2013年6月20日木曜日

「世界が食べられなくなる日」

 先日、ドキュメンタリー映画「世界が食べられなくなる日」を見てきました。

 そこに描かれているのは“遺伝子組み換え”と“原子力”の暴走するテクノロジーの世界です。

 これが現実だとしたら、いや現実だからこそ、我々は直視しなければならないのだと強く感じました。

 この先にどんな世界が待っているのか? どんな世界を次の世代に残せるのか? その問いを、突きつけられた思いがしました。



 2009年、フランスの生物学者セラリーニ教授によって、ある動物実験が極秘に開始されました。

 それは、ラットに遺伝子組み換えのトウモロコシを2年間にわたって与え続けるというものでした。

 映画は、その経過を映し続けます。

 やがてそこには、体中にボコボコと腫瘍ができたラットが映し出されます。

 体の25%もの巨大な腫瘍もあります。あまりに痛々しく、ショッキングな映像です。

 現在、遺伝子組み換え食品の安全基準は、ラットに3か月与え続けても問題がないかどうかで判断されています。

 しかし、セラリーニ教授の実験によると、異常が出るのは4か月目からでした。

 遺伝子組み換え食品の安全基準のいい加減さが、事実を持って証明された映像です。

 実は日本は遺伝子組み換え食品の輸入大国です。
 
 年間約1600万トンのトウモロコシを輸入していますが、そのうちの9割がアメリカ産で、88%が遺伝子組み換え品種だと言います(2012年米国農務省調べ)。

 それが主に家畜の飼料をはじめ、食用油、コンスターチなどの加工食品の原料に使われています。

 また、大豆も同じような状況で、遺伝子組み換え食品の表示義務があるのは、豆腐、納豆、味噌の一部だけで、あとはそれとは知らずに口にしているのです。

 それが、TPP参加によって、さらに大量にアメリカから輸入されることは間違いありません。

 そして映画は、福島第一原発事故をも描き出します。

 セラリーニ教授は指摘します。

 「遺伝子組み換えと原子力。この命を脅かす二つのテクノロジーには共通点がある。

 それは後戻りできないこと、すでに世界中に拡散していること、そして体内に蓄積されやすいこと」だとー。

 「我々はモルモット扱いをされているようだ」と語った福島の農民の言葉が、胸に突き刺さります。

 巨大企業の利益ばかりが優先され、人の命が軽んじられる現実に、恐ろしさと同時に怒りを感じ得ずにはいられません。

 そして、事実を知ることの大切さを、あらためて感じさせてくれた映画でもありました。

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