士別市と稚内市は同じテーマーー「開業誘致制度」についてです。
この制度は、開業医を市外から誘致するために助成金を支給するというもので、両市ともすでに実績をあげています。
紋別市でも広域紋別病院の医師確保とともに、地域医療を支える開業医の減少と高齢化は大きな課題となっています。
その開業医をどうやって誘致しているのか、両市の取り組みをぜひ知りたくてお邪魔しました。
この制度を全国で最初に手掛けたのが稚内市で、次いで実施たのが士別市です。日程の関係上、まずは士別市から訪ねました。
士別市が「開業医誘致制度」を策定したのは7年前。
当時、開業医は4医院しかなく、センター病院である士別市立病院に患者も救急も集中し、医師の負担がピークに達してました。
しかも、医師の高齢化でさらに開業医が減る事態となっていたのです。
このままでは医療は成り立たないと、稚内市の実践をもとに策定されたのが「士別市開業医誘致条例」でした。
制度の内容は、市内に10年以上開業することを条件に、クリニック開業に係る土地取得、建設、設備などの費用の一部を助成するというもので、総額最大4000万円程度の助成となります。
この制度を実施した結果、2つの内科のクリニックが開院し、来年には整形外科のクリニックも開院する予定だといいます。
確かに安い助成額ではありません。
「でも」と士別市の担当者は「今では医師一人招へいするのに年間2000万円程度の給与が必要です。そう考えたら、この地域にずっと開業してくれる医師が増えることは決して無駄ではありません。住民の健康と安心をつくるうえで、十分役立つ施策だと思っています」と話されました。
ついでお邪魔した稚内市でも、この開業医誘致制度をつくった動機は同じです。一次医療を支える開業医の高齢化と減少。その危機感から、この制度が生まれました。
とはいえ、全国で初めての制度だけに、庁内にプロジェクトチームをつくり、検討を重ねたといいます。
でもなぜ、市立稚内病院の医師誘致ではなく、開業医誘致なのか。
身近なかかりつけ医=開業医を増やすことで、適切な医療を提供できる。そして、一次医療と二次医療の役割を明確にすることで、地域全体の医療と住民の健康を向上すること、拡充することができる。ーー稚内市の挑戦がスタートしたのが平成18年4月でした。
それからこれまで、すでにこの制度を活用して5つのクリニックが誕生しています。
その内容も多彩で、内科はもちろん、整形外科、小児科、耳鼻咽喉科と、市民にとって身近なかかりつけ医として利用されています。
その一つ、小児科のクリニックを訪ねました。
名寄市でも、この「開業医誘致制度」を来年度から実施する計画だといいます。
紋別市でも、地域医療を土台で支える身近な開業医の体制をしっかり支え、強化することが必要です。
そのための具体的な施策が、今こそ必要なのだと、強く感じた視察でした。
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