2019年6月6日木曜日

地域医療の土台、かかりつけ医・在宅医療の拡充を~2018年第4回定例市議会一般質問①

1、地域医療について
①開業医誘致助成制度について
②在宅医療の確立について

〇野村淳一議員
 最初に、地域医療について質問いたします。
 
 これまでも私は紋別の地域医療について、広域紋別病院の医師確保を含め、数多く質問させていただきました。これは何よりも市民の健康と命を守り、誰もが住み続けられる紋別市をつくるためであり、それが行政の最重要課題だと考えてきたからです。

 紋別市内の地域医療を安定的に維持していくためには、市民のかかりつけ医の役割を担う1次医療の開業医と、比較的専門性の高い領域を含めた2次医療の広域紋別病院が連携した上で、それぞれの機能が発揮できる医療体制を構築することが必要であり、これによって市民の健康と命が守られると考えます。

 しかし、現在の市内の医療環境を見るとき、開業医の縮小と減少が続き、医師の高齢化も懸念され、将来にわたる1
次医療の継続に不安が高まっています。

 一方、広域紋別病院も1次医療と2次医療を兼ねた診療形態とならざるを得ず、医師不足と相まって医師への過重負担が心配されています。

 広域紋別病院の医師確保も困難な中、1次医療を担い、市民の日常的な診療や健康管理などを担う身近なかかりつけ医としての開業医の定着と拡充こそ、地域医療を存続させてい
くための重要なファクターだと考えます。

 その意味で、私は今年の第2回定例会で開業医誘致助成制度を取り上げ、その検討を提案しました。この間、この制度を実施している士別市と稚内市を視察してまいりました。

 士別市では、開業医誘致助成制度を活用して、内科のクリニックが2つと来年にはもう1つ整形外科のクリニックが開院するといいます。

 稚内市でも内科が2つ、整形外科が1つ、小児科が1つ、耳鼻咽喉科が1つ、計5つのクリニックがこの制度を活用して開院しています。

 どちらも土地、建物の取得や建設、医療機器の購入など1カ所に4,000万円程度の助成となっていますが、それ以上に地域医療体制の充実が図られ、市民の健康と安心が広がった効果は大きいと担当者は話しておりました。

 来年度からは、名寄市もこの開業医誘致助成制度を開始するとしています。

 さきの私の質問に、市長は今後医師の高齢化に伴う1次医療の機能低下や在宅医療を担うかかりつけ医の不足が懸念されることから、1次医療機関の充実に向け紋別医師会からのご意見を伺ってまいりたいと答弁しました。

 問題意識は共有していると思います。その後紋別医師会とはどのような意見交換をなされているのかお聞きするとともに、士別市や稚内市が示すようにこれら成果が現実として上がっている開業医誘致助成制度の実施に向けた検討を早急に始めるべきと考えますが、いかがでしょうか、市長の見解をお聞かせください。

 高齢化が進む中で、地域医療の重要な柱の一つとなるのが在宅医療の充実だと考えます。市長も毎年の執行方針の中で、在宅医療と介護の切れ目のないサービス提供体制の整備を目指すとか、在宅医療の確立に取り組むと幾度となく述べてきました。

 この在宅医療の体制が確立、整備されてこそ、地域包括ケアシステムが初めて完成すると言っていいものです。

 在宅医療とは、医師や看護師が患者や家族との相談の上、計画に基づいて定期的に訪問し、治療や経過観察をする医療行為で、24時間で対応するもので、これからの地域医療になくてはならない仕組みです。

 そこでお聞きします。
 紋別市における在宅医療の体制は現在どのようになっているのか、どのような検討がされているのか、そしてどのような課題があるのか、それぞれお聞かせください。

 言うまでもなく、現在の限られた社会資源の中で在宅医療の体制を構築するのは簡単ではありません。しかし、その必要性とその役割を認識している医療従事者は少なからずいるだろうと思います。

 国も一医療機関だけでなく、地域内でのチームによる在宅医療の構築を後押ししています。紋別医師会、広域紋別病院、紋別地域訪問看護ステーション、紋別地域包括支援センター、各介護事業所、そして医療・保健・介護の市の担当者、それら関係機関で紋別市における在宅医療体制の構築に向けた協議と検討を始めるべきではないでしょうか。

 もちろん北海道が進める地域医療構想のように、機械的に病床数を減らし、在宅医療の拡大の名で無理やり患者を在宅へ追いやるようなことはあってはなりませんが、患者や家族の意思として、その選択の一つとして、またみとりのあり方として、在宅での治療を可能にすることは重要な課題です。

