とした補聴器の購入助成は考えておりません。

 4点目の保険者機能強化推進交付金に関し、昨年度の評価の内容と交付額についてですが、主な評価内容としては、地域包括支援センターの人員体制、事例検討の件数、認知症総合支援として、地域ケア会議の開催状況、初期集中支援チームの設置状況、生活支援体制整備の地域資源のネットワークの構築などがあり、昨年度の交付額は414万8,000円となっており、今年度はこれに保険者努力支援交付金が加わり、800万円程度を見込んでおります。 

 第8期計画に記載する自立支援、重度化防止に向けた取り組み内容と目標につきましては、高齢者が引き続き住みなれた地域で暮らせるよう、地域密着型サービスの拡充に向け、参入事業者と計画の趣旨や目標を十分に共有した中で新規開設を目指します。 

 また、重度化防止に向け、地域支援事業の取り組みや医療保険との連動、ケアマネジャー連絡協議会を通して基本方針の共有を引き続き図ってまいります。 

 第8期計画で交付額をどの程度見込んでいるかについてですが、今年度と同程度の約800万円を見込んでおります。 

 国の財政的インセンティブに対する市の見解に関し、保険者機能強化推進交付金と保険者努力支援交付金については、保険者と医療機関、介護事業者、地域住民が密接な連携のもと、介護予防や重度化防止はもとより、住みなれた地域で適切な介護サー ビスを受け、暮らしていける取り組みを評価されるものと考えており、介護保険利用者の抑制につながるといった認識はありません。 


【 再質問 】

〇野村淳一議員

 次に、介護保険についてです。 

 介護保険の保険料の値上げの問題です。やむを得ないという話でしたが、答弁で介護給付費準備基金の活用のことが言われました。今、どの程度の金額を繰り入れるお考えですか、そして、それは1人当たりどのぐらいの効果があると計算されていますか。 

 ○飯田欣也介護保険課長

 基金の繰り入れについてですが、現在、まだ1億6,000万円がありまして、これをどう崩すかという計算には至っておりません。ただ、今想定している中では、第7期は5段階で4,650円ですが、プラス300円から500円ぐらいになるような予定でございます。 

 ○野村淳一議員

 準備基金が1億6,000万円ということでした。しかし、これは被保険者の方々が支払ったものですから、100%還元をして、抑制のために使うべきだと考えますが、この問題についてはまた改めて具体的な数値が出てきたときに議論をしたいと思います。 

 次に、認知症の問題です。私は、賠償責任保険の問題を取り上げました。これは、徘回したお年寄りがJR事故を起こし、多額の賠償ということが問題になったことがきっかけですが、これだけではないのです。

 例えば、店のものを壊した、人の物を壊した、あるいは、ぶつかってけがをさせたということもあって、本当にいつでもどこでも起こり得る話なのです。 

 SOSネットワークに登録した段階で加入できるというものです。1人当たりの保険料は年間で数千円です。

 でも、それで地域で安心できますし、本人もそのご家族もです。非常にいい制度だなと思っているのですが、もう一度ご答弁をいただけますか。 

 ○飯田欣也介護保険課長

 お答えいたします。 損害保険に加入している方の保険料は数千円程度ですけれども、個人賠償や損害保険に入っている方ですと特約等の追加で入れるようなものもありますので、これにつきましては市のほうでというような考えは今のところございません。 

 ○野村淳一議員

 これについては改めてお願いすることになろうかと思います。 


2021年5月6日木曜日

コロナ対策にPCR検査と雇用・経済対策の強化を~2020年第4回定例市議会一般質問①

 ○野村淳一議員

 最初に、新型コロナウイルスへの対応と対策について質問いたします。

 新型コロナウイルスの感染拡大がとまりません。全国で新規感染者が連日2,000人を大きく超え、重症者数も過去最大となっています。第3波と言われる危機的な状況の中、菅政権の無為無策、後手後手とも言える対応に国民から怒りと不安の声が上がっています。

 北海道も危険な事態となり、医療崩壊の危機が迫っています。それは、この紋別市も人ごとではありません。 

 新型コロナウイルスの感染拡大を抑え、市民の命と暮らしを守り、医療を確保維持するために何が必要か、以下、数点にわたり質問します。

【感染拡大「第3波」ー医療体制の充実・確保を】

 このオホーツク管内でも11月だけで新規感染者は30人を超えています。そのほとんどがオホーツク総合振興局管内とだけの発表で、情報がなく、いたずらに不安が高まる現状でもあります。

