2021年5月7日金曜日

障害者雇用と発達支援の充実を~2020年第4回定例市議会一般質問③

 〇野村淳一議員

 次に、障害者及び障害児などの福祉事業について質問いたします。 

【紋別市役所ー障害者雇用未達成で国から『勧告』】 

 障害者の就労と定着に向けた支援は、総合戦略にも位置づけられているように、紋別市の重要な政治課題の一つです。

 そこで、紋別市役所における障害者の採用と雇用について取り上げたいと思います。 

 ことし3月31日、北海道労働局から、法定雇用率2.5%の達成に向けた改善が見られなかったとして、4市9町2村4公立病院の計19機関に適正実施勧告が出されました。 その中に残念ながら紋別市が含まれています。 

 そこでまず、この内容と状況をお聞きするとともに、障害者採用計画に基づき、どのような取り組みが行われてきたのか、お伺いします。そして、この勧告を受け、どのように対応され、現状はどうなっているのか、お尋ねするものです。 

 また、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正により、地方公共団体の責務として、みずから率先して障害者を雇用するよう努めなければならないとして、ことしの3月31日までに障害者活躍推進計画を作成し、公表することが義務づけられています。

 その際、地方公共団体は、障害者雇用推進者と障害者生活相談員を選任しなければならないとしています。 

 紋別においては障害者活躍推進計画の策定はどうなっているでしょうか。いまだ公表されていませんが、その策定状況をお聞きするとともに、庁内における障害者雇用推進者と障害者生活相談員の選任者についてお尋ねします。 

 いずれにしても、障害者雇用の範となり、モデルとなるべき市役所において勧告を受けるという今回の事態を決して見過ごすことはできません。今後、身体、知的、精神の3障害の区別なく、また、障害の重さにかかわりなく、障害者が周囲の理解と合理的配慮のもとで生き生きと働き続けられる市役所をつくることが必要ですし、何よりも急がれています。

 そのためにも、一般障害者の採用はもちろんのこと、紋別高等養護学校の卒業生の積極的な採用を進めること、さらに、職場環境の整備や障害者への理解を高めるためにも、ジョブコーチなどの採用を位置づける必要があると考えますが、いかがお考えか、お尋ねします。 

【日中一時支援事業への支援を】

 障害福祉サービスにおける地域生活支援事業の一つに日中一時支援事業があります。 

 これは、障害者や障害児の日中における活動の場の確保と見守り、それに家族の一時的な休息を図る事業として紋別市内でも幾つかの事業所で開設されています。 

 この日中一時支援事業は、各市町村が実施主体となって運営しており、紋別市でも利用者は拡大し、既になくてはならない事業になっています。

 この事業の運営にかかわる経費、いわゆる報酬単価はそれぞれの市町村が独自に決定しており、市町村で差が生まれています。 

 紋別市の場合、平成18年にこの事業が導入されてからこの間、一度も報酬単価の改定がされず、据え置かれたままになっています。

 この15年間、国による障害者サービスの報酬単価は、スタッフの待遇改善を含め、数度にわたり引き上げられてきました。消費税も当時の5%から10%へと引き上げられ、経費も増加しています。 

 そこで、お聞きします。紋別市においても日中一時支援事業の報酬単価を見直し、引き上げを実施すべきと 考えるものですが、いかがお考えか、見解をお聞きします。 

【切れ目のない発達支援の取り組みを】

西紋発達支援センター「すてっぷ」

 子供の発達支援は、西紋発達支援センター「すてっぷ」の開設で質的にも向上していると思います。

発達障害など、子供の状況からその違いに気づき、その違いを理解し、その違いに適切に支援することが何より重要です。そして、幼児期から小学校、中学校そして高校と、一貫した包括的な支援を続けることが何より求められています。 

