140人ほどの市民が参加してくれ、名人の芸をたっぷり堪能してくれたと思います。
私は、今年も実行委員長を務めました。といっても、初めの挨拶が主な任務です。
今年はあいさつの中で、さん喬師匠の本のことを紹介しました。
一つは「さん喬、大人の落語」。落語に出てくる男と女の物語を師匠風に解説したもので、落語の入門書としても役立ちます。
実は今回、師匠がこの本を持参してきており、実筆のサイン入りで販売しました。
すでにこの本は持っているのですが、サイン入りは魅力的です。残ったら、と思っていたのですが、すぐに完売となってしましました。残念!
もう一冊は、落語家生活50年を記念して出版された『噺家の卵、煮ても焼いても』。洋食屋の息子として育ち、高校卒業後に5代目柳家小さん師匠に入門。その修業時代から弟子11人を育て上げるまでの落語家人生を、ユーモアたっぷりに綴ったのがこの本です。
1月8日付けの「しんぶん赤旗」に、この本の出版を記念してさん喬師匠のインタービュー記事が掲載されました。
その中にこんな一文があります。
「いま芸は『守・破・離』だと考えています。小さん師匠の口癖でした」
『噺家の卵、煮ても焼いても』にも、同様な言葉が出てきます。
「芸は『守・破・離』」――あいさつの中で、この言葉を解説しながら紹介しました。
真摯に芸に向き合うさん師匠の姿勢がにじみ出た言葉です。
さて、今回の落語の演目は『替わり目』『船徳』『錦木検校』の3題でした。
『替わり目』では、酔っぱらった男と女房との軽妙なやり取りが爆笑を誘い、それでいて夫婦の愛も感じられ、ほっとする一席。
大ネタの『船徳』。道楽がすぎて家を出された若旦那の徳三郎。「船頭になる」と言ったものの腕はまだまだ。そこに二人の客が。船頭徳さんと船客の七転八倒の大騒動。さん喬師匠の体を張った噺に、これまた大きな笑いが
最後にかかったのは『錦木検校』でした。私は、初めて聞く話です。弟子の柳家喬太郎の持ちネタとは知ってていましたが、ちょっと驚きました。
でも、時を忘れ、じっくり聞かせていただきました。大名の父に疎んじられている三男の格三郎が下屋敷で盲目のあんま・錦木と出会う。そこで、身体のコリだけでなく心のコリもほぐされていく。錦木は「あなた様は、大名になる骨格をしている。私にはわかる」という。「そうか。もし私が大名になったら、錦木を検校にしよう」と約束する。時はたち、格三郎は親を継ぎ大名となる。そこへ病気におかされた錦木がやってくる。久しぶりに再会した二人は…
その時、会場はシーンを水を打ったように聞き入っています。
「俺を、恩知らずにするな」と格三郎。「私こそ、恩知らずになりとうございません」と錦木。
お互いの思いが、ぐっと高まるラスト。でも、ほっとした気持ちで終わります。(このラスト、さん喬師匠独特の終わり方では…)
爆笑してみたり、胸がギュッとなってみたり、これぞ第一人者の芸。たっぷり楽しませていただきました。
お客さんにも喜んでもらえたようで、安心しました。
さん喬師匠を囲んでの「ご苦労さん会」も楽しく、来年もまたこの落語会をやろうと誓い合いました。
来年はいよいよ、10回目を迎えます。
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