2020年6月25日木曜日

たとえ障害があっても安心して暮らせる街を~2019年第4回定例市議会一般質問②

 〇野村淳一議員

 次に、障害者福祉について何点か質問いたします。 

 1つは、障害者福祉分野における紋別市総合戦略のKPIの達成状況についてです。

 平成27年度に策定された紋別市総合戦略の重要施策の一つとして、障害者の就労環境などの整備促進を掲げ、平成31年度までにKPI、重要業績評価指標で就労支援事業所通所者を102人に増やし、グループホー ムを48床まで整備するとした目標値を立てました。

 これは障害者の安定的な雇用、訓練環境と居住の場を確 保し、障害者の定住化と保護者の将来的な移住促進を企図したものです。

 この就労支援と居住の確保は、親亡き後を含め、現在の障害者福祉において極めて重要で大きな課題となっており、その促進に大きな期待が寄せられています。

 今計画は、今年が最終年度です。そこで、これらKPI目標値に対する進捗の現状と課題、そして今後の取り組みについてお聞きします。 

モンベツベジタブルファクトリー

 2つ目は、その就労支援事業の一つの柱として2017年に開設された紋別ベジタブルファクトリーの運営についてです。 

 この施設は、就労継続支援A型事業として社会福祉法人紋別市百年記念福祉会に委託し、現在まで運営されています。

 この施設は当初、紋別高等養護学校の卒業生の受け皿としても期待されていましたが、その卒業生を含め、現在の障害者の就労状況と実績についてお聞かせください。 

 このベジタブルファクトリーの運営に関し、百年記念福祉会との契約は3年となっており、今年度で契約が終了することになります。

 そこで、来年度以降に向けた事業はどのようになるのでしょうか。百年記念福 祉会との協議状況を含め、その見通しについてお尋ねするものです。

 一般的に就労継続支援A型事業所は、 国による制度の改変により経営が厳しくなる事業所が多発しており、閉鎖に追い込まれる事態も少なくないと聞きます。

 ベジタブルファクトリーの運営については、どのような状況と判断されているのかお聞きいたします。 

 3つ目には、就労移行支援事業についてです。

 障害者が一般企業に就職することは大きな励みであり、自信にもつながります。その一般就労に向けて、訓練や教育、現場実習などの取り組みを継続的に行うのが就労移行支援事業と呼ばれるものです。

 2017年、 紋別市も一部運営費補助を行い、NPO法人みのりによって事業が開始されました。

 そこで、その後の実績についてお聞きするとともに、この事業に対してはどのような評価と認識をお持ちなのかお尋ねします。

 この就労移行支援事業に対する運営費補助は、当初の3年間とする決めだったのではないかと思いますが、い かがでしょうか。

 高等養護学校の卒業生を含め、就労移行支援事業は紋別市においてなくてはならない事業になっており、事業の継続が望まれます。

 事業費補助の扱いを含め、今後の対応はどうされるのかお伺いするものです。 

 4つには、障害者への配食サービスについてです。

 現在食の自立支援事業として、在宅で食事の支度が困難なひとり暮らしの高齢者などに夕食を届けるサー ビスが実施されています。

 その中には65歳未満で調理が困難な身体障害者も対象となっています。まず、こ のサービスを利用している障害者がいるかどうか、お知らせください。

 調理が困難という障害者は、何も身体障害者に限りません。知的障害者、精神障害者及び難病患者においても当然考えられることです。

 配食サ ービスの対象を身体障害のみに限定せず、必要と判断される障害者などにも適用を拡大するよう求めるもの ですが、いかがお考えかお聞かせください。 

北海道ろうあ連盟で金原事務局長(左)と意見交換

 障害福祉の最後に、手話言語条例の制定と聴覚障害者などへの支援についてお聞きします。 

 現在道内では、北海道を含め25の自治体で、いわゆる手話言語条例が制定されています。管内では網走市が今年制定いたしました。

 聴覚に障害を持つ聾唖者にとって、手話は私たちの日本語と同じように、まさに言語そのものです。

 手話言語条例は、手話を母語として位置づけ、聾唖者の権利と人権を尊重し、手話の普及に努め、ともに生きる社会をつくろうという理念を掲げた条例です。

 それは聾唖者への理解を広げる第一 歩になるものです。

 紋別市においても手話言語条例制定に向けた検討を始めるべきと考えますが、いかがでしょうか、お考えをお聞かせください。 

 また、紋別市の窓口などに聾唖者などが訪れた際、手話通訳者がいない場合に、北海道ろうあ連盟の手話通訳者と結ぶタブレットでやりとりをするサービスがあります。

 それらの利用も検討すべきと考えますが、 いかがでしょうか、見解をお聞かせください。 


〇宮川良一紋別市長

 次に、障害者福祉についてであります。 

 1点目の総合戦略KPIの達成状況につきましては、平成30年度実績といたしまして、障害者就労支援事業所の通所者数は目標値の102名に対し実績値は74名で、達成率は72.5%となり、障害者グループホームの居室の増加数は目標値の48部屋に対し実績値は32部屋で、達成率は66.7%となりました。

