2021年5月7日金曜日

高齢者に安心と生きがいを~2020年第4回定例市議会一般質問②

 〇野村淳一議員

 次に、介護保険と高齢者福祉について質問します。 

【第8期介護保険事業計画と介護保険料の見通し】 

 現在、第8期の介護保険事業計画の策定作業が続いていると思います。そこでまず、今回の介護保険事業計画のポイント、基本的指針についてお聞きするとともに、主な新規の事業予定についてもお聞きします。

 その上で、来年度からの介護保険料の動向と見通し及び値上げの抑制に向けた対策についてはどのようにお考えか、お尋ねします。 

 また、現第7期計画では、小規模多機能型居宅介護の整備が挙げられておりました。第7期計画は今年度で終了するわけですが、どのような整備状況となっているのか、お聞きします。 

【医療と見守り体制の充実で、誰もが安心の認知症対策を】

 介護計画の基本指針の中でも重要な柱の一つに認知症施策の推進があります。まず、現在、市内において認知症の高齢者はどの程度存在し、今後どの程度増加すると考えているのか、お尋ねします。 

 認知症の対策では、共生と予防が重要な取り組みとなってきます。たとえ認知症になっても地域の中で安心して暮らせる体制づくりが求められているのです。

 その一つ に認知症患者の早期診断早期対応に取り組む認知症初期集中支援チームの活動があります。まず、その活動内容と実績についてお知らせください。 

 さらに、認知症高齢者が徘回し、行方不明などになった場合の対応と対策も重要です。そのため、いわゆるSOSネットワークなど、関係機関や市民と連携した見守りと捜索の仕組みが必要となっていると考えます。紋別の場合、どのような状況で、どのような仕組みとなっているのか、お尋ねします。

 認知症のお年寄りが徘回などによりトラブルや事故を起こしてしまう場合も少なくありません。時には大きな損害を与え、家族の賠償が問題になることもあります。

 そういう場合に備え、自治体が個人賠償責任保険に加入し、損害を救済する制度が広がっています。全国では50を超える市町村で、北海道では北広島市などで導入され、本人や家族を街全体で支える取り組みとして注目され、喜ばれています。

 認知症の高齢者が住みなれたまちで安心して暮らしていける共生のまちづくりを進める上でもぜひ実施に向けた検討をすべきと考えますが、いかがでしょうか。 

【交通弱者対策と補聴器購入助成の実現をーニーズ調査の結果から】

 今回の介護保険事業計画の策定に当たって、高齢者の生活実態調査やニーズ調査が行われたと思います。そこに示されたアンケートの数字や高齢者の切実な言葉をいかに計画に反映させるかが重要であり、そうしなければならないと思います。

 私もこれら調査結果を拝見させていただきました。在宅で介護認定を受けていない高齢者の方々の要望の中で最も多かったのが足の問題です。いわゆる、交通弱者の課題です。 

 高齢者の声の一部ですが、「足腰が悪いので、ハイヤー券を出してほしい」「バス券よりハイヤー券にしてほしい」「バスは乗るのに遠い、年金生活でタクシーばかり乗ると大変」などです。

 紋別市のタクシー助成券は、要介護認定者が条件のため、これらの方々には適用されません。

 これからの介護予防の観点から言えば、これらの声は極めて重要な指摘であり、具体的な施策が求められていると考えているものです。そして、これらの声を無視すべきではありません。 

 これら交通弱者と言われる高齢者の声に対して、紋別市はどのような見解と対策をお持ちなのか、お尋ねするものです。 

 また、その要望の中に、「グループ活動はしてみたいが、耳が聞こえないので足が向かない」という声がありました。

 私は、議会の場で加齢性難聴者への補聴器購入助成を求めた経緯がありますが、その際、アンケート調査を活用し、ニーズや実態の把握に努め、今後研究したいとの答弁でした。 

 さらに、今回のアンケートでは、7%の高齢者が耳の聞こえの障害で外出を控えているという結果も出ています。この数字は決して少なくありません。

 これもまた介護予防の観点からも重要な視点であり、無視できない現状です。 これらを受け、補聴器購入の助成に向けた取り組みについて、どのように判断されているのか、お尋ねするものです。

