2019年9月14日土曜日

「総合戦略」は「総合計画」になりうるか~2019年第2回定例市議会一般質問①

〇野村淳一議員

 紋別市総合戦略についてであります。
 
 平成27年度に策定された紋別市総合戦略は、今年度が計画年度の最終年度となります。

 総合戦略は、国のまち・ひと・しごと創生法に基づいて策定されたもので、人口減少対策と地域経済活性化への方向性と目標を明らかにしたものです。

 市長は、この総合戦略をして紋別市総合計画にかわる本市の政策展開の中心的な計画と位置づけるとしてきました。

 そこで、2点お聞きします。

 1つは、今年度で終了となる現計画の現在におけるKPIの達成度とそれらへの評価についてどのようにお考えか、概要で結構ですのでお知らせください。

 2つには、2期目となる来年度からの総合戦略の策定に向け、どのような考え方でどのように取り組まれるのかお聞かせください。

【 答弁 】

〇宮川良一市長

 初めに、紋別市総合戦略についてであります。
 
 1点目のKPIの達成度と評価につきましては、本市の総合戦略は4つの基本目標を掲げ、合計で35項目のKPIを設定しております。

 平成29年度末時点の検証結果につきましては、全35項目のうち、既に目標値を達成している項目は2項目5.7%、目標値の8割以上達成している項目は9項目25.7%、目標値の5割以上達成している項目は15項目42.9%、合計26項目74.3%が当初目標の5割以上を達成しております。

 このことから、各施策はおおむね計画どおり進捗しており、着実に人口減少対策や地域経済活性化施策を進めてお
ります。

 2点目の第2期総合戦略の策定に向けての考え方と取り組みにつきましては、平成30年第4回定例会において青木議員のご質問にお答えいたしましたとおり、国や北海道が策定する第2期総合戦略の方向性を踏まえ、本市においても本年度中の第2期総合戦略の策定に向けて進めてまいります。

【 再質問 】

〇野村淳一議員

 ありがとうございました。じゃ、何点か再質問させていただきますので。

 最初に、総合戦略なんですが、KPIの到達度、今お示しをいただきました。これをどう見るかと、いろいろ判断がされると思いますが、この総合戦略は、人口減少をどう食いとめるかということが最大のかなめとしてつくられたものだと思います。

 人口ビジョンが同時につくられて、ここでは2万3,000人という人口を2060年まで維持するというのが人口ビジョンの目標とされてきました。

 しかし、現在もう2万2,000人を切っているのかなあというふうに思います。

 この総合戦略をつくっても、5年間ですから、できること、できないことは極めて限られてると私も思いますよ。

 5年間で何ができるんだという思いもどっかであるんです。でも、つくらなきゃならないからつくってんだろうと思いますけども。

 それはそれとして、きのう同じような議論が加藤議員からなされたときに、いわゆる社会減の問題のときに、人口の問題で交流人口が相当増えているので、それを定住人口に当てはめると2万4,000人になるとかならんとか、そんな話がちらっとされていたんですね。私、初めて聞く概念なので、もう一回説明してもらえますか。

○菅原雅志企画調整課参事官
 
 お答えいたします。
 野村議員のおっしゃったとおり、今の住基上の人口では2万2,000人を切っている状況でございます。

 何回か議会でも答弁させていただいてるところなんですけども、ここの定住人口を補う移住施策だとかを進めているところではあるんですが、それでもなかなか当初目標の23,000人には達しないというところが事実でございます。

 そこで、ご質問であった交流人口のほうの考え方なんですが、観光庁の資料に基づきまして、定住人口1人当たりの年間消費額、これを124万円というふうに推計してございます。

 この推計値に基づきまして、例えば外国人の観光客でございましたら、全国平均をとってございますけども48人、紋別に1泊しましたら48人泊ですね、しましたら1人というような換算で推計値をはかってございます。

 同じく国内の観光客につきましては56人、56人が宿泊、56人泊しましたら定住人口1人当たりというふうな形のカウントをとりまして、観光の入込客数、宿泊客数ですね、そういった部分だとか、おためし暮らしを利用されている方の、実
際には本格移住には至ってないんですけども、そこで使われてる利用日数で割り返しまして、交流人口の部分を定住人口換算にかえさせていただいているということでございます。
以上でございます。

