武藤さん(右)と
3月議会の一般質問で、「誰も置き去りにしないやさしいマチづくり」を一つのテーマにしようと考えました。
コロナ禍の中、特に社会的に弱い立場の人が苦境に追い詰められているのではないか、孤立し、置き去りにされているのではないか、という問題意識がありました。
そこで、障害者、生活保護、ジェンダー問題。そして、LGBT・性的マイノリティについて取り上げることにしたのです。
LGBTには関心をもっていたものの、その問題の本質を語るにはまだまだ未熟です。
そこで2月、札幌に出張で出かけるにあわせ、ぜひお会いしたいと、初対面ながら突然メールし、快く承諾してくださった方が「レインボーファミリー」の代表・武藤義弘さんです。
札幌エルプラザの一室で、たっぷり2時間、貴重なお話を伺うことができました。
それは私にとっても、強い刺激と深い思いを感じさせてくれるものでした。話は尽きませんでした。
「レインボーファミリー」は、LGBT当事者とその親たちの交流と相談支援、理解を広げるための講演活動などを行っています。
主に「LGBT親子交流会」を開催し、LGBTの悩みやカミングアウトまでの経緯、親子関係の変化など、カフェの形式で自由に参加しながら交流しているといいます。
LGBT、性的マイノリティという言葉は広がってきていても、当事者の思いや悩みは親子であっても、親子であるからこそ、深いものがあるといいます。
それは、武藤さん自身の経験でもあります。
「私は小さいころから女性アイドルの振り付けで踊るのが好きな子でした。特に中学生の時は、女のようだといじめにあいました。男らしくしようとしても、それができない。自分がわからなくなりました」
「同性が好き。こんな変態は札幌で自分一人だけだと思っていました。でも、コンビニでアルバイトをしていた時、ふと目にとまった雑誌に『同性愛者として生きる』という記事があったんです。そこに載っていた連絡先に思い切って電話しました。そこから自分だけじゃない。同じ悩み、同じ思いを感じている仲間がいることを知ったのです。そして、自分を受け入れられたとき、母にカミングアウトしました」
武藤さんお話は、一片のドラマを見ているようでした。
「自分がわからなくなる」という言葉には、重いものを感じました。
LGBT・性的マイノリティの方は人口の8%といわれています。
「男だから」とか「女らしく」とかの無意識の思い込みが、彼らの居場所を狭めています。
武藤さんはいま、学校などへ出向いて子どもたちに講演活動を行っています。
人はそれぞれ違っていい。多様な人がいていい。それが社会の姿だと。
でもまずは、子どもたちより前に、先生方に講義するのだそうです。なんだかわかる気がします。
私自身、今回武藤さんとお会いをし、LGBTの本質をどれほど理解できたのか、正直おぼつきません。
でも、武藤さんのさわやかな笑顔と飾りのない話に、時には胸を打たれ、時には感心し、時には笑い、時を忘れて時を過ごすことができました。
そんな人としてのつながりこそ、大事なんだと感じます。
「こうやって、直接話を聞きに来てくれて、こちらこそありがたいです。野村さんは若いでね」
そんな武藤さんの言葉に少し励まされ、再会を誓って別れました。
もちろん、3月議会ではLGBTの問題も取り上げました。
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