 課題といたしましては、市外出身の高等養護学校卒業生等の市内定着が図られていないことであり、今後生徒や保護者が求める就労、生活環境のさらなる確立を目指した取り組みを進めるため、特別支援学校や障害者自立支援協議会における就労支援部会との連携を強化し、就労先の開拓や職場理解の促進、新たな就労支援事業所の展開へ 向けた働きかけなど、障害者の市内定着に取り組んでまいります。 

 2点目のベジタブルファクトリーの運営につきましては、現在の就労状況と実績につきましては、本年 11月末時点で定員15名に対し13名の登録者がおり、高等養護学校の卒業生が6名就労しております。

 ベジタ ブルファクトリーの来年度以降の見通しと運営状況につきましては、さきに喜多議員のご質問にお答えした ことでご理解願います。 

《 喜多議員への答弁~ 

〇宮川良一紋別市長

 2点目の植物工場の運営状況につきましては、紋別ベジタブルファクトリーの位置づけは、紋別高等養護学校の卒業生などが本市で社会的、経済的に自立し、安心して生活が送れるよう、障害者就労支援の一環として公設民営の形で開設されたものであります。

 経営状況につきましては、法人側からは当初より赤字経営 が続いているため、経済的援助について要請がありましたが、市といたしましては通所者の拡大による収入の増加や経費の圧縮について改善の余地があると考えられるため、法人に対して積極的な経営改善を求めるとともに、今年度末まで半額減免としていた土地建物使用料について、まずは1年間の全額減免とする案を提示しているところであります。

 市の見解といたしましては、何よりも利用者の利益確保が最優先であると 考えていることから、事業運営の継続の可否も含め、早急に結論を出していただきたいと考えております。  》

 3点目の就労移行支援事業につきましては、事業開始後の実績については、これまで7名の通所利用があり、うち3名がB型事業所へ移行しておりますが、一般就労への移行実績はないと聞いております。

 また、就労移行支援事業所の開設以降、遠紋圏域にただ一つの事業所として活動を続けることで、就労を希望する障害者の訓練ニーズや特別支援学校卒業生のアセスメントニーズを受けとめ、本市障害福祉施策に大きく貢献している事業所と評価、認識しております。

 今後の対応につきましては、開設からの3年間は運営の面で 厳しいことが想定されたことから、これまで運営費補助を継続してきましたが、現状一般就労への移行実績がなく、報酬単価が低いため、さらに1年間の延長を行い、引き続き支援してまいりたいと考えております。 

 4点目の障害者への配食サービスにつきましては、サービスを利用している65歳未満の障害者は現在2名となっております。

 配食サービスの対象者拡大につきましては、利用者のニーズや必要性を把握した上、市内相談支援事業所にも意見を求めながら研究してまいります。 

 5点目の手話言語条例の制定と聴覚障害者等への支援につきましては、手話言語条例の制定に向けた検討につきましては、現在手話の会が休会中であるため、会の活動が再開された後に検討を進めてまいります。 

 遠隔手話サービス事業の利用につきましては、北海道では今年度から公益社団法人北海道ろうあ連盟の運営によりモデル事業を実施しているところであり、実施状況や事例等を参考とし研究してまいります。 


《 再質問 》

〇野村淳一議員

 障害福祉です。

 総合戦略の関係で、就労事業所に通う場合で障害者102人の目標に74人という話でありました。

 それから、グループホームを48部屋が32部屋ということでした。目標に達せなかった主な理由は何ですか。 

○大平一也・社会福祉課長兼臨時給付金対策室参事

 お答えいたします。 就労事業通所者数の74名ということなんですけど、A型、B型についてはそれぞれ合わせて72ということ なんですけども、一般就労の部分がなかなか伸びなかったという部分がございます。

