2、生活保護行政と要援護者支援について
①生活保護の現状と利用者との面談について
②ライフラインの停止などへの対応について
③生活保護の捕捉率向上に向けて
④学習支援費の支給について
〇野村淳一議員
次に、生活保護行政と要援護者支援について質問いたします。
今年7月29日札幌市のマンションでひとり暮らしの60代の女性が熱中症で死亡しているのが発見されました。発見時クーラーは作動しておらず、後に電気代が未払いのまま送電が停止されていることがわかりました。
この女性は生活保護の利用者でした。この痛ましい事件がなぜ起こったのか、なぜ防ぐことができなかったのか、そして紋別市においてはどうなのか。まさにこの事件を人ごとにせず、しっかりとした教訓と対策を検討することが重要です。
そこで、紋別市における生活保護行政のあり方について幾つかお尋ねします。
まず、現在の生活保護の利用状況、現状についてお聞きします。生活保護の利用世帯数とその人員、生活保護の保護率とその推移、また生活保護の相談件数と利用開始件数及び廃止件数、そして世帯類型別の利用者数についてそれぞれお知らせください。
札幌市での熱中症による死亡事故から2つのことが明らかになりました。
1つは、ケースワーカーの面談回数が基準を下回っていた点です。報道によると、この女性には市のケースワーカーが3カ月ごとに訪問し、面談する必要があったものの、1月を最後に7月まで訪問していなかったのです。
札幌市は、適切に訪問していれば熱中症は防げた可能性があったと述べています。
そこでお聞きします。
ここで言うケースワーカーの訪問、面談の目的は何なのでしょうか。
また、紋別市の場合、何人のケースワーカーで、何件程度の担当を持たれているのでしょうか。そして、ケースワーカーの面談、訪問はどのような基準を設けているのか、その実施状況はどうなのか、それぞれお聞きするとともに、札幌市の事件を踏まえケースワーカーによる面談に対し、どのような認識をお持ちかお尋ねするものです。
札幌市の事件でもう一つ明らかになった点は、電気の停止というライフラインの問題です。
そこで思い出されるのが、平成24年1月に起こった札幌市白石区での姉妹の孤立死の事件です。ここでも電気がとめられ、姉は病死、妹は凍死とされました。
これらの事件を契機に、孤立死が社会問題化し、私も当時議会で取り上げました。そして、電気やガス、水道などのライフラインの停止は、命にかかわるだけに、国も道も早速要援護者に対する支援についての方針を示しました。
それが平成24年2月と5月に国から示された地域において支援を必要とする者の把握及び適切な支援のための方策等についてという通達であり、これを受け北海道もまた、要援護者を地域で支える関係機関連携マニュアルを作成し、市町村におろしました。
そこでは、電気、ガス、水道の滞納や供給停止などの場合、事業者は行政に情報を伝え、連携することが可能とするものであり、個人情報保護下のもとでもそれができるとしたものです。問題は、それがきちんと機能していたかどうかです。
そこでお聞きしますが、この間事業者からのライフライン停止の情報提供はあったのかどうか、またこれら要援護者に対する把握と支援について及びライフライン事業者などとの連携、協議について紋別市はどのような対策をとり、どのような取り組みを実践しているのかお尋ねするものです。
今年5月、厚生労働省は生活保護の捕捉率に関する数字を発表しました。それによると、所得が生活保護基準以下の世帯にもかかわらず、実際生活保護を利用している世帯はわずか22.9%というものだったのです。
極めて低い捕捉率だと言わざるを得ません。この背景には、生活保護を受けるのは恥だとする意識が根深くあるように思えてなりません。さらに、生活保護の制度が正確に知らされていないがための偏見と誤解があるようにも思います。
生活保護は言うまでもなく憲法第25条の生存権、いわゆる健康で文化的な最低限度の生活を送るためにこれ以上の貧困があってはならないという最低ラインを定めたものであり、その利用は国民の権利でもあるのです。
捕捉率が低いということは、最低ライン以下の生活を多くの人が強いられているということを意味しており、捕捉率の向上は緊急に取り組むべき課題なのです。
そこでお聞きします。
紋別市における捕捉率の現状とその認識についてお聞かせください。そして、捕捉率の向上に向け、必要な人に必要な保護と支援を提供するための対策についてどのように取り組まれているのかお尋ねするものです。
