2013年12月31日火曜日

新広域紋別病院の院外薬局、10倍で落札

 25日に開催された市議会臨時会で、新しい広域紋別病院に隣接する市有地に建設が予定されている院外薬局にかかわる土地の売買契約が提案されました。

 この土地は、北高のグラウンド跡地で、新病院の裏手にあたります。院外薬局の用地として約5000㎡の土地を、2000万円で市が北海道から購入。それを、2区画に分けて入札を行ったのです。

 まず、一つが調剤薬局用地として660㎡、もう一つが調剤薬局と合わせコンビニ機能を持った医療系店舗用地として4340㎡です。

 市が示した最低価格は、調剤薬局用地は631万7000円、医療系店舗用地は3477万4000円。

 ところが入札結果は、調剤薬局用地を株式会社エスケイアイファーマシーが6317万円で落札したのです。なんと、最低価格の10倍の金額です。

 私自身、最初この数字を見たとき、けたを間違えているのじゃないかと市の担当者に確認したほどです。

 エスケイアイファーマシーは、岩見沢市に本社をかまえる企業で、紋別市内にも「なの花薬局」として、なじみのある調剤薬局です。

 市議会でも、この金額が話題になりましたが、市は「我々も予想以上の高額で売れたことに驚いている。薬価は決まっているため、土地が高く売れたとしても、その分が薬の値段に転嫁されることはなく、問題はないと判断した」と説明しました。

 それにしても、10倍とは驚きです。入札で次点だった企業も2111万円という金額だったというから、この土地は、確かに魅力的なのでしょう。

 もう一つの医療系店舗は、4600万1円で株式会社ツルハが落札。公募型プロポーザル方式で行われ、ツルハ1社が応募し、市の審査会を通ったものです。

 実はこの院外薬局については、病院本体の敷地内に建てられないのか、議会でも幾度も議論してきた経緯があります。患者さんの立場に立った病院づくりの課題は、これからも続きます。

 雪解け時期からそれぞれの工事が始まるのでしょう。

2013年12月27日金曜日

広域紋別病院の建設現場を見てきました

 24日、広域紋別病院の建設現場を見てきました。前日に雪が降って、一面真っ白になってしまいましたが、病院・市・工事関係者の案内を受け、長靴・ヘルメット姿で視察してきました。

 


 工事はまだ基礎うちの段階ですが、地面から5メートルほど掘った中に、病院の土台が作られつつありました。
 
 まもなく、82個の免震装置が設置されるとのこと。そのときには、工事の模様を公開したい、とも話していました。

 現場では50人ほどの作業員が工事に当たっています。紋別に常駐しての作業です。

 日程的には20日ほど遅れているそうです。なんでも、地下に岩や石が多く、その処理に時間がかかったと言います。なるほど、「落石町」の名に恥じない現場なのです。

 それにしてもクローラクレーンの高さには目を見張ります。そばから見上げて首が痛くなります。



 下の写真は、建設現場から海側を見たものです。丁度、病院の裏側に当たります。雪でよくわかりませんが、この下に新しい道路ができ、右側に院外薬局ができる予定です。さらに奥の方には、新しく紋別保育所と紋別児童館が建設されます。


 それらの建設を含め、医師の公宅建設や周辺の道路整備などで、来年の雪解け時期からは工事ラッシュとなりそうです。

2013年12月25日水曜日

紋別総合廃棄物処理センターを見てきました

 先日、株式会社リテックが経営する産業廃棄物を対象にした「紋別廃棄物総合処理センター」を見てきました。

 日頃から監視活動を続けている市民グループの方から案内を受けて、私も見学会に参加をさせていただきました。

 一昨年に操業を開始したばかりの時に視察をして以来の訪問となりました。

 センターの方々の説明を受けながら、一つ一つ施設を見て回りました。




 まずは、生物処理施設。海産物などの残渣をたい肥化する施設です。といっても、減容が目的の施設です。土壌菌によって分解され、熱を持って湯気が上がっていました。確かに、臭いが気になります。この処理センターのふもとの住民からも、臭いが気になるといった声も聞こえてきています。




 これが、安定・管理型最終処分場です。遠くは、音威子府村からも搬入があるといいます。



 

浸出水処理施設と調整池です。雪解け時期には水が増えるそうです。

 今回の見学会には、6人が参加しました。その中には、廃棄物処分場問題全国ネットワークの藤原寿和さんの姿もありました。



 源流の水を採取し、水質の監視も続けています。
 
 この廃棄物処分場の建設計画が浮上してから、住民のみなさんと一緒に、会社側(リテック)との協議、説明会を繰り返し実施してきました。また私自身、リテックの社長とは安全問題で幾度も意見交換をしてきました。議会の場でも、安全確保について市の取り組みの強化を求めてきました。何よりも、周辺住民の安全の確保が最優先です。

 これからも、住民による監視が必要です。今回のような活動をこれからも続けようと、話し合っています。


2013年12月20日金曜日

「クラウンK」に心洗われて

 市議会が閉会した12日の夜、ほっとした気分もそこそこに、ある講演会に出かけました。

 紋別商工会議所青年部が主催する「世界一の現役クラウン(道化師)から学ぶ感動サービス 大棟耕介講演会」です。


 まずは、「クラウンK」こと大棟耕介さんのパフォーマンスからスタートです。クラウンとしての技量は大したものです。風船を使って客席を巻き込んでのパフォーマンスに会場は盛り上がります。

 次いで、DVDが上映されました。これが「クラウンK」の真骨頂。ホスピタルクラウンの活動をつづったビデオです。

 ホスピタルクラウン-長期入院を余儀なくされている子どもたちの病室を訪問しながら一緒に遊ぶ道化師。この活動の第一人者が、この大棟耕介さんなのです。

 赤い鼻に派手な衣装。突然現れるクラウンKに戸惑う子どもたち。でも、明るい声かけとオーバーなアクション、風船でのパフォーマンスに、いつしか子どもたちにも笑顔があふれ、大声ではしゃぐ姿がありました。

 「また、来てもいいかな」「うん、いいよ」「ああ良かった。じゃあ、また来るね」「待ってる」-病室を去る時のそんな会話が、胸にじんときます。

 「入院して、こんなに笑ったのは初めて」とつぶやくお母さんの言葉も、心に響きます。

 少しも気負わずに子どもたちとただ一緒に遊び、過ごすだけの大棟さん。でもそこには、深い経験と緻密な計算がありました。子どもたちの心にどれだけ寄り添えるか。プロとしての覚悟がありました。

 子どもたちの笑顔の前でおどけて見せる大棟さんに、心洗われる思いがしました。

 大棟さんのお話もテンション高く、思わず吸い込まれていきます。きっと、話したいことが山のようにあるんだろうな、と思います。熱の入った話は、テンポよく続きました。

 講演が終わって会場を出たときの冷たい夜風が、心地よく感じられました。

議員定数削減と「議会改革」


 12月議会で議員定数の削減が決まりました。現在の18人から2人減の16人となります。来年夏の市議選から適用されます。

 9月に議会運営委員会で議員定数問題が本格的に議論にのぼってから、わずか3か月余りでの結論です。

 採決では、私たち日本共産党市議団2名が反対、1名が棄権する中、賛成多数で可決されました。

 提案理由は、社会情勢も変化し、道内他市も定数の削減を進めており、議会も自ら行政改革に寄与すべきだ、というものです。この理由は、3年前に20人から18人に削減したときの提案理由と基本的に同じです。

 これではまた3年後に、同じ理由が出てくるでしょう。議会とは何か、議員定数とはどうあるべきか、本質的な議論がどうしても必要なのです。

 私は、採決に当たって次のように反対討論を行いました。

 「言うまでもなく議会と議員の役割は、行政の執行をしっかりチェックし監視することにあります。同時に、住民の要望や声をしっかり市政に届け、反映させるとともに、自ら政策を提案することにあります。

 現在、地方分権の伸展や広域紋別病院企業団など広域的行政の拡大など行政需要はますます拡大、複雑化し、一方で住民の願いは、深まる格差の中で一層多様化しています。

 それだけに、議会と議員の果たすべき役割はますます重要になっているのです。

 今回提案されている議員定数の削減は、その重大なる議会の役割を弱め、何より住民と結ぶパイプを細くし、自治体行政を一層遠い存在にしかねないものです。

 常任委員会性を中心とする紋別市議会にとって、現在3常任委員会各6人による委員会構成は、それ自体議会として審議を尽くす最低限の構成であり、これまでもその立場で、われら議員は審議に臨んできたはずです。