○野村淳一議員
 
 今の考え方、全くわからないわけじゃないんですが、この数字って、これからもよく出てきます?。

 私さっき言ったように、人口ビジョンも2万3,000人2060年までというのが目標ですよ。それ、かわってないですよね。

 今の交流人口を人口に合わせたら、人口ビジョンの数字を超えてんじゃないかという話にはならないですね、現実は人口減っているわけだから。そういう認識でいいですね。

○富樫豪志企画調整課長
 
 お答えいたします。
 定住人口のみに着眼した場合については、議員がおっしゃられるとおり人口は減っているという認識で間違いないと思います。

 ただ、この地域の経済的な疲弊の状況をどのようにクリアしていくのかという視点に立って総合戦略の各施策を展開しようとしております。

 その意味で地域経済の活性化を目指していく上で、定住人口のみならず交流人口の視点も取り入れながら、地域の活性化を図っていきたいという視点で総合戦略は施策を取りまとめております。
 以上でございます。

○野村淳一議員

 考え方はわかるんです。いわゆる経済効果という意味ではそういうことになりますね。

 しかし、例えば実際の紋別の社会を、経済を維持していく、将来的に維持していくという意味では人口が増えないと、さっきの議論じゃないけども、子供の子育てにしても児童館の問題にしたってそういう人材がいないのは事実なんだから。

 経済的な問題ではそうですよ。でも、やっぱり今の人口をどう維持していくのか、それをどう活性化させるかというのは重要な課題だというふうに思うんです。

 もちろん私もこの外国人の就労の問題や交流人口を否定するつもりはないんだけど、だけど現実は先ほど橘議員も言ってたんだけど、この紋別に住んでいる人たちが安心して住んでいける、子供を産み育て、そしてこのまちで働き、そし
てさらに子供を産んで、そしてここで老いて亡くなっていく。

 こういうまちづくりをどうつくるかということが総合戦略のかなめなんでね。何かそういう違う数字が出てきたら、そこでいいんじゃないかという話になっちゃってるもんで。

 それも事実だから悪くはないんだけど。やっぱり基本はそこにあるんだというふうに思いますので、それをぜひ詰めていただきたいと思うんですが。

 さらにもう一つ、今度総合戦略の位置づけについてもう一回聞きたいんです、私。

 市長は、この総合戦略を総合計画にかわるものと言ったかどうかよく覚えてないんですけど、政策的な中心になると言って、現実問題、総合計画第6期をつくるのをやめたんですよ。

 今度つくる第2期のこの総合戦略もそういう位置づけ、いわゆる総合計画に匹敵するものと位置づけでつくられるんでしょうか。教えてください。

○富樫豪志企画調整課長

 お答えいたします。
 平成29年の第4回定例会でもお答えさせていただいてございますが、総合戦略は本市の各計画の中心的な位置づけとして、各個別計画と相互に補完し合いながら、連携し合いながら施策全般に対応していくというような、そういう位置づけとさせていただいております。

 第2期総合戦略におきましても、その考え方を継続してまいりたいというふうに考えております。

○野村淳一議員

 言葉どおり受けとめてもよくわからんのです、私は。総合計画というのは、文字どおり紋別の10年間を長期のまちづくりを示した、まさに根を張った幹ですよ。

 その幹をしっかりつくって、そこでそれぞれの個別計画が枝となって葉をつけていくんです。その幹がしっかりしてその幹のまちづくりに応じて個別計画をつくってきた、これが我々の今までのまちづくりの基本だったんじゃないんですか。

 それで、今総合戦略は意味がわからない、その幹なんですか。そういう意味なの、中心的政策の何だかこんだかと。もうちょっとはっきりさせてくれないかな。紋別のまちづくりの基本はどこにあるんだって。もう一回教えてください。

○富樫豪志企画調整課長

 お答えいたします。
 幹がどこにあるかということなんでございますが、第5次総合計画の基本構想という部分については、今も我々は根幹としてそれを位置づけてございます。

 なぜ第6次計画を策定しないのかというところにつなが
っていくというふうにも思いますけれども、第5次総合計画の中でうたわれている基本構想という部分を今変える必要があるのだろうか、今でも十分に今の現状に適応できる基本構想で位置づけられるというふうに認識しております。

