これは、社会福祉協議会ボランティアセンターが主催したもので、真冬に発生した災害によって突然断水、停電したという想定のもと、一晩避難生活を体験しようと、企画されたものです。
社協の岩谷課長から、以前に誘われたこともあり、早速申し込みました。
昨年、東北の被災地・南相馬市、南三陸町を訪問したとき、避難所での生活の模様を詳しく聞くことができました。
まさに水も電気も食料も、そして何の情報もない中での生活。しかも、いつ果てるともしれない、まったく先の見えない避難生活。
不安と絶望の中、暗闇と寒さと空腹の中、人はいらだち、冷静さを失い、そして孤独になっていく。
市や町の職員たちはそんな中、とまどいながら、うろたえながら、自分を奮い立たせながら懸命に被害と向き合う毎日。
すべてが初めての経験。今までのマニュアルは何の役にも立たない。これは経験した人でなければわかりませんよ。
そう話してくれた方々の言葉が忘れられません。だからこそ、今回の避難訓練への参加は、私にとっても大きな意味を持っていました。
参加したのは市民18人。体験は午後7時に開始。灯りが消され、暖房も切られ、水道も使えない。
用意された食料は非常食のみ。しかも人数の半分。水もタンク3個分のみ。
懐中電灯だけを頼りに携帯用ガスコンロで湯を沸かし、非常食を暖める。みんなで食料を譲り合って、立ったままの夕食です。
こんどは寝る準備。段ボールを運び込んで床に敷く。これが今夜の寝床。市の備蓄用の毛布にくるまって眠りにつきます。
その中、車いすの障害者が避難してきたという想定の訓練が、突然始まります。
この夜は、たまたま3月中旬並みの暖かさとあって比較的楽でしたが、それでも明け方は寒さがこたえ、早々と目が覚めました。
夜明けとともに朝食の準備。おかゆと味噌汁。暖かい食事は、心をホットさせます。誰かが持ってきたお塩が最高でした。
最後は、参加者全員で感想を述べ合いました。
私は、「寒くて眠れなかったが、それを口にできないし、どうしたらいいのかもわからない。これが大人数の避難所だったり、知らない人ばっかりだったら、じっと我慢せざるを得ない状況が長く続くことになる。お年寄りなどが迷惑をかけまいと遠慮し、ストレスを募らせることも考えられる。そういう声や思いを、どうくみ取るかが課題となると感じた」と述べました。
参加者からも、せきを我慢した、寝返りの音が気になった、などと振り返る声も出されました。
そのほか、市の備蓄用毛布の一部は衛生状態が芳しくなく、保管状況への疑問も出されました。それぞれの感想がホワイトボードいっぱいに書き込まれました。
岩谷課長は「いろいろと課題が見えてきた。今回の内容を踏まえ、今度は3泊4日程度の訓練も実施したい」とまとめました。
一晩だけでしたが、仲間意識も芽生え、いろんなことを学んだように思います。なにより、体験してこそわかるんですね。
やっぱり、「現場第一」です。
0 件のコメント:
コメントを投稿