2018年10月10日水曜日

地域医療再生へ待ったなし~2018年第1回定例市議会一般質問①

1、地域医療について
①産婦人科医をはじめ医療従事者の確保と妊産婦への対応について
②医師の養成について
③今後の地域医療について

○野村淳一
  おはようございます。
 
 宮川市長が市政執行方針で述べたように、このまちに暮らす誰もが輝き、幸せを実感できる共生社会を実現することは、まさにまちづくりの根本です。

 そのために、行政は、政治は何をなすべきか、そのことが問われています。もちろん、交流人口の拡大も観光の産業化も否定はしません。

 しかし、私は、このまちで今懸命に生きている市民の声に、思いにしっかり心を寄せ、その目線で政治を行うことが何より重要だと思っています。

 私はその立場から、特に弱者の目線に立ち、通告の順に従い以下質問させていただきます。

 まず最初に、地域医療についてお尋ねします。
 
 宮川市長は、市政執行方針の中で、医療再生には広域紋別病院の医師や看護師など医療従事者を確実に確保することが絶対条件だと述べています。

 しかし、そのさなか広域紋別病院の産婦人科医師の退職で4月からの分娩が中止となりました。その結果、遠軽厚生病院、北見赤十字病院、名寄市立病院などでの分娩となり、妊婦の精神的、肉体的な負担と不安は大きくなるばかりです。

 妊婦の日常的な健診、診療とあわせ、今後の産婦人科医師の招聘と体制確保に向け、その現状と今後の見通しについてお聞きします。

 また、新しく取り組まれる産後ケア事業を含め、妊産婦に対する精神的、経済的支援について、紋別市の取組内容をお尋ねするものです。

 言うまでもなく、広域紋別病院における医師確保は絶対条件であり、緊急課題でもあります。産婦人科医師だけではなく、そのほかの医師確保の見通しについてもお聞きするものです。

 さらに、看護師の確保についても、その働きやすい環境づくりはこれもまた絶対条件です。そのために、夜勤看護師の育児支援に取り組むと市政執行方針で述べておりますが、その具体的な事業内容をお聞かせください。

 私は、医師確保のために本格的にこの地域から医師を養成する仕組みをいよいよ構築する時期に来ていると考えます。

 これまでも、私は、地元から医師を目指す青年に対し、紋別での勤務を条件に奨学金制度をつくるべきと訴えてまいりました。既に道内でも幾つかの自治体で実施され、成果も出ています。

 そして、昨年ついに北見市でも医師修学資金貸付条例を制定し、北見市内で勤務すれば返済を免除する月額15万円の修学資金の貸与制度を始めました。

 もちろん、それだけが全てではありませんが、医師の養成と医師確保の一助にはなるのではないでしょうか。医師を目指す青年を後押しする励ましになるのではないでしょうか。

 看護師養成と同様、医師養成に対しても奨学金制度の創設を求めるものですが、市長のお考えをお尋ねします。

 言うまでもなく、全ての市民がこのまちで健やかに暮らしていくために、医療、保健、介護、福祉の連携は欠かせません。

 しかし一方で、医師や看護師など、医療従事者の専門職の不足、それに伴う病院経営の困難さ、また、国、道による機械的な病床数削減の動きなど、地域医療をめぐる課題は多岐にわたり深刻度を増しています。

 だからこそ、少子高齢社会、人口減少社会といった将来を見据えた、この地域の医療ビジョンを構築するときではないのかと考えます。

 広域紋別病院のあり方と経営対策、将来構想を含め、宮川市長の言う共生社会に向けた医療、保健、介護、福祉の連携ビジョンが必要ではないでしょうか。

 そのためにも、専門的なプロジェクトを広く民間からの協力も得ながら構築するときではないでしょうか。つけ焼き刃ではなく、先送りではなく、その場しのぎでもない、腰を据えた取り組み、先を見通した方向性を持つことが今こそ必要だと考えます。宮川市長の見解をお聞きするものです。

○宮川良一
  おはようございます。
 
 それでは、野村議員のご質問にお答えいたします。
 初めに、地域医療についてであります。
 
 1点目の産婦人科医をはじめ、医療従事者の確保と妊産婦への対応につきましては、広域紋別病院の産婦人科常勤医師は開院当初より1名体制であったことから、リスクの少ない経産婦に限り年間30件程度の分娩を取り扱っておりました。

 しかし、1名体制では、分娩のほか妊婦健診、婦人科の外来や入院、さらには夜間、休日における妊産婦の救急対応など医師の負担が非常に大きく、病院としても宿日直の免除や週に2日程度の非常勤医師の配置等負担軽減を図っていたところでありますが、昨年11月に退職表明がなされ、分娩を休止せざるを得なくなったところであります。

 病院といたしましても、後任医師の招聘について民間医師紹介会社を通じ2名の医師の紹介を受けたところでありますが、いずれも複数の常勤医師による診療体制の病院との条件があり、招聘に至らなかったところであります。

