2018年2月26日月曜日

先住民族アイヌとの合意形成を

 13日、紋別市役所とアイヌ民族の権利と森林資源、木質バイオマス発電所にかかわる意見交換を行いました。


 これは、先住民のアイヌの権利と環境問題などに関心のあるNPО法人の関係者やジャーナリスト、新聞記者、それに地元のアイヌ協会のメンバーらが企画し、紋別市に懇談を申し入れたもので、私も参加させていただきました。

 紋別市は森林の育成と林業の振興、環境保全を目的として『緑の循環森林認証制度(SGEC)』を取得し、その活用と保全に力を入れ、まちおこしの重要な柱として取り組んでいます。

 私も今回、初めて知ったのですが、このSGECは昨年9月と10月に『先住民アイヌ関連規格改訂』を実施し、『森林管理者はアイヌの人々の地域組織に対し、認証を取得する森林に係る森林管理計画について説明、協議しなければならない』と定められたのです。

 また、国際人権法では『森林や河川などへの影響が予想される開発事業において、地元の先住民族の方々への十分な情報提供や意見聴取、合意形成が必要』というFPIC原則というものがあるのだそうです。

 今、紋別地域の認証林を含む広い森林エリアから、木質バイオマス発電所で使用する未利用材が大量に搬出されています。

 その中には、間伐材だけでなく一般製材も含まれているといいます。

 将来に向けて、山の保全が問題になりつつあるのです。

 その意味でも、先住民への情報提供と協議、合意形成というのは重要な観点です。

 この問題で市の担当者は、先住民のアイヌに対する位置づけは必要としつつも、具体的な取り組みについてはこれから研究したい、と述べるにとどまりました。

 確かに、簡単な問題ではありません。

 そこには経済や文化、歴史などもからみます。

 差別や偏見の壁も消えてはいません。

 しかし、国際的に先住民族の人権の尊重は世界の大きな流れになっているのです。

 私も最後に発言を求め「難しい問題だが、国際的にも紋別がその先進事例をつくることが可能だ。一緒に研究しようじゃないですか」と、市の担当者に呼びかけました。

 それにしても、人権や環境問題で、いろいろな流れ、いろいろな動きが世界的に進んでいるんだなと感じましたし、勉強になりました。これからも関心をもって、行かなければなりませんね。

 札幌などからも来ていただいた皆さんに感謝です。

2018年2月15日木曜日

「合葬墓」と「水道料の軽減」~深川市視察

 2月5日、札幌市で2018年度政府予算案と地方財政にかかわる学習会に参加してきました。

 安倍政権のもと、国民健康保険制度や介護保険制度、生活保護制度などが大幅に改悪され、国民の負担が増大されようとしています。

 さらに子どもの貧困問題や雇用不安、人口減少対策など地方自治体にかかわる課題も山積しています。

 国民のためにおおもとの国政を変えることはもちろんですが、わが街で何ができるかを、真剣に考えたいと思った学習会となりました。

 翌6日、深川市を視察しました。


 テーマは二つ。

 一つは、いわゆる「合葬墓」についてです。

 近年、身寄りがいない、子どもたちも街を離れ継承者がいない、など、お墓の維持や納骨が困難な状況が生まれる場合が少なくなく、「継承者がいなくても無縁とならない墓所の整備をしてほしい」という声が聞かれています。

 実際、北見市や網走市など多くの市町村で合葬墓がつくられ、深川市でも昨年建設されました。

 これらは、個人の死生観や宗教観にかかわる問題でもありますが、少子高齢社会が進む中で、紋別市も無関心であってはならないと思い、今回深川市にお邪魔しました。

 深川市内の市営墓地の中に「やすらぎの丘」という名で建設された合同墓。約1500体を収蔵可能で、生前予約もできるといいます。

 紋別市でも、市内の社寺・教会や市民との合意を得ながら、建設に向け検討する時期に来ていると感じました。

 二つ目の視察テーマは、上下水道料金の軽減制度についてです。

 水道料金は値上げが続いています。しかもその料金は、世帯の所得に関係なく徴収されます。

 収入が増えない中、節水にも限界があります。

 低所得者への水道料金の軽減制度ができないか、つねづね考えて、議会でも取り上げてきました。

 この深川市では、昭和52年から低所得世帯への軽減制度を福祉事業として実施しています。上下水道料金の約3分の1程度を引き下げています。

 貧困と格差がますます増大する中で、この街に安心して暮らしていける政策として重要な取り組みだと感じました。

 今後の議会活動に大きく参考になりました。

 

