2020年1月8日水曜日

コムケ湖をラムサール条約に登録を~2019年第3回定例市議会一般質問②

コムケ湖

〇野村淳一議員

 次に、自然環境の保全に関して質問します。

 1つは、コムケ湖のラムサール条約登録についてです。

 この問題は、昨年の第2回定例会でコムケ湖のラムサール条約登録を進める立場から紋別市の取り組みについて質問いたしました。

 その際、宮川市長は利害関係者の考え方に隔たりがあることから手続を進めるのは難しい現状にあると答弁されました。

 しかし、少なくとも平成25年度までは市政執行方針の中で、コムケ湖のラムサール条約登録については次期締約国会議に向け、産業や観光など地域活性化に結びつけるワイズ
ユースの視点に立ち、地域総意の取り組みになるよう努めると極めて前向きな姿勢を示していたと考えます。

 まず、この考え方は今でも変わらないのかどうか、市長のお考えをお聞きします。

 現段階では利害関係者の考え方に隔たりがあるということでしたが、その主な内容は何なのか、お聞きします。

 考えられるのはラムサール条約の登録によって、漁業、農業における新たな規制が発生するのではないか、事業に支障が出るのではないかという懸念だと思います。

 そこでお聞きしますが、ラムサール条約の登録によってコムケ湖に何か新たな規制がかかるのかどうか、紋別市ではどのように理解されているのかをお示しください。

 市長は、さきの答弁で厳しい現状にあるとしつつも、引き続き関係団体の意見を伺っていくとしました。その後の動きと取組状況についてお聞きします。

 コムケ湖の持っている国際的な規模での潜在的価値は述べるまでもありません。

 ヘラシギなどの絶滅危惧種といわれる鳥類の観察や、オジロワシ、タンチョウの繁殖、常時1,000羽を超えるオオハクチョウの飛来など、コムケ湖の自然環境は極めて貴重であり、国際的にも重要です。

 さらに、サンゴソウなど貴重な海浜植物群も存在しています。ラムサール条約の登録条件は完全に満たしているのです。

 ラムサール条約を登録したからといって、何かが大きく変わるわけではないでしょう。しかし、その登録によってコムケ湖は世界的に認知され、世界的な存在になるのです。

 ラムサールの名は産業や観光など、あらゆる地域活性化に結びつけることも大いに期待できます。そして、紋別市の新しい誇りともなるでしょう。

 文字どおりコムケ湖を賢く活用するワイズユースの視点に立ち、ラムサール条約の登録に向けた地域総意の取り組みを進めるよう重ねて求めるものですが、いかがお考えかお尋ねします。

 2つには、自然環境の保全と環境調査についてです。
 平成25年度に策定された紋別市環境基本計画には、紋別市の責務としてコムケ湖やオムサロ原生花園などの貴重な生態系を維持するため、自然環境や景観保持に努めると明記しています。

 この内容は当然今も生きています。コムケ湖やオムサロ原生花園の環境や景観保持について、どのような取り組みを行っているのかお尋ねします。

 私は昨年の6月議会で、紋別市の豊かな自然環境を保全するためにも本格的な環境調査と体制づくりが必要ではないかと指摘しました。

 その際、市の答弁は、所管する部署について今後に向けて検討するというものでした。その後、どのような検討がなされ、どのような体制となったのかお知らせください。

 オホーツクの流氷と自然を守る寄附金には、森林、湖沼、河川等の環境保全、啓発等に関する事業という寄附項目があります。その項目に対しても多くの方から寄附が寄せられています。

 コムケ湖とオムサロ原生花園は、まさに湖沼、河川、そのものであり、その保全に期待を寄せ、寄附する方も少なくないでしょう。

 この寄附事業がコムケ湖やオムサロ原生花園の環境保全事業にどのように活用されているのかお聞きします。

【 答弁 】

〇宮川良一市長

 次に、自然環境の保全についてであります。

 1点目のコムケ湖のラムサール条約登録に係る市の考え方につきましては、平成30年第2回定例会において議員のご質問にお答えいたしましたとおり、条約の登録に向けては地元の利害関係者の合意形成が大前提でありますが、各関係団体や関係者の方々の考え方に隔たりが見られるなど、直ちに条約登録に向けた手続を進めることは困難な状況にあり、引き続きご意見を伺っていく必要があると考えております。

