2018年2月9日金曜日

寅さんの故郷へ

 今年の正月は、思い切って妻と東京にでかけました。

 東京にいる息子との久しぶりの再会。そして、訪れてみたかった場所へ。

 一つは「いわさきちひろ美術館」。

 東京都練馬区にあるその美術館は、閑静な住宅街の中にありました。

 ちひろが暮らした自宅跡に、ちひろの死後、ちひろを愛する多くの人々の寄付などによって1977年に建てられたものです。

 子どもを生涯のテーマとして描き続けたいわさきちひろ。そのやさしい絵が、優しいまなざしがあふれる美術館でした。

 次に訪れたのが、「渥美清」演ずる寅さんの故郷・葛飾柴又帝釈天。

 わが家では、映画「男はつらいよ」の上映会がたびたび行われます。といっても、夫婦二人で酒を飲みながらですが。

 全47作。一つ一つ見ています。どの作品も、なぜか胸がジーンとして、おかしさの中にも人生の切なさを感じさせるのです。

 その映画の舞台、葛飾柴又はあこがれの場所なのです。

 

 柴又駅に降りた瞬間、「倍賞千恵子」演ずる「さくら」と寅さんが別れるシーンが浮かびます(第6作『純情編』)。

 「故郷ってやつは… 故郷ってやつはよ…」と寅さんが言いかけると電車のドアが閉まります。

 結局、寅さんはさくらに何を言いたかったのか…。深く考えさせられる印象深い名シーンです。

 そんなことを思いながら帝釈天への参道を歩きます。名物の草団子の老舗が並びます。いくども映画で流れた風景です。

 そして柴又帝釈天へ


 いつも「佐藤蛾次郎」演ずる「源公」がそうじをしていた山門をくぐり境内へ。

 そこには、「笠智衆」演ずる「御前様」がいるようです。



 足を延ばして江戸川の土手へ。

 いつも「男はつらいよ」の冒頭シーンに登場します。そこを歩くと、なんだか寅さんになった気分です。



 その足で「寅さん記念館」にも顔を出しました。「とらや」のセットが楽しい。圧巻なのは、壁一面を覆う、歴代マドンナたちの写真。どれもこれも胸に迫ります。

 いつも、マドンナに恋をしては最後に失恋。そして、また旅に出る。

 「どうして旅に出て行っちまうの?」さくらの問いに寅さんは「ほら、見な。あんな雲になりてえのよ」(第9作『柴又純情編』)

 裏の朝日印刷所の工員にもやさしい寅さん。「労働者階級のみなさん、今日も一日ほんとうに労働ご苦労様」(12作『私の寅さん』)

 そして、ふと寅さんのこんな言葉が聞こえます。「もし何かあったら葛飾柴又のとやらに訪ねてきな。悪いようにはしないから」(第13作『寅次郎恋やつれ』)

 寅さんにふと出会えた旅でした。



 帰りに、スカイツリーを(高所恐怖症のため)下から見てきました。


 


 

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