 現在、管内では、どのような医療体制のもと、どのような状況になっているのか、 感染者への対応をどうされているのか、また、療養用のホテルなどの対策はどうなっているのか、そして、紋別ではどのような状況なのか、知り得る範囲、話せる範囲で結構ですので、現状をお尋ねするものです。 また、このような状況に対する紋別市としての認識をお伺いします。 

 この11月から発熱などの症状があった場合の相談、受診の流れが変更になりました。

 これまでの保健所での受診相談が、まずはかかりつけ医に電話で相談するか、かかりつけ医がいない場合は北海道の健康相談センターに相談することになります。その上で、必要によっては指定医療機関でPCR検査を受けることになります。 

 そこで、紋別市の場合、どのような対応となるのかをお聞きしたいのです。市民に混乱なく、不安なく対応が行き届くようにするためにも、かかりつけ医と広域紋別病院、紋別市、保健所などとの連携と共通した認識が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

【PCR検査を広く―高齢者など希望者に無料で】 

 現在もなお全国的に医療機関と高齢者施設でのクラスターの発生が次々に報道され、 胸が痛みます。リスクが高いこれらの施設での発生は何としても抑えなければなりません。

 9月15日、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の流行下における一定の高齢者等への検査助成事業の実施と題した通知を出しました。

 リスクの高い高齢者の重症化を防ぐために、無症状であってもPCR検査を受けることができ、費用の一部を国が負担するというものです。

 既に、稚内市では、市も助成する制度をつくり、高齢者や基礎疾患を持っている方などへの検査を開始しています。 

 また、11月19日には、厚生労働省は高齢者施設等への重点的な検査の徹底についてという事務連絡を出し、入所者で発熱などの症状が出た場合、必ず検査を実施し、陽性が判明した場合には入所者、従事者の全員に検査を実施するよう求めています。 

 言うまでもなく、広く面で徹底した検査を強めなければ市中感染はおさまらず、クラスターの発生は抑止できません。

 その意味で、これらの国の措置は十分とは言えないまでも、紋別市としても検討し、対応する必要があるのではないでしょうか、いかがお考えか、お聞かせください。 

 冬に向け、インフルエンザの流行が懸念されています。幸いにも現在は流行が抑えられているようですが、それでも予防は大切です。

 しかし、そのインフルエンザワクチンが不足しており、予防接種ができない状態だと言われています。これはどういうことなのか、この事態への対策と見通しについてお聞きします。 

【コロナ禍の中「先が見えない」ー暮らしと経済対策に万全を】

  新型コロナウイルスによる雇用と経済へのダメージは、年末に向けてますます厳しさを増し、それらへの対策が待ったなしの状況です。

 GoToにしか策のない政府には期待薄ですが、それでも、国に対し、持続化給付金第2弾の実施や地方創生臨時交付金の増額など、支援の強化を強く求めるべきと考えますが、いかがお考えか、お聞かせください。

 紋別市としても、事業者の経営状況、雇用の実態をよく調査し、特に低所得者層の生活状況を把握しながら機敏に、機動的に必要に応じた対策を講ずるとともに、改めて各支援策や制度の周知に努めるよう求めるものですが、いかがでしょうか。 

 師走を迎え、それでなくても不安定な心の中、少しでも光が見えるように紋別市としての取り組みを期待するものです。 


○宮川良一市長

 新型コロナウイルスへの対応と対策についてであります。 

 1点目の感染拡大の現状についてでありますが、オホーツク管内においては、新規感染者の増加が心配されるところではあるものの、入院加療中の患者は減少しており、 管内4カ所の基幹病院において、入院患者の受け入れ調整を行い、冷静に対応されているとお聞きしております。

 次に、宿泊療養施設の開設につきましては、さきに喜多議員、橘議員のご質問にお答えしたことでご理解願います。 

 現状に対する本市の認識といたしましては、今のところ、市民の感染者は発生しておらず、医療機関においても冷静に対応できていると認識しておりますが、市外からの人の行き来がある以上、いつ感染者が出てもおかしくない状況であり、引き続き感染拡大防止に向けた基本的な予防対策の徹底など、市民への情報提供に努めてまいります。 

