2021年5月6日木曜日

新庁舎建設に市民の声を~2020年第3回定例市議会一般質問④

 

紋別市役所

〇野村淳一議員

 最後に、新庁舎建設事業についてお聞きします。

 宮川市長は、8月21日の記者会見で新庁舎建設の方針を明らかにしました。しかも、その内容は、ことし中に基本構想、基本計画を策定し、来年3月までに基本設計、実施設計の契約にこぎつけるというものです。

 財政的な問題はあるとしても、それらを残り半年の中で進めるというのはいささか乱暴とも言える内容ではないでしょうか。 

 市役所は、単に行政機関の事務所ではありません。防災拠点となることは言うまでもなく、誰にでも優しく、親しみやすく、使い勝手がよく、市民の交流の拠点、情報発信、まちづくりの拠点ともなるものです。

 40年後、50年後を見据え、情報セキュリ ティーなど、ICTの活用、環境に配慮したSDGsの推進、さらには、庁外部局との統合、交通の便や安全対策、建設場所の選定、そして、紋別の顔としてのあり方など、検討課題は山ほどあります。

 そして、どの課題も、市民の声や要望、意見が十分に反映されてこそ成立するものです。

 だからこそ、多くのまちで、基本構想の段階から、1年以上市民による検討を重ねているのです。

 どういう市役所をつくるか、その検討協議こそ、市民本位のまちづくりにつながる作業だからです。それを絶対にないがしろにしてはなりません。

 今後、市民による検討委員会などの設置、市民アンケートの実施、市民説明会の開催、各団体との協議、パブリックコメントの実施などはどのように考えているのか、お聞きします。 

 基本構想について、その素案が示され、パブリックコメントの募集が始まりましたが、この基本構想は、誰が、どこで策定したものかをお聞かせください。 

 基本構想、基本計画は、文字どおり、どのような庁舎にするか、その建設コンセプトと方針、さらに、具体的方向性を示すかなめとなるものです。

 次の基本設計はそれに基づいて作成されます。

 それだけに、そこにこそ市民の声が十分に反映されなけれ ばならないと考えますが、この基本構想に市民の意見はどのように反映されているのか、お聞きいたします。 


〇宮川良一市長

 次に、新庁舎建設事業についてでありますが、さきに石田議員のご質問にお答えしたことでご理解を願います。 


《石田議員への答弁》

〇宮川良一市長

 初めに、市庁舎建てかえについてであります。 1点目の市民との議論を経ないで建てかえを決断した背景についてでありますが、 市庁舎建てかえにつきましては、懸案事項でありました広域紋別病院の医師の確保、 また、赤字に対し、一定程度の支援は必要ではありますが、安定した病院経営のめども立ったこと、及び、本市へのふるさと納税が好調であり、庁舎建てかえに必要な一 般財源も確保できる見通しとなったことから、さきの第1回定例会におきまして、十分な事業期間を設けた建てかえの意思表示を行ったところであります。 

 本年度当初から、庁舎建設担当部署において庁舎建設検討委員会を設置し、基本構想策定に市民の方の意見等を盛り込む予定でありましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、市民検討委員会の設置ができないまま基本構想の策定を進めておりました。

 そのような中、庁舎建てかえへの有利な財政措置が受けられる市町村役場機能緊急保全事業の期間延長を国に要請したところ、国からは、本年度中に基本・実施設計として一括契約ができれば事業採択は可能であるとの提案をいただきました。

 この提案を受け、庁内で検討を行ったところ、スケジュール的に非常に厳しいとの意見がありましたが、将来、12億円以上の市民負担軽減が見込まれることから、庁舎建てかえの動きを加速させたところであります。

 本来、建設場所は、市民検討委員会設置後、何案かを提案した後に意見をいただき、市議会の議論を経て選定すべきと考えますが、早急に場所を決定し、基本構想、基本計画を策定しなければ、来年3月までに基本・実施設計の契約に間に合わないことから、現在の庁舎敷地は、地盤が岩盤で強固であること、海抜や地形から津波や水害が想定されないこと、現在地以外の中心市街地で必要な面積の用地確保には多額の費用と期間を要することなどの理由から、建設場所を現庁舎裏手の職員駐車場と想定し、新庁舎建てかえを決断したところであります。 

 2点目の市民との意見交換等の時期についてでありますが、建設場所以外につきましては、基本設計の策定に際し、利便性や機能性について、市民検討委員会などの意見を十分に反映できる期間を考慮しておりますので、今月中に基本構想に対するパブ リックコメントを実施し、市民検討委員会の設置を考えております。 

 来年1月ごろには、市民説明会や関係団体との意見交換等を予定するとともに、市民アンケートの時期は未定でありますが、基本設計へ市民の声を反映できるよう準備を進めてまいります。 

 3点目の今後の新庁舎整備スケジュールについてでありますが、今月、基本構想を策定し、基本計画の策定を9月から12月の期間で行い、令和3年3月に基本・実施設計事業者を決定して契約、債務負担行為に基づき、基本・実施設計を令和3年度から4年度で実施し、令和5年4月に建設工事着手、令和6年12月に竣工、令和7年3月に庁舎移転、同年4月から現庁舎の解体工事や外構・駐車場工事を予定しております。 


