2018年10月10日水曜日

都道府県化による国保税の値上げ~2018年第1回定例市議会一般質問④

4、国保事業について
①都道府県化による国保税の値上げの影響について
②国保税値上げの中止と軽減への取り組みについて
③乳幼児医療費無料に伴う国庫補助金のペナルティ廃止による子育て支援策の拡大について

〇野村淳一
 次に、国保事業について質問します。

 国民健康保険事業の都道府県化に伴い、国保税が引き上げられる結果となり、条例改正案が今議会に提案されています。

 そこでまず、改めて国保税が値上げとなった要因を聞くとともに、北海道への納付金支払いのために現行の国保税率と比べ幾ら不足すると考えられるのか、その金額をお尋ねします。

 さらに、それら国保税値上げの内容と国保加入者への影響額、いわゆる負担増となる金額についてもお聞きします。

 今でさえ、国保税の支払いは限界となっています。それがまた引き上げられるのです。いたし方ないで済むでしょうか。紋別市として国保税の値上げをしないで済む方策や値上げ幅の縮小に向けてどのような検討と実践が行われたのかお尋ねするものです。

 さらに、全道35市の中で今回国保税の値上げとなった市、一方値下げとなった市はどこなのかお知らせください。

 さきの議会でも、私の質問に対し、紋別市の国保加入者の所得が高いことが値上げの要因の一つだと答弁されておりました。

 しかし、加入者全体の3割は所得0円の世帯であり、6割を超す2,137世帯が所得100万円以下の世帯となっており、圧倒的に低所得者が多数を占めています。

 この現実を見ても、全体の所得が高いという理由で低所得者までもが値上げされるのはまさに理不尽ではありませんか。

 さらに、今回の国保の都道府県化の方針は、効率化やリスクの分散など専ら国や道からの要請であり、加入者みずからがそれを求めたものではありません。

 にもかかわらず、都道府県化で値上げとなり、その新たな負担と犠牲をこうむるのは一般の加入者です。

 国の施策で、一方では値下げになる自治体があり、他方で値上げになる自治体も生まれる。こんな不公平な事態が生じること自体理不尽だと言わざるを得ません。

 国保税の値上げを極力抑えようと努力し、時には一般財源を繰り入れてでも税額を抑えてきた自治体ほど今回都道府県化による値上げの波にさらされています。これもまた理不尽ではありませんか。

 紋別市も10年間値上げを抑え、まさに努力してきた自治体の一つだと思います。それだけに、今回の都道府県化に伴う値上げは到底容認できません。

 国に対しこんな不平等な事態が生まれる政策転換を見直し、少なくとも現状維持が図られるように対策を講じるよう強く要請するとともに、紋別市としても一つの責めもない加入者への値上げを中止するよう一般財源の繰り入れも視野に最大限の努力を講じるよう求めるものですが、市長の見解をお尋ねします。

 国保加入者への負担を軽減する施策の中で、子供の均等割を軽減する対策は極めて重要な子育て支援策だと考えます。

 国も検討を進めていますが、その結果を待たずして次々に軽減措置を独自に実施している自治体が生まれています。旭川市では、子供に対する均等割を3割減免しています。

 子供が1人生まれるたびに国保税の均等割3万800円が新たに加わり、それがこの4月から3万2,000円に値上げされるのです。大きな負担です。

 だからこそ、子供の均等割の軽減策は子育て支援、少子化対策として有効です。子育て支援として一般財源からの繰り入れで対応し実施すべきと考えますがいかがでしょうか、見解をお聞かせください。

 国保事業にかかわって、これまで自治体独自の乳幼児医療費無料化事業に対して行われてきた国庫負担金の減額措置、いわゆるペナルティーが一部廃止されました。

 このもとで、さきの議会における私の質問に対し、240万円ほどの新たな財源が発生し、それを子育て支援策に使用すると述べておりました。まさに貴重な財源であり、子育て支援の拡大にしっかり生かしたいものです。