 今後、実質的に常勤医師が不在となる3月19日以降は、2名の非常勤医師により婦人科外来、32週までの妊婦健診、産後1カ月健診に対応していくほか、4月からは助産師による産前産後の相談事業などを新たに実施すると聞いております。

 市といたしましても、広域紋別病院と連携を図りながら、北海道東京事務所など、関係機関への協力依頼のほか、市役所及び病院職員が知恵を出し合い、全国に当地域の出産事情を発信するなど、産婦人科医師に関心を持ってもらえるような手法の検討を行い、早急に常勤医師の招聘に努めてまいります。

 妊婦に対する精神的支援につきましては、母子健康手帳交付時に妊娠経過の説明と体調や生活面の相談により、不安の解消を行い、マタニティ教室では学習会や交流の場をつくり、孤立解消に努めているほか、不安を強く抱える妊婦に対しては助産師等との連携を図り、家庭訪問等による相談を行っております。

 また、出産後の支援につきましては、新年度から育児不安や産後鬱の疑いのある方への支援を強化するため、助産師によるデイケアと家庭訪問を広域紋別病院に委託し、産後ケア支援事業として取り組む予定であります。

 経済的支援につきましては、妊婦健診受診券等の交付と遠軽厚生病院以外で出産する場合には出産支援金の交付を継続して行ってまいります。

 広域紋別病院の医師につきましては、現在企業長を含め常勤医師16名体制ですが、新年度は消化器内科が札幌医科大学消化器内科学講座の派遣縮小による1名と、産婦人科医師の退職による2名が減少しますが、消化器外科が札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座から1名増員され、4名体制となります。

 また、総合診療科では、自治医科大学の北海道派遣医師が異動となりますが、後任について北海道に要請を行い、何とか派遣をいただけることとなり、全体で1名減の常勤医師15名での体制と聞いております。

 医師招聘の見通しにつきましては、大変厳しい状況が続くと考えられますが、常勤医師が招聘できない診療科であっても非常勤医師を確保するなどして診療継続を図りながら今後も地域の医療ニーズの高い診療科の常勤医師複数配置に全力で取り組んでまいります。

 夜勤看護師の育児支援につきましては、広域紋別病院は2病棟3交代制と1病棟2交代制で、夜勤要員の看護師は51名が必要とされております。

 年々職員の若返りなどから産前産後、育児中の看護師が増え、夜間、子供の保育をする人がいないケースが増えたことで離職につながっていると聞き、市といたしましても離職防止や再就業促進の支援対策として関係部署で協議を行い、病院の協力も得ながらアンケート調査を実施したところ、夜間保育を希望する看護師が10名いたことから、夜間の預かり保育に対する助成事業を行うこととしたところであります。

 事業の目的は、当直、夜勤、準夜勤の際、監護する子の保育支援を必要とする場合、その費用を一部助成することにより離職防止及び再就業を促進することであります。

 対象となるのは、小学校5年生未満の子を養育し、夜勤等の際に配偶者または同居の親族による保育支援が受けられず、ほかの育児支援者に託児しなければならない者で、助成額は夜勤等1回当たり育児支援者に支払う経費の2分の1または3,000円のいずれか低い額としております。

 保育支援が受けられない具体例としては、ひとり親世帯、配偶者が単身赴任等の事情で同居していない者、共働きで配偶者の就労時間が夜勤等の時間と重複し、監護できない者などが挙げられております。

 2点目の医師の養成及び3点目の今後の地域医療につきましては、私はこれまでも医療の再生に向け、西紋別地区総合開発期成会での北海道に対する要望活動や広域紋別病院企業団との医育大学に対する医師派遣要請に加え、休日夜間急病センターで接点のあった医師などを含め新たな人脈を活用して、全国を視野に入れ医師の確保を最優先に取り組んでまいりました。

 そのような中、市の保健・医療・福祉連携アドバイザーを通じて、鹿児島県立大島病院の救命救急センター長が紋別での勤務を希望されているとの情報があり、本年1月に医師の所属先である鹿児島大学医学部及び県立大島病院を訪れ、医師招聘について協議を進めてまいりました。

 その結果、本年7月から休日夜間急病センター長兼紋別市保健センター長として本市の医療にかかわっていただけることが決定しております。

 また、3月には、保健・医療・福祉の関係者に対し講義をしていただいた三重大学医学部総合診療科の教授と医師招聘について意見交換を行ったところであり、今後も継続して協議を行っていくといたしたところであります。

 医師確保には、今まで接点のあった医師などからの情報収集に加え、人脈を蓄積していくことが重要であり、これまでの人脈を活用した医師確保対策が最も即効性があると考えておりますので、勤務するまでに相当数の期間を要する奨学金制度の創設は考えておりません。

 今後の医師確保につきましては、道内医育大学への医師派遣要請とあわせ、医師が西日本に多く勤務している傾向から、このたび勤務が決まった医師や従来から本市と関係のある首都圏の医師のネットワークをさらに広げ、このネットワークを最大限活用しながら広域紋別病院と連携して地域医療の充実に取り組んでまいります。