 財政問題についても、行政への監視機能や住民との結びつきを弱める立場ではなく、議員報酬、政務活動費、行政視察などのあり方を含めて総合的に検討すべきです。

 今、紋別市議会に必要なのは議会改革に向けた真剣な対応です。

 市民の中には、「議会は何をやっているのかわからない」「だから、議員を減らした方がいい」などとの声があることも事実です。それは、私たちにとって、実に悲しいことですし、悔しいことでもあります。

 なぜ、そのような声が上がるのか。私たちは今、真剣にそのことと向かい合うことが必要です。

 市民に役立つ議会、市民に見える議会、市民に開かれた議会。そのための議会改革こそ必要なのです。

 議会の果たすべき役割をしっかり議論し合い、確認し合う中でこそ、議員の定数はどうなるべきかが見えてくるのではないでしょうか。

 その本質的な議論を避けることなく取り組むことが、今の紋別市議会に求められている課題だと思います。

 残念ながら今回の提案は、この議論に及ぶことなく、拙速な感を否めません。これが、真に信頼に足る議会を求める市民の願いにこたえる道だとは思えません。」

 以上が、私の反対討論の主な内容です。

 これまでも、日本共産党市議団として議会改革に向けた提案を行ってきました。昨年には、21項目に及ぶ検討案も提出してきました。しかし、その多くは省かれたまま、議論は宙に浮いたままです。

 特に紋別市議会は、市民への情報公開がきわめて遅れています。すでに、多くの市町村で実施されているインターネットなどでの議会中継。これはなかなか議論にもなりません。

 議事録をホームページで公開していないのも、議会自ら「議会だより」を発行していないのも、紋別市議会ぐらいなものです。

 まずは、市議会の模様を市民に知らせ、市民に見える議会、市民に開かれた議会をつくることが最優先です。

 さらに、市民と議会との意見交換を積極的に開催し、市民の声を市政に届けるために、働く市議会でなければなりません。

 議会と議員はどうあるべきか。その議論を抜きに、定数だけをいくら減らしても議会は変わらない。活発で緊張感ある議会をつくるためにも、議会改革に本気で向き合うこと。「議会基本条例」の制定をめざして、道は険しいが、一歩一歩歩き続けよう。


 

12月議会が終わって

 12月議会が12日に終わりました。私たちが訴えてきた「福祉灯油」を実施するための予算約2000万円を含む補正予算約2億円が可決成立しました。

 今回、私は一般質問で次の項目を取り上げました。

1、「特定秘密保護法」について
 ①地方自治体への影響について
 ②「特定秘密保護法」に対する市長の認識について
2、木質バイオマス発電所について
 ①住友林業による木質バイオマス発電所の概要
 ②市長の言う「紋別モデル」とは何か
 ③発電所による環境への対策と「公害防止協定」の締結について
 ④木質バイオマスを活用した紋別市としての環境政策について
3、安心安全な住環境整備のために「住宅リフォーム助成制度」の創設を
4、新広域紋別病院建設に伴う周辺整備について
 ①院外薬局の整備について
 ②南北循環線の乗り入れとバス待合所の整備について
 ③旧北高グラウンド下の路線とエトワール脇の路線の改良と歩道の整  備について
 ④山の上線のロードヒーティングの延長と整備について
5、65歳到達者生活状況調査と地域ネットワーク事業について
 ①調査の目的・内容と活用状況について
 ②個人情報の管理と取り扱いについて
 ③地域ネットワーク事業の取り組みと今後の課題について

 同僚の藤川和子議員は、消費税増税に伴う公共料金への転嫁問題と市財政への影響について、生活保護申請の扶養義務者への文書の改善と保護基準改定による影響について、DV被害者への対応と対策について、などを取り上げました。

 詳しいやり取りは、あらためて報告します。

 一般質問を通して一つの変化がありました。それは、住宅リフォーム助成に対する市の考えです。

 というのも、今回の一般質問で「21の会」(保守系の最大会派)の阿部秀明議員が、この住宅リフォーム助成を実施せよと取り上げたのです。(ただ、住宅リノベーションという言葉が主でしたが)

 前回の議会でも、これも「21の会」の藤田孝太郎議員が住宅リフォーム助成の実施を迫りました。

 ついに市も、その方向性で検討するとしたのです。大きな変化であり、成果です。

 私はこれまで、何度議会で取り上げてきたでしょうか。そのつど、「個人の財産を拡大するために税金は使えない」と、つれない答弁ばかりでした。

 リフォーム助成は、すでに道内で50近い市町村で実施していること、経済効果は抜群なこと、耐震化やバリアフリー・省エネ対策などに寄与することなど、視察した他市の状況も含めて繰り返し訴えてきました。

 それがやがて、他の議員の理解を得れらるようになり、他の議員の発言として拡大し、そして市も無視できなくなったのです。

 今回も質問を準備するために、ある住宅建設会社におじゃまし、社長さんと懇談してきました。

 住宅新築は減ったまま。消費税の増税前とあって少しは上向いているようだが、それも今だけだ。それも、市外のハウスメーカーが半分以上請け負ったいる。うちの会社も、新築よりもリフォームの注文がほとんどだ。それに、このままでは大工も左官も塗装も板金も、市内の業者がどんどんいなくなるばかりだ。紋別の技術がなくなるばかりだ。リフォーム助成はいい制度だと思う。ぜひ実現してほしい。

 その言葉に後押しされて質問に臨みました。議会の流れは我にありです。あとは、確実にこの制度を実現させるため、もうひと踏ん張りです。
 
 

2013年12月18日水曜日

第3回定例市議会報告⑤-保育指導と保育行政について(その2)

○野村淳一議員
 9月5日の保護者説明会、今市長が述べたようなことが報告されました。50人の方があつまったと言います。どういう議論があったかというのは、先ほど報告がありました。

 この保護者説明会に来られなかった保護者の方もたくさんいらっしゃいます。夜でしたからなかなか来れない。あるいはこういう重大な中身だってことを知らなくて、これだったら行ったのにって保護者の方もいらっしゃる。

 保護者会に出席できなかった方に対して、その場で説明されたような市の説明をどのようにして伝えられるんですか。もう伝えているんでしょうか。その辺どうですか。

○内田誠児童家庭課長
 欠席者の方につきましては、今回の事案を含めて文章でご案内し、希望のある方については市のほうで聞き取り調査を実施してまいりたいと考えております。

○野村淳一議員
 この保護者説明会の中で、先ほど市長も言いましたけど、何でしたか、積極的な意見もたくさん出されてきております。

 ただ、その中で気になったのは、これはある新聞の記事でも載っていたのでここで言っても構わないと思うんですが、執拗に保育士の方に叱られることによって泣いて保育所に行きたがらない。あるいはけがをして保育所から戻ってきたということが、この保護者説明会の中で新たに発言がされました。

 これについてその場でみなさんは、直ちに調査して事実を明らかにして公表したいと約束されました。

 その取り組みについてはどうでしょう。

○内田誠児童家庭課長
 その保護者の方とはお話を聞きまして状況等を一度確認したところでございます。その後保育所関係者を含めて、再度その保護者とお話し合いを持つこととしております。

○野村淳一議員
 それだけの話ですから私は事実関係はよくわかりませんけど、これもきちんと事実関係を調べて、調査をして、明らかにするものは明らかにするというこの立場を貫いていただきたいと思うんです。

 今私、一連ずっと聞いてきましたが、私はどうしてもその中に構造的な問題を感じてならないんです。

 これは先ほども言いましたから繰り返しませんが、私は、今皆さん方が保育士さん全員で新しいマニュアルをつくったと、改善策を検討しているってことを言いました。

 いろんな方策も述べられました。これを否定するものではありません。

 しかし、私は今回こういう事態が生まれたその背景にあるものはいったい何なのか、私は保育とは一体何かを、原点に立ち返った議論が必要なんだと思っています。

 もちろん保育士の皆さんはベテランですから、そんなものわかっているのかもしれませんし、あるいは慣れているのかもしれません。

 それに私は専門的な第三者を含めた議論が必要ではないか、これ市長にもちょっと聞いていただきたいんです。市長はずっとこの間、医療の問題で頑張ってこられた。そして、同時に保健・福祉・医療の連携ということを取り上げて、アドバイザーをそこに設置して、そして一定の成果を上げてこられたと思うんです。

 私は今、今度は子育て、保育の問題にこそアドバイザーをしっかり入れて、そして先ほど私も言った子ども・子育て会議の参加も含めて、新たにそういう紋別の子育て支援について外部の風を入れながら、専門的な知識を学びながら、そういう取り組みをしていくというのが必要ではないかと思います。部長、どうですか。

