2014年6月27日金曜日

2014年第1回定例市議会報告①―介護保険について

○野村淳一議員
 介護保険について質問します。

 安倍内閣は今国会に地域医療・介護総合確保推進法案を提出しました。この法案には地域での医療と介護の総合的な確保を推進するとうたいながら、患者や利用者に大幅なサービス利用を制限し、負担を強いる内容が次々に盛り込まれています。

 安心して医療や介護を受けて暮らすことを願う高齢者と家族の切実な思いに逆らうものです。

 中でも介護保険法改定では、2000年に制度発足以来の大改悪がめじろ押しです。

 要支援1・2の高齢者が利用する訪問介護と通所介護を国の基準とする介護保険サービスの対象から切り離し、市町村ごとの地域支援事業に移すとしていることは、どこでも平等に介護サービスを受けられる国民の権利を覆すものです。

 訪問、通所介護が市町村事業になれば、自治体の財政状況などに左右され、今と同じサービスを受けられない地域が出ます。住んでいる地域によって格差が生まれることは、介護保険への不信を高める結果しか生みません。

 また、年金収入280万円以上の高齢者などのサービス利用料を1割から2割負担に引き上げるとしており、対象者は高齢者の5人に1人に上ります。

 医療は1割負担なのに介護は2割負担という人が生まれることも不条理です。

 病気やけがが治れば基本的に治療が終わる医療と違い、介護はほぼ一生続きます。負担は計り知れません。

 年金が目減りする中で負担を増やせば、必要なサービス利用を減らさざるを得ない人が出てくるのは必至です。

 さらに、特別養護老人ホームの入所を要介護3以上に限定することは、入所を待ち続けている高齢者と家族にとってあまりに苛酷です。

 そこでお聞きします。

 今私が述べた要支援の介護サービスからの切り離し、介護利用料の引き上げ、特別養護老人ホームの入所制限について、さきの議会でも一定議論されておりましたが、改めてその影響と紋別市における対応についてお聞きします。

 この法律の狙いは、軽度者の利用を削減、抑制して、公的介護保険にかかわるお金を抑え込むことにあります。

 しかし、サービスから締め出された軽度者は逆に重度化し、公的費用をさらに膨張させるでしょう。

 目先の費用抑制による改悪は、制度の将来をゆすがすものになるのものです。

 地方自治体にとっても、新たにボランティアやNPO法人の組織化や事務量の増大、財政措置の不透明さや広がる格差など、不安や懸念がつきまといます。

 消費税が上がる一方で、高齢者の利益と安心は切り捨てられるばかりです。到底、認められない改悪案だと考えます。

 これらの市長の見解をお尋ねするとともに、国に対し法案の撤回を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 市政執行方針の中で、介護保険事業の平成26年度予算について、介護給付費準備基金の残高が減少し、収支がまかなえない見込みから、道の財政安定化基金から2610万4000円を借り入れることで収支の均衡を図ったと述べられました。

 そこで、介護保険事業特別会計の収支が賄えない、いわゆる赤字会計となった理由と背景についてお尋ねします。また、今年度の収支の見通しについてもお聞きします。

 当然、道の財政安定化基金からの借り入れは介護保険料に跳ね返ってきます。

 そして、今年度は第6期の介護保険事業計画の策定年でもあり、新しい介護保険料が決まります。

 特に今年は、先に述べたように大幅な制度の改定が待っており、それだけに住民や利用者の声とニーズを反映した、腰を据えた議論が求められます。

 そこでまず、介護保険事業計画の策定にあたっての考え方とスケジュールをお聞きします。

 その中でも、特に特別養護老人ホームの待機者を減らすための増床についての考え方と見通し、ますます増えるであろう認知症への対策強化、介護給付費の削減にもつながる介護予防事業の充実について、それぞれどのように位置づけし、今後の紋別の介護保険事業を展開しようと考えているのかもお尋ねするものです。

 その上で、新しい介護保険料についての見通しと考え方をお聞きします。

 同時に、事業計画の策定にあたっては、介護現場の声を十分に反映させることが重要であり、そのための仕組みづくりが必要だと考えます。

 介護現場では日々様々な状況に直面し、日々様々なケースに対応しています。

 地域ケアシステムを構築するためにも、これらの現状をしっかり把握することが大切であり、それらを計画に反映してこそ紋別ならではの市民本位の計画ができるのではないでしょうか。

 設置されるであろう事業計画策定委員会とあわせ、介護現場による協議の場を設定すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○宮川良一市長
 介護保険についてであります。
 1点目の介護保険制度改正による影響につきましては、初めに要支援の移行対象者は平成25年度12月審査分において訪問介護は要支援1が35人、要支援2が75人、合計110人、通所介護は要支援1が24人、要支援2が28人、合計で52人となっております。