いよいよこの10月から、生活保護基準額を最大5%の引き下げを段階的に実施する生活保護基準の改定が始まります。このような貧困の解消、格差是正に逆行する生活保護基準の引き下げは、到底認められません。
そこでお聞きしたいのは、教育扶助における児童生徒の学習支援費の支給についてです。実は、この仕組みが10月から大きく変わることになります。対象の子供たちに不利益があってはなりません。その改定内容と支給漏れが起きないよう、生活保護利用世帯への周知についてお聞きいたします。
【 答弁 】
〇宮川良一市長
次に、生活保護行政と要援護者支援についてであります。
1点目の生活保護の現状と利用者との面談につきましては、平成30年8月末の生活保護利用世帯数は384世帯保護人員は524人であり、世帯類型といたしましては高齢者世帯が213世帯243人、母子世帯が26世帯77人、障害者世帯が40世帯52人、傷病者世帯が70世帯93人、その他世帯が35世帯59人、保護率は2.37%となっており、横ばいの状況となっております。
面接相談件数と利用開始件数及び廃止の件数につきましては、平成29年度は面接相談件数78件、利用開始件数37件、廃止件数39件となっております。
ケースワーカーの訪問、面談につきましては、要保護者の生活状況等を把握し、援助方針に反映させることや、これに基づく自立を助長するための指導を行うことを目的としております。
本市は、ケースワーカーを5人配置し、ケースワーカー1人当たりの担当世帯数は77世帯であり、月平均30件の訪問調査を行っており、訪問基準につきましては世帯の抱える課題や生活状況に応じ毎月1回から年1回の訪問調査を行っております。
多方面の支援を要する世帯、心身上の理由、自立に向けより多くの支援を要する世帯は積極的な支援が必要でありますことから、月に1回以上の訪問を行っており、施設入所者等安定した生活状況の世帯につきましては訪問頻度を低くしております。
訪問調査実施状況につきましては、ケース訪問計画表の管理により、適正に実施しており、長期未訪問のケースはありません。訪問調査活動は、生活保護行政における中核的業務の一つとして認識しており、札幌市の事件も踏まえ、単身の高齢者、傷病者世帯を中心に熱中症予防や病状の確認に努めております。
2点目のライフラインの停止などへの対応につきましては、供給停止に際して事業所からの情報提供は本人同意が前提となることなど実現には課題がありますことから、現状といたしましては、紋別市地域見守りネットワーク事業でライフライン事業所等と連携協定を結び、配送業務や検針において以前と比べて使用量が著しく少ないときや郵便物がたまったままの状態が続いているときには速やかに市に連絡するなど日常生活における異変や問題を早期に発見するための対策をとっております。
そのほか、生活困窮者自立支援事業では、生活に困窮する方に対する相談、訪問支援業務を実施し、世帯の状況把握に努めております。
3点目の生活保護の捕捉率向上につきましては、本市の捕捉率も国の推計と同様の2割程度と認識しております。
なお、捕捉率の向上と支援を提供するための対策といたしましては、民生委員等地域からの情報提供を踏まえた連携をはじめ、申請の意思のある方に対し、保護のしおりの活用等により、制度について正しく理解されるよう十分に説明を行い、申請権を侵害しないことはもとより、個々のプライバシーに配慮し、必要な方が支援を受けられるよう、相談内容に応じた懇切丁寧な対応を継続してまいります。
4点目の学習支援費の支給につきましては、生活保護基準は社会保障審議会生活保護基準部会における検証結果を踏まえた見直しが行われ、本年10月1日から改定されます。
このうち、教育扶助等として支給している学習支援費につきましては、これまで家庭内学習費用や学校のクラブ活動等に要する費用に充てるものとして毎月一定額を対象者に支給してきたところでありますが、教科外活動費用の充実に向けた今回の改定により、学習支援費の対象を学校のクラブ活動や課外の部活動のほか、地域住民や生徒等の保護者が密接にかかわって行われる活動等に要する費用を対象として、これまでの月単位による定額支給から年度単位の実費支給に変更となります。なお、これまで学習支援費の対象としておりました家庭内学習費用につきましては、生活扶助の児童養育加算において対応することになります。
