2023年10月12日木曜日

どうする地域医療~2023年第2回定例市議会一般質問①

広域紋別病院

【 質問項目 】 

地域医療について 

 ①地域医療連携推進法人について 

 ②広域紋別病院経営強化プランについて 

 ③現在の医療状況への認識と対策について 

 ④医療従事者の確保について 


〇野村淳一議員

 最初に、地域医療について質問いたします。 

 まず、地域医療連携推進法人の設立についてです。 

 3月23日に開催された遠紋圏域地域医療構想調整会議において、西紋別地域における地域医療連携推進法人の設立が承認されました。 

 そこに提案された医療連携推進方針案では、西紋地域の1市3町1村の各公立病院、診療所と幾つかの民間病院などが参加し、この地域の限られた医療資源を効率的に活用し、連携を強化することで、地域医療構想の達成と地域包括ケアシステムの構築に資することを目的にするとされております。 

 そこでお聞きしますが、そもそも、この地域医療連携推進法人とは、どのような性格を持ち、どのような役割を担うものなのか、そして、なぜ、今、西紋地域での連携推進法人の設立が必要なのか、その上で、この連携推進法人による具体的な取組と地域医療に果たすメリットとは何なのか、今後の方向性を含め、お尋ねします。 

 次に、広域紋別病院の経営強化プランについてお尋ねします。 

 広域紋別病院では、持続可能な病院経営を実現するためとして、5か年計画の経営強化プランを策定しました。道による基金も25年で枯渇するとされ、西紋地域のセンター病院として存続するために、あるべき姿の方向性を示すことが重要です。 

 そのため、経営強化プランでは、今後の医療需要の変化に応じ、現在の地域包括ケア病床20床を2025年度に48床に増やし、2027年度には回復期リハビリテーション病棟へ転換するとしています。

 この経営強化プランは今後の病院運営の方向を定めたもの ですが、同時に、紋別市の地域医療の維持と構築に大きく関連するものです。 

 今回の経営プランの策定に当たって、紋別市はどのような関わりを持ってきたのか、お聞きします。

 さらに、経営強化プランに示された方向性について紋別市の見解をお聞きするとともに、それが地域医療にどのような影響を及ぼすとお考えなのか、お尋ねします。

 また、病院経営にとって紋別市からの繰入金が大きな比重を占めると思いますが、紋別市からの協定による繰入金の内訳と今後の考え方についてもお聞きするものです。 

 次に、現在の医療状況への認識と対策についてですが、市内の医療状況は極めて重大な事態を迎えていると考えます。

 この数年で病院の閉鎖、縮小が相次ぎ、特に療養病床の減少が著しい状況です。 

 まず、市内のここ5年間の病床数の変化、特に療養病床数の変化についてお知らせください。 

 この事態は、いまだ高齢化が進む中で、必要な入院すらできない、入院難民を生んでしまいかねない事態ではないでしょうか。この現状についてどのように認識し、どのように対応していくお考えなのか、お尋ねするものです。 

 それは、必然的に、在宅での介護と診療体制の強化が必要になるでしょう。そのためにも、在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所による在宅診療体制の構築がどうしても必要だと考えます。 

 広域紋別病院、紋別医師会などとの協議を含め、在宅診療体制の構築に向け、紋別市としても積極的な働きかけと必要な支援体制を構築するよう求めるものですが、その見通しと見解をお伺いします。 

 地域医療の最後に、医療従事者の確保についてお尋ねします。 

 言うまでもなく、今、地域医療にとって最も緊急で重大な課題は、医療従事者の確保にあります。 

 そこでまず、医師についてですが、北海道が主導し、各医育大学で取り組んでいる地域枠の医師についてです。この制度がスタートして既に15年がたっています。地方の医師不足を解消し、医師 の偏在を解消するのが目的ですが、この西紋地域には地域枠の医師の派遣はあったのでしょうか、それをお聞きするとともに、それへの働きかけについてもお尋ねします。 

 私は、改めて、医師も看護師もコメディカルも、地元から養成する、育てていくことが重要だと考えます。結局、地元に残るのは地元を愛する人だからです。

 地元から医育大学に進学する学生のための奨学金制度を創設することを求めたいのです。 既に道内でも多くの自治体、病院が実施をしています。また、コメディカルについても同様な奨学金制度が必要だと考えます。市長の見解をお聞かせください。 

