今回からは、百条委員会報告書からオホーツク紋別空港利用促進協議会、株式会社紋別観光振興公社の不適切、不透明な支出の実態解明に係る部分を、ポイントを絞って紹介します。
◆エージェント対策費(販売奨励金)の流れと支出構造の変化
紋別市は平成30年度まで東京紋別便の空路維持確保のため、空港利用促進事業として官民でつくるオホーツク紋別空港利用促進協議会(以下、協議会)に6000万円余りを負担金として出資し、協議会はそれを原資に各エージェント(旅行代理店)に対し、ツアー客などの搭乗実績に応じてエージェント対策費(販売奨励金)を支払ってきた。
この段階までは支出先・使途は明確だった。
ところが、中島和彦氏が市の観光連携室長に就任した令和元年以降、エージェント対策費の支払い方法が変更された。
これまでの各エージェントへの直接支払いからANAの搭乗実績表を根拠に1席あたり2500円分を販売奨励金として紋別観光振興公社(以下、公社)へ支払う方式となった。
その理由は、個人客の増加に対応して、ANAフェスタ券の提供等により個人客利用を促進するためとされていた。
それに伴い、市の負担金も1億2000万円に増額された。
さらに中島氏が市役所を退職し公社の副社長に就任した令和3年度からは、中島氏が役員を務める「アジアアクセス社」に対しても協議会から直接エージェント対策費が支出されている。
さらに令和4年度からは、「アジアアクセス」から中島氏が代表を務める「中島コンサルタント社」に変更されている。
なぜこのようなことが行われたのか。当時協議会の会長であった宮川前市長は「個人客が増加し、小回りとスピード感のあるアジアアクセス社がよいと説明を受け契約した」「アジアアクセス社が広島に移転したため、東京を拠点にした方が誘客によく、名義を中島コンサルタントに整理することで誰にもわかりやすく、透明性を図る趣旨で進言した」と証言している。
その結果、この2年間で協議会から中島氏関連会社に支払われたエージェント対策費は8000万円に上る。
◆「再委託禁止」とされていた業務が、なぜ中島氏関連会社 に再委託され、継続されたのか
協議会と公社との間で締結された覚書では、公社による業務の再委託は禁止されていた。
にもかかわらず、公社から中島氏関連会社に対し、「PR宣伝費費」「利用促進経費」などの名目で業務の再委託が常態化していた。
本委員会としても、実際にどのような業務が行われていたのか調査を尽くしたが、その記録も成果物も乏しく実態がつかめない状況であり、使途が不明の状態だった。
しかし調査の結果、この4年間で公社を通して中島氏関連会社に再委託され支出された金額は2億2200万円を超えることが判明した。
なぜこんなことが許されたのか。当時の棚橋一直公社社長は具体的な再委託の有無について「私の記憶にないのでわかりません」と証言しているのみで、監督機能の脆弱さが際立つ。
疑問を持った職員に対し中島氏から「役員のすることに口を出すな」と威圧されたとする証言もある。
◆エージェント対策費の単価設定・予算増額は誰が決めたのか
当初、エージェント対策費は1席あたり2500円だったが、その後5000円、1万円に増額された。
この増額について「中島氏が市長に説明して了解を得た」とする担当職員の認識と、「説明を受けた記憶は乏しい」とする宮川前市長の証言が食い違っている。
他方、議会答弁で宮川前市長は増額について、「コロナ禍での搭乗者確保が図られると判断した」とも述べている、が、会議体での協議記録はない。
しかし確かなことは、中島氏関連会社はコロナ禍で搭乗者が激減しても、単価の増額と再委託によって、従前に近い収入を得ることができていたことだ。
◆中島氏の役員報酬と搭乗対策委託料との関係
中島氏は令和4年3月市を退職後、公社の副社長となり、年480万円の役員報酬を得ていた。
しかしその一方、退職と同時に協議会から「東京紋別便維持・搭乗者対策委託料」として年間1870万円の支給を得ていたのである。
これは何のか。その金額について宮川前市長の証言がある。「これまでの市の給与相当分1200万円に、札幌便再開に向けた委託料500万円、それに消費税を上乗せした計算で、市の給与を引き継ぐもので、生活費も含めている」
まさに、市・協議会の資金で補填された、実質的な第2の報酬である。
◆中島氏関連会社にいくら支払われたのか
本委員会の調査において、公社及び協議会から中島氏関連会社に支払われた金額は4年間で3億3285万円に上る。
さらに年間130回を超える出張経費(公社のカード決済)、役員報酬や搭乗対策委託料を積算すると4億円規模に達することが判明した。
それが何に使われたのか。令和7年8月公社に対し、国税当局による税務調査が実施された。その結果、中島氏関連会社に支払われた委託料のほぼ全額が接待交際費と認定された。
搭乗者対策どころか、市の税金が中島氏らの接待交際費に使われていたのである。
(つづく)