 そのためにも、各関係機関との連携の強化をはじめ、保健師、保育士、教師など、関係者の知識と技術の向上を図ることが何より重要です。

 発達に障害のある子供たちの不安とその保護者の皆さんの戸惑い、その大きな困難にしっかり寄り添い、支援できる仕組みが何より必要なのです。

 紋別市として、子供の発達支援について、どのような認識のもと、どのように取り組み、どのような方向性を持って今後進めていくおつもりか、それぞれお聞きするものです。 

 その上で、ますます対象児童がふえる傾向の中、「すてっぷ」の果たすべき役割は極めて重要だと考えます。その体制強化を図るとともに、療育活動の充実とアウトリーチの実践的取り組み、質的向上に向けた研修会の開催や関係機関との連携強化など、まさに西紋の発達支援の中核として「すてっぷ」の取り組みが期待されています。 今後どのような役割を担うべきとお考えか、その方向性についてお聞きします。 

【「ひきこもり」など制度のはざまで孤立する人への支援を】

  いわゆるひきこもりは、現代において今や社会的な問題として、その対応と解決が強く求められています。

 さきの議会でひきこもりへの対策を求めた私の質問に対し、市長から、ひきこもり支援検討委員会を設置し、実態把握のもとで専門的で包括的な支援体制を構築するとの前向きなご答弁をいただきました。まず、これに基づいた現状の取り組みと今後の方向性をお聞きします。 

 親が80代、子供が50代でひきこもるなど、親子で生活に困窮する8050問題、親の介護と育児を同時に担うダブルケアなど、複合的で深刻な課題を抱える家庭がふえています。

 このような家庭に対し、一括して相談に乗れるよう、市町村に財政面で支援する改正社会福祉法が6月に成立し、来年4月から施行されます。 

 これまで、分野ごとに相談窓口が分かれ、時にはたらい回しや、情報が共有されず、支援が途絶えてしまうケースもあるなど、その改善が全国的に求められていまし た。

 今回の法改正によってそれがどう改善するのか、どのようなことが可能となるのか、紋別市としてはどのように対応するお考えか、見解をお聞かせください。


〇宮川良一市長

 次に、障害者等への福祉対策についてであります。 

 1点目の紋別市の障害者雇用に関し、適正実施勧告の内容と状況についてですが、平成30年6月1日現在で地方公共団体等に課せられている法定雇用率2.5%を達成できておらず、昨年1年間の障害者採用計画においても未達成の機関に勧告を行うものであり、未達成の本市が勧告対象となったものであります。 

 障害者採用計画に基づく取り組みにつきましては、年度ごとの採用人数を定め、人材の確保に向け、障害者就業支援センター等との情報交換を行ってまいりました。 

 勧告を受けてどのように対応し、現状はどのようになっているかについてですが、 ハローワーク等との連携を密にし、職員採用応募者の確保に努め、本年の基準日である6月1日以降の採用になりますが、1名の採用を行い、現在、本市は法定雇用率を達成している状態にあります。 

 障害者活躍推進計画の策定状況につきましては現在作成中であり、本年度末の策定を予定しております。 

 障害者雇用推進者と障害者職業生活相談員の選任状況につきましては、厚生労働省の通知による選任資格により、大卒後2年以上の雇用管理の実務に従事した経験を有する者とあり、庶務課長を選任しております。 

 高等養護学校卒業生の積極的な採用やジョブコーチの採用につきましては、本年2月に人事担当職員が紋別高等養護学校企業向け見学会に参加し、授業見学や障害者雇用に関する説明等を受けており、今後、市役所でどのような就労が可能なのか、学校と情報交換を図ってまいります。 

 ジョブコーチにつきましては、専門性の高い人材確保に向けて、関係機関等からの情報収集に取り組んでまいります。 

 2点目の日中一時支援事業についてでありますが、議員もご承知のとおり、報酬単価の引き上げは利用者負担金の増額にもつながることから、本市といたしましては、今後、近隣市町村の報酬単価等を調査するなど、見直しの必要性も含め、検討してまいります。 

