2018年12月28日金曜日

医師確保と地域医療の今後~2018年第3回定例市議会一般質問①

1、地域医療について
①広域紋別病院の医師確保について
②「北海道地域医療構想」について
③保健・医療・福祉の連携と今後の地域医療について


○野村淳一議員
 お疲れさまでございます。最後となりました。おつき合いください。

 私も議員生活長いんですが、一般質問で10人というのは初めてのような気がします。活発な議論が続いていると、議会の活性化を実感しています。これが続けていければなと思っているところです。

 さきの地震で亡くなられた方々にご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げたいと思います。

 私も、さきに通告いたしておりました順に従い、質問させていただきます。

 まず最初に、地域医療について質問いたします。

 この7月、広域紋別病院の総合診療科の医師が退職し、診療体制の変更、縮小が余儀なくされ、市民の負担と不安もまた広がっています。一刻も早い診療機能の回復が望まれますが、まずその現状と今後の見通しについてお聞かせください。

 いずれにせよ、病院を安定的に維持するためにも医師の確保、招聘に向けた取り組みの強化が何より重要です。広域紋別病院における医師体制確立に向けた見通しと今後の取り組むべき方向性について、どのようなお考えをお持ちかお尋ねするものです。

 次に、北海道地域医療構想についてお聞きします。
この医療構想は、2025年度に向け各地域で必要となる病床数などを定めたもので、遠紋地区では1,210床から432床削減し778床に、実に36%もの削減計画となっているものです。これは道による極めて一方的な数字であり、誰もが必要な医療を受けられ安心して住み続けられる地域づくりに逆行し、医療難民を生み出すもので到底看過できません。

 宮川市長もさきの私の質問に、この内容は地域医療の崩壊につながると指摘をしておりました。しかし、道は、その推進、実施に向け着実に駒を進めています。8月23日には、紋別保健所による北海道地域医療構想実現に向けた地域説明会も開かれています。

 そこでお聞きします。
この間、北海道地域医療構想に伴う調整会議や分科会などが実施されていると思いますが、実際どのような議論がなされ、どのような現状にあるのか。その上で紋別市はどのような主張や意見を述べているのかをお聞かせください。

 さらに、今後の展開、スケジュールはどうなのか、地域医療構想への見解とあわせお尋ねするものです。

 また、広域紋別病院としての北海道地域医療構想への見解もあわせお聞きいたします。

 少子高齢社会を迎え、誰もが安心して住み続けられる紋別市をつくることは何よりも大切になっています。市民の安心は医療から始まる、これは市長の言葉です。医療機能の充実は何より最優先課題と言えるものです。

 同時に、限られた社会資源の中、医療と保健、介護、福祉との連携はこれまでにも増して重要になっています。一方的な病床削減を迫る地域医療構想に抗するためにも主体的な紋別市版の医療・保健・福祉の連携構想を持つことが何より必要だと考えます。

 そこでお聞きします。
これまで紋別市では、保健・医療・福祉連携推進事業という取り組みが行われてきました。そのもとでグランドデザインの構築、ワーキンググループ会議やワークショップの開催などが実施されてきました。現段階で、これらの事業の到達と成果、評価についての見解をお聞きするとともに、今後この事業の方向性と継続についての考え方をお尋ねします。

 私は、これまでの保健・医療・福祉連携推進事業の成果を引き継ぎながら、今日の現状に即した新たな連携会議をもっと広い視野で、もっと公開された形で展開できないかと考えます。

 7月には、休日夜間急病センターに新しいセンター長が赴任し、既に広域紋別病院との連携も強化され、新たな動きも始まっています。

 この地域全体のあるべき医療の姿、将来に必要な医療の形、保健、福祉との連携を含め文字どおり地域全体で考え、学び、議論し、行動する場をつくることが重要ではないかと考えます。市長の見解をお尋ねするものです。