また、学習支援費の支給事務に当たっては、対象者の負担軽減を念頭に、領収書等の提出を受けた後に支給する事後給付の方法のみならず、各学校からの案内等により必要な費用が事前に確認される場合は事前給付の方法も可能としております。
制度改正の周知につきましては、対象世帯への文書による通知や訪問調査時における説明のほか、各学校や教育委員会に対しましても説明周知を行ってまいります。
【 再質問 】
〇野村淳一議員
生活保護について質問します。
保護率そのものは横ばいだというお話でした。そして、ケースワーカーは1人77件程度と、国の法律上では80件を大体の基準ということですから、それ以下ということなので何とかケースワーカーの皆さんも一人ひとりに対してきちんと対応されてるのかなという実感を受けましたんで、ぜひこれからも、大変な仕事であることは間違いないんですけども、非常に福祉のエキスパートとしてさまざまな人生を送られてきた方々たくさんいるわけです、生活保護利用者、その方々の人生の伴走者として、誇りある仕事として取り組んでいただきたい。大変な仕事だと思ってますんでエールを送りたいと思っております。
ライフラインの問題なんです。
私は電気の停電の問題を取り上げました。実は、図らずもこの6日の日、全道全域停電という形になりました。
きのうの市長の行政報告の中でも、要援護者に対して直ちに訪問だあるいは電話で安否確認を行ったというふうに報告をされておりました。
この6日の停電に当たって、要援護者に対して実際どのような対応をされたのかお聞かせください。高齢福祉、障害福祉、生活保護、それぞれ教えていただけませんか。
○山本晃男介護保険課長兼参事
お答えします。
まず、要援護者の定義はいろいろ難しいかとは思うんですけども、まず介護保険課高齢者の担当につきましては65歳以上の1号被保険者、ちょっと細かい数字ではないんですけどもおよそ7,800人おります。
その中で、要介護認定者が1,600人程度、そして毎月サービスを受けてらっしゃる方が1,200人程度いらっしゃるので、まず連絡のとれる介護事業者につきましては自分のところのお客さんの安否確認等々お願いすると。
私どもとしましては、避難行動要支援者名簿の届け出があった方に対しまして電話連絡及び電話がつながらなかった方に対しては訪問を行って、訪問もなかなか会えない方については親戚だとか介護事業者だとかに連絡をとりながら全件安全を確認させていただいたと。
翌日の7日につきましては、避難行動要支援者名簿の中の対象者に対しまして、避難所の開設等々の情報提供を行ったと、それと保健福祉部全体としましては市民生活部と共同で民生委員あと町連協、市老連に対してそれぞれ事務局に対して避難所の開設を行っているので、各会員に対して連絡をしていただきたいというようなことで周知をお願いしたところでございます。
以上です。
○飯田欣也社会福祉課長兼臨時給付金対策室参事
障害の関係、ちょっと述べさせていただきます。
今回、停電というような形でありましたものですから、まずは、特に停電になった際に時間的余裕がないケースというのが考えられまして、どういうことかといいますと、在宅酸素療法と言われるような方々になるんですけども、呼吸器障害のある方の中で電動の酸素供給装置というのを利用されているというような方が、こちらの方をまずリストアップさせていただきまして、この対象者の方に電話で安否確認をさせていただくということで、つながらない場合は自宅訪問をするということですね。
その際、酸素ボンベの予備についての確認をさせていただきまして、残量に余裕がないのであれば病院に行っていただくというようなことで、病院に行く手段あるいは支援者を確保できるのか否かというような形で、その人たちのほうを確認させていただいております。
優先させる順番としましては、先ほどの高齢者の部分とも重複しますけども、事業所などの福祉サービスのつながりを持っていない方をまず先に優先させていただきまして、単身の方を先に、その次は家族がいる方、この次に事業所に全体的な確認というのをさせていただいております。
翌日は、また追跡で、同じ方にまたご連絡をさせていただいて、さらに事業所のほうも再確認をさせていただくような形をとっております。
以上でございます。
○大平一也社会福祉課参事
お答えいたします。
生活保護の受給世帯の対応についてでございますが、まず6日の日でありますが、生活保護を受給されている世帯及び申請中の世帯も含めまして単身高齢者、単身傷病者を優先順位を高いところからまず担当ケースワーカーがそれぞれ電話連絡により確認を行い、電話連絡がとれなかった人については直接訪問して安否確認を行っております。