 また、開業医誘致制度の取組と見通し、対策についてもお伺いをします。 


〇宮川良一市長

 初めに、地域医療についてであります。 

 1点目の地域医療連携推進法人に関し、法人の性格、役割と設立の必要性についてですが、地域における医療機関と相互補完の機能分担や業務の連携を推進することを主たる目的として都道府県知事が認定し、設立する一般社団法人であります。

 これは、地域の中で個々に役割、機能を持った医療機関が業務連携を図ることで、地域住民が急性期から回復期を経て、自宅へ戻るまでの切れ目のない医療提供体制を構築する役割を果たすものであり、地域包括ケアシステムの構築にも資するものであります。 

 また、人口減少下における患者数の減少や少子高齢化が急速に進む中、地域の医療提供体制基盤の縮小もあり、必要な医療サービスを維持していくため、限られた医療資源を地域内で面的に連携することにより実現しようとするものであります。 

 法人の具体的な取組につきましては、本年10月を目指した設立の後、参加法人間で定期的に実施される予定の理事会において協議されるものと承知しております。 

 法人設立による地域医療に果たすメリットといたしましては、北海道の地域医療介護総合確保基金を活用した補助事業や参加法人の独自性を維持しながら患者情報共有などによる患者紹介の円滑化を促進し、医薬品、医療機器等購入の共同交渉の実施、参加法人間の病床の融通や、医師、医療従事者の人的交流などが挙げられていることから、不足する医療人材を地域で奪い合うのではなく、有効に活用する事例もあるということで期待しているところであります。 

 2点目の広域紋別病院経営強化プランに関し、市の関わりと見解についてですが、プラン策定は広域紋別病院が主体的に進めており、理事者会議、担当課長会議などを通じて報告を受けております。 

 内容といたしましては、今後5年間の人口構造の推移を見据えた疾患の変化による病院機能を精査した上で、病床機能においては、急性期病棟のうち、1病棟を地域ニーズの高い回復期病棟に転換し、地域医療構想での役割を果たすもので、病床稼働率を向上させ、診療報酬の増加を目指す計画であることから、市といたしましては、地域に求められる医療提供体制の維持が図られることを期待しております。 

 提供による繰入金の内訳と今後の考え方についてですが、交付税措置や病院事業に係る過疎債の借入分を財源とする負担金については、広域紋別病院負担金として繰り出し基準に係る交付税措置の上乗せ分に加え、地域で求められる医療機能の維持が必要であり、採算が困難な診療部門は拡大分として支援しているところであります。 

 プランにおいては、現行ルールを堅持しながら市と協議を進めるものとしていることから、必要に応じ、病院と協議を進めてまいります。 

 3点目の現在の医療状況への認識と対策に関し、本市におけるここ5年の病床数の変化についてですが、北海道の発表によりますと、遠紋圏域における医療機能ごとの病床の状況は、平成28年には465床あった病床数が令和3年には344床と121床減少しており、そのうち、療養病床数については、平成28年の248床から令和3年には146床と102床減少しております。

 また、令和4年度以降も市内病床数は減少が続いていると認識しております。 

 現状の認識と今後の対応について及び在宅診療体制の構築に向けた積極的な働きかけと支援体制につきましては、さきに宮川法親議員のご質問にお答えしたことでご理解願います。 


[宮川法親議員への答弁

在宅医療体制の整備に向けた検討や協議の状況についてでありますが、こ れまでの関係機関との協議経過といたしましては、令和2年度には、退院後の在宅生 活における介護サービスの利用をスムーズに行えるよう、市、広域紋別病院、紋別医 師会、紋別市地域包括支援センターなどで協議し、紋別市医療と介護の連携の手引き を策定し、事務手続方法についての共有化を図ったところであります。 また、令和3年度には、かかりつけ医としての役割や病床の維持確保、在宅医療の 新たな展開など、新規医療機関の開設、既存医療機関の機能拡充に向けた支援策とし て紋別市開業医誘致等助成制度を創設したところであります。 さらに、令和4年度には、医療、介護、福祉が一体的に提供される地域包括ケアシ ステムの構築に向けて、広域紋別病院、紋別医師会、紋別市地域包括支援センター、 紋別市社会福祉協議会、安養園など、主要な医療・福祉関係団体との事務レベル協議 を実施し、地域包括ケアシステムの重要性を再認識したところであり、このような協 議や取組を通じて医療と介護の連携強化や在宅医療の必要性についての相互理解を一 層深めてきたところであります。 本年度においては、民間の医療機関で在宅医療の取組を推進する動きが見られるこ とから、本市といたしましてもサポート体制について協議、検討してまいります。]


