〇野村淳一議員
次に、教育問題について質問いたします。
まず、学力テストと教育環境の整備についてです。
紋別市教育委員会は、昨年から学力テストの平均正答率を公表しました。それまでは、調査により測定できるのは学力の特定の一部分であり、序列化や過度な競争が生じないようにすることなど、教育上の効果や影響等に十分に配慮した慎重な判断や対応が求められることから公表を差し控えるとしてきた方針を変えたことになります。
極めて残念な方針転換だと考えます。学力テストは、国が学力の内容を決め、その結果を競わせるものでしかなく、その学力のごく一部分のみを示すものでしかなく、それをもって子供たちの真の学力の程度がわかるはずがありません。
しかし、この公表の結果、一側面でしかない学力テストの結果が紋別の子供たちの学力の程度として認知、流布されているのではないでしょうか。
この公表の結果、結局序列化が生じ、過度な競争を強いることになっているのではないでしょうか。結局学力テストの点数を上げること自体が学校での目的になっているのでないでしょうか。私はその危惧を強く感じます。
学力向上という名で学校と教師への目に見えない圧力、それはひいては子供たちへのプレッシャーへとつながっていくのではないか、私はその懸念、流れを強く感じています。
それがゆえに私は結果の公表はすべきでないと考えます。それがいまだ公表を控えている数多くの市町村の認識でもあります。
学力テストの結果公表に伴い、どのような反響と状況が生じているのか、序列化や圧力が生じていないのか、これからも公表を続けるのか、その検証はどうするのか市教委の判断と認識をお聞きします。
点数をとることに追い立てる教育で本当の学力は育ちません。子供たちにわかることの喜びを伝え、真実そのものへの探究心を育てることが教育であり、知りたいという知的好奇心を育むことが教育ではないでしょうか。それが楽しい学校につながるはずです。
教育長の考える学力とは何か、学力の向上とは何を意味す
るのか見解をお聞かせください。
真の学力を向上させるためには、一人一人の子供に教師の目が行き届き、学習がおくれがちな子供に丁寧に対応できるようにし、多忙化を解消して教師が準備に十分時間をかけ、創意あふれる授業ができるようにしてこそ、子供たちに確かな学力を豊かに保障することができるものです。
そのためにも、教員定数の拡大と全学年で30人、35人学級を実現することが重要です。これら教育環境の整備についてのお考えと方向性についてお尋ねするものです。
次に、不登校への支援についてお聞きします。
昨年、文部科学省が行った問題行動・不登校調査では、2017年度に全国の小中高学校で把握したいじめが41万件を超え、前年度から9万件増加しています。
また、不登校も前年より1万人以上増加し、14万4,031人で過去最高となりました。
そこでまず、不登校とはどういう定義なのかお知らせください。その上で、紋別市の不登校児童生徒の現状についてお聞かせください。同時に、それらへの理由は主にどのようなものかお聞きします。
また、不登校児童生徒に対応した適応指導教室、ふれあい教室の利用状況についてもあわせてお聞きします。
2016年文部科学省は、不登校児童生徒への支援のあり方についてという通知を出し、学校に登校するという結果のみを目標にしない、不登校を問題行動と判断しない、不登校児童生徒が悪いという根深い偏見を払拭するとした上で、不登校となった要因を的確に把握し、個々の児童生徒に応じたきめ細やかな支援を各自治体に求めています。
そこで、紋別市として不登校児童生徒に対しどのような認識を持ち、どのような対応と支援を行っているのかお尋ねします。
不登校になる要因はさまざまであり、幾つもの要因が重なっている場合も少なくありません。
その生徒と保護者は、学校に行けないことに苦しんでいます。それらの思いを専門的な視点から寄り添うことが必要です。
その点で、スクールカウンセラーの役割とともに、スクールソーシャルワーカーの配置が何より求められていると考えます。
スクールソーシャルワーカーは、福祉の専門家として教育現場に配置され、学校や日常生活で困難を抱えている子供や家庭を支援するもので、不登校に限らず家庭内の虐待、貧困などの課題にも当たる専門職です。
道内にもスクールソーシャルワーカーの配置を進めている自治体がどんどん増えています。
何より、教師の多忙改善のためにも、子供や親の相談の窓口としても有効であり、学校と生徒、保護者を結ぶかけ橋となるものです。常勤職としてのスクールソーシャルワーカーの配置を求めるものですが、いかがお考えかお聞かせください。
3つ目に、発達支援についてお聞きします。
中学生の不登校の場合、小学校から不登校の傾向がある生徒が少なくありません。その場合、学習障害やアスペルガーなど何らかの発達障害の可能性もあり、それらの連絡連携が小中学校の間で十分になされ、その子に応じた支援がなされていたのかという問題があります。その点についての考え方と対策をお聞きします。
日常の学校生活において、どこか気になる児童生徒を認め、感じた場合、学校としてはまずどのような対応をとっているのでしょうか。その内容をお聞きするとともに、発達支援の取組状況をお尋ねします。
幼児療育センターが移転建替えに伴って、新しくこども発達支援センターとしてオープンが予定されています。それに伴い機能も充実するようですが、その内容をお知らせください。
今後とも発達支援教育に大きく貢献できるよう期待したいと思います。その中で特に小学生の療育についてですが、現在どのような状況なのか、どのような取り組みとなっているのかお聞かせください。
【 答弁 】
○齋藤房生教育長