○佐藤久祐保健福祉部長
 まず、第三者の意見といいましょうか、そういうものを取り入れていくべきだということにつきましては、私どもも賛成しておりまして、今回職員の保育士等の研修につきまして外部講師を招いた研修等を実施する予定でございます。

 また、先ほど野村議員もおっしゃっておりました子ども・子育て会議、これにつきましても学識経験者、あるいは保護者の方、そういう方たちを委員として選ぼうと思っておりますので、そういう方々からも意見をいただきながら保育行政を進めてまいりたいというふうに考えております。

○野村淳一議員
 私は、子育ての問題をもっともっと力を入れて、しっかり腰を据えるべきだということを改めて言っておきたいんです。

 保育士の問題についてお聞かせください。改めて聞きますが,今市内には3つの公立保育所があります。正職員と臨時職員の数、そして臨時職員の保育士の皆さんに対する研修というのはどのようにされているのか教えてください。

○内田誠児童家庭課長
 正職員と臨時職員の数ですけど、現在正職員7人、臨時職員13人の計20名でございます。

 また、臨時職員の研修につきましては外部研修ということで、回数は少ないですけど年1回職員を出張で行かせております。

○野村淳一議員
 ついにというのか結局というのか、正職員が7人で、臨時職員が13人という状況になりました。これは、先ほど市長が言ったように、コスト削減、行革による流れです。

 私は一つの職場の中にこういう形で待遇の違う人たちがいるというのは、やっぱり不自然だというふうに思っています。ここには、チームとしての一体感をつくるというのは、それは言葉ではわかります。しかし、そう簡単な話ではない。

 もちろん臨時の職員さんも一生懸命頑張ってるからそれはそれで敬意を表したいと思いますけど、できるだけそういう無駄な不自然さをなくしていくというのが皆さん方の仕事だろうと思っています。

 恐縮ですが、私先ほど士別市の話をしました。またここで士別市の話をするのはあれなんですけれども、士別市も紋別と同じような人口です。子どもの数も変わりません。市内に公立の保育所3か所、紋別と同じです。

 しかし、そこで働いている保育士さん、正職員は21人いるんです。そして、士別の場合は嘱託職員といっていますが、その嘱託職員も二十数名います。

 全然桁が違うんです。なぜこんなに多いんだ。これは、士別市は独自に保育士さんの定数を決めているからです。

 今、国の基準では1人の保育士さんでゼロ歳児は3人、でも士別市は1人で2人と決めています。3歳児、今1人の保育士さんで20人です。でも、士別では2人で20人にしています。

 なぜか、それはより安全で、より行き届いた保育ができるからだと、それが士別の考え方です。民営化という方向はありませんでした。

 どこに行政の力を入れるかって言ったら、それぞれの判断だと思います。しかし、士別のこの方向は、私は非常に敬服するし、方向性として間違っていないというふうに感じざるを得ないんです。

 コストを下げていく行革の対象にするこの保育行政は、私は取りやめるべきだと改めて思います。いかがですか。

○佐藤久祐保健福祉部長
 いま議員からご指摘があった点につきましては、すべて民間に委ねるという部分がおかしいというような意見にもとられかねないというふうに私は思っております。

 というのは、民間でもできることはできますし、民間でこの保育に関しては多様な事業の展開が可能になるということもお話しされております。そういう中のバランスの問題なのかなというふうに考えております。

 私ども第1回定例会で、3保育所のうち、2つを指定管理の運営に、1つを直営で運営していくというふうに話をさせていただきました。

 私どもといたしましては、そのことによりまして保護者の選択肢も増えるし、保護者がどのような形で民間の保育所,あるいは公設の保育所を選ぶかという選択肢が増えることもありますので、そういう形ですべて民間に委ねるということが反対だということは私どもは考えておりません。

○野村淳一議員
 もちろん、私も民間をすべて悪いなんて一言も言ってるつもりはないんです。問題なのは、行革の対象にしていることなんです。コストを削減するという対象に保育所をしているということなんです。

 結局そうでしょう。正職員じゃなくて、みんな臨時さんにしていく。渚滑、そして紋別保育所を指定管理にする。正職員の人たちをみんな緑保育所にして、そこだっていずれ指定管理にするんじゃないんですか。定年になれば、どうなんですか。

 私はそういう形でコスト削減の対象にするというのはいかがなものかと思っている。これは変わらない私の意見です。

 時間もありませんので、最後になります。今一連のこの問題は、紋別市としての指導責任、監査責任があると思っています。けじめをつける必要があると思っていますが、その点についてはどうお考えですか。

○棚橋一直副市長
 議員ご指摘の通り、保育現場で生じたことというふうになってございますけれども、この保育行政につきましてはご案内のように児童家庭課というふうなもの、さらには保健福祉部というふうな組織の中でございますので、その中でしっかりと再発防止、さらにはこの発生した責任というふうなものをしっかり把握をして、しかるべき対応をしたいというふうに考えてございます。

○野村淳一議員
 曖昧にしないで一定の、私はある意味処分というものを含めて検討しなきゃならないというふうに思っています。

 いずれにしても、保護者の方々の信頼をどう勝ち取るかということになると思います。

 お子さんのことを聞きますが、一番心配なのはPTSDの問題です。それについては今のところはないですか。

○内田誠児童家庭課長
 今のところございませんが、先日説明会のときにPTSDの話がございました。現在児童相談所に確認しているところは、2歳児のそういう検査というのはちょっと難しいという部分もありましたが、今後保護者の方にご説明し、対応してまいりたいと考えております。
 

2013年12月17日火曜日

第3回定例市議会報告④-保育指導と保育行政について(その1)

○野村淳一議員
 子育て問題の最後に、紋別市の保育行政についてお尋ねします。

 
 紋別保育所で、保育士による児童に対する不適切な行為、体罰あるいは虐待とも受け止められる行為があったとする報告が市議会代表者会議になされ、その内容は新聞でも報道されました。

 それによると、保育士が2歳児の両足をつかんで振り回す、押し入れに閉じ込めるなどの行為があったとするものです。

 これは、重大な内容を含んでいます。事実関係を明らかにする責務が紋別市にあります。

 そこでお聞きしますが、この事案に対しどのような調査がなされ、どのような事実が判明し、どのような対応をなされたのか、事件の経過も含めお聞きします。

 一番安全であるべき保育所でこのような事案が発生したことは極めて遺憾であり、驚きと怒りを禁じえません。これは、保護者や市民と、紋別市の保育行政と保育所との信頼関係を壊すものとならざるを得ません。

 なぜこのような事態が発生し、なぜ未然に防ぐことができなかったのか。なぜ直ちに発見し、なぜその場で止められなかったのか。強い疑問が残るものであり、当時の対応を含め、状況について重ねてお聞きするものです。

 問題は、紋別市がこの事件をどう捉え、どう教訓化するかということです。そして、二度とこのような事件を起こさないために、そして市民との信頼関係を構築するために、具体的な対策を講ずることではありませんか。いかがお考えか、紋別市としての対応をお聞きするものです。

 今回の事件を全体を通して見たとき、私は保育士個人の問題としてのみ見るのではなく、その背景に構造的な問題はないのか、そこまで踏み込んだ対策が必要だと思っています。

 保護者や市民との信頼を得るためには、第一に身内だけでつくった改善策ではなく、専門的な第三者を含めた抜本的な対策を検討すべきではないかと考えます。

 第二に、保育の質をしっかり守り、さらに高めていくためには、保育士自らの責任と能力の向上、そしてチームとしての保育力がどうしても不可欠であり、臨時職員に頼るこれまでの保育運営を見直し、行革によるコスト削減という保育行政の方向を改めるべきではないかと考えます。

 これらをもってこそ、信頼される紋別市の保育行政として再スタートができるのではないでしょうか。これらについての市長の見解を問うものです。

 さらに、当事者の保護者への説明及び他の保護者に対する説明はどうされたのかお聞きするとともに、その際どのような意見が出されたのか、それぞれお尋ねいたします。

 最後に、被害に遭われたそのお子さんは、今元気にしているのでしょうか、お知らせください。

○宮川良一市長
 保育行政につきましては、保育士による児童に対する不適切な指導に関する調査内容、結果、経過を含めた対応については、紋別保育所に入所している児童の保護者の方より、保育士から自分の子どもが体罰を受けているのではないかとの通報があったものであります。

 市としたしましては、事実確認のため当該保育士並びに保育所長をはじめとする関係職員に対し聞き取り調査を実施しており、その内容と結果についてでありますが、保護者から通報があった行為のうち、初めに足を引っ張り上げる行為につきましては、当該保育士がホールで当該児童の足首を持ち回転させたのを見て、他の職員が危険だと思い注意をいたしました。