 したがいまして、第5次総合計画の基本構想はそのまま継続させていただき、それよりも、今、何を早急に対応していかなければならないのかという部分がございまして、具体的な実践的な計画である総合戦略、第2期総合戦略を策定していくことを優先していくというような考え方に立っているものでございます。

 したがいまして、はっきりしてくれということなんですが、基本的な方針、考え方というのは第5次総合計画の基本構想が、なお位置づけられているということでご理解をいただければというふうに思います。

○野村淳一議員

 今の答弁でいいんですか。基本構想が今も生きてる、誰が判断してるんですか。この10年間、第5次でみんな頑張ってやってきたんですよ。

 市民がそれをつくり上げてきた、基本構想。この基本構想がさらに10年間いけるのかいけないのか、変えるのか変えないのか、拡充するのかしないのか、どこに強弱をつけるのか、みんなで議論しようじゃないですか。

 10年間、社会構想は大きく変わってますよ。これからも変わるんですよ。だから基本構想は同じだなんて判断は誰がやってんですか、これ。

 市民でつくったんだから市民でもう一回考えようじゃないですか、基本構想から。それがまちづくりじゃないんでか。
どうですか。

○議長(柴田 央君) 休憩します。答弁調整してください。
―――――――――
午後1時22分 休憩
午後1時23分 再開
―――――――――
○議長(柴田 央君) 再開します。答弁を求めます。

○富樫豪志企画調整課長

 お答えをいたします。
 総合計画の基本構想の話を先ほどさせていただいておりますが、総合計画をつくらないという部分は、決して軽視しているからつくらないということではないということをまずご理解いただきたいのと、それと第5次総合計画を見ても、今実際にこの基本構想を変える必要があるのかどうかということについては、現時点では新たにつくる必要性はないのではないかということ。

 それよりも今の時点で必要なことは、今現実的に人口減少という大きな課題に直面していて、消滅自治体ですとか、そういったことも非常に強く声高に言われているわけですけれども、地域、本当に大変な状況になってるこの状況の中で、より実践的な計画に時間と労力をかけて、この状況を打開していく、次の施策へとつなげていくということが重要ではないのかという認識に立ってございます。
 以上でございます。

○野村淳一議員

 同じこと言ってんだよ。市長、どうですか。私は、基本構想は同じだと言うけどちゃんとそれを見直す、みんなで議論する、必要なら書きかえる、同じなら同じでもいいよ。

 でも、それはやっぱり10年たったんだから、社会状況もかわってきてるんです。基本構想を含めて見直す、総合計画は必要性あると思います。市長、いかがですか。

○宮川良一市長

 今の富樫企画調整課長の答弁を繰り返す形になると思いますけれども、国も基本計画の義務をなくしました。

 地方において、今の時代の流れの中で基本計画、もちろん先ほど富樫課長が申し上げたように、第5次総合計画の理念というのは間違いなく継承しながら、今まさに進めなければならない人口減少対策を含めてそれに伴う産業構造も含めて、それを守っていくためにどうしたらいいかということで、国を含めて総合戦略、国、道、そして地域がつくり上げながら今進めてございます。

 先ほどの人口問題の関係につきましても、当初からこの総合戦略をつくるときに人口換算として2万3,000人を守っていくためには、到底この定住人口を維持するというのは非常に厳しいという認識を持っておりまして、その中でこの10年来、当市としては先進的に交流人口の拡大によってこれをカバーをしていこうと。

 そういう形で各種事業を進めてきているところでございます。それは、その都度議会の中でも議論をされてきているというふうに思っております。

 そういう中で、今、総合戦略を中心に、柔軟に、そして迅速にスピード感を持っていろんなものに対応をしていくということが何より重要であるという考え方で、私どもは進めさせていただいているということをご理解をいただきたいと思います。

○野村淳一議員

 私は納得してるわけではありません。紋別の総合計画というのは、やっぱりつくるべきだ、あるべきだというふうに私は思っています。

 それでこの総合戦略なんです。紋別の政策の中心的な柱に
なるんですね、そういう位置づけですね。幹になるかならないか余りはっきり言わないけども。

 それで、それならそれにふさわしい策定作業が私は必要だと思うんですが、この総合戦略をつくるに当たっての市民の
策定委員会というんでしょうか、市民会議というんでしょうか。それはどんなメンバーで構成されてるんですか。