 4点目の医療従事者の確保に関し、地域枠の医師派遣についてですが、直近5年間の状況を申し上げますと、令和元年度から令和4年度までの実績はないものの、本年度においては4月より小児科医が1名派遣されております。

 地域枠医師の派遣に係る働きかけについてですが、西紋別地区総合開発期成会を通じて、例年、要望を行っているところであり、引き続き要望活動を行ってまいります。 

 医師やコメディカルを志願する学生のための奨学金制度につきましては、必要性も含めて、今後、各市の実施状況を注視してまいります。 

 開業医誘致制度につきましては、現在、市ホームページへの掲載、業界新聞誌への広告掲載のほか、紋別市休日夜間急病センターの医療関係者等を通じて周知に取り組んでいるところであります。 

 これまでのところ、制度の活用実績はありませんが、現在、市内の医療機関と制度の活用に向けた協議を行っているところであり、引き続き、医療体制の確保のため、様々な媒体等を通じて積極的な周知に努めてまいります。 


【 再質問 】


〇野村淳一議員

 再質問させていただきます。 最初に、地域医療についてです。 

 地域医療連携推進法人についてですが、正直に言ってあまり分からなかったです。

 今、道内では連携推進法人が2か所あるのですね。道立江差病院を中心にした南檜山、それから、名寄市立総合病院を中心とした上川北部です。 

 私は、先日、名寄市立総合病院に出向いて連携推進法人とは何なのだということでお話を伺ってきました。いろいろとお話を伺ったのですが、だんだん人口が減っていく中で、単体の病院や一つのまちだけではなく、この地域としてどうやって医療資源を維持し、どうやって連携し、機能の分担をしていくか、そういうようなことを考えていかなければならない時期に来ているのだということでした。確かに、そういうことなのだろうなと思っております。 

 したがって、紋別市としても広域紋別病院を中心に連携推進法人ができること自体は評価をしたいですし、期待もしたいと思っているのですが、地域医療構想の達成も一つの目的になっているのです。 

 しかし、2015年でしたか、地域医療構想ができたときには、遠紋地域全体において400床以上の病床を減らすことが一つの目標になっていたのです。

 非常に乱暴だなと当時は思いました。ですから、連携推進法人が場合によっては地域医療構想の旗振り役になってしまうのではないのかという懸念を持っています。

 その辺についてはどう考えたらいいでしょうか。 


〇長谷川哲也広域病院連携推進室参事

 お答えいたします。地域医療連携推進法人がこの地域で設立される大きな目的ですが、今、地域の各医療機関等がどんどん疲弊し、病床数も少なくなっていると先ほどの答弁でもありましたけれども、これ以上、この地域の医療資源を減らさないように、今ある資源の中、皆さんで力を合わせて何とか維持していきましょうということです。

 ですから、それをもって統合しましょう、再編しましょうという意図はございません。 


〇野村淳一議員 

 実際はこれからということなので、期待をしつつ、注目したいと思っています。 

 それから、広域紋別病院の経営強化プランについてです。 

 今お話を伺っていますと、2025年度で道の基金がなくなるのですね。今だって7億円や8億円を基金から投入し、何とか維持してきたのだろうと思うのですが、それがなくなるということになると極めて厳しい経営状況になるのだろうと思います。

 でも、経営強化プランではそうであったとしても広域紋別病院を維持していけるとなっているのですよね。そのことを確認させてください。 


〇長谷川哲也広域病院連携推進室参事

 あくまで、広域紋別病院の経営ということではないのですが、広域紋別病院が公表している数値でお答えをさせていただきます。 

 先ほど言ったように、プランには5年間の経営の収支状況を載せてございますけれども、病床機能について、急性期病床から回復期病床に転換し、急性期病床だけでは拾い切れなかった患者を拾っていくということです。