 次に、自己負担額の引き上げ対象者は、平成26年度1月末日現在で介護認定者において83人となっております。

 次に、特別養護老人ホームの入所制限を受ける対象者は、平成26年度1月末日現在で要介護1が5人、要介護2が12人となっておりますが、平成27年4月時点で既に入所している方は対象外であり、また4月以降においても要介護1、要介護2も方でも一定の条件を満たしていれば例外的に入所が可能となる予定であります。

 次に、改正案に対する市の考え方は、平成18年以来の大幅な見直しとなっておりますが、これは今後高齢化が一段と加速する中で、介護保険事業を将来にわたり持続的に安定して運営するための財源確保には限りがあるため今回の改正になったものと認識しておりますが、介護保険料の上昇を抑制するために低所得者への公費投入等も予定しているところであり、一定の評価をしております。

 一方、地域支援事業の見直しなどによりボランティアの組織化、多様なサービス体制の確保等が課題でありますが、今後国で示されるガイドライン等を参考に策定委員会において検討してまいりたいと考えております。

 2点目の介護保険事業特別会計の赤字の理由と背景につきましては、認定者数及び受給者などが当初計画の見込みより増加したことに伴い、特に居宅介護サービス費、地域密着型サービス費の給付費が全体的に伸び、3年間で介護給付費において1億247万5000円増加し、平成26年度予算において第1号保険料必要見込額が3億4507万4000円に対して第1号保険料収入見込額が2億9465万3000円であり、5105万1000円が不足する見込みとなります。

 3点目の第6期事業計画と介護保険料の見通しにつきましては、初めに事業計画は平成37年を見据えた地域包括ケアシステムの構築と介護保険制度の見直しが基本であり、特に地域支援事業の内容等について、地域の実情を把握し、これを事業計画に反映させるため、策定委員会における意見等を十分に踏まえてまいりたいと考えております。

 次に、スケジュールは、国、道から示される第6期事業計画の基本方針を踏まえ、地域の課題や高齢者のニーズを的確に把握するためニーズ調査などを実施するとともに、第6期事業計画における施策やサービス量の見込みを集計、分析し、第6期事業計画のサービス給付見込み等の推計をいたします。さらに、目標量達成のための重点的事項を検討するとともに、策定委員会の意見をもとに適時修正し、計画素案をまとめ、第6期介護保険事業計画、高齢者福祉計画を策定してまいります。

 次に、特別養護老人ホームの増床、認知症への対策強化、介護予防事業の充実は、策定委員会において地域の実情等を踏まえ、効果的、効率的に第6期事業計画に反映してまいりたいと考えております。

 次に、新しい介護保険料の見通しは、策定委員会において事業計画の内容について議論を重ね、介護保険料を算出する必要があることから、現時点では困難であることをご理解願います。

 次に、策定委員会とあわせた協議の場の設置は、策定委員会メンバーの中に在宅サービス、施設サービスなどの介護サービス関係者を構成委員と考えており、委員会において介護現場の実情を把握し、事業計画の策定に当たり、意見等を反映することに努めてまいりたいと考えております。

○野村淳一議員
 介護保険の問題です。
 要支援1・2といわれる方々が平成29年度から完全に地域支援事業に移行されます。

 ご答弁でありましたように、要支援1・2で訪問介護のサービスを受けているのは110人、通所介護で52人というふうに言われました。この方々が今度は介護保険サービスから市町村事業に移行することになります。

 今は要支援1・2といっても介護保険事業所がちゃんとヘルパーさんやデイサービスに対応し、国の基準のもとでそれが運用されています。

 それが地域支援事業になると、それを誰がやるのかといったら、国の話を見ればNPOだとかボランティアさんだとかということになってしまう。これで本当に今までのサービスを安定的に受けることができるのか。その保証はどこにもありません。

 さらに、介護保険の利用料ですが、今の市長の答弁でお年寄りの83人が利用料が2倍になるという話です。これも非常に大きな問題です。

 ここには要支援の方々を市町村事業に移さなければならない特別の理由は何もありません。高齢者の方々がそれで不便を強いられることは何もないんです。

 そこにある理由は何かと言ったら、何のことはない、市町村に丸投げし、国の費用を減らしたいがための話です。

 それでサービスが向上するならいいですよ。その見通しだってないじゃないですか。

 あるいは財政的な負担がどうなるのか、何の見通しもないじゃないですか。

 これはやっぱり介護の後退です。これは許すわけにはいかないと思いますよ。

 国はさかんに地域包括システムだとか言っていますけど、こんなものは絵に描いた餅です。自治体でこんなことができるわけがない。本当にそう思いますよ。

 やっぱりこの問題は、あるのはお年寄りのサービスの抑制と負担増しかないんです。これはやっぱり私は、お年寄りの安心と安全、そして介護、生きがいというものを守るために、国に対してしっかり言うべきだ、市町村としても。これは間違っていると言うべきだと私は改めて思います。いかがですか。