 考え方の隔たりにかかわる主な内容としては、条約登録に伴う規制の強化や生業への影響に対する懸念、条約登録によって生じる効果やその必要性についての見解の相違などであります。

 条約登録による新たな規制の有無につきましては、現在コムケ湖を含む周辺地域は北海道による鳥獣保護区の指定を受けておりますが、条約登録を目指すためには国による鳥獣保護区への指定変更及び鳥獣保護区内における特別保護地区の
設定が必要となります。

 これらの指定に伴い、特別保護地区において工作物の新設や漁場造成等を行う場合には、その規模等に応じて新たに環境省に対する許可申請が必要となるなどの新たな規制が生じることとなります。

 市の取組状況につきましては、改めてラムサール条約についての理解を深めることを目的に、先月オホーツク総合振興局の職員を講師として招き、条約の概要や登録までの流れ、規制の内容などについての勉強会を開催し、自然保護団体、産業団体、市職員など約30名が参加したところであります。

 今後に向けてはラムサール条約の登録には地域の合意形成が何よりも重要であり、そのためには関係団体相互における積極的な意見交換を行い、それぞれの立場の違いやコムケ湖の保全と有効活用に対する理解を深めることが不可欠であると考えております。

 市といたしましては、引き続き各団体や関係者の方々の意見の歩み寄りが図られるよう努めてまいります。

 2点目のコムケ湖における自然環境の保全の取り組みにつきましては、従前から行っている定期的な湖沼水質調査、巡回、観察活動、外来植物除去やごみ清掃等の環境保全業務の市民団体への委託、ごみ回収などの活動支援、環境整備に関する補助などを行っております。

 所管する部署の検討内容と体制につきましては、自然環境の保全は河川、湖沼の水質調査業務を担う環境生活課環境保全係が担当し、本年4月からはコムケ湖地域環境保全に関することを事務分掌に明記しております。

 コムケ湖やオムサロ原生花園の環境保全事業に対するオホーツクの流氷と自然を守る寄附金の活用状況につきましては、コムケ湖の水質調査に要する経費に継続的に活用させていただいております。

【 再質問 】

〇野村淳一議員

 次に、ラムサールについてお聞きします。

 答弁は前回と全く変わりませんでした。ちょっと残念です。

 もう一回、改めてお聞きしたいんです。紋別市の姿勢についてお聞きします。

 平成25年に紋別市環境基本計画というのが策定されました。これ環境基本条例ができて、それに基づいて環境基本計画が策定された。

 これは市民も含めた策定委員会がつくられて、当時会長は青田昌秋さんでした、オホーツク流氷科学センターの。

 非常にエネルギッシュに、そして非常にリーダーシップを発揮されて、環境基本計画ができた。私も二、三回、それに傍聴に行ったことを覚えています。

 その環境基本計画の中で、この自然環境の問題の項で、紋別市の責務としてこう書かれている。コムケ湖についてですよ。『関係各団体の理解協力のもと、ラムサール条約登録を推進します』って、これ述べています。

 明確にラムサール条約を推進するというのが、この基本計画の中身、これを市の責務として平成25年に策定しています。この計画はいまだ変わってませんよね、変わってるはずがないんですね。これが基本方針だということで確認した
いんですが、よろしいですか。

○清水博昭環境生活課長

 お答えいたします。
 環境基本計画におけるラムサール条約の議論につきましては、当時そういった議論がなされましたわけでございまして、その考え方については変わってません。

 今市長の答弁にもございましたとおり、関係者といいますか、利害関係者の方々もなかなかの意見の食い違い等があるということで、今後とも歩み寄るような形で進めていければということで取り組んでいる現状でございます。
以上でございます。

