2023年10月5日木曜日

大規模停電を教訓に防災対策を~2023年第1回定例市議会一般質問①

避難場所となった潮見小学校体育館

 質問項目

1,大規模停電に見る防災対策について 

 ① 情報伝達について 

 ② 避難所の開設と運営について

 ③ 要配慮者への対応について


〇野村淳一議員 

 最初に、大規模停電災害と防災対策についてです。

 昨年12月23日、そして、25日と連続して発生した大規模停電は、厳冬期の停電という初めての事態の中で様々な教訓を与えてくれたと考えます。

 その中で私が感じた課題について、3点取り上げたいと思います。 

 1点目は、災害の情報伝達についてです。 

 停電によって、重要な情報源であるテレビや固定電話が使用できなくなり、一部の世帯では情報が途絶するという事態が発生しました。特に、スマホなどを所持していない高齢者や障害者など、いわゆる情報弱者がその状況に多く陥りました。 

 そこで、安否の確認はもちろん、停電の状況や避難所などの開設を伝える手段について、どのような状況となり、どのような形で対応されたのか、まずお聞かせください。 

 広報車による情報伝達も行われたと思いますが、そこには当然限界があります。

 今後とも起こり得る災害に備えて、全ての世帯につながる防災行政無線のシステムが必要になっているのではないでしょうか。網走市、稚内市、名寄市、留萌市、岩見沢市などでは、全ての世帯に緊急告知防災ラジオを貸与し、緊急時や災害時の情報を提供しています。また、佐呂間町では、独自に防災行政無線システムを構築し、ここでも一戸一戸に防災受信機を設置し、緊急時に備えているのです。 

 紋別市として、現状をどのように認識しているのか、お聞きするとともに、情報弱者が生まれないよう、安心と生命を守るため、全ての世帯に防災ラジオなどの受信機を設置するための対策を早急に構築するよう求めるものですが、いかがお考えか、お尋ねします。 

 2点目には、避難所の開設と運営についてです。 

 2回にわたった大規模停電で10か所の避難所が開設され、支給品を取りに来た市民も含め、延べ901人が避難したとされています。

 私も、その日、数か所、避難所を訪ねましたが、その中で感じた点について幾つかお尋ねします。 

 一つ目に、紋別小学校の避難所開設まで7時間も費やされたこと、二つ目に、避難所となった渚滑市民センターに従来からあるとされていた非常用発電機がなく、暗闇の中で避難せざるを得なかったこと、三つ目に、段ボールベッドや災害用寝袋など、厳冬期にこそ有効な備品が用意されていなかったこと、四つ目に、介護や支援が必要な高齢者や障害者の避難の受入れ態勢が不十分だったこと、それらについての状況をお聞きするとともに、今後の対策についてお尋ねします。 

 3点目は、要配慮者への対応についてです。 

 災害時においては、介護など、支援を必要とする高齢者や障害者、妊婦さんなど、いわゆる要配慮者への対応もまた重要となります。

 紋別市、社会福祉協議会、地域包括支援センター、それに介護や障害福祉の各事業所など、それぞれに安否確認や状況 把握に奔走したと思います。 

 今回の災害に当たって、それらの対応の状況と教訓とすべき点について、いかがお考えか、お聞かせください。

 また、要配慮者に対応した福祉避難所の開設についてはどのように検討されたのか、さらに、停電で酸素供給機器の停止も生じかねない在宅酸素療養者への対応はどうされたのか、それぞれについてもお尋ねいたします。 


〇宮川良一市長

 それでは、野村議員のご質問にお答えいたします。 初めに、大規模停電に見る防災対策についてであります。 

 1点目の情報伝達についてでありますが、市ホームページやメール@もんべつ、市公式LINEにより情報発信を行ったほか、市域全てに広報車により周知したところでありますが、強風下で閉め切った室内では広報車の音声が聞き取りづらいなどの苦情も市民から寄せられたところであります。

 議員のご指摘の情報伝達手段の多様化につきましては、手法も含め、今後検討してまいります。 

 2点目の避難所の開設と運営についてでありますが、避難所開設に当たり、北海道電力ネットワーク株式会社が保有する大型発電車を滝川市や札幌市などから派遣していただき、本市に到着した車両から、順次、施設を割り当て、施設の電気系統に接続し、施設暖房を稼働させてから避難所を開設したことから遅れたものであります。 

 渚滑市民センターの発電機につきましては、点検不十分で起動できず、その後、代替機を配置し、対応となりましたことから、今後は定期的な点検を行ってまいります。 

 段ボールベッドや災害用寝袋などの備品についてでありますが、当時は、冬季の中でも比較的暖かい気温であったことに加え、停電による一時的な避難として利用される方が多いと想定し、毛布を支給したところであります。 

 各避難所への介護が必要な高齢者や障害のある方への対応については、避難の申出があった際に、一般避難所としては周知しておりませんでしたが、保健師を配置した保健センターへ避難するようお願いしたところであります。 

