「成年後見人制度」というのをご存知でしょうか。名前だけは知っていても、内容まではという人が多いと思います。
しかし、この制度の持つ意味は極めて大きく、そして極めて現実的で緊急性の高い制度なのです。
今回の議会でこの問題を取り上げようと考え、関係者と意見交換を重ねて、そのことを改めて実感させられました。
「成年後見人制度」とは、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分なため、預貯金の金銭管理や契約行為などを自分で行うことが難しい場合、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人が本人に代わって財産管理や契約行為を行うことで、本人を保護・支援する制度です。
高齢社会を迎える中で、この制度の重要さはますます高まっています。
昨年紋別市に、成年後見制度に関するネットワークが誕生しました。市はもちろん、弁護士や司法書士、行書士に介護事業所や障害者相談員など、関係者が一堂に会して成年後見人制度の活用と普及についての協議が開始されたのです。
このネットワークに参加し、積極的に運動を進めている紋別の二人の弁護士にお会いしてきました。
流氷の町ひまわり基金法律事務所の脇島正弁護士は、「本人が認知症で身寄りもない場合、本人に代わって市長が成年後見を家庭裁判所に申し立てる『市長申立て』が、紋別市で初めて実現したんです。これは画期的なことです。まだ1件ですが、これがどんどん増えることを期待しています」と語ります。
紋別ひまわり基金法律事務所の原田宏一弁護士は、「もっともっとこの制度を知らせ、気軽に相談できる体制が必要です。成年後見の相談窓口をつくり、私たちも積極的にかかわりながら、福祉や医療、介護との連携ができる仕組みをつくりたいですね」と語ります。
お二人の話は、どちらも熱意にあふれ、人権を守るというたくましさを感じました。そして、どちらも本当に気さくで、楽しい方でした。本題を外れ、憲法談義に花が咲いたのも楽しいひと時でした。
紋別市も平成26年度予算で、成年後見人にかかわる予算を増額しました。
潜在的には、まだまだ多くの方が心を痛めて、苦労している問題だと思います。きっとそれは、お金の問題だけでなく、医療や福祉、介護の問題にもつながるものでしょう。
市内の福祉のネットワークの底力が試され、求められる課題でもあります。今その一歩が、開始されました。
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