2019年8月13日火曜日

先住権なき「アイヌ新法」を問う


 8月4日、札幌市エルプラザで「シンポジウム 先住権なき『アイヌ新法』を問う」と題した集会が開催され、私も参加してきました。

 5月に成立した「アイヌ新法」ですが、そこにはアイヌの先住権が欠落している、として、その問題点を明らかにし、これからの運動の方向を考えようというものです。

 私も、地元の紋別アイヌ協会の方々と交流を深めてきましたし、この「アイヌ新法」には個人的にも強い疑問を感じていました。この集会で、大いに学びたいと思っていました。

 

 基調講演は、恵泉女学園大の上村英明教授が行い、これまでのアイヌ民族に係る法制度を紹介しながら、今回の「アイヌ新法」の課題と問題点を語りました。

 和人による蝦夷地の開拓は、アイヌ民族からの土地の収奪と生業の否定から始まり、「北海道の開拓は、知識低き蝦夷(アイヌ)によりて、之を成すこと能わず」、開拓ができるのは「優等人種の和人のほかなき」(北海道史)という思想が出発点となっているといいます。

 その後「旧土人保護法」「アイヌ文化振興法」が成立しましたが、特に重要なのは1984年にアイヌ民族自身が起案した「アイヌ民族に関する法律案」だといいます。そこには、アイヌ民族としての基本的人権の尊重、民族としての参政権、民族自立化基金などが明記され、その後のアイヌ政策を計る基準となったといいます。

 そのうえで今回の「アイヌ新法」を見るとき、1984年の案に比べ、一項目あるいは半項目実現されたにすぎない、と語ります。

 「先住民族」の言葉は法律に明記されたが、「先住権」の権利はアイヌの集団にも個人にも何一つ実現されていない。制定過程がアイヌに十分公開されていない。かえってこの「新法」が日本社会に、アイヌ政策がうまく進んでいるという誤解を招く。など、問題点を指摘しました。

 続くシンポジウムは、刺激的でした。

 アイヌなどに対するヘイトスピーチに抗議し、ヘイトスピーチをなくす取り組みを続けている「クラックノース」の新井かおりさんの話は印象的でした。

 自らもアイヌの血を引く一人として、差別と不正義を許さない新井さんの若い行動力に脱帽です。

 また、アイヌモシリ交流プログラム実行委員の沖津翼さんの話も、アイヌの若い世代を象徴するように、いままでの組織に縛られず自ら声を上げようと呼びかけ、大きな励ましを与えました。

 会場や100人を超える参加者でびっしり。関心の高さを感じました。

 参議院議員の紙智子さんも参加されており、一言ですが言葉を交わすこともできました。

 私自身、いろいろと考えさせられることの多い集会となりました。

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