○富樫豪志企画調整課長

 お答えいたします。
 市民検討会議の構成関係ですけれども、産業部門、それから金融関係者、教育関係者、労働関係者、さらに市民の代表というような形で公募されている方で10名程度で構成されてございます。

○野村淳一議員

 これは今言ったのが産官学金労と言われているものです。これは国が示している総合戦略をつくる会議のメンバーとして示されているものです。

 私ね、今課長が言ったように、市長も言ったように、紋別市の中心的なこれからの戦略の柱になるんだと言うんであれば、私はもっともっと市民の声を反映させるようなメンバーにすべきですよね。

 残念ながらここには医療も福祉も入ってないんですよ。産業と言ったってここには酪農の関係もあるいは建設も土木も入ってないんですよ。教育と言ったってこれは学は学識経験者というような学ですよ。本質の意味で教育は入ってないんですよ。

 だけども総合戦略は全部に渡ってるんですよ。確かに国は産官学金労でいいって言ってんだけど、紋別市は総合計画をつくらないでこれを柱にするって言って位置づけてる以上、それにふさわしい取り組み方、メンバーを集めて市民のあらゆる分野の声を集めた総合的な戦略をつくるべきじゃないんでしょうか。いかがですか。

○富樫豪志企画調整課長

 お答えいたします。

 総合戦略の主たる目的が、議員もご存じのとおり、先ほどおっしゃられたとおり、地域経済の活性化、人口減少対策という部分を主たる計画範囲として策定されているということなものですから、その部分を中心に確かにうたわれております。

 そういった部分では、総合計画の政策範囲とは確かに異なっているというふうに言えると思います。

 ただ、先ほども申し上げましたとおり、総合戦略の中で補いきれない部分については、他の個別計画、あるいは地域福祉計画など、あるいは地域防災計画など、そういった部分と相互に補完し合いながら今後の政策を展開していくという考え方に立ってございますので、そういった部分の中で総合
戦略は市民検討会議のメンバーを構成し、議論を重ねているということでございます。

○野村淳一議員

 こればっかりやっている時間ないんでね。

 人口減少をどう食いとめるか、最大のポイントですね、これは。今おっしゃったとおりですよ。

 そこには自然増と社会増という2つのキーワードがありますね。

 自然増というのは言うまでもなく子供を産む環境をどうつくるかです。これは、保育の問題や教育の問題、子育て環境、全部含まれるんですよ。

 社会増というのは、これは紋別は社会減になってるけども、生まれる命よりも亡くなる命が多い。ここには医療や介護の問題がありますね。それから、転入よりも転出が多い。ここには雇用の問題、経済の問題にかかわるんですよ。

 全部にかかわるんですよ、この総合戦略って。だから言っているんですよ。だから幹になる、幹って言わなくても中心になるって言ってるんでしょ。

 だから、それにふさわしいメンバーで、みんなでやりましょうって言ってんです。いかがですか。

○富樫豪志企画調整課長

 お答えいたします。
 先月5月23日に、第2期総合戦略の策定に向けた有識者会議というものが開催されておりまして、第2期総合戦略の策定に向けた中間報告というものが公表されてございます。

 その中でも、今議員がおっしゃられたとおり人手不足の問題、それから子育て、出生率の低下の問題。こういった部分は確かに進展がなかなか難しいというようなことで課題として位置づけられていて、今後につきましても息の長い取り組みが必要だというような報告がなされてございます。

 今おっしゃられたとおり人手不足の問題、あるいは少子化の問題という部分については今後の地域の発展に大切な部分で、そこは重点的に取り組まなければならないという部分については有識者会議の報告の中にもあるとおり我々も同じ考え方に立ってございます。

 総合戦略の策定に向けては、そういった部分も当然ながら重視しながら施策内容の検討を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○野村淳一議員

 国が言っている産官学金労にこだわらないでね、きちんとした中心的な総合戦略をつくっていただきたいと思います。

 私は要望しときますからね。これからもちゃんと見ていきたいと思います。


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