 これが今回の予算においてどのように反映され、生かされているのか具体的にお示しいただきたいと思います。

〇宮川良一紋別市長
 次に、国保事業についてであります。

 1点目の都道府県化による国保税値上げの影響につきましては、値上げとなった要因はこれまで市町村単位で医療費等の経費を賄うことが可能な保険税率を設定しておりましたが、都道府県化後は全道の医療費総額などから国庫補助金等の特定財源を控除した全道で必要な保険税総額を所得水準や医療費水準などに応じて各市町村に割り振られる国保事業費納付金を北海道に納付しなければなりません。

 本市は、全道35市中2番目に所得が高いため、所得シェア分の納付金は高く算定されることになり、本市分の納付金であります8億3,501万6,000円を現行税率では賄うことができないため、税率の改正が必要と判断したものであります。

 納付金に対する現行税率での不足金は、国保事業費納付金に保健事業等の経費を加え、道支出金等の収入を控除した額に予定収納率で割り返した保険税賦課必要額が7億1,757万3,000円、現行税率で賦課いたしますと2,021万9,000円の収入不足を見込んでおります。

 国保税値上げの内容は、シミュレーションの結果、現行の賦課割合に近いほど国保税額は激変しないことから、応能割対応益割を現行賦課割合の57対43とすることを基準といたしましたが、低所得者が所有する資産への賦課が多くを占めるなど、課題の多い資産割の将来的な廃止に向けて応能割である所得割対資産割の賦課割合を54対3から55対2へと資産割の割合を減少させたところであります。

 この賦課割合で算定した結果、医療分でありますが、基礎課税分、後期高齢者支援金等課税分及び介護納付金課税分の3区分の合計で所得割が10.4%と0.2%の増、資産割が28.0%と9.0%の減、均等割が4万700円と1,400円の増、平等割が3万7,600円と1,600円の増となり、賦課限度額は93万円と4万円の引き上げを考えております。

 このほか、5割軽減や2割軽減が適用される判定所得の見直しを行い、軽減対象世帯の拡大を見込みますと、加入者への影響額は国保税の調定額で1,422万4,000円の増が見込まれるところであります。

 国保税の値上げの中止や縮小に向けた検討は、北海道から通知のありました保険税賦課必要額から約1,600万円の減額調整を行い、値上げ幅の圧縮を図ったところであります。

 内訳は、子供の医療費助成などに係る地方単独事業の波及増における一般会計からの繰入金分が約1,180万円、予定収納率を95%とし、北海道の見積もりより0.23%から0.37%引き上げにより約250万円、保険税を財源とする歳出予算の見直し分が約130万円となっております。

 このほか、保険税賦課必要額の圧縮には直接はつながりませんが、賦課限度額を4万円引き上げることで中低所得者への負担が軽減されることになり、今後も被保険者への保険税負担の圧縮を図るため、収納率向上対策及び医療費適正化対策に取り組んでまいります。

 全道35市の中で値上げとなった市は、北海道が算定しました平成28年度決算ベースの税額と平成30年度の1人当たり保険税を比較し、上昇した市は本市も含めて6市となっており、激変緩和前で上昇率の高い市から、江別市、北広島市、石狩市、本市、恵庭市、名寄市の順となっており、その他の市は値下げとなっております。

 2点目の国保税値上げの中止と軽減への取り組みにつきましては、このたびの国保の都道府県化は、財源基盤を強化した上で実施されるものであり、新たに国が投入する公費は平成27年度の前倒し実施分も含めて合計で3,400億円となっております。

 本市分の1人当たり保険税では、1万1,367円の引下効果があり、さらに北海道が上乗せして投入している公費分と値上げ幅縮小のための減額調整分1,600万円も含めますと1万7,143円が引き下げられております。

 しかし、道内の市町村は、所得のばらつきが大きいことなどから、追加公費等が投入されましても本市を含め約4分の1の団体が保険税の増加団体となっており、平成28年度決算ベースの税額と平成30年度の1人当たり保険税を比較して2%以上上昇しないようにするための激変緩和策がとられております。