【 答弁 】

○宮川良一紋別市長
 それでは、野村議員のご質問にお答えいたします。

 初めに、地域医療についてであります。

 1点目の広域紋別病院の医師確保につきましては、広域紋別病院では本年8月より総合診療科の常勤医師1名が退職したことに伴い、診療体制が縮小されましたが、現在派遣会社などを通じて内科の非常勤医師を複数名招聘し、主に外来患者の対応を中心に診療しております。

 その中でも、地域の医療ニーズに合った医師には、定期的な診療応援を依頼し、常勤化につながるよう招聘活動を実施するとともに、9月中旬に医師が退職する循環器内科につきましては10月から週に3日から4日ではありますが非常勤医師による外来診療のめどが立ったと聞いております。

 診療体制の縮小につきましては、かかりつけ医と二次医療機関である広域紋別病院の役割を明確化するため、市内開業医の先生と話し合いをしたところであり、内科医師の体制が整った段階で従前同様の体制に戻ると聞いております。

 また、本年4月より1名減となった消化器内科につきましては、外科の手術件数や入院患者の減少など、経営に大きな影響を及ぼしていることから、来年4月から2名体制の復元を札幌医科大学消化器内科学講座に対し強く要請しております。

 このほか、来年度の常勤医師体制に向け、医育大学をはじめ、北海道東京事務所、民間医師紹介会社を通じ常勤医師の招聘に積極的に取り組んでいると聞いております。

 2点目の北海道地域医療構想につきましては、本年8月23日の北海道主催の説明会では、過剰な病床機能からの転換に対する考え方や非稼働病床の取り扱いなどの項目について病床機能の転換に伴う補助制度を踏まえ意向調査を実施し、医療機関ごとの具体的な対応方針を協議する予定との説明がなされました。

 また、今後のスケジュールは、意向調査の共有及び構想の推進状況の確認作業を毎年度実施した上で調整会議にて決定していきたいとのことであります。

 国は、今後必要とされる医療は病院完結型から地域全体で支える地域完結型であり、地域包括ケアシステムづくりの推進を目指しておりますが、受け皿となる在宅医療や介護保険の各サービスとともに支える人材も不足している地域にとっては地域医療構想は国が示す基準に基づき算出された必要病床数が地域の実情に配慮されたものではなく、拙速な病床数削減が医療難民や介護難民を招かぬよう十分地域の実情に配慮されたものでなくてはならないと訴えており、現在も私の考え方は変わりはありません。

 また、広域紋別病院からは、患者のニーズと需要は依然として高く、医師の偏在問題が国において解決されない中で、こうした医師不足による現状の診療実績を病床削減ベースとした本構想に対しては積極的に応じる構えはなく、今後これらの問題を踏まえた議論が地域医療構想調整会議で進められ、関係機関全体で慎重な調整が図られるべきものと考えている、当院としても国に対し北海道自治体病院協議会などの関係団体を通じて必要な要請を行うとともに、引き続き医師の確保や医療の質の向上に努めながら、病院経営の面からも将来を見越した対応を進めてまいりたいとの見解をお聞きしております。

 3点目の保健・医療・福祉の連携と今後の地域医療につきましては、保健・医療・福祉連携アドバイザーの見識を生かし、ワーキング会議を中心に脳卒中及び心疾患患者の直接搬送体制の確立と発達障害に対応するための子育てサポートファイルの作成などを行ってまいりました。

 また、市民の方々に医療に関する理解を深めていただくため、東京大学や北海道大学の医学部教授などの医師に加え、広域紋別病院長や遠軽厚生病院長を招いた市民フォーラムの開催、そして医療の不足していた部分を補うため救急レベルの向上を目的として聖路加国際病院の救命救急センター長を招いて救急搬送事例の検討を行ってまいりました。

 本年10月には、北海道大学産婦人科医局の法人化団体である一般社団法人WINDが主催する妊産婦救急を想定した基礎的なトレーニング講座を市も共催して初めて道東地域で開催する予定であり、これらの事業は本市にとって一定の評価に値すると考えております。

 また、今後につきましては、本年7月に採用した服部休日夜間急病センター長兼保健センター長が現在当該地域の医療状況及び生活習慣病の重症化予防の把握に努めており、前任地で保健や福祉関係者とかかわりながら救急医療部門を立ち上げた経験を生かしていただき、保健・医療・福祉の連携を推進していくためセンター長を中心に議論を進めてまいります。

