2018年5月3日木曜日

障害者の自立と安心のために~2017年第4回定例市議会一般質問④

〇野村淳一議員

 最後に、障害者福祉について質問します。
 
 まず最初に、障害者就労受入企業助成事業についてお尋ねします。

 この事業は、就労継続支援事業所などに通所する障害者が一般企業と雇用契約に基づく就労をした場合に1カ月分の最低賃金相当額を補助するもので、障害者の一般就労への呼び水として期待されてきたものです。

 そこでまず、この事業の現状と実績についてお知らせください。

 多くの障害者がその能力を生かし、社会に参加し、自立に向けて取り組む努力を支援することは社会全体の責務です。

 紋別市もその一環としてこの障害者就労受入企業助成制度を一昨年、紋別市独自の制度として創設したものです。

 だからこそ、この事業が障害者の就労を後押しする制度として積極的に生かされるよう期待したいのです。改めて、この事業に対する認識と今後の方向性、対応についてお尋ねします。

 2つ目に、障害者の交通費助成の拡大についてお尋ねします。
 
 現在紋別市内の障害者は、高齢者等に対するバス料金助成事業により1乗車100円で乗りおりすることができるようになっています。

 その対象者は、70歳以上の高齢者とともに、あくまで障害者手帳、具体的には身体障害者1、2級の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を有する者に限られています。

 私はこの障害者に対する対象の取り扱いを拡大すべきではないかと考えるものです。

 実は発達障害者の中には、いわゆる障害者手帳を持たない人も少なくありません。

 たとえ障害者手帳を持っていなくても、人とのコミュニケーションが苦手だったり、ひきこもりぎみだったりと苦しんでいる人たちも大勢います。

 そのような人たちが、例えば障害者の地域活動支援センターや就労継続事業所などに通い、少しでも社会に参加する機会ができるとするなら、少しでも自立に向けた取り組みができるとするなら、こんなにすばらしいことはありません。

 しかし今は、障害者手帳を持たなければバス料金の助成対象には該当しないのです。

 このことが、この経済的負担がこれら施設に通いたくても通えない、せっかくの自立に向けた機会を奪ってしまうことになってしまうのではないか。私はそのことを危惧しています。

 ですから、たとえ障害者手帳を持っていなくても本人がそれを望み、受け入れ先が了承し、それが必要な支援であると認められる場合、バス助成の対象に加える措置を行うべきと考えるものですが、いかがでしょうか。見解をお示しください。

 3つ目に、障害者差別解消法の徹底についてお尋ねします。

 昨年障害者差別解消法が施行され、地方公共団体の職員には障害のある人への差別の禁止と合理的配慮が義務化されました。

 紋別市役所においても、障害者差別解消法に基づく対応要領を策定したとされています。

 問題は、その法に基づく理念がどのように理解され、現場でどのように実践されているかにあります。

 特に市職員は、あらゆる場面であらゆる機会に障害者と直接接する機会が多くあります。それだけに、障害の特性を理解しそれに応じた配慮と対応が求められています。障害への無理解が市役所への信頼を失わせる場合もあるのです。

 市職員に対する障害者差別解消法に基づく指導及び教育はどのようになされ、どのように徹底されているのかお尋ねするものです。

 4つ目に、障害者の生活介護と短期入所施設の拡大について質問します。

 常に介護を必要とする障害者に対し、入浴や排せつ、食事などの介護を行い、身体機能の向上や生活の改善などを目的とした生活介護という通所サービス事業があります。

 現在市内では社会福祉法人紋別市百年記念福祉会がその事業所になっていますが、定員の問題や地理的な問題で、在宅の重度の障害者が通所し、利用するのが厳しい現状にあります。市内の障害者施設でも受け入れが難しくなっています。

 今度とも重度心身障害者の在宅での介護は増えていくでしょう。

 障害者の意思を尊重し、同時に家族の介護負担の軽減を図るためにも、重度の障害者を受け入れる生活介護事業を拡大する必要があると考えます。紋別市としてどのようにお考えになるか、認識と見解をお聞きします。