 今後、人口減少と高齢化が進行していく状況の中、国保の都道府県化は全道の医療費を道内全体で負担を分かち合う制度へと変わりますが、加入者におきましても突発的に高額な医療費が発生した場合、翌年度の保険税が急上昇するというリスクは大幅に軽減されることになります。また、転勤の多い方につきましては、道内どの市町村に住んでも保険税が大きく変わらず、保険税の平準化が図られることは加入者にとっても効果は大きいと考えておりますことから、加入者に対して制度改正の趣旨を理解していただけるよう広報もんべつ等を活用し丁寧に説明してまいります。

 なお、一般財源の繰り入れは、国保の都道府県化において決算補填や保険税の負担緩和などを目的とした法定外繰入れは解消・削減が必要なものとして位置づけられているほか、都道府県化の効果の一つでもあります保険税の平準化に対しまして相反することとなりますので、地方単独医療費助成による波及増以外の法定外繰入れは考えておりません。

 国への要請につきましては、加入者の負担軽減や北海道を中心に安定した国保財政の運営を行っていくため、国の財政支援は必要不可欠でありますので、全国市長会等での提言事項でもある医療費等に係る国庫負担割合の引き上げや子供の医療費助成等に係る国庫負担額の減額措置の廃止など、全道市長会を通じて引き続き要望をしてまいります。

 子供の均等割軽減は、国保の都道府県化の目的の一つであります保険税負担の平準化の観点から、国において全国統一制度で実施されるものを除いては市町村間の均衡を欠くことにもなります。

 現在、全国知事会や全国市長会の要望、提言事項において子供の均等割の軽減に関する支援制度の創設が盛り込まれておりますので、今後の動向を注視してまいります。

 3点目の乳幼児医療費無料に伴う国庫補助金のペナルティー廃止による子育て支援策の拡大につきましては、新年度予算への反映等は少年団や部活動の支援のため施設使用料を減免しているほか、教育費も含めさまざまな施策に重点的に予算を拡充しておりますことから、幅広い範囲で活用させていただいております。

【 再質問 】

〇野村淳一
 国保です。
 結果的には値上げされることになりました。理由については、やっぱり紋別の加入者の所得が高いということが反映されているということでした。

 私、質問でも言いましたが、実質的には低所得者がほとんどです。それなのに、国保税が上がるというのは理不尽ではないのかという話をしてきました。

 いたし方ないということでいいんだろうかという気がしてならない。これで、市民に、あるいは加入者に、あるいは値上げされる方に、こういうことで説明されて理解されるんでしょうか。改めてご答弁ください。

○坂井利孝市民課長兼臨時給付金対策室参事
 お答えいたします。
 市長からの答弁にもありましたけども、今回都道府県化に向けましては、単純に市町村同士がくっついて、プラス道が財政運営していくんですけども、という形じゃなくて、多額の公費が投入されております。国費で3,400億円、そのほかに道費と市の部分もあります。

 そのような形で財源基盤を強化して都道府県化されております。その効果もありまして、道内では多分4分の3の自治体が保険税の引き下げにつながったんですけども、当市におきましてはちょっと残念ながら引き上げになってしまったんですけども。

 制度改革につきましてはいろいろあると思うんですけども、全員が引き下げになるような、有利になるような形で働
けばいいんですけれども、今回のように当市のようにちょっと痛みを伴う部分も出てくる改革もあることもあります。

 それで、今回の都道府県化の目的なんですけども、全道の医療費を、市長の答弁もありましたけども、道内全体の負担で分かち合う制度という形にも変わりまして、それでメリットのほうにつきましても突発的に市町村単位でやっていますと前年医療費が高額しますと次年度それを賄うのに保険税を引き上げなければならないとかという、そういうようなリスクもあるんですけども、その辺につきましてはスケールメリットがききますものですから、大幅に軽減されるというような、加入者にとってもどこの市町村に行っても保険税が変わらないとかという平準化も図られます。