【 再質問 】

〇野村淳一議員

 最後に、新しい庁舎の建設の問題です。 

 もう一回、確認させてください。今度、基本計画をつくるのですよね。その基本計画をつくるには、市民による検討委員会みたいなものを設置し、その中でもんでいくと思っていいですか。 

 ○小林昌史新庁舎建設準備室参事

 お答えいたします。 委員のおっしゃるとおり、市民検討委員会を設置し、そこでの意見も基本計画には反映していく考えであります。 

 ○野村淳一議員

 どちらにしても、時間的には相当ハードな、タイトなものになるなという印象を受けます。 

 私は、以前、市長がこの問題について議会で述べていたように、ことしは基本構想を練り、来年3月から基本計画を1年ぐらいかけてつくっていくのだという話について、そのとおりだと思ったのです。

 そうやって市民と一緒に市役所をつくっていく、 それが当然の流れだろうなと思っていて、市長もそう思われたと思うのです。

 それがこの7月の末になって、急にこうしたスケジュールでこうなって、基本構想がもう半分でき上がっているわけです。これで本当に市民と一緒につくっていけるのだろうかという懸念を持ったのです。

 市民の声を反映させることができるのか、市民との協働という事業が軽んじられるのではないのかという懸念があるのですが、改めて、市民との関係を担保できるのかどうかも含めて、お話をいただきたいと思います。 

 ○牧野昌教新庁舎建設準備室長

 お答えいたします。 3月議会でお示ししたスケジュールを半年ほど早めたという大きな理由には、やはり財源の問題がございます。

 市町村役場機能緊急保全事業という国の事業は、令和2年度に実施設計に着手する ことという決めがございまして、実施設計の前には、議員のおっしゃるとおり、基本計画、基本設計を終わらせなければならないということがあります。

 しかし、とても急ぎ仕事でできるようなものではなかったものですから、市長からスケジュールをお示ししたところでございます。

 しかし、石田議員への答弁でも申し上げましたが、国に期限延長をお願いしたところ、基本設計と実施設計を同時に契約しても事業として認めますよというアドバイスをいただきまして、そこで庁内で検討したところ、何とか間に合うのではないかというような結論に至りました。

 このように国の事業に乗ることによって、仮に50億円の新庁舎建設費用がかかるといたしますと、12億円以上の財源が国から支援されることになり、非常に大きな財源となります。

 この先、25年にわたって庁舎の建設費用を借金し、返還していくことになるわけですが、後年度の世代に対して責任を示さなければならないということで決断させていただいたところでございます。 

 これにより非常に短い時間の中で基本計画を立てなければならないという制約がございますが、最低限の基本計画とし、具体的な間取りなどについては送って、基本計画を作成する中で市民の意見は取り入れられるというような判断をしているところで ございます。 

 ○野村淳一議員

 今、基本構想についてパブリックコメントをされていますよね。 

 でも、その基本構想は市役所の皆さん方がつくったものです。ですから、市民の声は基本的に反映されていないのです。それを基本構想と言っていいのかどうなのか、非常に疑問です。 

 例えば、今、いろいろなまちでいろいろな取り組みをやっています。士別市あるい は深川市では、皆さん方がつくったような、それを皆さん方は基本構想と言っていますが、それを検討課題、問題提起、整理事項という形でまとめ、市民検討委員会にたたき台として出しており、そして、検討委員会の中で、基本構想と基本計画を一体のものとしてつくっていまして、このようにして市民の声を反映させているのです。

 でも、その基本構想を市役所がつくっているのです。出発点がこれでいいのかなという疑問をどうしても持つのです。 

 今私が言ったように、市民による検討委員会にたたき台として出して、基本構想と基本計画を一体のものとしてつくっていく、そうやって市民と一緒につくっていくのだという流れのほうが妥当だと思いますが、いかがですか。 

 ○牧野昌教新庁舎建設準備室長

 何度も申し上げますが、そうしたことについても、 当然、庁内の中で十分に検討いたしましたが、12億円以上の財源の確保を優先させていただきました。

 議員のおっしゃるようなスケジュールで作業を進めますと、3月までに実施設計、基本設計の契約には到底間に合わないことから判断させていただいたところでございます。 

 ○宮川良一市長

 野村議員のご心配、考え方は十分に理解をしております。 

 庁内でもやれるかやれないかの議論は非常になされました。

 最終的にやる方向で私も決断をさせていただいたわけでありますけれども、これから市民検討会議や議会の皆さんによる特別委員会等を設置させていただいて、大変短い時間ではありますけれども、集中的な審議をして、いいものをつくり上げたいと思っております。

 今回、こういう決断をさせていただきましたので、今後、どうかご協力をいただいて、後世に恥じないといいますか、立派なものを残せたと言えるような庁舎をつくってまいりたいと思っておりますので、どうぞご理解をいただきたいと思います。 

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