【 再質問 】

○野村淳一
 大筋では理解をいたしましたが、何点か再質問させていただきます。

 最初に、地域医療についてですが、産婦人科医師の、いなくなって分娩ができなくなったという問題ですが、非常にまた不安が募っているなという状況があります。

 当面、いわゆる嘱託医というんですか出張医というんですか、どのような体制で診療されるのか、ちょっと具体的に教えていただけますか。

○西田尚市広域病院連携推進室参事
 お答えいたします。
 今現在、常勤医師のほかに非常勤医師2名おります。1名は旭川の開業医の先生でございまして、毎週日曜日に入ってきまして、待機しまして、月、火と診療を行っていただいてます。

 そのほかに、東京のほうから月2回金曜日の飛行機で入ってきて日曜日までという先生がいらっしゃいます。

 当面、その先生お二方で診療を継続すると、その間、非常勤医師を含めて常勤医師の招聘に努めるというようなことで聞いております。

○野村淳一
 月、火とそして隔週で金曜日ということですね。先ほど答弁でありましたが、とりあえずこういう体制で産婦人科の外来診療、そして32週までの妊婦健診は対応できるということでしたので、何とかこれで今急場をしのぐということになるのかなと思います。

 どちらにしても、妊婦さんの不安は大きくなるわけですから、心の安定が非常に重要ですので、その体制をぜひとっていただきたいと思います。

 市の保健師さんの取り組みあるいは助産師さんの対応も必要かなと思います。皆さんの奮闘にまずは期待をしたいと、せめてこの時期頑張っていただきたいと思います。早急に医師の派遣をお願いしたいと、これはそういうふうにしときたいと思います。

 産後ケアについてもうちょっと教えてください。
これは、広域紋別病院に委託をするということですが、通所と訪問2種類ということでよろしいんですね。対象となる児童というんですか乳幼児というんですか、何カ月までなのか、それと料金というのは発生するのかしないのか、ちょっと教えてください。

○大平朱美健康推進課長兼保健センター事務長
 お答えいたします。
 対象者についてですが、おおむね産後6カ月までということで予定しております。

 料金につきましては、デイケアのほうは1回につき1,000円、あと生活保護世帯、非課税世帯は無料と考えております。
以上です。

○野村淳一
 アウトリーチ、訪問というのも行うんですね。それについてどうですか。

○大平朱美健康推進課長兼保健センター事務長
 申しわけありません。訪問につきましては、助産師さんに委託するんですけれども、訪問自体の個人負担は考えておりません。
 
 ただし、その中で、乳房マッサージ等、その管理に当たるものにつきましては、今広域病院で乳房マッサージの金額の1割の200円を取る予定でおります。
以上です。

○野村淳一
 わかりました。産後ケアというのも産後鬱という状況がある中で非常に重要な事業だと思いますのでぜひ大きく普及していただければというふうに思います。

 医者の確保をどうするかという問題です。
 今、市長が答弁されました。7月に急病センターに大島病院から先生が1人こちらに来てセンター長となるというふうに伺いました。

 広域紋別病院も体制が変わるような話もちらちら聞こえてまいります。

 これから、病院のあり方や地域医療あるいは連携のあり方、重要な課題になってくると思います。そういう方々の新しい流れ、動きというものを期待をしながら市長が述べたその人脈というものを大いに活用していただきたいと思うんですが、市長は今回の市政執行方針の中で共生社会というのを盛んに言われました。

 私もこれが一つのキーワードだなと思って読ませていただきました。その中に、少子高齢化が進展する中、医療、保健、介護、福祉の緊密な連携体制や市民一人ひとりがともに支え合う共生社会の実現が重要になっていると市長は述べております。

 ここで言っている医療、保健、介護、福祉の緊密な連携体制が重要だと、そして共生社会を支え合うためにも重要になってると改めて述べています。

 改めて市長に聞きます。この医療、保健、介護、福祉の密接な連携体制、これが重要なんですが、一体これがどういうものなのか、どんなイメージなのか、どうすればそれができるのか、次の具体化に向けてその点について市長の考えをお聞かせいただきたいです。

○宮川良一市長
 連携体制というのは、そんな難しいことじゃないと思ってます。風通しのいい意見交換が、まず医師やあるいは福祉関係者や私ども役人や、そういうところと本当に話ができるような、しやすいような環境がまず第一歩だというふうに思っております。

 また、その中で生まれてくるいろんな課題について忌憚なく話をしながら1つずつ解決できていくということが、やはり私は今までの経験の中で一番重要だなというふうに思ってます。

○野村淳一
 市長は、この医療の問題は市長就任からずっとかかわってきましたし、それなりの人脈もできてますし、そしてこれからの思いもあるんだろうと思います。

 私も、ずっとこの問題を中心になって考えてきた一人のつもりでいます。紋別の限られた医療資源、そして社会資源を有効に活用するという意味でもこの連携に向けた取り組みというのは重要だなというふうに思ってますので、その流れについて私も期待をしながら注目していきたいと思ってますので、よろしくお願いします。

0 件のコメント:

コメントを投稿