2017年12月28日木曜日

新しい介護計画に現場の声を~2017年第3回定例市議会一般質問③

3、介護保険と高齢者福祉について
①介護保険事業の現状と第7期計画に向けた見通しについて
②利用料3割負担の影響について
③「自立支援・重度化防止」について
④「地域共生社会の実現」について
⑤認知症対策について
⑥介護保険料について
⑦第7期介護保険事業計画策定について

〇野村淳一議員
 介護保険と高齢者福祉について質問いたします。
 5月26日、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律、いわゆる改正介護保険法が成立しました。

 時あたかも国会では、共謀罪法案や森友、加計学園疑惑が沸騰するさなか、十分な審議もないまま採決が強行されたものです。

 この改正介護保険法は、介護利用料負担の引き上げなどとともに、自立支援・重度化防止の名による財政的インセンティブの導入、地域共生社会実現の名による高齢者福祉、障害者福祉を混在させる施策など、これまでの見直しとは一線を画する内容となっているものです。

 当然、これらの方向は現在策定作業が進んでいる第7期紋別市介護保険事業計画にも反映されるでしょう。この改正介護保険法の内容と、それを含めた第7期介護保険事業計画の策定について、以下質問いたします。

 最初に、現在の介護保険事業の現状についてお聞きします。
 まず、要介護認定者数と認定率の推移、全道平均との差、また第6期介護保険事業計画との比較ではどうか、お示しください。

 さらに、介護給付費についてもその推移と第6期計画との差についてお知らせください。

 さらに、次期の第7期介護保険事業計画における要介護認定率と介護給付費について、どのような見通しを持っているのかお聞きします。

 紋別市では、昨年度から要支援者を対象にした新しい総合事業をスタートさせましたが、その現状と今後の見通しについてもお尋ねします。

 5月に成立した改正介護保険法には、2つの大きな柱があります。1つは、介護保険制度の維持可能性の確保、2つには地域包括ケアシステムの深化、推進です。

 まず、柱の一つ、介護保険制度の維持可能性の確保の中で打ち出されたのが新たに利用料3割負担の導入です。

 年間収入単身で340万円以上、夫婦で463万円以上の場合、利用料が3割に引き上げられることになります。2年前に2割負担が導入されたばかりであり、たとえ現役並みの収入といっても、医療の負担とは違い、介護の場合は生涯にわたって負担し続けるものであり、介護サービスの抑制につながらないか危惧するものです。

 この3割負担導入の目的と意味について、そして紋別市における具体的な影響についてお知らせください。

 もう一つの柱である地域包括ケアシステムの深化、推進には何が書かれているか。

 その一つに、保険者機能の強化による自立支援、重度化防止が位置づけられています。要するに、これは介護費用を抑制した自治体に対し、国が財政支援を手厚くするという財政的インセンティブを導入しようというものです。

 今回の措置は、国が定めた指標と交付金によって自立支援をスローガンに、要介護度の低下や給付費の縮減を市町村に競わせるもので、結局、介護保険からの卒業の強制や介護認定の厳格化、窓口での門前払いなどを自治体に駆り立てる危険性をはらんでいるものです。

 必要な介護から利用者を締め出すことがあってはなりません。ひたすら介護給付費の削減を目的に推し進めようとするこれらの国の方針に対し、紋別市はどのような認識を持ち、どのように対応しようとしているのかお聞きします。

 地域包括ケアシステムの深化、推進の中にもう一つ、地域共生社会の実現という項目があります。

 これは、昨年国が打ち出した、我が事・丸ごと地域共生社会構想に基づき、高齢者、障害者両方に対応できる新たなサービス類型として共生型サービスを創設するものです。

 確かに、高齢、障害分野における行政の縦割りを是正させる面はあるものの、肝心の人員体制や介護、障害報酬についての中身はこれからで、必要なサービスの質が担保され、高齢者、障害者の願いにかなう事業になるのかは不透明なままです。

 逆に、我が事・丸ごとの名で地域住民の自助、互助に役割を押しつけ、地域福祉や社会保障に対する公的責任を縮小させていくのではないかという危惧を持つものです。

 これら国が進めようとする地域共生社会の実現に対する見解とその対応についてお聞きします。

 また、障害と高齢者福祉を一体にする共生型サービスでも、65歳になれば障害福祉から介護保険に移行する介護保険優先原則は堅持されたままです。

 65歳を過ぎた高齢障害者は、新たに介護認定を要求され、その多くでサービスが縮減され新たな利用料負担が発生するなど、高齢障害者の生活、尊厳を脅かす事態が生まれています。