 また、同僚保育士からの話では当該保育士と勤務していたとき、児童をしかった後、両足を持って数回転回したと聞いております。

 次に、ほっぺをつねる行為につきましては、当該保育士が当該児童一人を隣の部屋へ連れて行き、ふだん閉めない戸を閉めた後、部屋から出てきた際に児童の頬が赤みを帯びていたことから、当該保育士が頬をつねったのではないかと疑ったと他の職員から聞いております。

 次に、押し入れに入れる行為につきましては、当該保育士は当該児童が押し入れに入っている状態で押し入れの戸を数秒間閉めたと他の職員が話しており、また同僚保育士からの話では、当該保育士へ児童の姿が見当たらないと尋ねたところ、押し入れに入れたと答え、当該保育士が押し入れの戸をあけたら中に当該児童がいたと聞いております。

 当該保育士は、入所児童に対ししっかりとしたしつけを身につけさせたい思いやクラス担任になった気負いから指導を焦り厳しい指導になってしまったと話しており、体罰のつもりで行おうとしたわけではなく、誤解を招く不適切な行為が一部にあったと反省していると聞いております。

 関係機関への報告等につきましては、不適切な処遇を含む事故等が発生した場合、市は北海道へ報告する義務があるため、オホーツク総合振興局へ通報し、振興局並びに北見児童相談所職員による状況調査と振興局による指導監査が実施されており、指導監査の結果につきましては、体罰として認定はしていないが、不適切な処遇として、子どもに対し身体的、心理的苦痛を与えることが疑われるような乱暴な言葉がけ、行動の制限等が一部に認められるとの見解をいただいております。

 一方、今回の当該保育士が行った行為につきましては、体罰などの犯罪の可能性があることから紋別警察署へ相談し調査が実施されており、結果につきましては、執拗に行っていないこと、繰り返していないこと、故意に行ったとは判断できないことから、刑法上の暴力行為には至らない、行き過ぎた保育、しつけであると推定し、故意に不当な有形力を行使したとは判断できないとの見解をいただきました。

 市としたしましては、北海道、警察署の見解を踏まえた上で、当該保育士が行った行為は不適切な保育指導であったものと総合的に判断したところであります。

 当時の対応につきましては、保育所長が職員から相談を受け、当該保育士へ指導した後は改善されておりましたが、その後に通報がありました。

 職員が目撃した時点で適切に報告がなされず、常日頃から徹底されていなかったことが原因と考えております。

 市としての対策につきましては、再発防止に向けた取り組みといたしましては、保育指導の指針となる保育指導マニュアルを全保育士で作成し共有したほか、保育所内や課外活動で起きた事案を検証するとともに、職員の日々の業務に対する疑問や悩み、保護者からの意見、要望などについて、職員会議や職員研修を有効に活用し、全職員が共通認識のもと保育業務に当たるなど、職員の資質向上と風通しの良い職場環境づくりに努めてまいります。

 また、家庭と保育所の連携を図るため、連絡帳などの活用による情報交換の実施や保育士と保育所父母の会との交流の場を開催するなど情報共有に努めてまいります。

 第三者を含めた対策と臨時職員に頼る保育行政につきましては、今回の事案を教訓に、専門機関の講師を招聘し、再発防止と職員の資質の向上を図る職員研修を実施してまいります。

 また、本市の保育行政につきましては、紋別市第5次行政改革及び集中改革プランにおきまして、民間委託等の推進による事業の検討を進めてまいりました。

 しかし、国が示した幼保一元化等への移行が未定であったことから正規保育士の採用を控えておりましたが、本年の第1回定例会において議員にお答えしたとおり、3市立保育所のうち2保育所を指定管理者制度により運営し、1保育所を市が運営することにより正規職員を1施設に集約することが可能になることで、現在の状況を解消できるものと考えております。

 当事者及び他の保護者への説明につきましては、当事者の保護者には最初の説明から市の調査結果、警察の調査結果等について、遂次状況を説明させていただきました。

 また、保育所の保護者への説明につきましては、今月5日に説明会を開催し、これまでの経過と今後の対応等について説明を行っております。

 どのような意見が出されたかにつきましては、職員の適正な人員配置、関係する保護者からの聞き取り、PTSDカウンセリング、保護者と情報を共有する取り組みのほか、保育士の心身ケアの保持とスキルアップする取り組み、適正な人材と余裕を持った人員配置、職員の個別指導などの要望が出されております。

 当事者のお子さんの状況につきましては、現在も元気に通園していることを確認しております。

 最後になりましたが、当事者のお子さんをはじめ保護者の皆様に深くおわびを申し上げ、このような事案を再び起こさないよう職員一丸となり再発防止に努めてまいります。

○野村淳一議員
 いま市長のほうから事件の経過について、そして対応についてご報告をいただきました。

 最初にお聞きしたいんです。この事件が発覚するのが6月17日、保護者が市に通報して発覚したものです。

 保護者の方は子どもの異変に気付いたことと、それからある方から一定の情報を得て不審に思い、市に通報したものです。

 しかし、それは後からわかったんですが、先ほどの報告もありましたが、すでに4月ぐらいから繰り返し行われていた可能性があります。

 結局、紋別保育所はみずからの力でそれを正すことができなかった、そいうい力がなかったということなんです。これは、私は重大な問題だというふうに思えてなりません。

 もう一遍聞きます。この事態はわからなかったのか、わかってもとめられなかったのか、あるいは隠すというような動機が働いていなかったのか、改めて教えてください。

○内田誠児童家庭課長
 お答えします。同僚の保育士からの聞き取りでは、足首を回し押し入れに入れた行為につきましては1回限りでの行為であったため報告をしなかったということですが、顔をたたくように見られた行為は続いた行為であったため、保育所長に報告しております。

 また、複数の職員が見た厳しくしかる行為については、この保育士はふだん真面目な性格から指導の一環として見られていた面があり、いずれの行為も保育所長指導後は改善されておりました。

 ○野村淳一議員
 しかし、結果としてこの2歳の子どもですね、この子どもは。その子どもの足を持って振り回していたわけです。あるいは押し入れにいわゆる軟禁したわけです。この事態は回数の問題ではなくて、その子にとっての恐怖というのはどれほどのものだったか、泣くことすらできなかったとさえ聞いています。

 この事態についての認識がどうだったのかということが問われているんだという気がしてなりません。

 警察の調査によってそれは事件性がないということで終わったようですが、しかし児童相談所、そしてオホーツク振興局の指導監査が、異例の指導監査です、これ保育所に指導監査が入るというのは管内では初めてだと思いますから、異例の指導監査が行われたんです。

 それは、いつその指導監査、改善命令が下ったんですか。

○内田誠児童家庭課長
 文章では6月19日に来ておりますが、6月20日に振興局の職員2名が市の方に来て指導監査の結果の報告を受けております。

○野村淳一議員
 先ほど市長のほうから答弁があったように、体罰とは言わないまでも子どもにとって心理的、身体的に苦痛を与えたという、そういう監査指導がありました。これは8月20日ということで間違いありませんか。

○内田誠児童家庭課長
 8月20日で間違いございません。

○野村淳一議員
 それに基づいて改善策をつくれと、そういう改善命令が下ったと思います。

 これは行政指導ですから1か月です。ということは、8月20日ですから、期限は明日です。9月19日です。

 この改善命令についてどうされているんでしょうか。提出しているんだとしたら、その内容も含めて教えてください。

○内田誠児童家庭課長
 今回の不適切な処遇の改善のほか、施設の目的、運営方針等、事故の報告、防止対策、保護者との連携、苦情処理の仕組み、自己評価などの指導を受けております。

 回答については、保育の指導となる保育指導マニュアルを作成するほか、再発防止と職員の資質向上を図る職員研修を実施し、全職員共通認識のもと保育にあたることなどを回答する予定でございます。

○野村淳一議員
 それらの内容がまた新たに監査の対象になってくるんだろうと思います。改善されることを私も期待はしたいんです。

 当該保護者の方には何回お会いして謝罪を含めた説明をされていますか。

○内田誠児童家庭課長
 保護者の方の説明につきましては、まず通報があった時に母親の方から聞いております。

 その後保育所内で保護者の方とその祖母の方について、状況を一度説明してございます。

 その間保護者の方が市役所のほうに来られた時に、状況について遂次説明をしておりますけれども、その後警察の調査が始まる前に一度保護者の方に今までの経過についてすべて報告し、その後警察の調査が出た段階でまた保護者の方に集まっていただきましてご説明をしたところでございます。