 そのような制度改正の趣旨と加入者へのメリットについてもあわせて丁寧に広報等を活用してご理解いただけるように説明していきたいなというふうに考えてます。
以上です。

○野村淳一
 確かに、今回の都道府県化に当たって、国は3,400億円の財政支援してるんですね。

 これ何かといったら、これ法定外繰入れの額と同じなんですよ。

 今、国保事業は、どこの市町村もそうですが、加入者がどんどんと減り、あるいは高齢化し、収入が減ってくる中で、国保事業そのものが大変な苦境にあるわけですね。

 それを補填するために、今国が何も手を出さないから、それぞれの市町村が法定外で一般財源から繰り入れを行って、そして国保税を引き下げるあるいは値上げを抑制するということをやってるんです。

 これは、全国比べたら3,400億円、ちょうどこのお金になるんですよ。そして、都道府県化をするときに一般財源からの繰り入れは中止ですという話になったもんだから、国はこの3,400億円繰り入れたんですよ、財源として。

 ところが、一般財源の繰り入れをやめたら、実際は2倍、3倍になってしまうような自治体も全国に今生まれてるんですよ。

 なので、国は何て言ってるかといったら、今一般財源の繰り入れをほぼ容認してるじゃないですか。そうやって値上げになるところを抑える、そのことを国だって今認めてるんですよ。本当に国のやり方はつけ焼き刃ですよ。そういう状況の中に今本当に現場は混乱してると思います。

 先ほどお話があった中で、石狩市、値上げになるんです。

 ところが、これは値上げになるのでどうしてるかというと、値上げ分補填するために3,000万円一般会計から繰り入れてるじゃありませんか。

 滝川市、ここも、先ほどなかったけども、値上げになるんだというんです。ここのところは1,700万円一般財源から初めて繰り入れたんですよ、紋別と同じように今まで繰り入れしてなかったのを。都道府県化で値上げになることを押しつけることはできないといって一般財源から繰り入れを行って値上げを抑えてるんですよ。国だってそのことはもう今やむを得なくなってるんです。

 今の市長の答弁では、大体1,400万円から1,300万円、新たな市民負担だと言います。この金額が多いか少ないか、判断いろいろあるかもしれませんが、一般財源の繰り入れを行って、下げれと言ってるんじゃないんですよ、上げる必要はないんじゃないのか、そのことを求めてるんです。改めてご答弁いただけませんか。

○坂井利孝市民課長兼臨時給付金対策室参事
 お答えいたします。
 国の、今、法定外の繰り入れの容認なんですけども、制度の円滑な施行、移行、それに伴いまして例外的に認めてるというふうに聞いてございます。

 あと、国の公費以外にも答弁にも少し入れさせてもらったんですけども、道のほうの公費も42億円ぐらい追加で投入されまして、それで引下効果が出てございます。

 あと、道が示しました標準保険税率なんですけども、こちらどこの市町村も同じになるように公表してる標準保険料率なんですけども、これで比べますと、改正後なんですけども、当市の所得割については35市中17位ということで、均等割につきましては19位ということで、35市の中では税率的には真ん中ぐらいの位置に来まして、平準化の効果によって真ん中ぐらいに来ているような形になってます。

 今まで、どちらかというと、当市におきましては医療費については北海道平均よりも少し低いという部分があるのと、ちょっと一部の所得者に限られるんですけども、所得の多い方も中にはいらっしゃるものですから、その方々とかの影響によりまして、今まで他市から比べると少し低く設定できてたという部分はあると思います。

 いずれにいたしましても、平準化されましてちょっと市民負担は出てしまうんですけども、都道府県化の効果とかもございますものですから、先ほど申し上げさせてもらったとおり丁寧に説明していきまして被保険者の理解を得られるように努力していきたいなというふうに考えてます。
以上でございます。

○野村淳一君
 時間も余りありませんけども、どうしても今回の改正で例えば資産割がない方は7割減免、5割減免、2割減免の方だって値上げなんですよ、やっぱり。それは何百円かもしれませんけども、やっぱり負担としては大きなものだと私は思ってますから。市としてできることはやるべきではないのかなという気がしてなりません。

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