 3点目の子供の発達支援についてであります。子供の発達支援に対する本市の認識についてですが、少子化が進行する中、発達障害においては、全国的傾向と同様に西紋地域も増加傾向であることから、その対策にいち早く対応するために充実した療育を行う拠点整備が必要との認識のもと、西紋こども発達支援センターを開設したところであります。 

 現在の西紋こども発達支援センターの取り組みといたしましては、聴覚検査室の設置や体幹機能を強化できる感覚統合遊具など、新たな機能を備えたことでハード面での療育が充実したことや、ソフト面では、療育アドバイザーの学校や保育所等に赴いての発達検査、カンファレンスに加え、教職員や自治体職員など、関係者を対象とした研修会、事例検討などの勉強会のほか、本年は、当センター職員の資質向上のため、リモートで複数回に及ぶ専門研修を受講していただくなど、不足する専門職の補塡と関係職員の質的向上に取り組んでおります。 

 また、方向性につきましても、さきの人材育成に加え、職員体制強化に向けた作業療法士など、専門職員確保を考慮しながら、西紋地域全体で充実した療育が受けられるように事業展開してまいります。

 今後どのような役割を担うべきかにつきまして、現在、療育アドバイザーや外部講師による支援を受けているところでありますが、将来的には、当センターが中心となり、発達検査や保護者へのカンファレンス、保護者や教職員など、関係者への療育指導を実施してまいりたいと考えております。

 また、発達におくれのある幼児の早期発見、早期療育につなげるべく、こども園や保育所等への訪問に加え、地域課題対策会議にて、教職員や保育士などの課題解決に向けて取り組むとともに、就学に向けた教育相談への関与など、関係機関との連携強化を図りながら拠点施設としての役割をさらに拡充するよう努めてまいります。 

 4点目のひきこもり対策に関し、現状の取り組みと今後の方向性につきましては、新年度からの事業実施に向けて専門機関であります北海道ひきこもり相談支援センタ ーからのアドバイス等をいただきながら調整を進めております。

 また、社会福祉法等の一部を改正する法律によってどのようなことが可能となるのかについてですが、地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズに対応するため、包括的な福祉サービス提供体制を市町村が構築する場合、国から新たな財政支援を受けることが可能と認識しております。 

 本市といたしましては、ひきこもりなど、制度のはざまで孤立した人や家庭への支援の充実に向け、引き続き取り組んでまいります。 


【 再質問 】

〇野村淳一議員

 今回、紋別市役所の障害者の雇用の問題を取り上げましたが、私は、これまで、障害者の就労について何度も議会で取り上げてきました。総合戦略でも、高等養護学校の卒業生について、5人、10人と、一般就労に取り組むということが書かれていました。

 ところが、市役所という足元では勧告を受けなければならないような事態だったのです。私はびっくりしましたし、がっかりもしました。非常に残念ですし、遺憾です。

 しかも、つくって公表していなければならない障害者活躍推進計画がまだつくられていないとのことです。 

 この事態からは、障害者雇用と口では言うけれども、その本気度がどうなっているのかというところに疑問を持たざるを得ないのです。改めて、どのような認識をお持ちですか、お聞きします。 

 ○小林昌史庶務課長

 お答えいたします。障害者雇用につきましては、法定雇用率について、今回勧告を受けたのは事実で、深く受けとめております。

 その後、採用計画をもとに募集し、先ほど答弁いたしましたけれども、ことしの基準日以降、1人を採用したことによって法定雇用率に達している状態にあります。 

 私も相談員の選任を担っており、これから講習を受けるべき立場にありますけれども、コロナ禍の中でうまく進んでいないというところもあります。とはいえ、令和3年の4月1日から、法定雇用率が2.5から2.6に引き上げられることになっておりますので、採用に向けた準備等をしていきたいと考えております。 

 ○野村淳一議員

 そうなのです。来年度から2.6になるのです。ですから、課題はまた出てきます。これは当然だと私は思っていて、法定雇用率を超えればいいというだけの問題ではないわけで、生かしていくといいますか、障害者の雇用をどんどんとふやしていくことの範をぜひ皆さんに示していただきたいと思います。 