 

 

2018年2月9日金曜日

流氷接岸


 紋別市にも流氷が接岸しました。

 なんだか、今年の流氷は勢力が強そうです。

 久しぶりというか、なんだか懐かしいような気分です。

 それにしても、流氷は美しいです。もちろん、寒さは厳しくなるのですが、それでもやっぱりきれいだと思うのです。

 紋別では今日から(2月9日)『流氷まつり』です。

「介護保険事業計画」「障害福祉計画」にパブリックコメント


 この1月も、いろいろな会議が続いたり、様々な新年会にお誘いいただいたりと忙しく過ごしたのですが、その合間を縫ってパブリックコメントの作成に取り組みました。

 さて「パブリックコメント」とは… 紋別市などがつくる事業計画の策定段階から市民の意見や要望を募集し、より市民の声を反映させようというのがパブリックコメントです。

 今回、市では「第7期介護保険事業計画」と「第5期障害福祉計画」の2本について、それぞれの「素案」に対するパブリックコメントの募集がありました。

 この二つとも、私がいつも議会で取り上げている事柄です。せっかくの機会と思い、パブリックコメントに応募することにしました。

 とはいえ、2本のパブリックコメントをほぼ同時に考えるのは、けっこう骨の折れる作業です。

 高齢者にとって、障害者にとって、そして家族にとって、本当に求められていることは何のか。

 どんなことに不安を感じ、どうしたら安心してこの街に暮らしていけるのか。

 それらの事業を担う介護者の人たちの状況はどうなのか。

 それらを念頭に、それらの内容がどう具体化されているのか、それぞれの「素案」を読み込みます。

 また、前回の計画との違いや他の市の計画の特徴なども調べます。

 そして、少しでもより良い計画になるように願い、それぞれに5項目程度の意見をまとめ、締め切りまでに提出しました。

 残念ながらパブリックコメントに応募する人は少ないようですし、その存在そのものが知られていません。

 これまでも、いくつかパブリックコメントを出してきましたが、結局、応募は私だけだったりすることも多いのです。

 でも、率直な現場からの意見や当事者からの声は必要です。それらの声が、計画をより豊かで実効性あるものにすると思っています。

 私が提出したパブリックコメントを紹介します。なお、「素案」と市からの回答は、市のホームページに掲載されます。

『第7期介護保険事業計画』について

1、介護従事者の人材確保について
 介護保険事業において焦眉の課題の一つに介護従事者の人材確保と養成、質的向上があり、避けて通れない緊急な課題となっていると考えます。今計画では、p78に「地域福祉を担う人材養成」として数行触れられている程度です。中高生からの福祉・介護に対する理解の促進、離職者への再就業の促進、介護福祉士などの養成に向けた支援、介護従事者の処遇改善、研修やセミナーの開催など、業界とともに市全体で取り組むべき課題があると考えます。より具体化を望みます。 

2、認知症対策について
 認知症高齢者への支援は、今後の介護保険事業において重要かつ緊急な課題となっています。最初に気になるのが、認知症高齢者数の推計です。P21では、平成30年度で認知症高齢者数を571人(65歳以上の7.2%)、要介護認定者のうちの割合を36.5%としています。これは少ないのではないでしょうか。例えば、道の資料でも65歳以上のうち12%近くが認知症高齢者であり、要介護認定者の58.2%が認知症高齢者だとしています。しかも、前6期の計画でも、すでに平成27年度で744人の認知症高齢者がいるとされていました。もちろん、認知症高齢者を生まず増やさないことは重要ですが、必要な対策と対応はしっかり検討すべきだと考えます。この推計の根拠と、今後の対応についてどのように検討されたのでしょうか。
 また、認知症対策についてはp49に実績が、p60に方針が述べられていますが、今後の取り組みについて、認知症カフェの開催、キャラバンメイトやサポーター養成講座の開催、様々な普及活動などを明記し、それぞれ目標値を明らかにし、市民と一体となって促進する積極的な位置づけを明確にしたほうがよいのではないかと考えます。さらに、SOSネットワークなどの活動も重要ではないでしょうか。
 認知症高齢者のグループホーム入所待機者は、どの程度いるのでしょうか。施設整備の課題は必要ないのでしょうか。気になります。