 2点目の新しい相談、受診、検査の流れにつきましては、さきに喜多議員のご質問にお答えしたことでご理解願います。 

 なお、市内医療機関、保健所及び市においては、保健医療対策会議を随時開催し、情報共有や相互連携に努めているところであります。 

 3点目の高齢者等へのPCR検査の拡大についてでありますが、無症状であっても PCR検査を受けることができるよう、国と市町村が費用負担する新しい事業が開始されました。

 この地域では、PCR検査を実施する医療機関は広域紋別病院のみであるため、発熱等の症状がある者と濃厚接触者がPCR検査を優先して受けられることが重要でありますが、感染拡大の状況から市民がPCR検査を受ける体制につきましては検討が必要と考えております。

 4点目のインフルエンザ予防接種についてでありますが、今季より乳児から小学6年生までの費用助成を開始したことなどからワクチン接種の希望者がふえており、11月中旬ごろでワクチンの在庫は全ての市内医療機関で不足し、今季はこれからワクチンを接種することは難しい状況であります。そのため、今後、一層の感染症対策に努めていただくよう周知してまいります。 

 5点目の雇用・経済対策についてでありますが、議員も懸念されているとおり、年末年始に向けてさまざまな消費需要の回復が期待されていた中、再び全国的な感染拡大の傾向となり、その影響が大変危惧されるところであります。 

 本市は、これまで、市内におけるその時々の状況を見きわめ、必要と考えられる対策を独自で講じてまいりましたが、本来は当然に国において適切かつ十分な支援を講ずるべきと認識しております。 

 国に対しての要請につきましては、直近で申し上げますと、先月中旬に実施いたしました北海道市長会における秋季要請の中で新型コロナウイルス感染症対策についてを個別の項目として取り上げ、各事業者に対するさらなる支援の拡充や自治体が実施する緊急対策への財政措置などについて強く要望してきたところであります。

 これらを受け、国においては、コロナ対策を中心とした第3次補正予算案により、 地方創生臨時交付金の増額等、追加の経済対策が実施される見通しとなったところでありますが、本市といたしましても、市民の日常生活や所得への影響、各事業所における雇用状況などの的確な把握に努め、これまで同様、必要に応じた対策について検討するとともに、対象者に支援が漏れることのないよう、制度や支援内容についてわかりやすい周知に努めてまいります。 

《喜多議員への答弁》

○宮川良一市長

 新型コロナウイルス感染症に対する対応についてであります。 1点目の遠紋管内の医療体制に関し、紋別保健所主催の第2回遠紋圏域新型コロナ ウイルス感染症対策連絡調整会議で示された4カ所の電話相談医療機関名と2カ所の診療検査医療機関名及びその機能についてですが、電話相談医療機関は、広域紋別病院、遠軽厚生病院、まるせっぷ厚生クリニック及び丸瀬布ひらやま医院の4カ所が指定を受け、発熱者等から相談があった際に、適切な医療機関を速やかに案内し、感染対策や受診に当たっての指導を行うことと定められております。 

 診療検査医療機関は、この管内では医療機関名の公表はされておりませんが、電話相談医療機関などからの発熱者等の受け入れ要請に応じて速やかに診療と検査を実施し、新型コロナウイルス感染症であった場合には直ちに保健所へ連絡するとともに、必要な協力を行うこととなっております。 

 オホーツク圏域のコロナ患者の入院病床数につきましては、10月末現在では33床で、 重症者の受け入れ数は最大3床と公表されております。

 検査で陽性となった無症状者のための宿泊療養施設につきましては、現在開会中の北海道議会第4回定例会において、知事は道内各圏域にそれぞれ宿泊療養施設を開設する旨を表明され、今月3日、オホーツク総合振興局長より、現在、開設に向けた具体的な調整を行っているとの説明を受けたところであり、北海道において早急に開設されるものと考えております。 

 2点目のPCR検査とその後の対応についてでありますが、発熱や体調の変化を感 じたときの行動につきましては、今後は、紋別保健所ではなく、かかりつけ医や身近な医療機関、休日夜間急病センターに症状等を電話で事前に相談し、指示された医療機関へ受診をしてもらうという流れに変更となりました。 

 また、相談先がわからない場合は、24時間対応の北海道新型コロナウイルス感染症健康相談センターが相談窓口となり、電話相談医療機関の指定を受けている身近な医療機関等を紹介する流れとなっております。 