 高齢障害者に対する紋別市の対応についてお聞きするとともに、介護保険優先原則を廃止するよう国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。見解をお示しください。

 次に、認知症対策についてお聞きします。
 第7期介護保険事業計画においても、認知症対策は重要であり、新オレンジプランの具体化が求められています。そこで、以下の項目についてお聞きします。

 認知症サポート医の配置、初期集中支援チームの設置、認知症ケアパスの作成、認知症カフェの開催、グループホームの整備、認知症サポーターの養成、これらそれぞれの実績と今後の計画、見通しをお知らせください。

 また、認知症高齢者は障害者控除の該当になりますが、市民に対する周知と対応はどうされているのか、実績を含めお聞きします。

 次に、介護保険料についてお聞きします。
 第6期計画では、第7期計画の平成32年度の目安として、現在より1,041円高い5,361円になるとしておりましたが、どのような見通しを持っているのか、まずお聞きします。

 また、介護給付費準備基金は、平成28年度で7,600万円、平成29年度を含めると1億円を超える残高となります。その活用についてはどのようにお考えなのでしょうか。

 介護保険料の負担は、限界に近いものがあります。その値上げを抑えるための対策はどのように考えているのか、お尋ねいたします。

 さらに、介護保険料の滞納についてですが、その滞納件数と主な理由は何なのか。それによるサービス利用の停止など、ペナルティーの発生件数はあるのか、それに対する紋別市の対応はどのようなものか、お尋ねするものです。

 最後に、第7期の紋別市介護保険事業計画及び高齢者福祉計画の策定状況と今後のスケジュールをお知らせください。

 その中で、施設整備に関する計画はあるのでしょうか。また、高齢者や介護事業所へのアンケートや意見聴取、意見交換などについてはどのように対応し、どう反映されるのか。さらに、市民への周知と説明はどうされるのか、それぞれお聞きするものです。

〇宮川良一市長
 次に、介護保険と高齢者福祉についてであります。
 1点目の介護保険事業の現状と第7期計画に向けた見通しにつきましては、第6期計画中の要介護認定者数の状況は、各年4月末現在で平成27年には1,412人で認定率が18%、平成28年は1,417人で17.8%、平成29年には1,502人で19.2%と推移しており、計画での平成29年度推計は1,500人で19.4%であり、実績との比較では人数で2人上回り、認定率では0.2%下回りました。

 全道平均の第1号被保険者のみの比較では、全道値19.5%に対して本市は18.8%となり、0.7%下回っております。

 給付費総額の状況は、平成27年度は15億7,500万円、計画の17億500万円と比較して92.3%の執行率となり、平成28年度は15億7,400万円、計画の17億6,000万円と比較して89.4%の執行率となります。

 ただし、平成28年度は総合事業を1年前倒しして開始したことにより、要支援1、2の認定を受けた方の居宅介護支援事業及び訪問介護並びに通所介護の事業費は、計画作成時には給付費として計上しておりますが、これら事業の実績につきましては、給付費ではなく地域支援事業費での決算となっておりますことから、平成27年度に比べ平成28年度の執行率が下がっております。

 第7期計画における認定率と給付費の見通しにつきましては、第7期中に65歳以上の第1号被保険者数はピークを迎えますが、認定者数は今後も増加が見込まれることから、給付費につきましても増額が予想されます。

 認定率と給付費の見通しにつきましては、本年10月に開催を予定しております介護保険事業計画等策定委員会にて報告ができるよう、現在推計をしておりますことから、現時点ではお示しできないことをご理解願います。

 平成28年度から開始した新しい総合事業の現状につきましては、訪問介護及び通所介護は現行相当のサービス提供とし、柔道整復師会等の協力を得ながら通所型サービスCを新設して、事業の移行を図ったところであります。

 サービス利用者及び提供事業者におきましても、大きなトラブルもなくおおむね良好に事業移行がなされたと考えております。

 今後につきましては、利用者への給付制限につながらないよう配慮し、各介護事業者の協力を得ながら、通所型サービスA及び高齢者ふれあいセンターや地域包括支援センターによる通所型サービスBの新設を目指してまいります。

 2点目の利用料3割負担の影響につきましては、目的は平成29年第1回定例会で議員のご質問にお答えいたしましたとおり、介護保険制度の持続可能性の確保となっております。