○野村淳一議員
 細かい話で恐縮ですけど、先ほど道の指導監査が行ったのは8月20日だというふうに言われました。その道の指導監査があった以降、道の指導監査の内容について保護者の方に説明をされましたか。

○内田誠児童家庭課長
 説明会を9月に実施しておりまして、そのときに道の指導監査の報告についてご説明したところでございます。

○野村淳一議員
 今課長が言った説明会というのは、9月5日保護者説明会の場のことを言っているんです。私が聞いているのは、道の監査が出て、そしてこういう状況でこういう指導があったということを含めて、保護者の方になぜ説明しなかったかということを聞いているんです。

 私は、保護者の方は自分の2歳の子どもがどんな事態になっていたのか、不安と、あるいは怒りを持って、不審を持ってずっと見ていた。

 逆に言うと、そういう実態を知らないから数か月にわたって子どもを保育所に送っていた、その自責の念もあるんです。

 その事実をしっかり知りたいと、なぜそいうことが起こったのかと。

 それに対して私は、保護者に対する説明というのは決して十分ではないと、信頼を得るような取り組みではなかったと叱責せざるを得ない。

 (つづく)


    

2013年12月16日月曜日

第3回定例市議会報告③-子育て支援について

○野村淳一議員
 次に、子育て支援について質問いたします。
 最初に、子ども・子育て会議についてであります。

 今議会に、紋別市子ども・子育て会議条例が提案されています。これは、子ども・子育て関連3法の成立に基づいて、国による子ども・子育て会議の設置と合わせ、各市町村でも地域版子ども・子育て会議の設置が努力義務とされたことによるものだと思います。

 そこでまず、この会議の持つ役割と目的は何なのかについてお尋ねします。

 国が進めようとしている子ども・子育ての新システムには、規制緩和の名による保育環境の低下や公的保育の責任の後退など、問題点も数多く見られます。

 そのもとで設置される紋別市の子ども・子育て会議が、自主的・自立的に地元の状況にそくした検討と協議、方向性を指し示すことは極めて重要です。

 それだけに、会議設置に当たり、子育て世代の意見をくみ上げることが何より大事になります。

 隠れたニーズを掘り起こすには、検討段階から子育ての当事者がいるかいないかで大きく影響するでしょう。同時に、保育現場の意見をくみ上げる努力も必要です。

 提案されている条例案の中にも保護者を委員とする項目がありますが、その点での具体的な内容をお尋ねします。また、公募による募集はしないのかもお聞きします。

 さらに、ニーズ調査を行うとしていますが、その目的は何なのか、どんな内容の調査なのか、それぞれお聞かせください。

 そして、この子ども・子育て会議の今後のスケジュールをお聞きするとともに、現在の子育て支援計画である紋別市次世代育成支援行動計画との関連についてもお尋ねします。

 次に、新しい紋別保育所と紋別児童館の建設計画についてお尋ねします。

 どちらも老朽化した紋別保育所と紋別児童館を一体のものとして潮見中学校裏の敷地に移転改築するとしていますが、まず現状の進捗状況をお聞きします。

 また、第1回定例会において私の質問に、移転建て替えに当たっては現場の保育士、保護者に対する説明の機会を設け、いただいた意見を踏まえて設計に反映させるとしておりましたが、その後の取り組みはどうなっているのか、またどのような意見が出されているのか、お聞きします。

 保育所の建設に当たって、その広さ、面積についてお聞きします。

 もちろん、保育所は国によって最低基準の面積が定められています。しかし、全国社会福祉協議会が行った研究調査によって、保育所の環境空間に対する改善が提言されています。

 2歳未満児で一人当たり3.3平米とする現在の国の基準を4.11平米に、3歳以上児で1.96平米を2.43平米に拡大するべきだとし、食事と午睡の場を分けることができる空間の広さが必要だなどの改善方向を示しています。

 私が先日視察した士別市の新しい公立保育所は、まさにこの提言に基づいた基準で建設され、伸び伸びとした空間をつくっておりました。

 これは、現場の保育士さんからの強い要望を生かしてつくられたものだと言っておりました。これら保育所にかかわる点での考え方についてお聞きします。

 また、児童館の建設についてですが、利用するのは文字通り児童生徒です。その彼らにとって使いやすく、魅力のある施設であることが何より大事です。

 その意味でも、児童生徒の意見をくみ上げる仕組みをつくるべきではないでしょうか。

 これも士別市の例ですが、今年オープンした児童館の建設に当たって子ども委員会を設置し、設計段階から児童館づくりに参加し、その意見を数多く反映させる努力を行い、豊かで工夫を凝らした魅力的な児童館をつくっておりました。この点での考え方についても見解をお尋ねするものです。

 次に、ファミリーサポートセンター事業についてであります。

 この事業は、この8月から本格的にスタートしたと思います。次世代育成支援行動計画で、平成21年に実施の方向が示されて以来、やっと実現にこぎつけたと思います。

 私も幾度か議会で取り上げさせていただきました。この事業が、子育てを応援する力となるよう期待したいと思います。

 そこでお聞きしますが、現在までの会員登録数と利用状況についてお知らせください。また、制度を知らせるための周知についてはどのように取り組まれているのかもお聞きします。

 言うまでもなく、この事業は児童の安全を保障し、会員相互の信頼関係をつくることが要だと思いますが、そのための取り組みをお聞きします。また、要望の強い病児、病後児の子どもの扱いはどうされるのかお尋ねします。

 紋別市はこの事業を社会福祉協議会に委託しましたが、その背景と理由は何なのでしょうか。私は、本来的には子育て支援の窓口を一本化し、利用者にもわかりやすく効果的に展開するためにも子育て支援センターの機能を高めて、そこが窓口になるべきではなかったかと考えているものです。いかがでしょうか、お考えをお示しください。

 どちらにしても、この事業を定着させ生かすためにも、保育所、幼稚園、小学校、子育て支援センターなどとの連携と協力がどうしても必要になってくるでしょう。

 そういう意味からも、社協任せにせず、紋別市としても積極的な働きかけが必要になってきています。その取り組みに期待したいと思いますが、見解をお聞かせください。

○宮川良一市長
 1点目の子ども・子育て会議につきましては、会議の目的と役割につきましては、昨年8月に子ども・子育て関連3法が制定され、この法律に基づき幼児期の学校教育、保育や地域の子ども・子育て支援を総合的に推進することを目的に、市町村が特定教育、保育施設特定地域型保育事業の利用定員を定める場合や子ども・子育て支援事業計画を策定、変更する際にこの会議の意見を聞くとともに、市町村における子ども・子育て支援に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関し必要な事項及び当該施策の実施状況について調査・審議するため、紋別市子ども・子育て会議を設置するものであります。

 会議の委員につきましては、地域の子ども及び子育て家庭の実情を把握するため、保育所、幼稚園、子育て支援センター、留守家庭児童園などを利用する児童の保護者、子ども・子育て支援事業に従事する方、学識経験者のほか、市長が必要と認める方などで構成しようとするものであり、幅広く意見を聴取し計画に反映するものであります。

 委員の公募につきましては、2名程度公募する予定であります。

 ニーズ調査の目的と内容につきましては、子ども・子育て支援事業計画を策定するに当たり、子ども及びその保護者のおかれている環境、その他の事情を把握し勘案するため、幼稚園、保育所、認定こども園、地域の子育て支援事業の利用状況と利用希望のほか、保護者の就労状況、放課後の児童の過ごし方などを調査するものです。

 今後のスケジュールにつきましては、子ども・子育て支援新制度の開始が平成27年4月から予定されているため、本年度中に子ども・子育て会議の設置とニーズ調査を行い、平成26年度半ばまでには事業計画案を取りまとめる予定であります。

 次世代育成支援行動計画との関連につきましては、次世代育成支援対策推進法は平成26年度末までの時限法となっており、国では法律の延長について検討を加え、必要があると認めるときは措置を講ずるものとしております。

 2点目の新しい紋別保育所、児童館の建設につきましては、移転改築の進捗状況につきましては、保育所、児童館の建て替え地の測量調査を本年7月に完了し、現地地質調査を実施しているところであり、今月中には基本実施設計を発注する予定であります。

