2020年10月2日金曜日

障害者の就労と相談支援の強化を~2020年第2回定例市議会一般質問②

◎質問項目

障害福祉について

 ①紋別ベジタブルファクトリーについて

 ②総合戦略に見る障害者施策について

 ③障害者計画、障害福祉計画の策定について


◎野村淳一議員

 次に、障害福祉について質問します。  

 最初に、紋別ベジタブルファクトリーについてお聞きします。  

 この施設は、高等養護学校の卒業生などが社会的、経済的に自立し、安定的な生活ができるよう、就労支援の一環として就労継続支援A型の公設民営で平成29年に設立されたもので、当初から社会福祉法人紋別市百年記念福祉会が運営を担い、大きな成果を上げてきましたが、これが今年度をもって運営から撤退する方向とお聞きしています。

 立ち上げから今日まで紋別市とともに苦労を重ねてきただけに残念な思いです。

 さきの議会では、ベジタブルファクトリーの運営に伴う赤字の問題も指摘されておりました。今回の法人の運営撤退の主な理由は何なのか、それに対する紋別市の認識と対応についてお聞きします。  

 言うまでもなく、この事業は既に紋別市にとってなくてはならない事業であり、その継続は必定です。来年度以降の運営継続に向け、どのように取り組まれようとしているのか、その方向性と考え方をお尋ねするものです。 

 次に、紋別市総合戦略に見る障害福祉施策についてお聞きします。

 ことし3月、第2期紋別市総合戦略が策定されました。これは、令和6年度までの紋別市の事業戦略であり、各施策の重要業績評価目標―KPIが設定されています。 

 その中の障害者福祉に関する施策について、2点お尋ねします。 

 一つは、特別支援学校卒業生の市内定着者にかかわる事業です。 

 これについて、総合戦略では、市内の支援学校卒業生は新たに10人、市外の卒業生を新たに5人、紋別市内での定着を図るとしています。

 これは決して少ない目標ではなく、その実現に期待するものです。

 この目標達成の基本には、就労機会の充実と通所施設の拡充とともに、グループホームの整備や親亡き後も安心して暮らせる地域づくりなどが必要になると考えます。

 そこで、これら目標達成に向け、どのような取り組みを検討されているのか、お尋ねするものです。

 総合戦略に関して二つ目にお聞きしたいのは、障害者が安心して暮らせる社会の確立とした項目で、KPIを障害者の不安や悩みなどの相談件数としている件です。  

 総合戦略では、その目標値を基準値の平成30年度の相談件数750件から、最終年度の令和6年度に600件へと、150件、2割も減らす目標となっているのです。

 私には、なぜ相談件数を減らすことを目標とするのか、理解できません。

 市内にはまだまだ障害を持った方々が、そして、相談に結びついていない方々がたくさん存在しているではありませんか。  

 障害とは言えないまでも、何かしらの不安と生きづらさを感じている方々も数多くいます。ひきこもりと言われる方も少なくありません。その家族もまた大きな不安と苦しみの中にいるのです。

 だからこそ、相談件数はますますふえていくだろうし、ふ やしていかなければならないものです。

 相談への敷居を低くし、気軽に身近に相談できる体制をどうつくるか、このことにこそ行政は力を注ぐべきであり、それこそ最重要課題です。

 相談件数を減らすことが目的ではありません。まさか今の相談件数がピークだとは思っていないと思うのですが、もちろん、究極の理想は、福祉サービスが充実し、相談することもなく生活できる社会をつくることです。

 しかし、現状は到底その域に達していないのは明らかではありませんか。 

 そこでまず、現在の相談件数約750件の内容と推移をお聞きします。

 その上で、なぜこのような目標設定になったのか、市長の見解をお示しください。

 今年度は、第4次紋別市障害者計画と第6期紋別市障害福祉計画の策定年に当たります。障害福祉にかかわる二つの計画を同時に策定するのは、実に9年ぶりとなります。 

 そこでまず、これらの計画策定のスケジュールをお聞きするとともに、どのようなメンバーでどのような議論を行う計画なのか、お聞きします。 

 この二つの計画を同時に策定するだけに、それだけ策定作業は重要です。

 そのためにも、障害者みずからの状況とニーズの把握、各事業所、福祉現場の現状と要望の調査、各関係団体との意見聴取など、積極的な取り組みが必要だと考えます。  

 計画年度中には、社会福祉法人紋別市百年記念福祉会の移転、建てかえの日程も含まれ、紋別市の新しい障害者福祉の展開も期待できると考えます。

 紋別市全体の障害福祉の向上に向け、より積極的で実践的な計画策定を望むものですが、その取り組みと考え方についてお尋ねします。 


◎宮川良一市長

 次に、障害福祉についてであります。  

 1点目の紋別ベジタブルファクトリーについてでありますが、百年記念福祉会が本年度をもって運営から撤退する主な理由及び市の認識と対応につきましては、令和元年第4回定例会で喜多議員のご質問にお答えいたしましたとおり、平成29年度の開設当初から赤字経営が続いていたことから、市に対して財政支援の要請がありました。