 かつ、今は113床の稼動病床で運営しておりますけれども、将来的には150床の8割程度を目指して収益を上げていくという計画になってございまして、広域病院が発表しているものでは、今後、繰入金がなくても収支の黒字化を目指せる計画になっております。 


〇野村淳一議員 

 簡単な話ではないと思いますよ。今回、150のベッドのうち、48床を当面は地域包括ケア病床に移行し、将来的には回復期病床へ転換するということで、極めて大胆な病床転換なのですよ。150床の急性期病床から始まったものから50床減らすとなるわけです。

 でも、そうでもしなければ経営ができないということです。これは地域の医療状況に合わせてということでして、それ自体はそうなのだろうなと思いますし、一定の評価をしたいと思っています。

 ただ、そうするにもどうしても医療従事者が必要です。特に、医師をしっかり確保しなければ、医療を維持するのは簡単ではありません。 

 現在、広域紋別病院の常勤医師は何人いらっしゃいますか。そして、増えるのか、減るのか、その見通しについて、分かる範囲でいいので、教えてください。 


〇長谷川哲也広域病院連携推進室参事

 お答えいたします。広域紋別病院の医師数でございますけれども、令和5年4月時点では14名でございます。

 中でも、内科の医師が非常に少ない状況でして、重点的に招聘活動を続けております。そういう状況でございますので、今、ここで医師が何人になりますというお答えはちょっとしづらいところです。 


〇野村淳一議員 

 本当に努力されていると思いますから、そのことにとやかく言うつもりはありませんが、なかなか厳しいのかなと思っています。 

 その上でお聞きします。先ほどは地域枠のことをお聞きしました。市長の答弁では、今まではなかったのですが、今年、地域枠のお医者さん1人が広域紋別病院に派遣されているということでした。

 そういう意味でいえば、地域枠の医師とはなりますが、お医者さんが1人増えたと思ってよろしいのですか。 


〇長谷川哲也広域病院連携推進室参事

 お答えいたします。広域病院の医師数についてですが、小児科医1名が地域枠で派遣となっていると承知しております。

 小児科については、従来、3名体制で旭川医大から派遣をされておりまして、今回もその人数での配属ということで、残念ながら人数が増えたということではございません。


〇野村淳一議員 

 結果的には旭医大から派遣されてきた3人のお医者さんがたまたま地域枠だったということで、残念ながら増えていないということですね。 

 市長も北海道の地域枠の協議会の役員か何かをやられているのではなかったですか。市長も積極的な働きかけはされていると思うのですが、毎年、例えば、札医大から15人、旭医大から15人、北大から5人など、もう15年がたっているわけですから、そういう形で道内の医師数はどんどん増えてきているはずなのです。

 でも、医師が派遣されな いのはどういうことなのか、また、どのような働きかけをされているのか、市長から答弁できませんか。 


〇宮川良一市長 

 医局からの派遣になりますけれども、やはり、医局で医師がなかなか確保されておらず、また、地域枠医師も医局からの派遣人数の中に入ってしまっていまして、これは医対協でも不満として申し上げているのですが、そうなっているのが現実です。 


〇野村淳一議員 

 この地域枠という制度ができたとき、私たちも非常に期待をしたものです。医者が本当に増えるのではないかと思っていましたが、なかなかそうはならないということで、非常に歯がゆい思いがあります。強力な取組をぜひお願いした いと思います。 

 紋別の医療の状況ですが、療養病床がどんどん減っていることに非常に不安を持ちます。

 昨日もその議論がありました。地域密着の小規模特養の問題も議論がありました。これもなかなか進んでいないということで、厳しいかなという思いがありました。でも、何とか頑張りたいということなので、期待をします。 

 それから、一部、在宅の診療で民間もということでしたが、市の直接的で強力な支援をお願いしたいことを要望しておきます。 

 また、地元からの医師の奨学金については、ほかのまちの動きを注視したいということでしたので、ぜひ積極的な検討をお願いしたいと思います。答弁は要りません。 

 

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