 3点目の要配慮者への対応についてでありますが、要配慮者の安否確認の対応状況と教訓につきましては、さきに喜多議員のご質問にお答えしたことでご理解願います。 


[喜多議員への答弁

   1点目の非常時の安否確認や声がけについてでありますが、今回のケースでは、地域の要配慮者としてウェブに登録されている方については各介護事業所や紋別市地域包括支援センター、民生委員などの避難支援等関係者に安否確認を行っていただきましたが、登録のない高齢者のひとり暮らしの世帯などの安否確認が難しい状況でありました。 それを踏まえ、災害時に備えた市民とのネットワークの強化が重要であると認識しており、今後も、防災訓練や防災出前講座などを通じて、自助、共助、公助の考え方を広めていくとともに、各町内会に対し、自主防災組織の設立を積極的に働きかけていくなど、市民相互の横のつながりと市との連携を推進してまいります]

   

   福祉避難所についてでありますが、さきに述べた保健センターにその役割を持たせたところであり、1回目の停電の際には、在宅の人工呼吸器使用者1名を含め、3名の避難を受け入れております。

 2回目の停電の際にも避難の申出がありましたが、市が保有するポータブルバッテリーを自宅に貸し出し、対応できたことから、令和5年度予算において、市内の人工呼吸器を使用している方に貸出しできるよう、必要台数を予算計上しているところであります。 


【 再質問 】


〇野村淳一議員

 まず、大規模停電からです。 

 情報伝達の問題についてですが、固定電話は停電ですとつながらないのです。これは、今日的な問題で、市の担当者も相当ご苦労をされたと思います。

 昨日の加藤議員の質問の中でも防災行政無線の話が出されました。私も取り上げましたが、これからは本当に必要ではないですか。 

 課長は事業費が3億円プラスアルファとおっしゃいましたが、その3億円という金額です。私がさきの質問でも取り上げた佐呂間町です。ここでも一戸一戸にラジオの受信機を設置し、町内に2か所の基地をつくってやっているのです。幾らかかりましたかと担当に聞いたら、ほぼ3億円とおっしゃいました。佐呂間町で3億円ですよ。すごいですよね。 

 こんなことを言っては語弊があるけれども、昨日の議論の中で、某ゴルフ場には2億円をぽんと出すのですよ。必要だからなのでしょう。防災行政無線のことは、まさに命に関わる問題です。

 正確な情報をしっかりと届ける、これは市にとって緊急の課題なのではないのですか。3億円と聞いて、これは十分できると逆に私は思ったのですが、いかがですか。 


〇牧野昌教総務部長

 お答えいたします。3億円というのは、いわゆる起債事業でございますので、地方債を借りて、その元利償還金の7割が国から返ってくる交付税で措置されるということです。

 市の純然たる持ち出しが3億円ということですが、佐呂間町の場合は全ての事業費で3億円ということでして、同じ3億円でもちょっと性質が違うということにまずご理解をいただければと思います。 

 それで、防災無線や家庭の受信機についてです。 確かに、今回、スマホなんかを持っていない方に情報が行き渡らなかったというのは非常に大きな課題であったと我々も認識してございます。

 ですから、全ての世帯に防災ラジオを設置するのではなく、そういう手段のない方にそうしたものを配置することによって、全ての市民に何らかの方法で情報を行き渡らせる手法がないのかを今検討しているところです。

 なるべく経費をかけず、今、スマホを持っている方につい てはそれを活用してもらい、実施していければと思っております。 


〇野村淳一議員

 理解をいたしました。ぜひ、その方向で早急に検討を進めてください。 

 今回、避難所を回って感じたことについてです。

 幾つか指摘もしましたが、避難をする方は高齢者が多かったのですよ。先ほどの答弁の中では町内会の話もありました。町内会になると、町内会の運営、それから、避難所運営マニュアルを全部変えなければなりません。 

 ですから、福祉避難所を最初から開設するという運用を考える必要があるのではないかと思っていますが、いかがですか。 


〇牧野昌教総務部長

 福祉避難所についてです。 福祉避難所は、本来であれば、総合福祉センターに開設すべきだったのですけれども、答弁にもありましたとおり、電源車が限られており、今回は電源車をそちらに回せないということで、保健センターのほうに市で持っている簡易の発電機を設置し、そちらで人工呼吸器の方などを受け入れました。 

 これからは自家用発電機を施設に計画的に整備、設置していきますので、最終的にはそうした福祉避難所も設置可能とはなります。

 ただ、やはり、冬場は電源の確保というのが第一でございまして、それまでの間は、随時、小さな発電機等で対応せざるを得ないのかなと考えてございます。 


〇野村淳一議員

 ぜひ、そういうことで福祉避難所の開設についても積極的に対応 していただきたいと思います。 

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