○野村淳一議員

 わかりました。じゃあラムサール条約を推進する立場に変わりはないということで確認をしたいと思います。

 じゃあ、それでどうするかという話になるんです、次にね。次の取り組む行動は。

 それで、先ほど市長の答弁があったんだけど、勉強会、説明会というのは道の職員が来てやられたと、ついこの間です。私も参加させていただきました。いろいろと説明がありました。一番懸念されるのは、ラムサール条約による新たな規制が起こるんではないかという話だと思います。

 確かにラムサール条約になると、国の特別保護地区に指定をされます。しかし、そこで開発というのは今の事業とは何も変わりありませんよ、そのことを確認されたと私は思ってます。

 新たな開発をしようとするときに規制されるのは何かとい
ったら、その鳥獣に対して重大な侵害のおそれがある場合に、これが許可されない可能性があるんです。それが国の特別保護地区の規定なんです、許可されないというのは。

 コムケ湖を全部埋めたりされるなんてそんなような話全然出てこないので、私は基本的には今のままで十分できるし、産業活動と自然保護関係は共存できると思っていますが、改めて認識を教えてください。
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○副議長(鈴木敏弘君) 富樫企画調整課長。
○富樫豪志企画調整課

 お答えいたします。
特別保護地区の設定に伴いまして新たな規制が発生するということで、ただ場合によっては、内容によっては許可を要しないものもございます。これは野村議員ご承知のことでご質問されていると思います。

 ただ、規制が新たに発生するのではないかという懸念と生業へ対する懸念という部分が何かという部分は、例えば環境省のほうでかねてから幾度とともなくご説明をいただいておりますけれども、具体的な規制が発生するか、許可を要するかどうかの判断については、個別の具体的な案件が出てきた時点で個別に判断するという部分がこれまで環境省のほうから説明がされていると思います。

 この説明に対して、説明の内容は理解できても、それによって、では生業に対する懸念は払拭されたのかというと、団体によってはそういう理解がなされていないというところがございます。

 したがって、そういった部分で意見の隔たりもありますし、野村議員がおっしゃられるとおり、共存ができるのかもしれませんけれども、地域の合意形成というのが大前提になっている以上は、そのあたりの懸念が払拭されて、意見の歩み寄りを図るという部分が最も重要ではないのかなというふうに考えてございます。
以上でございます。

○野村淳一議員

 もちろん基本はそうです。やっぱり歩み寄って合意というのが前提です。これがなければ前に進むわけにいかない、これもそのとおりです。

 なので、ぜひ合意をとるように、私から見ればですよ。私から言えば、ぜひ合意をとれるように働きかけをしていただきたいと思うんですが、先ほど市長のご答弁にもあったように、歩み寄りに向けて働きかけをこれからもしていきたいというご答弁でした。何か具体的に考えられていること、検討されていることがあれば教えてください。

○富樫豪志企画調整課長
 
 お答えいたします。
 8月末にも野村議員もご出席のもとで勉強会を開催いたしました。その場でも考え方を、異なる考え方を現状ではお持ちになられている団体の方々もお集まりの上で勉強会を開催したんですけれども、そういった中でも意見の歩み寄りがあれば、なおよかったのかなというふうにも思います。

 今後も定期的に私のほうでも、団体のほうの意見を伺う機会があればぜひ伺っていきたいと思いますし、歩み寄りを図っていくためには、市だけではなくて団体の方々みずからがそういった姿勢を持ちながら意見交換を重ねるということも有効なのではないのかなというふうにも思ってございます。
以上でございます。

○野村淳一議員

 そういう取り組みをこれから地道にということだと思います。わかりました。

 私としては、これ実は2021年に第14回の締約国会議というのが開かれて、そこでラムサール条約の登録というのが世界的に出てくるんですね。

 できれば紋別のコムケ湖も、そこでラムサール条約に実に登録するということができれば一番いいかなと思うんです。そうなると、時間的にはあと一年しかないので、今がぎり
ぎりだということで、そういう取り組みをされてると思うんです。

 今言ったように、まだ時間の問題ではないので、それはそれで歩み寄っていく、もっと時間をかける必要があるのかな、私もそう思います。どちらにしても貴重なコムケの自然環境をどう保全するかということでは、これからもともに力を合わせていけるかなと思っております。よろしくお願いしたいと思います。



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