 そのためにも紋別市のイニシアチブが必要であり、重要です。在宅医療の構築に向けた具体的な取り組みを求めるものですが、いかがお考えか市長の見解をお尋ねします。

【 答弁 】

〇宮川良一市長
 初めに、地域医療についてであります。
 
 1点目の開業医誘致助成制度につきましては、市内ではここ数年複数の医療機関で後継者が確保され、また改築が行われるなど、1次医療機関の減少は一定程度落ちついている状況であると考えております。

 誘致助成制度を実施している他市の1次医療の状況につきましては、稚内市の人口3万4,000人に対し15機関で1機関当たり約2,200人、上川北部医療圏である名寄市及び士別市では、人口4万6,000人に対し19機関で1機関当たり約2,400人、制度を実施してない本市においては、人口2万2,000人に対し9機関で1機関当たり約2,400人となっております。

 このことから、本市の1次医療機関は他市と比較し同程度の水準と認識しております。

 医師会会長との意見交換におきましては、2次医療機関である広域紋別病院の機能強化を優先すべきという点では共通の認識となっておりますが、将来的に1次医療機関の減院も想定されることから、医療機関の誘致につきましては、今後とも医師会のご意見を伺いながら、助成制度も含め研究してまいります。

 2点目の在宅医療の確立につきましては、在宅療養支援医療機関の条件である24時間の医療提供体制が整っている医療機関は、市内には民間病院1カ所であります。

 在宅医療推進への最大の課題は、複数人の医師や看護師の確保であり、現在の環境においては非常にハードルが高い状況にあります。

 現在、本年7月に新たに就任した休日夜間急病センター長が中心となり、人脈を生かした医師確保や各医療機関の連携はもとより、本市をはじめ3次医療圏までの医療現場の状況を把握するとともに、在宅医療を含めた地域医療の体制構築に努めているところであります。

【 再質問 】

〇野村淳一議員
 再質問を何点かさせていただきます。

 最初に地域医療の問題で、開業医誘致助成制度の問題を取り上げさせていただきました。ご答弁にもありましたが、紋別の開業医の皆さん、これまでの紋別の医療を本当に底辺でずっと支えてこられた方ばかりだと思ってます。

 ただ、後継者の問題も含めてこれからのことを考えると、やはり不安があるというのが現状だと思います。そういう現状の中で、今回だからこの開業医の誘致制度というのを取り上げさせていただいたんです。

 先ほど市長の答弁からも、何だか病院1人当たりに人口何ぼだとかこうとかと言ってましたけど、もちろんそれも重要だけど、問題なのはこの地域にどんな医療が必要なのかということの観点なんです。

 私、士別に行ったときに、そこでこの制度をやって、そして内科のクリニックが2つこの制度を使ってできたんです。

 士別のまちではもう内科は要らないので、要らないと言ったらあれだけど、なのでこの開業医誘致助成制度を一旦凍結をしたんです。そうすると、凍結してるんですけど、ある医者からこの制度を使えますかという問い合わせが来た。これを聞いて、喜んで士別は凍結を解除した。それは、整形外科医だったからなんです。

 あそこはスポーツ合宿のまちとして今まちづくり進めています。その意味で、整形外科医というのはまちにとってみたら渡りに船だったわけです。

 こういう形でまちづくりにも寄与するし、そして必要な医療というものを充実させていくことができる。

 4,000万円ぐらいかかるんですよ。でも、10年間というのが縛りなんです。今医者1人、こっちに確保して招聘したら1年間2,000万円以上の給料かかりますよ。2年で4,000万円です。でも、10年間縛りで4,000万円助成しても、10年間この地域で医療をやってくれるという意味で非常に価値があるというふうに表現をしていました。

 今年遠軽町でも内科医のクリニックが1つ、そして眼科のクリニックが1つ開業していますね。

 さっき言ったように、人口1人当たり病院が云々かんぬんなんていう問題じゃなくて、この地域にどういう医療が必
要か、そういうことがやっぱり何よりも重要だと思ってます。

 その意味で、私はこの開業医誘致助成制度というのはこのまちで、この開業医の皆さんに対してどういう医療をやろうとしているかということを発信する大きな力になるし、PRにもなる。お医者さん方はこういうのをずっと広げていってくれますよ、紋別というまちの、そういう位置づけが見えてくる一つの力にもなるというふうに思っています。

 今後の問題も含めて、改めてもう一回聞きます。この開業医誘致助成制度、実現に向けた具体的な検討を始めるべきだと思います。もう一度ご答弁ください。

○大野貴光・保健福祉部参事兼広域病院連携推進室参事
 お答えいたします。

 開業医誘致の関係でございますが、医師会のほうとこの制度等について意見交換、意見交換というか意見を伺ってまいったところでございます。

 その中では、当地の医療というのは1次医療と2次医療というのがある程度補完し合うというのが重要だと、議員さんもおっしゃってますけど、市長も以前に答えているところではあるんですけども、その中で、医師会の中で1次医療を安定して行っていくためには2次医療の充実というか、安定確保というのが欠かせないというご意見をいただいておりす。

