当時、紋別観光振興公社副社長であった中島和彦氏の個人会社・中島コンサルタントに、紋別空港利用促進協議会及び紋別観光振興公社を経由して流入した紋別市のエージェント対策費(販売奨励金)の額は、令和元年から4年までで少なくとも3億3285万円に上ります。
これはすべて、東京紋別便の空路の存続のため、搭乗者を増やす経費として計上された市の予算であり、市民の税金です。
それらが全て、国税の調査によって中島氏の「接待交際費」であったと認定されたのです。
搭乗対策などに、まったく使われていなかったのです。
ではなぜ、それが可能だったのか、4年間も続いたのか、私たち百条委員会の調査のポイントはそこにありました。
百条委員会が提出を求めた数多くの資料の中に、ANAが発行した『東京紋別線搭乗実績(確定版)』(以下「実績表」)と題する2枚のペーパーがありました。
市のエージェント対策費は搭乗者1席あたり2500円~1万円を単価に、搭乗実績に応じて支払われており、その根拠となるのが、このANAの「実績表」だったのです。
しかし、この「実績表」に不審な点を見つけたのです。
その一つが、1枚の「実績表」のANAの作成名義人が、中島氏の個人会社の役員名と同姓同名だったのです。
二つには、「実績表」に押印されている印が、ANAの公印と異なるのではないかという疑問。
そして三つには、もう1枚の「実績表」の印も、通常使用されない手書き航空券用のバリデーションスタンプだと考えられたことです。
これらはいずれも、支出根拠としての信用性を左右するものです。そこで百条委員会として、その信用性を確認するため、ANAに対し質問状を送付したのです。
当初私たちは、天下の大企業であるANAが、こんなことで取り合ってくれるのだろうかと半信半疑でした。
しかし、これこそANAです。法規の専門部署がチームを作って調査に乗り出してくれたのです。
ANAの最終的な調査結果が届いたのは3月31日。そこには、衝撃的な事実が記述されていたのです。
まず、同姓同名の人物については、ANAの社員であるとともに中島氏の個人会社の役員でもあること。ANAの公印とされる印はANAの正式な印章ではなく、同姓同名の人物も押捺していないこと。「実績表」に書かれた実績数の総数に差異はないが、団体・個人などの内訳の数値に違いがあること。が明らかになったのです。
さらに、「実績表」を作成した同姓同名の人物による陳述書も提出されました。それもまた、驚きの内容でした。
「中島氏から昼夜を問わない連絡、即時対応の要求、応じなければ激しい叱責を受けることへの恐怖、さらには上司や組織に悪影響が及ぶことへの不安の中で、精神的に追い詰められ、正常な判断が困難な状態に置かれていた」とする内容で、中島氏の強い要請で役員に就いたこと、中島氏の指示で数字を書き換えたこと、押印していない「実績表」を中島氏に渡していたこと、なども明らかになりました。
結局、中島氏は自分の個人会社に都合の良いように個人客を増やすなど数字を書き換えさせ、印のない「実績表」を受け取り、自分でANAの印を押してANAから来た「実績表」に見せかけていた。そうやって偽造の「実績表」で、収入を得ていた構図がついに見えたのです。
最後に証人尋問に立った紋別タッチをけん引してきたパラダイス山元氏の証言も衝撃でした。
紋別タッチを進めるため紋別市の情報をSNSで積極的に発信してきた山元氏の努力を、中島氏が勝手にSNS対策費という名目の経費を作り、あたかも自分が取り組んできたかのように、自らの会社に2000万円を要求し、それを手に入れていたのです。
徐々に実態が見えてきました。しかし、それがなぜ4年間も許され、放置され、好き勝手にされてきたのか。
それらを含め、いよいよ最終報告書の作成が始まります。