【あってはならない、財政的インセンティブによる介護抑制】

 2017年に介護保険法が改正、いわゆる地域包括ケアシステム強化法が制定されました。

 ここでは、市町村が保険者機能を発揮して自立支援、重度化防止に取り組むこととされ、介護保険計画にその取り組み内容と目標を記載し、達成状況を公表することが義務づけされました。

 それと同時に、国がその達成度を評価、点数化し、それに応じて保険者機能強化推進交付金を支給する仕組みが持ち込まれました。

 これは、介護からの自立、言いかえれば、介護保険からの卒業を出せば出すほど国からの交付金が多く支給されるという仕組みです。これは、結果として、要介護認定者数を抑制し、サービス利用を抑え、介護給付費を減らすことに市町村を誘導することになりかねず、そこにこそ国の狙いがあると考えるものです。 

 そこで、昨年度の国による評価の内容と保険者機能強化推進交付金の交付額を聞くとともに、今年度の見通しについてもお尋ねします。 

 また、第8期介護保険事業計画に記載する自立支援、重度化防止に向けた取り組み内容と目標についてお聞きするとともに、保険者機能強化推進交付金をどの程度見込んでいるのかもお尋ねします。 

 いずれにしても、高齢者の介護予防と重度化防止は重要な課題であることは間違いありません。しかし、その取り組みは、その人の状況と能力に応じてきめ細かに対応、支援するべきものです。

 交付金というあめをぶら下げ、介護抑制につなげようとするこれら国の財政的インセンティブに対する紋別市の見解をお尋ねするものです。 


〇宮川良一市長

 次に、介護保険と高齢者福祉についてであります。 

 1点目の第8期介護保険事業計画に関し、今回の改正ポイント、基本的指針と主な新規事業予定についてですが、国の基本指針といたしましては、団塊の世代が75歳になる2025年、団塊ジュニアが65歳になる2040年を見据えた基盤整備や地域共生社会の実現などが挙げられますが、中でも、介護離職を防ぐためには、特別養護老人ホームや有料老人ホームなど、高齢者の住まいの確保が重要視されており、本市といたしましても、計画改正のポイントとして、地域密着型特別養護老人ホームの新設を予定しております。 

 介護保険料の動向と見通し、値上げ抑制に向けた対策につきましては、今後の要介護認定者の増加も見据え、介護保険料の上昇は避けられないと考えており、基金を活用した保険料の抑制を図ってまいりたいと考えております。

 第7期計画における小規模多機能の整備状況につきましては、コロナ禍の影響もあり、当初の予定よりおくれておりますが、令和3年度中の開設を見込んでおります。 

 2点目の認知症対策に関し、現在の市内の認知症高齢者数と今後の増加の見通しについてですが、認知症で日常生活に何らかの支障があるとされる要介護認定者は、第8期計画では、今後3年間は850名程度で推移すると見込んでおりますが、認定を受けていない軽度の認知症の方や長期入院の方の人数は把握できない状況であります。 

 認知症初期集中支援チームの活動内容と実績につきましては、専門の研修を受けた認知症サポート医と地域包括支援センター職員が在宅で40歳以上の方が認知症と思われる行動、心理症状で、生活に支障があるとされる方について、早期対応、早期診断により医療機関への安定的な受診や介護のサービス利用につなげ、本人や家族の負担を改善する役割を担っており、本年度の実績として支援対象件数は12件となっております。

 見守りと捜索の仕組みと状況につきましては、認知症高齢者の徘回など、行方不明になった場合は、高齢者、障害者、児童も含め、警察に家族等から捜索願が出された際に市が実施するメール配信を活用した行方不明者の情報の発信を希望されたときは24時間体制で受け付ける体制をとっております。

 このほか、地域包括支援センターでは、介護サービス事業所などの利用者または家族が見守り登録を希望した場合に、事業所間で情報を共有し、捜索をする見守りネットワーク事業を実施しております。

 市が個人賠償責任保険に加入し、損害を救済する仕組みを検討すべきと考えることにつきましては、認知症高齢者の個人賠償責任保険は、JR東海の認知症高齢者事故など、高額な賠償を請求されるケースは考えられますが、本市では、踏切事故などの多大な損害賠償が発生する可能性は低く、実施は考えておりません。