 本市での影響は、本年8月1日現在において1,599人が介護認定を受けており、うち2割負担者が73人おります。

 この73人のうち31人が3割負担該当者となりますが、施設入所等により高額介護サービス費に該当することから、負担増とならない方が11人おり、実質3割負担該当者数は20人となる見込みで、全認定者数の1.3%の方に影響が出ると考えております。

 3点目の自立支援・重度化防止につきましては、データに基づく地域課題の分析や介護給付費適正化等、取組内容の目標指針を国が定め、その実績評価を行うこととなっておりますが、事業全体の詳細は今後国及び北海道から示される基本方針等を注視して進めてまいります。

 本市の具体的な取り組みといたしましては、本年度より地域包括支援センターに作業療法士を配置したところであり、今後はこの作業療法士が中心となり、効果的な介護予防事業を実施してまいりたいと考えております。

 4点目の地域共生社会の実現につきましては、高齢者と障害者が同一の事業所でサービスを受けやすくするため、介護保険と障害者福祉両方の制度に新たに共生型サービスを位置づけること自体は、人口減少社会においてサービス提供に当たる人材確保やサービスの一体化などの観点から、意義があるものと考えております。

 高齢障害者への市の対応といたしましては、障害者担当及び介護担当部局においてケアを必要とする利用者に対し、横断的なケア会議等を実施し、適切な支援に努めてまいります。

 介護保険優先原則の廃止を国に求めることについては、地域共生社会の実現を国が具体的に全体像を示していない現状の中で、本市においては地域包括ケアシステムの基盤整備について、とりわけ地域包括支援センターの機能強化が重要であり、高齢者や障害者の生活支援体制を整備することが地域共生社会の実現の近道と考えております。

 5点目の認知症対策につきましては、認知症サポート医の設置は本年10月に市内の開業医にサポート医研修を受講していただく予定でありますことから、研修終了後に委嘱できるよう準備を進め、認知症初期集中支援チームについても同時期に設置する準備を進めております。

 認知症ケアパスの作成は、認知症地域支援推進員が中心となり、市内のケアマネジャーにも協力を得ながら本年度末をめどに作成いたします。

 昨年から始まりました認知症カフェにつきましては、高齢者ふれあいセンター4カ所と地域包括支援センターにて年25回の開催を予定しており、参加者からは一定の評価をいただいていることから、今後も継続実施に努めてまいります。

 グループホームの整備は、介護保険事業計画等策定委員会の中で検討しておりますことから、現時点ではお示しできないことをご理解願います。

 認知症サポーターにつきましては、本年3月末現在976人、キャラバンメイト59人の登録があり、今年度はサポーター養成講座を6回開催し、88人のサポーターが新規登録となっております。

 今後は、本年3月の研修で新たにキャラバンメイトとなった方に対しサポーター養成講座の開催などを働きかけ、さらなる拡大に努めてまいります。

 認知症高齢者は障害者控除に該当しますが、その周知と対応は広報もんべつ及び高齢者や障害者のガイドブック並びに市民便利帳に記載し周知しており、平成26年に6件、平成27年に6件、平成28年に3件の実績があります。

 6点目の介護保険料につきましては、平成29年第1回定例会で議員のご質問にお答えいたしましたとおり、策定委員会にて計画の内容について議論を重ね、サービス量を推計し介護保険料を算定する必要がありますことから、現時点では困難であることをご理解願います。

 介護給付費準備基金の活用と値上げを抑えるための対策は、介護保険事業計画は3カ年ごとの給付費の予測から介護保険料を算出しておりますが、本年は第6期計画の最終年度で、昨年までの介護給付費準備基金の繰り出しも勘案しながら、第6期中に積み立てられた基金を必要以上に第7期へ繰り越すことなく、介護保険料の増額抑制のため活用したいと考えております。

 滞納者の件数と主な理由は、平成29年9月現在、前年度以前の保険料が滞納繰越しとなっている被保険者は176人おり、うち完納や分納をしている被保険者を除き、滞納のある方は130人となります。

 滞納の理由としては、納入の意思はあるが納入がおくれている58人、制度を理解しようとしない、納入の意思なし39人、生活苦を理由とする納入のおくれ29人、死亡その他となっております。

 ペナルティーの発生とその対応は、平成27年度は該当者なし、平成28年度は1人が該当、1カ月の給付減額を受け、平成29年度は1人が該当しており、16カ月の給付減額を受けておりますが、介護給付の実績がなく、実質制限を受けていない状況にあります。