3、介護保険料の低所得者対策について
 P90で減免制度を紹介していますが、減免の条件は述べているものの、減免の内容(どの段階の保険料がどの程度軽減されるのか)が分かりません。
 また、前6期計画ではいわゆる「社福減免」について「実施されるよう取り組む」としていましたが、今回は記述がありません。その後の取り組み内容について言及すべきだと思います。 

4、提言
①高齢者の住宅対策について
 地域包括ケアシステムの構築にとって高齢者の安心・安全な住宅対策は極めて重要です。在宅で安全に暮らしていけるバリアフリーの住宅への改修は、その要ともなるものです。介護保険制度での住宅改修には限界があります。その枠を超えた場合でも、それが安全に暮らしていける改修事業なら、市独自の制度を創設し、上乗せしてでも実施すべきです。そのための市独自の住宅改修補助事業の創設を提言します。

②ちょっとした手助けの仕組みづくりを

 自立の高齢者でも、要介護の高齢者でも、ちょっとしたことができずに不便を感じ、苦労をしています。例えば、電球を代えること、家具を動かすこと、庭の草抜き、買い物や散歩の付き添い、布団干しなど。そんな、介護保険事業では救えない、でも高齢者には必要な、ちょっとしたお手伝いの仕組みが必要ではないかと思います。みんなで支える「お助け隊」的な仕組みづくりを提案します。
 

『第5期障害福祉計画』について

1、「第2章サービス見込み量と確保のための方策」全体について
 ここでは、平成27年度から29年度の実績と平成30年度から32年度の目標量を提示していますが、同時に必要なのは前回計画・第4期障害福祉計画で定めた目標量との差・違いがどうなっているかを示すことではないでしょうか。例えば、「生活介護」では平成29年度は減少すると見込んでいたのが逆に増えていること、「就労継続事業」では大きく増加すると見込んだ計画が利用量で伸びなかったこと、さらに「日中一時支援事業」では計画より大幅に実績が増えていること、などが特徴として見受けられます。前計画でのサービス見込み量と実績を明記し、その現状を分析した上で課題を明らかにし、今計画のサービス見込み量に反映するべきだと考えます。

2、「障害福祉サービス等の提供体制の確保に係る成果目標」について
 ここでは「国の基本指針に基づき、平成32年度に向けた本市の数値目標を次のように定める」としていますが、「国の指針」では5点にわたって提起しています。しかし、今計画では3点しか述べられておらず、「地域生活支援拠点等の整備」「障害児支援の提供体制の整備等(新たな項目)」の項目が示されていません。さらに精神障害者の地域移行についても、国の指針では「精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築」となり、より包括的な支援体制を求めています。確かに、紋別市としての意向はあるでしょうが、国の指針に基づくというのなら、国が示した5点にわたる成果目標について、市としての現状と課題、目指すべき方向性を明記すべきだと考えます。

3、「計画策定における基本的視点」について
 その中の「障害種別によらない一元的な障害福祉サービス等の実施」についてですが、ここでは「障害のある人」と述べられています。その範疇に、いわゆる発達障害者や高次脳機能障害者、難病患者なども含まれていると考えていいのでしょうか。当然、その方々も必要な障害福祉サービスを受けられる対象と考えます。市民にその内容を周知する上からも、それらをきちんと記述すべきと考えます。
 また、国の指針では「計画策定における基本的視点」の中に、「地域共生社会の実現に向けた取り組み」「障害児の健やかな育成のための発達支援」の項目もあったと思いますが、それらが触れられていないのはどうしてなのでしょうか。どちらも必要かつ重要な視点だと思います。