 また、短期入所施設、いわゆるショートステイも市内においてその拡大が求められていると思います。

 これも百年記念福祉会が事業を行っていますが、ここでも定員の問題がネックとなり、必要なときに利用できない現状があると聞いています。

 特に重度の障害者、また障害児への対策、対応が急がれていると考えます。短期入所施設の拡大についても、紋別市の認識と対応をお聞きするものです。

 最後に、ヘルプマーク、ヘルプカードの利用と普及についてお尋ねします。

 障害や難病の方、義足や人工関節を使用している方また妊娠初期の方など、外見からはわからなくても援助や配慮を必要としている方が、周囲に配慮を必要としていることを知らせるツールとして体やかばんなどに装着するヘルプマークが北海道により作成されました。

 また、障害者が困っているときに助けを求める手段として、また障害者との意思疎通を図るツールとしてヘルプカードも同時に作成されました。

 12月号の広報もんべつにもこのヘルプマークが紹介されておりましたが、これらの取り扱いについてはどのように対応しているのかお知らせください。

 障害者の皆さんはもちろんですが、市民がこのヘルプマーク、ヘルプカードの意味を理解していなければ何の役にも立たないものです。これらの普及と啓発についてはどのように取り組まれるのか、お考えをお聞かせください。

〇宮川良一紋別市長

 次に、障害者福祉についてであります。
 
 1点目の障害者就労受入企業助成事業につきましては、就労支援を行う事業所に通所し一般就労を目指している障害者が、市内企業で就労体験などを行う場合にその受入企業に対し、一定額の補助を行うものでありますが、現在のところ本制度の実績はありません。

 そのため市内12の企業と意見交換した結果、障害者をサポートする職員がいないことや、雇用する経済的余裕がないとの意見が多数あったことから、障害者雇用に関する認識が浸透していなかったと考えております。

 このことから、本年8月に紋別市自立支援協議会内に福祉関係団体4事業所、市内企業4社、特別支援学校2校及びハローワークで組織された就労支援部会を設置し、これまで3回の会議を重ね、障害者雇用に対する理解が深まってきておりますので、今後もより多くの障害者や企業のニーズを把握し、障害者雇用に対する理解を企業に浸透させるとともに、制度の見直しを進めながら新たな事業展開を視野に入れ、障害者雇用の推進に努めてまいります。

 2点目の障害者の交通費助成の拡大につきましては、高齢者等に対するバス料金助成事業として、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を有する方を対象としており、手帳を持たない方を対象とする場合、自立支援医療の受給者が多数であること、また発達障害やひきこもりの方などは認定が困難であることなどにより、今後も対象とする予定はありません。

 3点目の障害者差別解消法の徹底につきましては、法の施行に合わせて職員向けに障害のある人へのよりよい対応ができるサポートブックを作成し、周知を図っております。

 法の施行後、相談支援事業所などに寄せられた意見も集約されていると考えられますので、今後より実践的な内容で職員向けの研修会などを実施したいと考えております。

 4点目の障害者の生活介護と短期入所施設の拡大につきましては、自立支援協議会により当面生活介護の利用者数増加は見込まれないとされ、現在策定中の障害福祉計画には、生活介護の定員数の拡大は盛り込まれておりません。

 重度の障害がある方には、日中一時支援などの福祉サービスを活用していただき、事業所に対しても受入体制の強化について努力していただくよう働きかけてまいりたいと考えております。

 短期入所は定員が男女各2名の4名となっておりますが、夏休みや冬休みなどに利用が集中し、利用できない場合もあることから、市内のグループホームなどの空き部屋利用を視野に入れて検討してまいります。

 5点目のヘルプマーク、ヘルプカードの利用と普及につきましては、本年10月に北海道でガイドラインを定め、本市を含め多くの道内自治体でヘルプマークの配布を開始しており、裏面にはヘルプカードの援助内容も記載できるようになっております。