 西紋管内でのコロナ検査ができる病院が幾つあるかにつきましては、広域紋別病院の1カ所となります。検査ができる1日平均人数についてですが、広域紋別病院では、これまで、採取した検体を民間検査機関へ送り、翌日以降に確定診断の報告を受けておりましたが、検査体制の拡充として、PCR検査のための機器として2機種を新たに導入したことにより、最短2時間での確定診断が可能となりました。 

 検査装置は、一度に4検体が測定可能な機種と1検体のみの2機種で、時間帯や検体件数に応じて運用し、緊急を要するケースは自院での診断、緊急を要しないケース には民間検査機関で対応を行っているところであります。

 広域紋別病院でのPCR検査と抗原検査の1日平均検査人数につきましては、PCR検査で2人、抗原検査で4人程度とのことでありますが、件数につきましては増加傾向と伺っております。

 PCR検査を希望する場合の検査を受ける方法と費用についてですが、広域紋別病院は西紋管内唯一の感染症指定病院で、新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査対応を行っており、患者対応を優先していることから、原則として無症状の方でPCR検査のみを希望する方への対応までは行っておりません。 

 しかしながら、当地域は、漁業・農業・林業関係で多くの外国人技能実習生が来ており、これら実習生が帰国する際には、それぞれの相手国政府からPCR検査陰性証明書の発給医療機関として指定を受けて証明する必要があることから、広域紋別病院では、経済産業省へ医療機関登録申請を行い、同省及び厚生労働省の審査を経て新型コロナウイルス検査証明機関として登録されたことに伴い、証明対応は可能となっております。 

 その他、業務上で検査証明が必要な方や何らかの事情等により陰性確認が必要な方 などにつきましても病院にて相談に応じているとお伺いしております。

 PCR検査に係る費用につきましては、基本、検査料及び証明書発行費用を含め、税込み3万6,850円でありますが、海外渡航の場合は、国により、別途、追加検査費用がかかる場合もあります。


【 再質問 】

○野村淳一議員

 コロナ対策についてです。 これは、きのう、そして本日も議論がされましたので、大筋については私も理解い たしました。

 紋別市は何とか踏ん張っているのかなと思います。 感染者を出さない、そして、リスクを極力抑えながらクラスターを出さないよう、 皆さんは必死になってやっているのだろうというふうに思います。それに敬意を表したいと思います。

 その上で、私はPCR検査をもっと広範に積極的に広げていくことが必要ではない のかなとずっと思っています。質問でも取り上げましたが、国は、65歳以上の方、それから慢性疾患の方が無症状でもPCR検査を受けようとしたときに助成し、市もそれに上乗せするとしております。 

 さらに、高齢者施設に対しては、無症状であっても、入所者や従業員の皆さんがPCR検査を受けるというのであれば、自費だったとしても国の補助事業に加えることができるという通達も出しています。 

 私は、稚内市について調べてみました。65歳以上、それから慢性疾患の方だけではなく、皆さん方もそうでしょうが、東京や札幌から出張で帰ってくるとき、不安なのです。そうした場合、国や市の助成でPCR検査を受けることができるとのことです。 

 それから、札幌や東京に子供たちが行っています。例えば、大学生や高校生が帰省するということがあるかと思いますが、このときも助成を受けてPCR検査を受けられるという制度が稚内市にはあるのです。

 こういう取り組みが紋別市にも必要ではないのかなという気がします。これは、稚内市立病院が対応しています。一部、自己負担もかかるのですが、それでも道や国や市が助成をしているわけです。

 こうやって市民に安心を与えるとともに、何としても感染者を出さない、クラスターを出さないよう、水際の取り組みが行われています。

 市としても、負担を市民にかぶせないこういうような取り組みを行うことについて検討すべきだと私は思いますが、これについてはいかがですか。 

 ○大平朱美健康推進課長

 お答えいたします。 稚内市の検査の方法等について私どもでも調べてみました。まず、どのような状況であればたくさんの方の検査ができるのか、広域病院等のPCR検査の実施体制について情報交換をしておりまして、稚内市では、帰省する前、例えば東京で検査をした 後、地元に帰ってくるお子さんについて助成をしているとのことです。