 3点目の高齢者ニーズに応えた交通弱者対策と補聴器購入助成についてでありますが、バス助成事業とタクシー料金助成事業の両事業を実施している自治体が少ない中、本市のタクシー料金助成事業は、介護度の要介護1以上と、対象範囲も広く、介護タクシーの利用も含めるなど、利用者に配慮した内容となっておりますことでご理解願います。

 補聴器購入助成につきましては、機種の選定で良好な聞こえが得られない事例もあり、医師と専門業者につながる障害福祉サービスへの相談を促すべきものと考えますので、高齢者を対象とした補聴器の購入助成は考えておりません。

 4点目の保険者機能強化推進交付金に関し、昨年度の評価の内容と交付額についてですが、主な評価内容としては、地域包括支援センターの人員体制、事例検討の件数、認知症総合支援として、地域ケア会議の開催状況、初期集中支援チームの設置状況、生活支援体制整備の地域資源のネットワークの構築などがあり、昨年度の交付額は414万8,000円となっており、今年度はこれに保険者努力支援交付金が加わり、800万円程度を見込んでおります。 

 第8期計画に記載する自立支援、重度化防止に向けた取り組み内容と目標につきましては、高齢者が引き続き住みなれた地域で暮らせるよう、地域密着型サービスの拡充に向け、参入事業者と計画の趣旨や目標を十分に共有した中で新規開設を目指します。 

 また、重度化防止に向け、地域支援事業の取り組みや医療保険との連動、ケアマネジャー連絡協議会を通して基本方針の共有を引き続き図ってまいります。 

 第8期計画で交付額をどの程度見込んでいるかについてですが、今年度と同程度の約800万円を見込んでおります。 

 国の財政的インセンティブに対する市の見解に関し、保険者機能強化推進交付金と保険者努力支援交付金については、保険者と医療機関、介護事業者、地域住民が密接な連携のもと、介護予防や重度化防止はもとより、住みなれた地域で適切な介護サー ビスを受け、暮らしていける取り組みを評価されるものと考えており、介護保険利用者の抑制につながるといった認識はありません。 


【 再質問 】

〇野村淳一議員

 次に、介護保険についてです。 

 介護保険の保険料の値上げの問題です。やむを得ないという話でしたが、答弁で介護給付費準備基金の活用のことが言われました。今、どの程度の金額を繰り入れるお考えですか、そして、それは1人当たりどのぐらいの効果があると計算されていますか。 

 ○飯田欣也介護保険課長

 基金の繰り入れについてですが、現在、まだ1億6,000万円がありまして、これをどう崩すかという計算には至っておりません。ただ、今想定している中では、第7期は5段階で4,650円ですが、プラス300円から500円ぐらいになるような予定でございます。 

 ○野村淳一議員

 準備基金が1億6,000万円ということでした。しかし、これは被保険者の方々が支払ったものですから、100%還元をして、抑制のために使うべきだと考えますが、この問題についてはまた改めて具体的な数値が出てきたときに議論をしたいと思います。 

 次に、認知症の問題です。私は、賠償責任保険の問題を取り上げました。これは、徘回したお年寄りがJR事故を起こし、多額の賠償ということが問題になったことがきっかけですが、これだけではないのです。

 例えば、店のものを壊した、人の物を壊した、あるいは、ぶつかってけがをさせたということもあって、本当にいつでもどこでも起こり得る話なのです。 

 SOSネットワークに登録した段階で加入できるというものです。1人当たりの保険料は年間で数千円です。

 でも、それで地域で安心できますし、本人もそのご家族もです。非常にいい制度だなと思っているのですが、もう一度ご答弁をいただけますか。 

 ○飯田欣也介護保険課長

 お答えいたします。 損害保険に加入している方の保険料は数千円程度ですけれども、個人賠償や損害保険に入っている方ですと特約等の追加で入れるようなものもありますので、これにつきましては市のほうでというような考えは今のところございません。 

 ○野村淳一議員

 これについては改めてお願いすることになろうかと思います。 


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