 その2次医療があることによって、1次医療が安心して行っていけるというようなことでございました。そのような考えからある程度、ある一定どこでその1次医療が数がいいのかというのはまたちょっと別の話になるんですけども、ある
一定最近、近年においては廃業という状況でもないというところでございますので、2次医療をしっかりしてほしいということでございましたので、まず2次医療に力を注いでいきたいというのが市のスタンスでございます。

 あと、開業医誘致という部分につきましては、開業医に対してのその誘致がいいのか、例えば診療科の充実みたいな、既存の病院のそういうものがいいのかというものも含めて、あと老朽化も進んでくるということで病院の改築なんかも多分各医療機関で考えてられると思いますので、そういう部分についてどういうものが効果的で、例えば継続についていろいろやっていけるのかという、支援していけるのかという部分を医師会と相談しながらというか、意見交換行いながら維持に努めてまいりたいと考えています。
以上でございます。

○野村淳一議員
 広域紋別病院をどう維持していくかということも重要な課題なんです。その広域紋別病院の先生方の過重負担を減らしていく意味でも、1次医療は必要なんですよ。

 名寄市が、こればっかり時間ないので、名寄市が来年この
開業医誘致制度をやるんです。その一つに、既存の開業医の診療所に対する、いわゆる建物などの助成というのも一つ加わっています。

 今課長がおっしゃったような、そういう一つの支援の方法もあるということも含めて、相対的に1次医療に対する支援のあり方、改めて検討してください。これはよろしくお願いします。

 在宅医療です。
 ご答弁の中に、在宅医療を実施する在宅療養支援病院が紋別に1カ所あるというふうにご答弁されたんですが、ということは在宅医療はあるんだというふうに認識していいんですか。

○大野貴光・保健福祉部参事兼広域病院連携推進室参事
 お答えいたします。

 これ届け出制となってまして、医療機関のほうで公式にうちは在宅やってますよというふうに、在宅医療をやってますという表現、表現というか、そう表明できる病院としては1カ所あるという認識でございます。
以上でございます。


○野村淳一議員
 いや、だから、これ在宅療養支援病院というのは、在宅療養、訪問診療をやっていますということを基本的にちゃんと認可を受けて、そのための報酬をちゃんと受けているという病院ですよね。

 そういうことですよ。この遠紋二次医療圏の中で、この在宅療養支援病院は1カ所しかないんですよ、それは紋別なんですよ。

 だから、在宅医療、訪問診療をやってるんですねと聞いているんです。それは間違いないんですね、24時間ということで。もう一回確認します。

○大野貴光・保健福祉部参事兼広域病院連携推進室参事
 体制を整えてやっているということで聞いてございます。

○野村淳一議員
 そういうことであれば、その病院を、あるいは中心にしながらですが、この訪問看護ステーションを含めて在宅医療、訪問診療というのをどんどんと広げていく可能性があるのかなというふうに思います。

 どちらにしても、新たに赴任した急病センターの服部先生も含めて、紋別市の医療のあり方、訪問診療のあり方も含めてこれから検討されていくんだろうと思うんですが、もう少し具体的にこの訪問診療の進め方について考え方があれば教えてください。

○大野貴光・保健福祉部参事兼広域病院連携推進室参事
 お答えします。

 在宅医療につきましては、センター長、前任の鹿児島ということで、在宅専門の医療機関というのがございます。一応先進地というか、うちではないものもありますんで、先生についてはそういうものも見てこられているという状況にあります。

 その中で、いろいろちょっと話していく中で、在宅医療というのはその地域の医療資源というのがいろいろ異なってくるので、いろいろと地域によってさまざまなパターンがあるということで、同一のものはなかなか在宅に限ってはないというお話をしております。

 その中である程度、今医療現場にセンター長も入っていろいろと、今うちの課題なり何なりというのを今ちょっと把握しているところでございます。

 その中で在宅医療、もちろんそうなんですけども、医療全体を含めていろいろ紋別にどのような医療をやっていくかというところで、いろいろ今検討していただいているというところでございます。
以上でございます。

○野村淳一議員
 その方向性には期待をしますが、もっとスピードアップしてぜひ進めてくださいよ。そんなに余裕はないと私は思ってますよ。

 広域紋別病院の存在の問題も、存在というか維持の問題も含めて、やはりどういうような地域医療をつくっていくのかというのは重要な課題だと思うので、ぜひともスピードアップして進めてください。
 

0 件のコメント:

コメントを投稿