 保育士、保護者に対する説明の取り組みにつきましては、本年7月末に市立保育所長と父母の会会長、児童館厚生員と母親クラブ会長により組織する懇談会を開催しており、この中で保育所施設関係では、調理室で給食をつくっている様子を子どもが見ることができるような食育に関することや屋内外の収納スペースの拡大、手洗いやトイレの各保育室間での設置など、また児童館施設関係では、保育所午睡に配慮した遮音対策、児童館のどこにいても児童を見渡せれる環境、児童館行事に活用できる調理室の設置などのほか、園庭、遊具などの外構整備につきましては、芝生、遊具、砂場、水遊び場所の設置、自動車駐輪スペースの設置などの意見が出されております。

 今後は基本実施設計事業者も委員に加え、施設の基本コンセプトを構築し、機能及び規模等を設計に反映していく予定であります。

 現場の保育士の意見の反映につきましては、施設の基準や機能面などを参考にしてもらうため、全国社会福祉協議会がまとめた研究事業報告書を保育所長に配布したところであり、今後も現場の保育士の意見、要望の反映に努めてまいります。

 児童館を利用する児童生徒の意見を組み入れる仕組みづくりにつきましては、各児童館でのアンケート調査や要望を聞く場を設けてまいります。

 3つ目のファミリーサポートセンター事業につきましては、現在までの会員登録と利用状況、周知の取り組みにつきましては、本年9月8日現在、依頼会員5名、提供会員13名、両方に登録している会員1名の19名が登録しておりますが、利用実績はありません。

 周知についての取り組みといたしましては、広報もんべつ、市ホームページ、地元新聞への掲載、施設、事業所へのパンフレット配布、事業説明会の開催等により周知を図っております。

 児童の安全と会員相互の信頼関係づくりのための取り組みにつきましては、会員の傷害保険の加入や提供会員が適切な知識、技術を習得するための提供会員養成講習会の開催、センター事務局に会員間の相互援助活動の調整を図るアドバイザーを配置しているところであり、今後は会員同士の親睦を図るための交流会を開催する予定であります。

 病児・病後児の子どもの取り扱いにつきましては、現在の事業所では受け入れは行っておりません。

 社会福祉協議会に委託した背景と理由及び子育て支援センターが窓口になるべきことにつきましては、昨年道内で既にサポートセンターを開設している40市町村のうち、直営以外の実施が約7割で、そのうち社会福祉協議会が実施している市町村が約6割を占めているほか、この事業は地域で支える住民主体の子育て支援活動であり、行政が実施する施設型の事業では支援できない部分を補完し、住民のニーズの多様化、高度化に対応する事業であります。

 また、社会福祉協議会は、社会福祉を目的とする事業の企画運営、住民参加の援助、事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整等を行う地域福祉の推進を担う公益性の高い団体であることから、地域の福祉事業のノウハウや事業の効率面、円滑な運営ができることを考慮し、委託することが望ましいと判断したものであります。

 市の積極的な働きかけにつきましては、この事業は地域の子育て支援のほか、保護者の就労支援としても活用することが可能であることから、社会福祉協議会と連携のもと、事業の周知と会員数の拡大を図ってまいります。

○野村淳一議員
 子ども・子育て会議について1つお聞かせください。この子ども・子育て会議の最大の目的は、平成27年度からの子ども・子育て支援事業計画を作成することにあるのかなと思っています。

 この計画は5年間の計画になります。ですから、この子ども・子育て会議というのはいつまでの会議なのかということなんです。

 これからの紋別の子育て支援の中心となるべき性格のものなのかなというふに思いますが、その辺の位置づけについて教えてください。

○内田誠児童家庭課長
 子ども・子育て会議につきましては、計画を策定すれば終わりということではなく、子育て支援施策の実施状況を調査、審議することとされておりますので、継続的に点検、評価、見直しを行う役割を担っていただく予定です。

○野村淳一議員
 ぜひ子育ての現役の方が多く参加できて、そのニーズがしっかりと反映される会議であってほしいというふうに期待したいと思います。

 

 

2013年12月14日土曜日

第3回定例市議会報告②-障害者福祉について

○野村淳一議員
 次に、障害者福祉について質問します。
 障害を持つ方が住みなれたこの地域で安心して暮らすことができる環境を整備することは、重要な課題であることは言うまでもありません。

 その中でも、生活の基盤としての就労への支援が大きな役割を果たすと考えます。

 紋別市においても、地域活動支援センターの取り組みに加え、NPO法人による就労継続支援B型事業所の開設など、その流れは着実に広がりつつあり、障害者やその家族にとって励みとなっていると思います。

 しかし、同時に障害のある人が自立した生活を送るためには、就労によって経済的な基盤を確立することが課題となっています。

 このためには企業を含めて障害者雇用を支援するための仕組みを整えることはもちろんですが、障害者自身が通い、生活や就労訓練をする障害者施設などでの仕事を確保することが必要となっています。

 実際、多くの施設では、この仕事探しに苦労しているのが実態です。

 このような観点から、国は国等による障害者施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律、いわゆる障害者優先調達推進法を成立させ、この4月から施行されています。

 国や地方自治体などが物品やサービスを調達する際、障害者施設などから優先的、積極的に購入することを定めたものです。

 これが具体化されることに、関係団体も大きな期待を寄せています。

 そこで、改めてこの法律の趣旨と内容をお尋ねするとともに、紋別市においてはどう具体化し、どう成果を上げようとしているのか、その方向性をお聞きするものです。

 就労支援の一つとして、職親会というのがあります。障害を持つ人たちが、地域で自立した生活を送るためには、地域での受け入れ態勢が必要です。

 そこで、障害者の就職と職場への定着を援助し、共に働き、共に暮らすことを願うさまざまな職種の事業主を中心に組織されたのが職親会といわれる組織です。

 道内ではすでに23地域で組織され、1400件の加盟事業所が参加しています。

 近くは、名寄職親会、そして7月27日には北見市でも職親会が発足しています。

 さらに、3月2日には紋別市でも職親会設立に向けた説明会が開催されており、その理解と運動は確実に広がっています。

 就労支援形態のあり方の一つとして、大いに有効だと考えるものです。

 今後紋別市として、企業と商工会議所、福祉施設、高等養護学校の関係者、ハローワークなどを有機的に結び付ける職親会の組織づくりの中心となって働きかけることが求められていると考えますが、市長の見解をお伺いします。

○宮川良一市長
 1点目の障害者優先調達推進法につきましては、この法律は国、独立行政法人及び地方公共団体等がみずから率先して障害者就労施設等からの物品や役務の調達を推進し、障害者就労施設等が供給する物品等に対する需要の増進を図ることで、障害者の自立の促進に資することを目的としたものであります。

 また、この法律におきましては、国、独立行政法人及び地方公共団体等における努力義務として障害者就労施設等からの物品等の優先的な調達の推進について規定されているとともに、毎年度障害者就労施設等からの物品等の調達方法や調達実績について公表することを義務づけているものであります。

 次に、本市における具体的な取り組みや方向性につきましては、本年8月に平成25年度紋別市障害者就労施設等からの物品等の調達方針を策定したところであります。

 この調達方針は、障害者優先調達推進法の目的を踏まえ、市内の障害者就労施設等からの物品及び役務の調達について計画的な推進を図ることを目的としたものであり、調達目標額や推進方法などについて規定しているものであります。

 今後は市ホームページや広報誌にて調達方針を公表するとともに、全庁的に連携した取り組みとしていくため庁内連絡会議を開催し、優先調達の対象となる市内の障害者就労施設等の情報、当該施設において供給可能な物品及び役務の内容など、庁内各課との情報共有をはかりながら取り組みを進めたいと考えております。

 2点目の職親制度につきましては、本市の障害者の就労支援は旧道立紋別病院の精神科が中心となり、昭和55年から紋別市精神障害者職親制度を実施し、精神障害者の就労支援に努めておりましたが、現在は特定非営利活動法人ねこやなぎが事業主体となり運営をしているところであります。

 支援の内容につきましては、市がねこやなぎに対し運営補助金年額10万円のほか、雇用主と就労者の奨励金分として月額2万2000円を補助し、ねこやなぎは雇用主に雇用奨励金として月額1万6000円、就労者に就労奨励金として月額1万2000円を支給することにより精神障害者の就労につなげており、過去5年間では旅館や新聞販売店など3つの事業所に各1名が就労しております。

 本市といたしましては、紋別市精神障害者職親制度が職親会にかわる機能を有する事業であると認識しておりますが、本市における精神障害者の一般就労は引き続き厳しい状況となっており、本市職親制度による障害者雇用の実績も伸び悩みを見せている状況にあります。

 このようなことから、今後は障害者の一般就労を推進するため、就労希望障害者の状況把握、障害者雇用の受け皿となる職親の新規開拓、知的障害者への職親制度の適用など、現行の職親制度の見直しを含め、就労支援の具体的な方策等について、ねこやなぎなど関係機関と協議検討を進めるとともに、事業主が主体となる職親会が設立された場合には連携を深めてまいりたいと考えております。