 私どもとしては、PCR検査を本当にやらなければいけない方を優先してできるか、検査件数など、それらについて広域病院ともよく相談しながら今後検討していくことが必要と考えておりますので、研究させていただきたいと思います。 

 ○野村淳一議員

 もちろん、検査体制の問題がありますから、急にというわけには いかないかもしれませんが、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。

 次に、インフルエンザワクチンの見通しについてです。 今は無理だという話はわかったのですけれども、見通しはあるのですか。 

○大平朱美健康推進課長

 お答えいたします。インフルエンザワクチンに関しては、当初からたくさんのワクチンを確保できるという予測はされておりませんでした。というのも、インフルエンザワクチン自体、前年度の接種状況をベースに卸業者がそれぞれの市町村に配付するということになって おりましたけれども、11月の中ぐらいにワクチンが足りないと各医療機関の方はおっしゃっておりました。 

 ワクチン接種に関しては医療機関の方から情報をもらうなど、随時、情報交換をしておりますが、難しい状況です。ですから、ワクチン接種は難しいと思っております。 

 お子さんの2回目の接種分のワクチンは広域病院でよけておき、在庫はまだ少しあるとはお聞きしておりますが、新たな方の接種はない状況です。 

 ○野村淳一議員

 それはやむを得ない話なのでしょうか。何か余りよくわかりませんね。どうなっているのかなと思いもあります。ただ、これは新型コロナウイルスと同じように、うがい、手洗い、マスクの着用を励行する以外にないということなのでしょうね。わかりましたと言っていいのかどうかはわかりませんが、そういう状況だということはわかりました。

 雇用対策についてです。よくわかりませんが、追加補正が出るという話でしたので、期待したいというふうに思います。

 これは雇用の問題ですから、もちろん、企業などに対して十分な施策が必要ですが、もう一方、消費者や生活者に対する直接支援がどうしても必要だろうとも思います。 

 先ほど梶川議員から乳幼児への支援の質問があり、よかったなと私も思っていますが、ひとり親に対して新たな給付金制度ができるという情報がありまして、それについて確かめたいと思います。 

 もう一つ、社会福祉協議会が行っている緊急小口資金についてです。12月31日で終了というふうに言われていましたが、これを延長するという情報がちらちらと聞こえてくるので、何かの情報があったら教えてください。 

○北西忠宏児童家庭課長

 お答えいたします。 ひとり親世帯への給付金につきましてはまだ確定ではございませんが、今週中に国で閣議決定されまして、年度内での支給を検討するということになってございます。 

 ○大平一也社会福祉課長

 お答えいたします。 社会福祉協議会で行っております緊急小口資金、総合支援資金についてですが、12月 末までに延長になっております。ただ、現在、再延長について検討しているとお聞きしております。 

 ○野村淳一議員

 どちらにしても、年の瀬をどうするかという方々にとってはとても貴重なものだと思いますので、ぜひ周知をお願いしておきたいと思います。


新庁舎建設に市民の声を~2020年第3回定例市議会一般質問④

 

紋別市役所

〇野村淳一議員

 最後に、新庁舎建設事業についてお聞きします。

 宮川市長は、8月21日の記者会見で新庁舎建設の方針を明らかにしました。しかも、その内容は、ことし中に基本構想、基本計画を策定し、来年3月までに基本設計、実施設計の契約にこぎつけるというものです。

 財政的な問題はあるとしても、それらを残り半年の中で進めるというのはいささか乱暴とも言える内容ではないでしょうか。 

 市役所は、単に行政機関の事務所ではありません。防災拠点となることは言うまでもなく、誰にでも優しく、親しみやすく、使い勝手がよく、市民の交流の拠点、情報発信、まちづくりの拠点ともなるものです。

 40年後、50年後を見据え、情報セキュリ ティーなど、ICTの活用、環境に配慮したSDGsの推進、さらには、庁外部局との統合、交通の便や安全対策、建設場所の選定、そして、紋別の顔としてのあり方など、検討課題は山ほどあります。

 そして、どの課題も、市民の声や要望、意見が十分に反映されてこそ成立するものです。

 だからこそ、多くのまちで、基本構想の段階から、1年以上市民による検討を重ねているのです。

 どういう市役所をつくるか、その検討協議こそ、市民本位のまちづくりにつながる作業だからです。それを絶対にないがしろにしてはなりません。

 今後、市民による検討委員会などの設置、市民アンケートの実施、市民説明会の開催、各団体との協議、パブリックコメントの実施などはどのように考えているのか、お聞きします。 