翌日の7日につきましても、前日安否確認がとれなかった世帯に対して、再度電話、訪問等をいたしまして、避難所の設置の状況ですとか不安定な送電状況等の説明、あと生活状況の把握に努めております。生活保護世帯に対しては、特に問題はありませんでした。
以上でございます。
○野村淳一議員
突然の停電でしたので、本当に皆さん方も戸惑ったと思いますし、しかしこういうことも起こり得るということで、要援護者に対する支援、いろんな取り組みされたと思いますし、いろんな教訓もあったんだろうと思うんですね。
私、後から聞いて、障害者の方ですが、全く情報がないんですよ、電気切れて。テレビが見えない、ラジオもない、スマホなんか持ってない。何で停電してるかもわからないままずっと1日、そして結局夜まで食事がとれなかったという方もいらっしゃいました。
皆さん努力されているんで、全部が全員に安否確認できたかというと、それはなかなか難しいところもあると思うんだけど。だけど例えば、高齢でいえば事業所もありますし包括もあります。障害でいえば、もちろん事業所やそれから相談支援センターもあります。
そういうところとしっかりとネットワークをとって、そういう仕組みづくりというのか、これからやっぱり検討していく必要があるんじゃないかな、それも今回の一つの教訓ではないのかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それと、捕捉率の問題なんです。
今、市長の答弁でも、全国的に生活保護を受けられるのに受けてない方が8割いるんです。紋別も同じような状況ではないかというふうにご答弁がありました。
これは、大変な問題なんです。ですから、皆さん方も、これもう全庁上げてそうなんですけど、8割ぐらいの方が保護を受けられるのに受けてないということをしっかりと認識を持っていただきたい。
もちろん、福祉の関係の高齢も障害もそれから生活保護あるいは母子家庭もあるいは水道も住宅も、いろんな形で生活に困窮されている方、直接会うことがたくさんあると思うんです。
相談も受けると思うんです。だけど、実際は保護受けられるかもしれないんですよ。そういう可能性のある世帯がたくさんいるんだということを、ぜひそういう緊張感を持ってあるいはそういう認識を持って皆さん行政に当たっていただきたいし、市民に対してもそういう認識で相談事やいろんな悩み事に取り組んでいただきたいというふうに思いますが、それについていかがですか。
○大平一也社会福祉課参事
お答えいたします。
当然、生活保護を受給されて相談に来られる方については、直接窓口のほうで懇切丁寧に対応しているんでありますが、事前に生活に困窮されている方につきましても、民生委員さん等との情報ですとか水道部局、関係部局等とも綿密に連絡をとりながら対応してまいりたいと考えております。
○野村淳一議員
とりあえず、よろしくお願いしたいというふうに思います。
それから、学習支援費です。
この10月から生活保護基準が下げられるんです。前回、私この問題も取り上げたときに、前回の市長の答弁では、子育て世帯38世帯のうち12世帯がこの10月から保護費が減額になる、引き下がるんですよ。こういうことが実際起こるんですね。
こういう子供の貧困をどうするかと言ってる時代に、こういうことが実際国の制度によって引き起こっていると、大問題だと私は思うんです。
学習支援費についてです。今、ご答弁があったように、実費負担になるんですが、そういういろいろ問題もあるんですが、これまで学校でのクラブ活動だったものがそれだけではなくて地域住民、保護者が密接にかかわる非営利のそういう活動にもこれが使えるんじゃないかというような話ですね。紋別的には具体的にどういうものを想定していますか。
○大平一也社会福祉課参事
お答えいたします。
学校外のクラブ活動ということでございますと、例えばサッカー少年団、野球少年団とかの活動ですとか、あとは社会教育のほうになりますが、各種ボランティア活動を一生懸命やっているお子さんなどに対しても経費がかかる部分については対応になるというふうに解釈しております。
○野村淳一議員
ぜひ、その範疇をできるだけ子供たちの自主的な活動に広げていっていただきたいと思いますし、ぜひ周知をしていただきたいというふうに思います。
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