 原因としましては、紋別高等養護学校、市外から通ってる紋別高等養護学校の卒業生の市内定着が図られなかったものが主な要因であると考えてございます。 

○野村淳一議員

 今さらあれなんですけど、実はこの総合戦略も平成27年度に決めたときの目標は73人だったんです。

 それを平成30年にあえて102人に拡大したんですよ。拡大するということは、それだけ見通しがあったんでしょう、根拠があったし。

 拡大すること自体悪いことじゃないんだけど、結果としては到底それには及ばなかったんです。

 そういう状況なんで、今後これは非常に重要なことなので、ぜひこれからも進めていただきたいと思うんですが、例えばA型、B型、これから定員を増やすとか、あるいは事業所が増えるとか、そういう見通しみたいなものはありますか。 

○大平一也・社会福祉課長兼臨時給付金対策室参事

 お答えいたします。 現状A型事業所、B型事業所ともに増えるという想定はしてございません。 

○野村淳一議員

 これから一つのかなめになっている就労支援事業所の存続、中身です。ぜひ市としても 支援できるものがあれば、支援していただきたいと思います。

  ベジタブルファクトリーについてお聞きします。 これ先ほども喜多議員の中で議論があったんで改めてお聞きしますが、ベジタブルファクトリーの運営は赤字なんですか、ちょっと確認します。 

○大平一也・社会福祉課長兼臨時給付金対策室参事

 お答えいたします。 ベジタブルファクトリーの経営状況につきましては、平成29年度も赤字となっておりまして、そういう実態となってございます。 

○野村淳一議員

 赤字ということは、それを誰が補填してるかということは、あれですか、百年記念福祉会が全体の事業費と運営費の中で補填してるということですね、そういうことしか考えられません。

 今、今年度で契約が切れるわけですから、来年度どうするかという話になってますね。この赤字を抱えてまでベジ タブルファクトリーが、福祉会もこれ運営するってなかなか簡単な話じゃないんですが、そういうことが一 つの契約の協議の一つのネックになってるということでよろしいんですか。 

○大平一也・社会福祉課長兼臨時給付金対策室参事

 お答えいたします。 開設当初から運営がすぐ軌道に乗るとは、市、法人ともに考えておりませんで、法人側も3年間の事業計画を立てて、プロポーザルをもとに3年契約を行っておりまして、これまで市としましては土地建物使用料の半額減免という形で支援しまして、あと特別支援学校のPR強化ですとか、野菜買取り業者への全額買取りの部分ですとか、側面的支援を行っておりまして、プロポーザルの中で運営側からも3年間の見通しとい うことで計画を出していただいてた部分がございます。

 その中で経営を行っていただいてもらってたんですけども、現在ちょっと赤字ということで、来年度以降、先ほど答弁にもございましたが、今まで半額でありました土地建物の使用料を全額減免という形で、利用者の利益を最優先と考えまして継続という部分で今協議をしているところでございます。 

○野村淳一議員

 どちらにしても先ほども議論があったように、このベジタブルファクトリーはA型事業 所として15人の定数で、それから高等養護学校の受け皿としても重要な意味を持っています。

 そして、この3年間、福祉園がきちんとノウハウを持ってやられてきました。

 なくすわけにはいかないし、できるだけ福祉園が引き続き経営を運営できるようにしていただきたいと思うんですが、これ先ほども議論があって、貸付料なんですよ、建物、土地、これ年間544万円余りですね。これを先ほどの答弁では1年間無料にするという話でした。

 この1年間って、これ何ですか、これ。どういうことですか。 

○長谷川恒・保健福祉部長兼臨時給付金対策室長

 お答えいたします。 1年間という形で答弁をさせていただきました。

 野村議員、喜多議員からありましたけど、3年間の建 物、土地の部分の契約が今年度末で一応切れるということで、それで施設側と法人側ともちょっとお話をさ せていただいたところでございます。

 その中で赤字運営が続いてるというような話をいただきました。

 いろいろ議論させていただく中で、うちとしては赤字の部分に対しての補填の部分で、答弁にもありましたように、半額から全額で来年度という形でお話をさせていただいた。

 うちの中では、もともと先ほど担当課長からありましたように、プロポーザルの中で3年間の収支が示されております。

3年間の中で徐々に黒字という形の、最初は赤字なんですけれども、黒字化にしていくというような、ちょっとシミュレーションみたいな形の収支をいただいてます。

 そこのところと今年いただきました決算状況を比較しますと、その中でやっぱり赤字を抱えてる部分の中身が、職員の人件費の部分が当初出されたシミュレーションの中から大きく変わって増えているという部分の点、それと利用者が今現在13名ということでご答弁させていただきましたけども、常勤で来られてる利用者の方が10名ということで、定員15名に対して5名ほどちょっと足りないとい う部分で、当初シミュレーションの中では18名程度と、13対18という形で5名ほどちょっと足りない部分が ありまして、そこの部分の利用者の方が足りないということで、議員もご存じかと思いますけれども、その中で運営費というか、給付費というのが国のほうから人数によって来る形なんですけども、以前出された収支と合わないということで、今年の話の中ではどうにかその部分を経費的な部分で見直しという形ができないかということで話をさせていただいて、うちのほうの提案とさせていただきましたのが全額減免という部分で話をさせていただいて、今現在法人のほうで協議いただいてるというような状況になってます。 以上です。 