 基本構想について、その素案が示され、パブリックコメントの募集が始まりましたが、この基本構想は、誰が、どこで策定したものかをお聞かせください。 

 基本構想、基本計画は、文字どおり、どのような庁舎にするか、その建設コンセプトと方針、さらに、具体的方向性を示すかなめとなるものです。

 次の基本設計はそれに基づいて作成されます。

 それだけに、そこにこそ市民の声が十分に反映されなけれ ばならないと考えますが、この基本構想に市民の意見はどのように反映されているのか、お聞きいたします。 


〇宮川良一市長

 次に、新庁舎建設事業についてでありますが、さきに石田議員のご質問にお答えしたことでご理解を願います。 


《石田議員への答弁》

〇宮川良一市長

 初めに、市庁舎建てかえについてであります。 1点目の市民との議論を経ないで建てかえを決断した背景についてでありますが、 市庁舎建てかえにつきましては、懸案事項でありました広域紋別病院の医師の確保、 また、赤字に対し、一定程度の支援は必要ではありますが、安定した病院経営のめども立ったこと、及び、本市へのふるさと納税が好調であり、庁舎建てかえに必要な一 般財源も確保できる見通しとなったことから、さきの第1回定例会におきまして、十分な事業期間を設けた建てかえの意思表示を行ったところであります。 

 本年度当初から、庁舎建設担当部署において庁舎建設検討委員会を設置し、基本構想策定に市民の方の意見等を盛り込む予定でありましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、市民検討委員会の設置ができないまま基本構想の策定を進めておりました。

 そのような中、庁舎建てかえへの有利な財政措置が受けられる市町村役場機能緊急保全事業の期間延長を国に要請したところ、国からは、本年度中に基本・実施設計として一括契約ができれば事業採択は可能であるとの提案をいただきました。

 この提案を受け、庁内で検討を行ったところ、スケジュール的に非常に厳しいとの意見がありましたが、将来、12億円以上の市民負担軽減が見込まれることから、庁舎建てかえの動きを加速させたところであります。

 本来、建設場所は、市民検討委員会設置後、何案かを提案した後に意見をいただき、市議会の議論を経て選定すべきと考えますが、早急に場所を決定し、基本構想、基本計画を策定しなければ、来年3月までに基本・実施設計の契約に間に合わないことから、現在の庁舎敷地は、地盤が岩盤で強固であること、海抜や地形から津波や水害が想定されないこと、現在地以外の中心市街地で必要な面積の用地確保には多額の費用と期間を要することなどの理由から、建設場所を現庁舎裏手の職員駐車場と想定し、新庁舎建てかえを決断したところであります。 

 2点目の市民との意見交換等の時期についてでありますが、建設場所以外につきましては、基本設計の策定に際し、利便性や機能性について、市民検討委員会などの意見を十分に反映できる期間を考慮しておりますので、今月中に基本構想に対するパブ リックコメントを実施し、市民検討委員会の設置を考えております。 

 来年1月ごろには、市民説明会や関係団体との意見交換等を予定するとともに、市民アンケートの時期は未定でありますが、基本設計へ市民の声を反映できるよう準備を進めてまいります。 

 3点目の今後の新庁舎整備スケジュールについてでありますが、今月、基本構想を策定し、基本計画の策定を9月から12月の期間で行い、令和3年3月に基本・実施設計事業者を決定して契約、債務負担行為に基づき、基本・実施設計を令和3年度から4年度で実施し、令和5年4月に建設工事着手、令和6年12月に竣工、令和7年3月に庁舎移転、同年4月から現庁舎の解体工事や外構・駐車場工事を予定しております。 


【 再質問 】

〇野村淳一議員

 最後に、新しい庁舎の建設の問題です。 

 もう一回、確認させてください。今度、基本計画をつくるのですよね。その基本計画をつくるには、市民による検討委員会みたいなものを設置し、その中でもんでいくと思っていいですか。 