 本市では、広報もんべつ12月号で配布を周知し、7件の申請がありました。ヘルプマークの趣旨を広く市民にご理解いただくことが重要でありますので、今後ポスター、市ホームページ、広報もんべつ、各種イベントなどで普及啓発に取り組んでまいります。

~再質問~

〇野村淳一議員
 障害者就労受入企業助成制度実現がまだゼロなんです。

 いろいろと自立支援協議会の就労部会でいろいろ検討し、企業の認識をどう進めるかということもされているというふうに言ってました。

 企業にしてみたら、障害者を受け入れるってなかなか大変な話です。簡単じゃないんです。どう対応していいのかわからないです。どう指導していいのかなかなかよくわからない。事故があった場合どうしたらいいのか。職場の環境をどう変えたらいいのか。

 そういうサポートだとか支援だとかというのがちゃんとなければ、なかなか受け入れたくても受け入れることが難しいです。

 お金の問題だけじゃないんです。そういうものが見えないと、私はなかなかこれは実現していかないし前に進まないと思うんですが、それについてはどういうふうにお考えですか。

○高橋信好社会福祉課参事
 お答えいたします。
 
 本制度を知っていただくために、あるいは使っていただきたいという思いで、昨年から就労支援といたしまして活動してまいりましたけども、その結果先ほど議員からもご指摘がございました、障害者の方を雇用した際にも、サポートする人員がいないですとか、そういった経済的に余裕がない、さらには雇用したとしても不安があるなどという意見が多数見受けられました。

 このことから本制度の執行ができなかったものということで判断しておりまして、今回障害者自立支援協議会の中に就労支援部会をハローワーク、特別支援学校、福祉事業所、企業で組織しまして、今これに向けて障害者の雇用の促進に向けた話し合いを3回ほど開催しておりまして、その中で何が問題なのかという部分と、あとこの就労支援部会にチーム支援という部分の役割を持たせて障害者の就労支援の促進を図っていければなというふうに考えております。

 本当に単に企業にお金を渡すだけでは障害者の就労は促進できないってことがはっきりわかっておりますので、こういった就労支援部会を通じて幅広く活動を行っていきたいなというふうに考えています。
以上でございます。

○野村淳一議員
 障害者の一般就労ってのは、国だっていろんな制度をやってます。でも、なかなか簡単に進まないんですよ。

 それには、今私が言ったように、課長も言ったように、きちんとしたサポートあるいは専門的な助言、それが日常的にきちんと制度化されていないと、システム化されていないとなかなか前に進まないんです。

 紋別市の職員がそれできるわけじゃないですから。じゃあどういう体制をつくっていくのか。実はこれはどこのまちもいつも課題になっていることです。

 今おっしゃったように、その部会で今いろいろ議論されている。もしこれがきちんと制度化されシステム化されたら、紋別市の就労支援ってのは画期的な前進だと思っているんです。期待をしたいんです。

 それに向けた取り組みをぜひ具体化していただきたいし、そうやってきちんとサポートしていけるような仕組みづくり、期待してます。ぜひ、これこそ紋別モデルみたいなものができればと思ってますんで頑張ってください。

 バス助成です。
 今のところ自立支援医療制度の問題もあるので、予定がないという話でした。

 私、一般論で話をしていますが、発達障害です、これは障害者手帳を持っていません。何とか社会に参加をする、自立に向けた努力をする、そのために地域活動支援センターに参加をしたい。受け入れ先もいいですよと。