それでは、野村議員のご質問にお答えいたします。
1点目の学力テストと教育環境の整備についてであります。
初めに、全国学力・学習状況調査結果の公表に伴う反響等につきましては、新聞において報道があり、多くの市民の方からも紋別市の子供たちの学力に対する注目を集めているものと感じております。
さらに、保護者に対しては、各学校において学校だよりなどで自校の状況が伝えられており、家庭での学習習慣等を見
直す契機になったのではないかと考えております。
今後、コミュニティ・スクールの推進に向けても、学校、家庭、地域が子供たちの状況を情報共有することが重要であることから、来年度以降も平均正答率の公表を行う予定であります。
公表の効果検証につきましては、来年度配置予定の指導主事を中心に学力等の分析とあわせ教育委員会で行う考えでおります。
次に、学力とは何か、学力の向上とは何を意味するのかの見解についてであります。
私は学力を、児童生徒が社会を生き抜くために必要な力だと考えております。そのためには、基礎、基本的な知識、技能を習得するだけでなく、これらを活用して思考力、判断力、表現力等の能力を身につけることが学力の向上であると考えております。
また、学力試験の点数が高いことはすばらしいことではありますが、点数だけをもって学力とは考えておりませんし、学習課題を意欲的に解決、追及していく学習プロセスの中で多様な力を身につけていくことが重要であると考えております。
次に、教育環境の整備についてでありますが、現在学校では習熟度別指導によるグループに分けた少人数授業が行われており、さらに教育委員会では学習サポーターや特別支援教育支援員など担任をサポートする体制整備を進めております。
教員定数の拡大等につきましては、児童生徒の生活及び学習の両面において大きな効果が期待できることから、引き続き教育長会等を通じて要望してまいります。
2点目の不登校への支援についてであります。
初めに、不登校の定義についてでありますが、文部科学省の調査では、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因、背景により登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち病気や経済的な理由によるものを除いた者となっております。
次に、紋別市の不登校の現状についてでありますが、平成28年度小学生3名、中学生14名、平成29年度小学生4名、中学生17名、平成30年度は2月末現在の数値で小学生3名、中学生15名となっております。
主な理由は、学校における人間関係に課題、家庭環境の変化、無気力な傾向などが挙げられます。
次に、現在の適応指導教室の登録者につきましては、中学生11名となっております。不登校児童生徒に対する認識でありますが、不登校に至る要因、背景は、多様で複雑であると認識しており、重要なことは不登校児童生徒の気持ちに寄り添い、その問題を解消することであると考えております。
対応としましては、学級担任の家庭訪問、スクールカウンセラーとの面談、学校での別室登校、適応指導教室への通級などを行っております。
次に、スクールソーシャルワーカーの配置につきましては、教育相談体制の充実のためにぜひ必要であると考えております。
ただ、大変専門性の高い資格が必要なことから人材を得ることが困難であり、配置の見通しは立っておりません。人材に関する情報を収集し、配置実現に向けて努力してまいります。
3点目の発達支援についてであります。発達障害の可能性のある児童に関する小中学校間の連絡、連携についてでありますが、これまで児童生徒の情報については小中連携ネットワーク会議をはじめとした小中学校間での情報共有の取り組みを行っております。
また、新たな試みとして、小学校入学予定者の情報交換の
場として幼保小連携セミナーを開催し、幼保小の連携についても強化に努めております。
次に、学校での対応と取り組みについてでありますが、各学校では教職員からの児童生徒の情報収集や保護者からの相談などの役割を持つ特別支援教育コーディネーターを置いております。
その上で、特別支援教育支援員の配置をはじめとする個々のニーズに応じた支援や指導が行われるよう努めているところです。
いずれにいたしましても、発達障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な指導及び支援を行うことが必要と考えており、学校内や学校間の連携はもとより、医療や保健福祉の関係機関との情報共有や連携強化の取り組みを行ってまいります。
以上、答弁といたします。
〇宮川良一市長
次に、発達支援についてであります。
1点目のこども発達支援センターの機能の充実につきましては、市政執行方針でも述べましたとおり、ハード面での機能充実に加え、新年度から言語聴覚士、精神保健福祉士各1名の配置や、本市への療育アドバイザーの指導回数の増など機能の充実を図ってまいります。
2点目の小学生の療育の取組状況につきましては、小学生対象の放課後等デイサービスは、定員50名に対し登録者数は47名となっております。
現在は2週間に1回1時間の療育となっておりますが、新年度につきましてはスタッフの充実と療育時間を現在の16時から17時まで延長することで週1回1時間の療育を実施するとともに、療育アドバイザーの学校での指導助言を増やしていくことで小学生への療育の質の向上を図ってまいります。
【 再質問 】
質問時間が終了したため、再質問はできなかった。
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