 ○小林昌史新庁舎建設準備室参事

 お答えいたします。 委員のおっしゃるとおり、市民検討委員会を設置し、そこでの意見も基本計画には反映していく考えであります。 

 ○野村淳一議員

 どちらにしても、時間的には相当ハードな、タイトなものになるなという印象を受けます。 

 私は、以前、市長がこの問題について議会で述べていたように、ことしは基本構想を練り、来年3月から基本計画を1年ぐらいかけてつくっていくのだという話について、そのとおりだと思ったのです。

 そうやって市民と一緒に市役所をつくっていく、 それが当然の流れだろうなと思っていて、市長もそう思われたと思うのです。

 それがこの7月の末になって、急にこうしたスケジュールでこうなって、基本構想がもう半分でき上がっているわけです。これで本当に市民と一緒につくっていけるのだろうかという懸念を持ったのです。

 市民の声を反映させることができるのか、市民との協働という事業が軽んじられるのではないのかという懸念があるのですが、改めて、市民との関係を担保できるのかどうかも含めて、お話をいただきたいと思います。 

 ○牧野昌教新庁舎建設準備室長

 お答えいたします。 3月議会でお示ししたスケジュールを半年ほど早めたという大きな理由には、やはり財源の問題がございます。

 市町村役場機能緊急保全事業という国の事業は、令和2年度に実施設計に着手する ことという決めがございまして、実施設計の前には、議員のおっしゃるとおり、基本計画、基本設計を終わらせなければならないということがあります。

 しかし、とても急ぎ仕事でできるようなものではなかったものですから、市長からスケジュールをお示ししたところでございます。

 しかし、石田議員への答弁でも申し上げましたが、国に期限延長をお願いしたところ、基本設計と実施設計を同時に契約しても事業として認めますよというアドバイスをいただきまして、そこで庁内で検討したところ、何とか間に合うのではないかというような結論に至りました。

 このように国の事業に乗ることによって、仮に50億円の新庁舎建設費用がかかるといたしますと、12億円以上の財源が国から支援されることになり、非常に大きな財源となります。

 この先、25年にわたって庁舎の建設費用を借金し、返還していくことになるわけですが、後年度の世代に対して責任を示さなければならないということで決断させていただいたところでございます。 

 これにより非常に短い時間の中で基本計画を立てなければならないという制約がございますが、最低限の基本計画とし、具体的な間取りなどについては送って、基本計画を作成する中で市民の意見は取り入れられるというような判断をしているところで ございます。 

 ○野村淳一議員

 今、基本構想についてパブリックコメントをされていますよね。 

 でも、その基本構想は市役所の皆さん方がつくったものです。ですから、市民の声は基本的に反映されていないのです。それを基本構想と言っていいのかどうなのか、非常に疑問です。 

 例えば、今、いろいろなまちでいろいろな取り組みをやっています。士別市あるい は深川市では、皆さん方がつくったような、それを皆さん方は基本構想と言っていますが、それを検討課題、問題提起、整理事項という形でまとめ、市民検討委員会にたたき台として出しており、そして、検討委員会の中で、基本構想と基本計画を一体のものとしてつくっていまして、このようにして市民の声を反映させているのです。

 でも、その基本構想を市役所がつくっているのです。出発点がこれでいいのかなという疑問をどうしても持つのです。 

 今私が言ったように、市民による検討委員会にたたき台として出して、基本構想と基本計画を一体のものとしてつくっていく、そうやって市民と一緒につくっていくのだという流れのほうが妥当だと思いますが、いかがですか。 

 ○牧野昌教新庁舎建設準備室長

 何度も申し上げますが、そうしたことについても、 当然、庁内の中で十分に検討いたしましたが、12億円以上の財源の確保を優先させていただきました。

 議員のおっしゃるようなスケジュールで作業を進めますと、3月までに実施設計、基本設計の契約には到底間に合わないことから判断させていただいたところでございます。 

 ○宮川良一市長

 野村議員のご心配、考え方は十分に理解をしております。 

 庁内でもやれるかやれないかの議論は非常になされました。

 最終的にやる方向で私も決断をさせていただいたわけでありますけれども、これから市民検討会議や議会の皆さんによる特別委員会等を設置させていただいて、大変短い時間ではありますけれども、集中的な審議をして、いいものをつくり上げたいと思っております。

 今回、こういう決断をさせていただきましたので、今後、どうかご協力をいただいて、後世に恥じないといいますか、立派なものを残せたと言えるような庁舎をつくってまいりたいと思っておりますので、どうぞご理解をいただきたいと思います。