4、サービス見込み量について
 「生活介護」「短期入所」「障害児通所支援」についてですが、これらの見込み量は、計画期間中の3年間、まったく変化がありません。しかし、どの事業も、障害者のニーズは高いものであり、サービス利用の希望が多いと思います。実際、事業所等の運営上、定員の拡大などは容易ではないでしょうが、基本は障害者や家族のニーズ、その必要性から出発すべきであり、そのうえで計画を立てることが重要だと思います。障害者のニーズ、実態を反映した目標量の設定を希望します。

5、「計画の推進」について
 「障害のある人の人権の尊重と権利擁護」についてですが、「障害者差別解消法の円滑な施行」、及び「成年後見センターの設置」を文面に追加すべきと考えます。
 「従事者などの確保と資質の向上」の項目は極めて需要です。抽象的な記述が気になりますが、この立場で取り組むことを期待します。
 「計画の点検と管理」についてですが、自立支援協議会で毎年、進捗状況の把握・点検を行うとしていますが、その内容をホームページで公開することを求めます。


 

寅さんの故郷へ

 今年の正月は、思い切って妻と東京にでかけました。

 東京にいる息子との久しぶりの再会。そして、訪れてみたかった場所へ。

 一つは「いわさきちひろ美術館」。

 東京都練馬区にあるその美術館は、閑静な住宅街の中にありました。

 ちひろが暮らした自宅跡に、ちひろの死後、ちひろを愛する多くの人々の寄付などによって1977年に建てられたものです。

 子どもを生涯のテーマとして描き続けたいわさきちひろ。そのやさしい絵が、優しいまなざしがあふれる美術館でした。

 次に訪れたのが、「渥美清」演ずる寅さんの故郷・葛飾柴又帝釈天。

 わが家では、映画「男はつらいよ」の上映会がたびたび行われます。といっても、夫婦二人で酒を飲みながらですが。

 全47作。一つ一つ見ています。どの作品も、なぜか胸がジーンとして、おかしさの中にも人生の切なさを感じさせるのです。

 その映画の舞台、葛飾柴又はあこがれの場所なのです。

 

 柴又駅に降りた瞬間、「倍賞千恵子」演ずる「さくら」と寅さんが別れるシーンが浮かびます(第6作『純情編』)。

 「故郷ってやつは… 故郷ってやつはよ…」と寅さんが言いかけると電車のドアが閉まります。

 結局、寅さんはさくらに何を言いたかったのか…。深く考えさせられる印象深い名シーンです。

 そんなことを思いながら帝釈天への参道を歩きます。名物の草団子の老舗が並びます。いくども映画で流れた風景です。

 そして柴又帝釈天へ


 いつも「佐藤蛾次郎」演ずる「源公」がそうじをしていた山門をくぐり境内へ。

 そこには、「笠智衆」演ずる「御前様」がいるようです。



 足を延ばして江戸川の土手へ。

 いつも「男はつらいよ」の冒頭シーンに登場します。そこを歩くと、なんだか寅さんになった気分です。



 その足で「寅さん記念館」にも顔を出しました。「とらや」のセットが楽しい。圧巻なのは、壁一面を覆う、歴代マドンナたちの写真。どれもこれも胸に迫ります。

 いつも、マドンナに恋をしては最後に失恋。そして、また旅に出る。

 「どうして旅に出て行っちまうの?」さくらの問いに寅さんは「ほら、見な。あんな雲になりてえのよ」(第9作『柴又純情編』)

 裏の朝日印刷所の工員にもやさしい寅さん。「労働者階級のみなさん、今日も一日ほんとうに労働ご苦労様」(12作『私の寅さん』)

 そして、ふと寅さんのこんな言葉が聞こえます。「もし何かあったら葛飾柴又のとやらに訪ねてきな。悪いようにはしないから」(第13作『寅次郎恋やつれ』)

 寅さんにふと出会えた旅でした。



 帰りに、スカイツリーを(高所恐怖症のため)下から見てきました。