(野村淳一君「いや、それ1年というのはどうして」と呼ぶ) すいません、申しわけございません。 1年の部分の答弁につきましては、法人のほうの話し合いの中ではあくまでも、先ほど言いました収支の改善ができるかどうか。そして、うちのほうの全額減免というか、土地建物全額減免がその部分で飲み込め るかどうかという部分も含めての中で、とりあえず1年間、こういう形で運営できるかどうかというのを今協議してるところな部分ですから、それでとりあえず1年間という形で答弁させていただいたものでございます。  

○野村淳一議員

 協議中だから、とりあえず1年間ということで捉えていいですね、はい。 なぜ赤字かということは、いろいろな解釈があるんです。

 収入が少ないんですよ、もともと。

 いわゆるベ ビーリーフを売った売り上げが、なかなか伸びないんです。

 もともと市がつくったシミュレーションは1年間2,400万円だったんですよ。ところが全然2,000万円いかないんです。それは今部長が言ったように、障害者の就労は1日大体1人4時間ぐらいなんですよ、実働で。

 それが10人あるいは15人という中で、面積当たりでは2,400万円かもしれないけど、実際実働すると、そこまでなかなか収入が伸びないということも実態としてあります。

 そういうことも含めて、ぜひ判断をしていただきたいというふうに思います。 

 どちらにしても赤字を抱えてまでというのも、向こうの事業所、法人もやっぱりそういうのを懸念するで しょうし、かといって市がそれに補填をするということもできないのかもしれません。

 しかし、せっかくつ くった施設ですので、先ほど言った建物土地の使用料も含めてそうですが、市のほうとしても安定的に継続できるように、市の対応を何らかの形でぜひお考えいただきたいと思います。要望にしておきます。 

 就労移行です。 就労移行も重要だということが述べられました。

 私も高等養護学校に行って、校長先生や進路の先生と話 をしてきました。

 B型事業所に子供たちが行く場合に、この就労移行が紋別にあることがどれほど助かって いるかということを述べられておりました。なくてはならない施設です。

 これも3年間だと言われていた運営費補助を、さらに1年間延長するという話でした。これはこれでありがたい話ですが、これも1年間というのもなかなか厳しい話で、ちょっとこれについてももう少し対応できないかと思うんですけど、いかがですか。 

○大平一也・社会福祉課長兼臨時給付金対策室参事

 お答えいたします。 今のところ一般就労の実績状況が不明ですので1年間ということでしておりますが、今後一般就労の実績割合で報酬単価も変動しますので、その都度事業法人と運営状況について協議いたしまして、随時検討してまいりたいと考えております。 

○野村淳一議員

 よろしくお願いします。

 障害者の配食に関してです。 ご答弁でわかるような、わかんないような、これから例えば相談支援事業所などとも協議をしながら、意見を聞きながら研究をしたいというお話でした。

 もともと障害の総合支援法という法律がありますね、これ は皆さん方、今障害の何よりもかなめになっているんです。

 ここでは身体も知的も精神も難病も含めてです が、いわゆるこの3障害の区別しちゃいけないんですよ。それが法の精神ですし、それが皆さん方の障害福祉の精神だと思うんですよ。

 身体障害者に限ってますから、今回の配食サービスは。

 その点から考えると、 これはもう研究するも何もなしに、私は全ての障害、必要だと判断したら実施すべきだと思いますが、改めていかがですか。 

○大平一也・社会福祉課長兼臨時給付金対策室参事

 お答えいたします。 当然障害について区別等々というのはないと考えてございますが、障害者の自立という部分で主に考えていきますと、サービスがあることによって現在自分でできている方もそちらのほうに行ってしまって楽をすると言ったらおかしいですけども、やらなくなってしまうという部分もありますので、あくまでも障害者支援という中で自立という方向を目指すのも一つの方向性ではございますので、その部分、支援事業所の意見も伺いながら研究してまいりたいと考えてございます。 

○野村淳一議員

 そういうことです。ぜひ判断してください。例えばひとり暮らしで精神のあるいは知的の障害者が、配食サービスがあることによって自立して一人で暮らすことができる可能性も出てくる。

 そういうことも自立にもつながるので、そういうふうに判断していただきたいと思います。

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