紋別市の港湾、埋立地に建設真っ最中の住友林業を中心とした木質バイオマス発電所。5万キロワットという全国でも屈指の規模となる発電所です。
建設中の発電所。下はチップ工場。
燃料となる林地残材・間伐材は紋別市周辺75キロメートル圏内から年21~22万トンを調達する計画で、その他海外からヤシ殻や石炭年4~5万トンを輸入する計画です。
総事業費は150億円。2016年末の営業開始を目指しています。
どれもこれも、再生可能エネルギー固定価格買取制度が出発点です。FITの1kwhあたり32円で採算が取れる。住友林業側は、年70億円強の売り上げが見込まれ、経常利益についても稼働初年度で7億円に達し、2025年には10億円以上になるとしています。
紋別市も、赤字の続いていた港湾埋め立て会計の穴埋めができ、上下水道使用料も増え、もちろん、雇用の拡大(といっても地元雇用は16人程度)と林業振興にもつながるとして、「紋別モデル」と銘打ち、特別の担当部署をつくり、なんやかんやと一生懸命です。
もちろん、いままで捨てられて、利用価値のなかった林地残材や間伐材が再生可能エネルギーとして活用されるのは良いことに間違いありませんし、それにより地域経済と林業振興につながるなら何も問題はありません。
でも、懸念がないわけではありません。
それを議論したのが今回の目的でした。
集まったのは、大学の先生や林業関係や環境問題の専門家、現場で伐採事業に携わっている林業従事者、マスコミ関係者など。そのぞれの分野から、次々に問題提起がなされ、議論は白熱。
私も、紋別市の取り組み状況や議会でのやりとりについて報告しました。
果たして、年間22万トンにも及ぶ林地残材・間伐材の資源が持続的にあるのか、その集荷はどうするのか、将来にわたって山の資源管理と保全、再生産はどうなるのか、などの課題が次々と。
今後とも、市民の目線で継続的に調査、分析していくことを確認しました。
私にとっても、以前から疑問に思っていた項目だっただけに勉強になったし、刺激的でした。うれしかったし、頼もしくも感じられました。
この日以降も、次々に情報がメールで入ってきています。
たとえ、林地残材・間伐材といっても、この地域の資源であることは間違いありません。それは、何より住民の利益のために活用されることが第一です。
それが、大規模発電所を稼働させるために、広範囲に材を集めることが主になれば、話は逆です。
お隣の滝上町では、地元間伐材でチップを作り、ホテルや保育所のボイラーの燃料にしてます。それは、ささやかな取り組みでも、間違いなくエネルギーの地産地消であり、住民の利益になっています。
お隣の興部町でも、酪農のまちらしく牛の糞尿を利用し、液肥づくりとメタンガスによる発電事業に取り組んでいます。これも、エネルギーの地産地消であり、地元産業の振興につなげています。
どちらも、自治体と住民による「街づくり」として取り組んでいます。地元の産業と企業を育成し、それを主役として取り組んでいるのです。
「街づくり」として、市民協働のエネルギー政策をどうつくるか。大企業による木質バイオマスの発電事業が進んでいる紋別だからこそ、重要な課題なのではないかと考えています。
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