2020年4月26日日曜日

今年ばかりは…

 徐々に陽気も春めき、ふだんなら心弾む時期だが、今年ばかりはそうはいかない。

 新型コロナウイルスの感染は、さらに拡大を続けている。

 遠軽町の厚生病院での院内感染が心配だ。

 本当に他人事ではない。

 漠然とした不安と恐怖、何とも言えない息苦しさを感じる毎日だ。

 パリ在住の作家辻仁成氏は、新型コロナウイルスのことを「人類から愛を奪う悪魔」と称した。

 札幌在住の作家池澤夏樹氏は、「人は人に会ってはいけないと言われる。互いに会わなくて、それを生きていると言えるか?」と語る。

 そう、確かに今、私たちは人との接触を忌避している。

 肩を組み歌を歌うことも、楽しく語らい酒をともにすることも、「久しぶり」「お元気で」と強く握手を交わすことも、今はできない。してはいけないのだ。

 このウイルスの最大の脅威は命とともに、私たちから愛を、人とのつながりを奪いことかもしれない。

 その脅威が徐々に姿を現しているような気がする。

 コロナ感染者への心ない中傷。
 感染が広がっている国や地域に住む人々への偏見。
 感染者を手当てする医療従事者とその家族に浴びせられる差別。

 私たちは、コロナウイルスの感染から身を守ると同時に、愛を奪う脅威からも自らの心を守らなければならないのかもしれない。

 そんな中、心洗われる、楽しい出会いと語らいがあった。

 18日、子どもの貧困や虐待、いじめや不登校など、子どもを取り巻く様々な問題をともに考え、ともに行動しようと活動を始めた若い夫婦と、私の友人を交え、懇談する機会にめぐまれた。

 もちろん、今のご時世だから、懇談した場所は密閉した室内ではなく野外。
 
 少々風は冷たかったが、外にベンチを置いて、密接せず、100%の換気の中での語らいだ。

 経済的な格差が広がる中で、子どもに与える影響も深刻化している。紋別でもぜひ、そんな子どもたちの居場所と気軽な保護者達の相談場所を作りたいーーそんな熱い話が続く。

 自らも小さい3人の子育て真っ最中のこの夫婦。

 だからこそ、子育ての喜びも大変さも、そして社会の矛盾も、実感している。

 「上から下に届ける支援でなく、同じ立ち位置で、同じ目線で助け合う、そんな取り組みを作りたいんです」と。

 そんなまっすぐな情熱に、私も熱いものがこみ上げてくる。

 これからも彼らの活動を応援しながらエールを送り続けたいと思う。

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