○野村淳一議員
 優先調達推進法に基づいて、市としても方針を立てて全庁的に今取り組みを行っているということでしたので、この取り組みがぜひ具体的な形で成果のあらわれることを期待したいと思っています。

 一つだけ聞かせてください。この法律に基づくのは紋別市だけではなくて、国も道の出先機関もそうです。場合によっては、広域紋別病院もかかわるのかなというふうに思います。

 こういう事業所からも優先的な調達というのは当然必要になってきます。

 それぞれの紋別市の障害者施設がどういう事業ができて、どういう作業が可能なのかということを知らせる必要があると思います。

 そういう国、道などの出先に対しての連携も必要だと思いますが、それについてはどのようにお考えですか。

○富樫豪志社会福祉課長
 お答えします。優先調達推進法を実際に具体的に成果を伴うものにしていくためには、私ども所管課だけではなくて国の指導方針に従いながら全庁的な取り扱いとしていくこと、それからその品目については基本的には制限を設けないこと、そして毎年度策定する方針の中の目標額については前年度実績を上回る目標を設定することなどが盛り込まれております。

 これらの考え方に基づきまして着実に推進をはかっていくこととしておりますし、具体的には今月末に、まずは庁内の連絡会議等を開催いたしまして、今先ほど野村議員さんがおっしゃられた市内6か所の事業所でどのような商品あるいは役務を提供しているのかという部分につきまして、まず情報共有を図ってまいりたいと思っておりますし、必要に応じて庁内の関係各課、それから市内の就労支援事業等との間の連絡調整役を担ってまいりたいと考えているところでございます。

 劇的な成果というのはなかなかあらわれにくいと思いますが、着実に推進してまいりたいと考えております。

 それから、たとえば広域病院等の連携につきましては、まだ私どものほうで連絡等を取り合っておりませんが、この部分につきましても、たとえば役務の提供などで連携できる部分がある、あるいは協力していただける部分があるなどの場合につきましては、同じく事業所と広域病院等の間に立ちながら、必要な調整を図っていきながら推進に努めてまいりたいというふうに考えます。

○野村淳一議員
 障害者の施設で頑張っている利用者さん、たくさんいらっしゃいます。せめて工賃が1万5000円以上あればと。これ道や国の一つの基準です。 

 障害年金とあわせて自立していく方向が見えるのにというのが一つの中身です。

 なかなかその基準に達しないという状況がありますので、ぜひそれに向けた取り組みをお願いしたいと思います。



 

2013年12月13日金曜日

第3回定例市議会報告①-防災対策について

○野村淳一議員
 紋別市では今年度、紋別市地域防災計画の改正が行われたと思います。実は改正といっても、その中身はほぼ全面的な改正といってもいいものです。

 そこでお聞きしますが、いまこの時期に地域防災計画の全面的な改正が行われた背景と理由は何か。同時にその主な内容、特徴点についてお聞きします。

 さらに、この改正案について4月にパブリックコメントを募集しておりますが、その状況はどうであったのかお知らせください。

 今回の地域防災計画の改正で特に注目されるのは、地震、津波災害対策が別途に新しく記述され、全面的に見直しされていることであります。

ここにはもちろん東日本大震災の教訓が生かされています。

 そこでお聞きしますが、今回の新しい防災計画では、この地域においてどのような地震と津波の規模を想定し、被害を予測しているのか、さらにその予防策と被害の抑制策はどう検討されているのか、主な内容をお聞きします。

 また、流氷接岸期における地震、津波対策はどうなっているのかお尋ねします。

 次に、災害が起こった時の避難、救助の対応についてお聞きします。

 まず、避難場所についてですが、避難場所と一口に言ってもそこには一時避難場所、収容避難場所、一時収容避難場所、さらに津波に対しては別の避難場所が設定されているなど、市民にはわかりにくい一面もあります。

 これら各避難場所の内容と住民への周知についてはどのようにされているのかお聞きいたします。

 同時に、それら避難場所にはどれだけの災害用備蓄品が常備されているのか、その内容をお聞きするとともに、今後の取り組みについてもお尋ねします。

 災害発生時などに消防、防災ヘリコプターの出動が必要になることが予想されます。

 その際の防災ヘリコプターの離発着場についてでありますが、紋別市地域防災計画では市内に3か所のヘリポートが公式に指定されています。

 しかし、3か所のうち2か所、1つは渚滑川河口の水防拠点ヘリポートであり、もう1つは海浜公園の親水公園運動場となっているのです。

 どちらも海と川に面し、地震、津波の際は近寄ることも許されない最も危険な場所です。

 ここが災害用ヘリポートになっているのです。

 この点についてどのような見解をお持ちか、また見直す方向はないのか、お尋ねします。

 今回の地域防災計画の改正では、避難所の運営について女性の視点での配慮が盛り込まれているのも一つの特徴です。これも東日本大震災の教訓の一つです。

 女性に配慮した間仕切りやトイレ、更衣室の設置、さらには女性相談員の配置などが新たに盛り込まれています。

 これを実際の場面で具体化できるようにすることが重要です。

 ただ、紋別市防災会議のメンバーに女性が一人もいない点が気になります。この点においての見解と改善の方向性についてお尋ねします。

 また、これを実践するために具体的なマニュアルが必要であり、そのための女性による会議の場が必要だと思いますが、いかがお考えかお聞かせください。

 地域防災計画の改正の中には、事故災害対策編として港湾災害や大規模火災、航空災害など、個別の災害対策が記述されております。

 しかし、その中に今年3月の痛ましい犠牲を出した暴風雪災害についての記述がありません。

 今年の暴風雪による被害は、単に雪害とのみいえるものではありません。特別な事態だったとも言い切れないのが現状です。

 この教訓を生かし重大な個別の事故災害として取り上げ、対策を検討する必要があると考えますが、いかがお考えかお聞かせください。

 次に、災害時における要援護者の問題です。

 今年6月、改正災害対策基本法が成立し、市町村に対し災害時要援護者の名簿作成が義務付けられました。これもまた東日本大震災における大きな教訓です。 

 この法改正に伴う要援護者の名簿作成の内容と紋別市としての取り組みをお聞きします。

 また、従来より検討されていた災害時要援護者避難支援プランの策定と今後の方向性についてもお聞きします。

 最後に、防災訓練についてお尋ねします。

 さきにご案内もいただいておりますが、10月2日に今年の防災訓練が実施されるようであります。そこで、今年の防災訓練の内容と狙いについてお聞きします。

 また、実際に避難所を開設するなど、より実践的な訓練が必要ではないかと考えるものですが、お考えをお聞かせください。

○宮川良一市長
 1点目の紋別市地域防災計画につきましては、東日本大震災での課題や教訓を踏まえ、国の防災基本計画や北海道の地域防災計画が修正されたことを受け、減災の考えを基本に2つのレベルの津波を想定するなど防災対策全般について見直しを行ったところであります。

 パブリックコメントにつきましては、本年4月22日から5月7日まで実施したしましたが、市民からの意見は特段ありませんでした。

 2点目の想定する地震、津波の規模等につきましては、北海道から新たに示された紋別市に影響の大きい想定地震として網走沖と紋別沖が地震源として挙げられておりますが、このうち一番大きな被害が予測される網走沖の地震では、最大で震度6強、津波の遡上高8.7メートル、木造住宅全壊棟数189棟、死傷者数668人。

 また、紋別沖の地震では、同じく最大で震度6強、津波の遡上高5.1メートル、木造住宅全壊棟数57棟、死傷者数195人と予想されております。

 地震、津波対策につきましては、道路、橋梁等の耐震性やライフライン施設の安全性の強化など、地震に強いまちづくりを進めるとともに、自助、共助の防災意識の高揚を図るほか、災害に対処できる知識の普及や防災教育の推進に努めてまいります。

 流氷接岸期の対策につきましては、被害についての科学的知見がないことから、現在独立行政法人寒地土木研究所が平成23年から5か年計画で進める流氷時期の津波襲来等に係る調査の結果を待って、検討してまいりたいと考えております。

 3点目の避難所、避難場所につきましては、災害時に第1次的に避難して身の安全を確保する一時避難場所、短期間の泊まり込みができる一時収容避難場所、避難生活が長期に及ぶ場合の収容避難場所のほか、災害の状況に応じ、川から離れた安全な場所に設けた洪水避難場所や標高の高い地点に設けた津波避難場所を指定しており、市のホームページをはじめ、広報もんべつや防災展での啓発など、あらゆる機会を通じ市民への周知を図っているところであります。