 だからこそですが、ことし、社会福祉課に障害者雇用担当の参事がついたのですよね。ところが、この間に行ったら、その参事が人事異動でいなくなっていたのです。では、誰かがそれを補完するのかといったら、誰もいないのです。 

 紋別市ではヘジタブルファクトリーの問題なんかもあったから、就労担当を課長職としてちゃんと置いたのだなと思い、これからの動きに注目していたら、人事異動でいなくなってしまったのです。どうしたのかなと思いますし、非常に残念でなりません。 

 どうやって補完するのか、どうやって強化するのか、その体制が必要だと思いますが、それについてはどうお考えですか。 

 ○牧野昌教総務部長

 人事の関係でございますので、私からお答えをさせていただきます。 

 まず、参事を異動させたことについてですが、ことしの大きな仕事でございましたベジタブルファクトリーに関し、来年からの請負業者が決定したということがあります。

 ただ、議員からもご指摘があったとおり、職員があそこに座って雇用先を開拓しようと思ってもなかなか難しいというようなことがございまして、さきの議会でも答弁させていただいたように、来年度からは専門職員を確保したいと考えております。 

 なお、これは内部の事情ではございますが、病気によって職員が休職になった部署があり、そこに職員を補充しなければ今後の業務が立ちいかないという状況になったことから、参事を異動させました。 

 ですから、決して後ろ向きではなく、来年度に向け、人材確保に動いているところでございまして、来年度からは議員のご希望のような専門職を配置したいと考えておりますので、ご理解をお願いいたします。 

 ○野村淳一議員君

 期待をしたいと思います。ただ、いなくなったのにびっくりしたのです。一生懸命相談していたものですから、よろしくお願いします。 

 次に、日中一時支援事業についてです。 現状を教えてください。今、市内には何カ所あり、利用している障害者は何人いらっしゃいますか。 

 ○大平一也社会福祉課長

 お答えいたします。 市内の事業者数は、10月末現在ですが、7事業所となっておりまして、利用人数は50名となっております。 

 ○野村淳一議員

 単価の引き上げについては検討するという話でした。自己負担が出る可能性があるのです。ただ、皆さんもよく知っているはずですが、障害者の皆さんはほとんど出ませんよ。場合によっては親がいる障害児については可能性があるかもしれません。

 しかし、実際は、事業所では日中一次支援事業に関してはどこも赤字ですよ。ほかの事業からお金を補塡してやりくりをしているのです。

 紋別市の事業が赤字になっている現状があるので、これはしっかりと見直さなければならないと思います。 そういう方向性ということでよろしいでしょうか。 

 ○大平一也社会福祉課長

 お答えいたします。議員のおっしゃられることは十分に把握してございますが、それも含めまして、答弁もいたしましたが、近隣市町村の報酬単価等を調べるとともに、利用者の負担増についての見直しの必要性も含め、検討してまいりたいと考えております。 

 ○野村淳一議員

 早急に、そして、ぜひ前向きにやっていただきたいと思います。事業所では約50人の障害者、障害児の活用があるのです。それなのに事業所の不利益になるようなことがあってはならないので、よろしくお願いします。 

 次に、ひきこもりについてお聞きします。以前、市長は、委員会の設置や現状把握、さらには、専門的、包括的にやる取り組みだということを答弁していましたが、その方向性でやることは間違いないのですか、 確認させてください。 

 ○大平一也社会福祉課長

 お答えいたします。答弁いたしました委員会の設置や窓口の明確化等につきましては、専門機関であります北海道ひきこもり成年相談センターと協議し、助言等をいただきながら、来年度の実施という方向で進めております。 

 ○野村淳一議員

 ひきこもりの問題はなかなか表面に出てきませんが、極めて大きな問題だと私は思っています。ワンストップ相談窓口をぜひつくっていただきたいと思います。 

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