 なお、広く市民の方々に参加していただく取り組みといたしましては、市民公開講座やシンポジウムなどを開催し、課題解決に向けた先進地事例や進むべき方向性などを地域全体で情報共有してまいります。

【 再質問 】

○野村淳一議員
 ありがとうございました。
 それでは、何点か再質問させていただきます。

 最初に地域医療の問題です。
総合診療科の医者が退職し、そして9月には循環器内科の先生も退職をします。今、市長の答弁で何とか綱渡りのような印象ですが、医療、診療を何とかしのいでいっているという印象を持ちます。

 どちらにしても、病院も市長を先頭に医師の確保のために精力的に頑張っているんだなということは実感いたしますので、それはそれでぜひこれからも続けていっていただきたいと思うんです。

 ただ、私は、長期的に医者を安定させていく必要が考える必要があると思っています。こういうような形で毎回毎回、私も毎回同じことを質問してるんで、恐縮なんですよ。まだ市民が不安ですから、質問せざるを得ないんですけど。

 長期的にどうやって医者を安定的に確保するかということが、やっぱり戦略として持つ必要があるんだろうなというふうに思ってます。

 医者にとってこの紋別の、広域紋別病院だけじゃありませんけども、本当に医者にとって働きがいがある病院だ、それから学びがいがある病院だ、そして暮らしがい、住みがいがある地域だというような、そういうような全体像というものを構築する必要があるんだろうなというふうに思っています。

 私はその意味からも、先ほど市長がおっしゃった、この紋別で地域医療に対する総合的なプランというものをつくっていく、これがどうしても必要だろうなと思っています。

 そういう中で、この医者の長期的な確立というのも当然そのプランの中に入るんだろうなと思っています。

 私も服部センター長とお会いをして懇談をさせていただきました。さまざまな実践とさまざまな経験を持たれている方で、私も期待をしたいと思っています。

 さきの議会での質問で市長は、このセンター長の役割について、これからの地域医療の方向性を示す中心的な役割を担っていただきたいと、こう述べておりました。まさに、そういうような取り組みになっていくんだろうなというふうに思います。

 改めてお聞きします。そういう医師の確保、長期的な、安定的な医師の確保を含めて、改めて道が進める地域医療構想、これに抗するためにも紋別における新たな地域医療構想、紋別における連携構想というのをそのセンター長を中心にしっかりとしたものをつくり上げていく、その日程を、そのプログラムをしっかりとつくる必要があると改めて思います。ご答弁いただけませんか。


○大野貴光保健福祉部参事兼広域病院連携推進室参事
  お答えいたします。
7月にセンター長が来られて、今うちの急病センターにも当然入られてますし、広域病院のほうにも月何回か行って応援という形で、いろいろと診療しているところなんですけども、まだ地域の実情、7月に来たばっかりですんで、なかなか全体を把握し切れてないという部分もあります。

 医療を進めていくということですけども、やっぱりある程度保健センター長ということでもあり予防部分、福祉の部分というようなところとも不足する部分というんですか、ある程度総合的に把握していただきたいというところで今考えてます。

 今、答弁の中で市民公開講座やシンポジウムなどで取り組みについて発表する機会をという答弁があったかと思うんですけども、そのような中でプランが必要かどうかというところなんですけども、その辺は今本当に来たばっかりであれですんで、必要があれば服部センター長とも協議しながら進めてまいりたいと考えてます。
以上でございます。

○野村淳一議員
 確かに、人口減少、少子高齢そして紋別の場合は1次医療もどんどん縮小してきているんですね。こういう問題は、やっぱり直視しなきゃならないし放置できない問題だというふうに私も思っていますよ。

 だからこそ、そういう形なり全市的な協議が必要ですし、今それぞれの分野で抱えている問題意識を共有するというところもまずは出発点だろうなと思ってますんで、そういう場をぜひつくっていただきたいというふうに思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。


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