 市といたしましては、通所者の拡大による収入の増加や経費の圧縮についての経営改善の余地があると考えられるため、半額減免とした土地、建物の使用料を本年度から全額減免にする案を示したところでありますが、百年記念福祉会により本年度をもっ て撤退する方針が示されました。 

 来年度以降の運営継続に向けた取り組みといたしましては、早期に後継事業者への引き継ぎが行われるよう、現在、事業者の公募を行っております。 

 前回公募したときとの変更点として、土地、建物の使用料の全額減免の支援を当面3年間継続するとともに、植物工場以外の新たな事業展開にも期待し、隣接地を有効活用していただくために、貸付土地の拡大や就労継続支援事業のA型を基本としつつ も、B型を含めた多機能型の事業展開も可能とするなどの変更を行い、公募を実施しております。

 今後とも、特別支援学校の卒業生などが本市で社会的、経済的に自立した生活が送れるよう、植物工場の安定した経営の確立に向けて、市内販路を拡大し、農作物の収益が増加するようなネットワークづくりなど、側面的な支援に努めてまいりたいと考 えております。 

 2点目の総合戦略に見る障害者福祉施策についてでありますが、特別支援学校卒業生の市内定着の目標達成に向けた取り組みにつきましては、就労の場及び居住の場の確保並びに障害者の就労後のサポートの強化などの環境整備を三位一体で進めていくことが重要であると考えております。

 就労の場の確保策といたしましては、一般就労に向けた市内企業での雇用を促進するため、特別支援学校との緊密な連携のもと、学校見学会や研修の実施など、障害者就労の理解を深める取り組みや卒業生と企業とのマッチングを図る仕組みづくりを進めてまいりたいと考えております。

 また、引き続き、福祉的就労の充実強化に向けて、関係機関との協議を推進してまいります。

 居住の場の確保策といたしましては、新規グループホームの開設により居室数は年々増加傾向にあり、継続して民間事業所への働きかけを行ってまいります。

 サポートの強化といたしましては、就労の場や居住の場の確保だけにとどまらず、卒業生本人、保護者、市内企業に対するきめ細かい障害者雇用支援に取り組むため、ジョブコーチの導入などを検討してまいりたいと考えております。

 障害者の不安や悩み等の相談件数750件の内容といたしましては、市内相談支援事業所に寄せられる相談のうち、不安解消、健康状態、家族関係、社会生活等に係る相談の合計件数としております。

 推移といたしましては、平成26年度は1,084件、平成27年度は708件、平成28年度は 912件、平成29年度は686件、平成30年度は750件と件数が安定しておらず、その要因といたしましては、困難ケースの有無が挙げられ、困難ケースでは、同一の利用者から何度も相談を受けることで件数は増加傾向となり、早期に問題解決が図られた場合には件数は減少傾向となっております。

 目標設定につきましては、障害者が職場や家庭、学校等で抱える不安や悩みを地域や身近な人が支え合い、解消していく地域共生社会の実現や障害者が地域で安心して暮らすことのできる社会資源の充実を図ることで将来的な相談件数の減少を目指して いるものであります。

 なお、困難ケースにも迅速に対応できるよう、相談支援体制についても、これまでどおり、万全の体制を維持してまいります。  

 3点目の障害者計画、障害福祉計画の策定につきましては、計画策定に向けて、先月下旬に国から示された基本指針に沿って策定作業を進める方針であり、早急に計画策定の中心的な役割を担う紋別市障害者自立支援協議会を再編成し、年内には素案の作成、年明けにはパブリックコメントを募集した上で、年度内に策定作業を完了する予定であります。

 計画策定のメンバーとなります紋別市障害者自立支援協議会の構成員につきましては、市内の主要な障害福祉事業を担っている法人全てに委員となっていただいている ほか、保健・医療関係者、教育・雇用関係者、企業、障害者関係団体など、幅広く参画していただいており、今後の本市障害福祉全体の方針や個別の福祉サービスの利用方針等を議論していただくこととなります。  

 自立支援協議会では、障害者団体や当事者の声を直接聞いている相談支援事業所を含む各種事業所も委員となっていることから、当事者のニーズを踏まえた活発な議論が展開されると考えております。