 備蓄品につきましては、現在アルファ米等の食糧約1400食、毛布等約650枚をはじめ、発電機、給水袋、灯光器材、ポータブルストーブなどを本庁舎、上渚滑支所、渚滑出張所の3か所に分散して備蓄しておりますが、避難時に十分に対処することができるよう、引き続きその充実に努めてまいります。

 ヘリコプターの離発着場につきましては、地域防災計画では主に離発着が可能な場所として紋別空港など3か所を掲載しておりますが、このほかにも災害の状況に応じ、市内小中学校のグラウンドを活用するなど、臨機応変に対応してまいります。

 防災会議につきましては、本年9月2日に開催されました紋別市防災会議で、新たに国際ソロプチミストが委員として加わり、現在2名の女性委員に参画していただいております。

 また、避難所運営に当たりましては、関係団体等をはじめ、防災訓練に参加した女性の方々からご意見を伺うなどしながら、女性の視点も生かした避難所運営マニュアルづくりを進めてまいりたいと考えております。

 雪害対策につきましては、本年3月の暴風雪災害の状況を検証し、地域防災計画の中で市民の取るべき措置など内容を拡充したところでありますが、引き続き雪害対策マニュアルの作成を進め、突発的な災害にも万全を期してまいりたいと考えております。

 4点目の要援護者につきましては、本年6月に災害対策基本法が改正され、障害者や高齢者の方など、避難で特に支援が必要な方々について名簿を作成することが市町村に義務づけられたところであります。

 市としたしましては、これまで進めてきた地域ネットワーク推進事業や緊急通報システム運営事業などの取り組みも活用しながら、国から示された指針等を踏まえ名簿や支援プランの作成を進めてまいります。

 5点目の今年の避難訓練につきましては、来月2日に地震発生時による津波災害を想定した訓練を実施することとしており、住民避難訓練や救助、救出、負傷者救急搬送訓練はもとより、本年度初めて避難住民が参加する避難所運営訓練や気象台職員による災害時の対処法などを学ぶ出前講座を実施するなど、より実践的な訓練を予定しております。

○野村淳一議員
 防災対策についてでありますが、ちょっと最初に確認をさせていただきたいんですが、今回地域防災計画が新しく紋別で改正されました。

 今市長が答弁されたように、地震、津波の想定で最悪の場合、網走沖ということで震度6強、それから津波の高さ8メートルから9メートルなどの中身が出されました。

 そういう調査というのは自治体では、専門的なものですからなかなかできるものではありません。

 北海道がそれにかわってずいぶん調査されているんだと思うんです。

 北海道は、北海道沿岸の津波浸水予測図というのをかねてから作成をしておりました。

 オホーツク沿岸は、平成21年から22年にかけて作成されております。

 ところが、東日本大震災が起こって、この津波のあり方について再検討が必要だということになって、改めていま全道の沿岸地域の新しい津波浸水予測図作成を始めています。

 太平洋沿岸はもう出来上がったと思います。オホーツク沿岸については、平成24年度から津波堆積物の調査を始めているのかなというふうに思っています。

 新たな東日本大震災を受けての津波浸水予測図の作成が道をもって行われていると思いますが、それで確認してよろしいですか。

○吉野久寿庶務課長
 お答えしたします。オホーツク海沿岸につきましては、今年度から調査が開始されたということでございます。

○野村淳一議員
 今回改定された紋別の防災計画は、前段の調査について書かれたものだと思います。

 今年からオホーツク沿岸で新たな調査が始まっています。それに伴って、どういう結果が出るかわかりません。

 より科学的な調査がされているんだろうと思います。それは、また新たな数字が出てきたときにそれを直ちに公表し、そして必要な改正というのも直ちにしていかなければならないと思いますが、それについての準備を教えてください。

○吉野久寿庶務課長
 お答えいたします。いま道が調査しておりますので、その結果を待ちまして,新たなハザードマップなど作成について検討してまいりたいと思っております。

○野村淳一議員
 今回改正された紋別の地域防災計画なんですけど、確かにそういう意味ではまだまだ不十分さを残すかもしれないけど、しかし東日本大震災を受けて、そしてその教訓をもとに道も地域防災計画をつくりました。

 それをもとに紋別としてもそれを改正したんだと、そういう意味では非常に積極面があるんだろうと思っていますし、それがより具体化されることを期待しているんです。

 ただ、私がどうしてもやっぱり物足りなさを感じるんです。なぜかと。

 例えば流氷の問題しかり、そうなんです。確かに、これは平成23年から27年、5か年にかけて、今独立行政法人寒地土木研究所が調査を始めたばかりです。

 そういう意味では、流氷にかかわる問題は道も含めてまだまだ認識が甘かったということはもちろんなんですが、しかしこの流氷の問題は紋別の地域においては避けて通れない問題なんです。

 地域防災計画の中にはこのことが一言も触れられていないのは、私はやはり物足りなさを感じずにはいられない。これが1点。

 それから、防災ヘリコプターのことを提案しました。これも質問でも言ったように、渚滑川河口、それから親水公園、そして紋別空港、3か所です。

 しかし、今回の地域防災計画の改定の最大の目的は地震、津波にどう対応するかなんです。

 そう思った時に、渚滑川河口の防災ヘリポート、親水公園のヘリポートをそのまま記載している。

 いや、もちろんそれはそれぞれの災害ですから使う場合もあるでしょう。しかし、震災、津波の場合には使えないんです。

 そういうときにどうするのかということを、グラウンドなども使って臨機応変にと言うけれども、どんな災害が起こるかわからないので、例えば照明の機材はどうなのか、あるいは近所に人家があるのかないのか、それにふさわしい敷地があるのかないのかということで作成されているのがこの3か所なんです。

 そういう意味では、やっぱりせっかく地域防災計画を改定しているんだから、それについてもしっかり目配せが必要ではなかったかという意味での物足りなさを感じる。

 それから、3つ目には今年の3月の暴風雪の被害の問題なんです。このことについても、こういう事態になっているのに、このことについてせっかく改正するのに記述がほとんどない。そういう意味で物足りなさを感じると同時に、どことなく私は緊張感がないのじゃないかという印象を持たざるをないのですが、改めてご答弁ください。

○吉野久寿庶務課長
 まず初めに、流氷接岸期の関係でございますけれども、これにつきましては、今市長から答弁した通り、科学的知見がまだ示されておりません。そういうことで、はっきり示された段階で速やかに対応していきたいと考えてございます。

 それから、2点目のヘリポートにつきましては、洪水対策、それから油対策ですとか、それぞれ災害の情報収集とかそれぞれの目的があった設置されているところでございます。災害については様々いろいろございますので、その時々の状況に合わせまして発着場所などを検討してまいりたいと考えております。

 それから、雪害につきましては、今回地域防災計画の中で見直しをさせていただきましたけれども、今後市民の取るべき措置としましてラジオやテレビでの気象情報、それから防災上の注意事項などをよく聞くこと、不要不急の外出は控えるなどの雪害時の心得や、運転中に突発的な吹雪に遭遇した場合の心得などといったものをマニュアル化して改めて示したいと思っております。

○野村淳一議員
 確かにすべてが網羅できるものではありませんから、随時これから補強しながら充実させていっていただきたいと。ぜひ急いでやってほしいと思います。

 災害時の要援護者の問題です。これは名簿を作ることが義務付けられています。これはいったいどこが担当するのか、それからめどについて教えてください。

○吉野久寿庶務課長
 お答えいたします。避難行動要支援者の支援につきましては全体計画と細部にわたって計画をつくると、今回こういう指針が示されております。

 全体計画につきましては、地域防災計画に盛り込んで対応しなければいけないと。その地域防災計画に盛り込まれた個別の案件については、担当部局が対応するような形になろうかと思います。

 めどにつきましては、今回法改正がされまして来年4月に施行開始ということでございますので、それに合わせて対応してまいりたいと考えてございます。

○野村淳一議員
 この要援護者の名簿づくりと言ったら個人のプライバシーの問題があって、なかなかこれをどのまちでも苦労している内容だと思います。ただ、これは防災担当だけでなく、これも先ほども答弁でありました地域ネットワーク事業との連携となってまいります。これは、福祉サイドの取り組みでもあると思います。縦で割るんじゃなくて、横の連携も含めた名簿づくりが必要だと思いますが、それについてはどう取り組まれる計画ですか。

○吉野久寿庶務課長
 議員ご指摘のとおり、今度関係部局としっかりと連携して対応してまいりたいと考えております。