○佐藤 宗 介護保険課長
 それではお答えします。
 確かに今議員おっしゃったような部分もございますけれども、しかし、明らかにもう今後高齢化が一段と進むと。それで、いま地域包括ケアシステムの部分の話があったんですけれども、これについては絵に描いた餅に終わらせてはいけないという部分がございます。それで、今までは介護と予防とこの2つだけであったんですけども、議員ご承知のように平成18年の改正で予防重視ということで、ただ実際に高齢化が一段と進むというだけでは、高齢者の中には自分で自分のことをできる方もいらっしゃれば、認知症の進む方、あるいは医療を受けなければならない方、種種雑多の中で介護と予防、住まい、生活支援等々を今からつくらなければならないという考えで、第5期の計画の中で地域包括ケアシステムが出てきたという部分がございます。

 それで、要支援1・2の中の訪問介護と通所介護については、平成29年度末までに地域支援事業、今の地域支援事業を発展的な部分で移行させるという部分ですけども、この中には一応既存の訪問介護の要素のほかNPOとか民間企業等の中の買い物だとか見守り等の訪問型サービスという言い方に変わっています。通所についても、機能訓練等を含めて、今の通所介護の事業所の中のサービスのほかに口腔ケアとか、いわゆる今までやっていなかった介護予防事業の要素を組み入れた通所型サービスという型に変えています。

 確かに、実際に答弁で申しましたように、NPOとボランティアの体制づくり、あるいはNPOの立ち上げ等々課題がございます。

 それで、実際に27年度、第6期事業計画の中で、今の紋別市の状況を鑑みてどうなるかという部分。ただ、最終的にそういう形の中で、いかにそれに近づけたいということでやっていきたいというふうに考えています。

○野村淳一議員
 ただ私は、例えば地域支援事業というのは、全体の介護給付費の中の3%ともう枠が決まっちゃっているんですよ。その枠の中でやらなきゃならないんです。

 今度は要支援1・2が地域支援事業になったら到底3%ですまないので、これを7%、8%にするんだという話は聞くことは聞きますよ。

 しかし、もう初めから予算が、枠が決まっていて、そして対象となるお年寄りはどんどん増えてきて、その中で今言ったような豊かな介護をやろうと思ったら当然限界があるんだと。もともとそういう枠の中の話なんですよ、これ。私はやっぱり期待できないと思います。

 地域包括ケアシステムといっても、もう時間がないからだけど、その介護だ、予防だ、そして医療という問題もかかわってきて本当にサイクルが回るんですよ。

 この医療という問題は簡単じゃないんで、地域では。

 だから私は簡単な問題ではないという話をしているし、だからそれは絵に描いた餅にしてはならないんだけれど、だけど私はこの3年、5年で片が付く話ではないと思っています。

 その上で、特別養護老人ホームの増床について、今後の計画にはそに増床をまず入れるのかどうか教えてください。

 それから、介護予防についてです。これは介護給付費を抑えるためにも大変重要な取り組みです。この介護予防について、非常に重視すべきと思いますが、それについての考え方。この2点教えてください。

○佐藤 宗 介護保険課長
 まず、1点目の特養の増床の問題につきましては、第5期において5床増床しました。それで、当然特養の待機者の部分がございますので、第6期につきましては、それ以外のいわゆる特養の部分を含めて、整備状況の中で、策定員会の中で考えていきたいということでご理解願いたいと思います。

 次に、介護予防の部分につきましては、議員ご承知のように、今一次予防、二次予防事業がございます。それを第6期事業計画においては、その区分をまずなくすと。いわゆる一般高齢者と、そうじゃない部分を残して、基本的には今までの介護予防事業を含めて新たに今度リハビリを含めた部分を兼ね備えると。それで、今までは介護予防事業、任意事業、包括的支援事業と3つの事業をやっていたんですけど、おそらくそれらを全部含めた形の一つの部分の中のあります。当然、その中には認知症の対策部分、あるいは先ほど言っておられた介護と医療の連携の強化、それらを総体的に地域支援事業の中でやっていくというふうに理解しております。
  

 

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