 7点目の介護保険事業計画策定につきましては、本年8月に第1回目の策定委員会を開催し、制度の説明、第6期計画中の状況について説明を行いました。

 今後は、10月に第2回目を開催し、制度の詳細説明とニーズ調査の集計結果報告、12月に第3回目を開催し、計画素案の提示、来年1月に第4回目を開催し、計画素案に対する意見集約とパブリックコメントの対応、2月に第5回目を開催し、介護保険事業計画案策定の予定としております。

 高齢者へのアンケートは、一般高齢者、軽度介護認定者に対する介護予防・日常生活圏域ニーズ調査800件、うち回答数691件、在宅で要介護認定を受けている方に対する在宅介護実態調査200件、うち回答数182件、高齢者ふれあいセンターを利用している元気高齢者に対する高齢者意識調査400件を実施、アンケート結果を分析し策定委員会にて報告を行い給付費の推計や事業運営の指針としております。

 事業者に対しては、ケアマネジャー連絡協議会への関与により市内の状況の聞き取りや地域密着型サービス事業者で行われる定例の運営推進委員会へ市職員が参加し、利用者や事業者を取り巻く状況など、多岐にわたり意見交換を行っているところであります。

 市民への周知と説明につきましては、紋別市パブリックコメント手続実施要綱に基づき市民に公表し、広くご意見、ご提言を募集してまいります。
以上で答弁を終わらせていただきます。

~再質問~
〇野村淳一議員
 介護保険について。非常に丁寧にご答弁いただきましたので、繰り返すことはいたしませんが、財政的インセンティブの問題が気になっています。

 それぞれの、例えば幾つかのまちで全国的には介護からの卒業ということに着目してどんどん進めて、そして交付金を多くもらおうとするまちもあるわけですけど、しかしこれは、もちろんお年寄りの方が今できなかったことができるようになってくるということは重要なことなんだけど、しかし介護というのは今ある機能を維持するということも重要な観点で、それがお年寄りそして事業者の皆さん方、介護する方の一つのモチベーションになるわけです。

 でも、それは何も評価されないんですよ、このインセンティブが。これ非常に無理やりそうさせて、お金が欲しいために介護度を引き下げるということになりはしないかと危惧するんですが。

 その財政的インセンティブに対してどうお考えですか。私は危険だと思いますし、ぜひそんなこと考えてほしくないんですよ、というふうに思ってるんで。ちょっと担当者の意見を出してください。

○山本晃男・介護保険課長兼参事
 お答えします。
 議員おっしゃるとおり、インセンティブについては議員が思ってらっしゃることは十分考えられるとは思ってございますが、私どもとしましては、まず介護予防事業をしっかりやると。

 今年度につきましてはOT、作業療法士を地域包括支援センターのほうに配置しまして、介護予防事業をしっかりやることによって健康事業を進めると。

 それでなおかつ介護度が下がればいいというような思いはありますけれども、それが必ずしもつながるかどうかという話は健康寿命の部分だとかいろいろ側面がありますので、直結はしないと思いますけれども、まず私どもとしては包括の基盤整備及び介護予防事業をしっかりやっていって、市民サービスにつなげたいと考えております。
以上です。

○野村淳一議員
  介護予防は重要な観点です。地域包括支援センターが機能を充実させて、その機能をしっかり担っていくということは、私も賛成なので、ぜひそれを進めていただきたいというふうに思いますし、財政的な措置もぜひ進めていただきたいと思います。

 最後にお聞きします、第7期の関係ですが、私その介護をこれからの方向をつくる上で、僕やっぱり家族介護をされている方の声というのは、非常に私切実だと思っています。

 介護離職、老老介護、あるいは今子育てと介護を一緒にやっているようなダブルケアというような実態も今生まれてきています。

 認知症という問題も深刻になってきています。ぜひそういう方々の現場の思いや声をしっかりと聞いてほしい。そしてそれをぜひ反映してほしい。

 国がつくったパターンのような介護保険事業計画だけではなくて、紋別としての第7期の介護保険事業計画をぜひつくっていただきたい。ぜひそういうところに耳を傾けていただきたいということを、最後ご答弁いただいて、私質問を終わります。

○山本晃男・介護保険課長兼参事
  市民の方が、やはり生活を送っていく中で、困っているのは私どももケア会議だとかで十分聞かせていただいております。
 
 その中で、地域包括支援センターを中心となって介護事業者また関係各位皆さんのご意見をもらいながら、介護保険計画につなげたいと思ってございますので、ケア会議を中心に、地域の事情を把握することが私どもが一番大切なことではないかと思ってございます。
以上です。

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