 また、自立支援協議会内に設置している相談支援部会、就労支援部会も活用することでより多くの現場の意見を反映させた計画としてまいりたいと考えております。  


【 再質問 】


◎野村淳一議員

 次に、障害福祉についてお聞きします。

 最初に、紋別ベジタブルファクトリーについてです。 

 残念ながら、百年記念福祉会が撤退ということになりました。そして、今ちょうど募集の最中ということでした。

 先ほどの答弁では、前回の募集要項と違うところが幾つかあるという話がありました。それはそれで受けとめたいというふうに思います。

 今、既に募集の受け付けが始まっていると思いますが、何か動きはありますか。 

◎仲条憲明・社会福祉課参事

 お答えをいたします。 6月1日から26日までの約1カ月間、公募をかけているのですけれども、現在、複数の事業者から問い合わせをいただいております。 

◎野村淳一議員

 なくてはならない施設だと思っていますので、次の事業所にしっかりやっていただければと思います。 

 ただ、先ほど答弁にもありましたが、賃貸料は前回は半額だったのです。

 これが福祉会にしてみたら大変な負担だったのです。私は、議場において、これは無料にすべきだ、免除すべきだと取り上げたこともあるのだけれども、結局、3年間の半額助成だったのです。

 でも、今回は全額助成するという話でしょう。早くにそういう手を打ってみるべきだったと改めてつくづく残念に思いますよ。

 ただ、これは今言っても仕方がありません。ぜひいいように進めてください。 

 次に、総合戦略の関係についてです。 特別支援学校の卒業生に関し、市内定着数というものが総合戦略には2カ所出てくるのです。

 わかりにくいのですが、簡単に聞きます。 令和6年までに市内定着者が10人とありますが、この10人というのは、市外から5人、市内の卒業生が5人、合わせて10人という理解でよろしいのですか。 

◎仲条憲明・社会福祉課参事

 お答えをいたします。 

  KPIの関係です。第2期総合戦略におきます特別教育の充実の特別支援学校の卒業生の数についてですが、10名というKPIにつきましては、後段の「障がい者就労の拡大」の中で、市外出身者の特別支援学校の卒業生5名と示していますので、前段の10名というのは、 市内出身の卒業生が5名、そして、市外出身の卒業生の5名を合わせた数となります。 

◎野村淳一議員

 現在、紋別の高等養護学校に紋別市内の在校生は何人いらっしゃいますか。実は、16人いらっしゃるのです。 

 ところが、今のお話では、令和6年度の目標としては、市内の卒業生が5人という ことなのですね。

 令和6年度となりますと、今の中学校2年生まで対象なのです。もう一方で、養護学校に市内から通っている方もいらっしゃいます。それも含めますと、令和6年度には20人を超えるのですよ。

 その方々は紋別市民です。一般就労、あるいは、福祉的就労、通所施設に行く、市内に定着を図るなど、もちろん、それぞれの希望があるでしょう。

 でも、そう考えたら、市内の卒業生5人なんていう目標は 極めて少ないと思います。現実的に見たら、何なんだ、これはという話になってしまうのですが、いかがですか。 

◎富樫豪志・保健福祉部長

 お答えいたします。 障害者就労につきましては、重点施策といたしまして、第1期総合戦略の時点から取り組んでまいりました。

 ただ、思うような進捗が見られなかったことも事実でござ いまして、我々も何らかの対応の強化をしていかなければならないと思っております。

 市長の答弁にもございましたけれども、改めて、学校側との連携の強化、あるいは、市内の企業の皆さんに障害者雇用についてのご理解を深めていただく、ジョブコーチ を設定するなど、そういったことに取り組みながら、さらに市内への定着を進めてい きたいとは思っております。

 ただ、今回は、これまでの実績も踏まえ、目標を設定させていただいたところでご ざいます。 

◎野村淳一議員

 ここで言う市内の定着というのは就労だけではないのですよ。そうですよね。

 福祉的就労あるいは生活介護、日中一時、通所の施設も全部含め、市内に定着してもらうということではないのですか。  

 今、部長は一般就労ばかりの話をしていました。それは実績がなかなか出ないのですよ。

 でも、市民ですから、市内にきちんと定着をしてもらうことが目標でしょう。

 令和6年度には紋別市で20人ぐらいの方が特別支援学校を卒業します。そのときの 市内定着の目標が5人だということです。

 これは総合戦略としてどうなのですか。取り組みとしては残念です。 もう一度ご答弁ください。 

◎富樫豪志・保健福祉部長

 目標は目標とし、目標を上回る実績を確保できるよう、引き続き一生懸命努力してまいりたいと思っております。 

◎野村淳一議員

 この就労の問題は引き続きやっていきたいと思います。

 相談の問題、合葬墓についても言いたいことはたくさんあったのですが、時間がな くなってしまいましたので、また改めてやります。 終わります。




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