今日の北海道新聞の「記者の視点」というコーナーに「国の介入 時代に逆行~自治体職員の給与削減」と題した論評が載っていました。
国が東日本大震災の復興財源確保を理由に、自治体職員の給与の削減を求めた問題に対し、「地方交付税を減らして自治体に削減を迫る『兵糧攻め』のような手法には強い違和感を覚える」「国の事実上の介入は、地方分権の流れに逆行すると言わざるを得ない」と、きっぱり断じています。
実はこの問題は、紋別市でも起こっています。7月議会最終日、この問題の議案が突然上程されたのです。
提案理由は「国の要請に基づくもの」で、市職員や市長など特別職の給与を削減する条例案とそれに基づく補正予算案です。
月額給与のうち一般職は1~1.7%、特別職は10%を削減。手当の削減も含め、8か月で1930万円にのぼるものです。
私は質疑の中で「本来、給与は人事院勧告に基づいて自治体が独自に決定してきたものだ。しかし国はそれを無視し、地方交付税を一方的に削減し、強制的に給与の削減を強要してきた。それは、地方自治の根幹を揺るがすもので、断じて許されない」と述べ、宮川市長の見解をただしました。
市長は「給与の削減要請は、まさに地方分権に逆行するが、現実に地方交付税が削減されており、苦渋の選択だ」と述べるにとどまりました。
採決では、日本共産党市議団の2名だけが反対し、可決成立しました。
しかしそこには、「地方自治を守る」という根本が問われる重たい課題が横たわっているのです。
私の反対討論を紹介します。
「今回の給与の改定は、国家公務員の給与減額措置を踏まえ、平成25年度における地方公務員の給与減額措置を講じるようにとの総務大臣の要請に基づくものです。
そして政府は、この10年あまりの国をはるかに上回る地方の行財政改革の努力を適切に評価することなく、国家公務員の給与減額措置に準じて地方公務員の給与の削減を求め、それを反映して一方的に地方交付税を削減したのです。
地方固有の財源である地方交付税を給与引き下げの政策誘導手段として用い、国が地方公務員の給与削減を強制することは、地方自治の根幹にかかわる重大な問題であり、断じて許されるものではありません。
そもそも地方公務員の給与は、議会や住民の意志に基づき、地方が自主的に決定すべきものであり、地方のこれまでの人件費抑制の努力を一顧だにせず、ラスパイレル指数の単年比較のみで引き下げ要請が行われたことも、断じて認められません。
しかも、不況が続く中で、市職員の給与削減は市内経済にも大きな影響を与えるものです。
このような理由から、今回、国の要請にもかかわらず、全道、全国でも多数の自治体が一般職の給与削減を見送っているのです。
北海道新聞の報道では、道内41自治体で給与の引き下げを行わない判断をしたといいます。
この立場こそ、自治体としての矜持ではありませんか。
地方の財政自主権をないがしろにする国の傲慢さに、毅然と対峙する姿勢こそ地方自治の本旨であり、その立場を貫くべきではありませんか。
紋別市を見ても、すでにこの10年、国家公務員の削減率が2.8%なのに対し、その10倍近い22.2%も定員を削減しており、人件費総額でも8億6600万円もの血のにじむ削減を実施してきたのです。
それは、他の市町村に比べても大きく上回る水準であることを一言申し添えて反対討論とします。」
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