 片道500円のバス代がかかる、往復1,000円です、例えばです。なかなか行けませんよね。

 もしそういう方がそのことによって行けない状況になったらと思ったときに非常に残念だなと思うし、今後のことを考えると胸が痛むんです。

 せっかくそうやって何とか社会に出ようと思って頑張っているのを後押しできないのかなということです。

 これは金銭的にどれくらい負担が増えるのかどうかわかりませんけども、そんな大した金額じゃないっていえば語弊があるかもしれないけども、私はある意味では今後そういう方々増えてくる可能性があるので、何とか制度化してほしいし、これも一つの福祉の心ではないのかなと思ってみているんですが、改めてお考えをお聞かせください。

○飯田欣也社会福祉課長。
 お答えいたします。
 
 発達障害の方ですとかひきこもりの方の社会参加につきましては、バス助成というような形で交通費に何かしらの支援ができれば一助になるとは思いますけども、これ以外に、その方々の身体、精神の状況ですとか経済的なものを含めた中で生活環境など相談支援で問題解決に向けて支援内容を十分見定めるというようなことが必要だと思いますんで、そちらのほうをいろいろと活用しながらということで、この制度自体には市長特認というのは一応ありますんで、今言ったようなことを十分加味した上で、そういった条件が整ったときにはそういった可能性もあるのかなというふうに思っております。
以上でございます。

○野村淳一議員
 相談支援センターの方々の判断でも積極的にそういうところに参加することがその人にとってプラスになると判断をされている場合もあると思いますから、今課長がおっしゃったように、市長が認める場合もあり得ると思いますので、その点での判断をよろしくお願いしたいと思います。というふうにしておきます。

 それから、差別解消法との関係です。

 これは実践を踏まえて研修会を実施したいということでしたので、これ以上は言いませんが、ぜひ努めていただきたいということだけ言っておきますので、よろしくお願いします。

 それから、生活介護です。
 
 確かに福祉計画では、この生活介護の人数は変わらないんですというか、減るんです。

 なぜ減るのか。生活介護の利用者はほとんど施設入所、グループホームの入所だからです。だから、数字は増えないんです。

 だけど私が言ってるのは、在宅の重度の障害者です。この重度の障害者は今、日中一時に行ってる人たくさんいるんです。

 だけど、その日中一時で今受け入れが難しくなっている。これご存じでしょ。なぜか。それぞれの体制がうまくとれないんです、今。人の体制が。なので、重度の障害者を日中一時で受け入れることが困難になりつつあるから、私言ってるんです。

 行き場所がなくなっちゃってるんです。介護されている方の負担も重たいものになっています。何とかできないのかという思いです。

 これ市が直営でできる話ではありませんから、今後の計画づくりになると思うんですけど、ぜひこの問題をテーブルにのせてほしいし、現在在宅で重度の障害者、障害児を介護している方の声を、ニーズをしっかりと受けとめてほしいというふうに思いますが、それについてだけちょっとご答弁いただけますか。

○飯田欣也社会福祉課長
 お答えいたします。
 今、重度の心身障害のある方につきましては、在宅で生活介護を利用する場合、今ある既存の生活介護でいけば、バスの送迎ですとか、通所に自分で来る方もいらっしゃいます。

 今定員を満たしてる状態なのでなかなかこれを活用できないってことでもありますし、当面は市内のいろんな社会資源を活用していただくという形になるかと思いますけれども、日中一時でも人員的なものはありますけども、食事や入浴とか生活介護に近いような形で日中一時支援、展開できるような事業所もありますので、そちらのほうに働きかけていくというようなことが、今現状できることかなというふうに思いますけども、人員体制ってことになればなかなか市のほうでというのは難しいと考えておりますので、側面支援などできるようなことがあれば考えていきたいなというふうに思います。
以上でございます。

○野村淳一議員
 ぜひ現状を把握してほしいし、ぜひ皆さんの声を、積極的に聞いていただきたいと、これだけ要望しておきます。

 ヘルプマーク、ヘルプカードについては、今ご答弁がありました。7件も既に支給されていたと、ポスター、ホームページ、イベントなどで知らせていくということでしたので、これは積極的にそういうような取り組みを進めていただきたいということを最後に要望して、私の質問を終わります。


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