この会合は、2時間近くに及び、活発な意見交換が行われました。
この会合の模様は、北海民友新聞に詳しく掲載されています。というのも、紋別から参加した「紋別の地域医療を育て守る会」のメンバーの中に、民友新聞の記者がいたからです。その記事を紹介します。
「病院・行政・住民の連携を」
遠軽厚生産科問題~遠紋の住民が初会合で
遠軽厚生病院(矢吹英彦院長)の産婦人科常勤医師3人のうち2人が9月末で旭川医大に引き上げ、10月以降の分娩・検診等の受け入れ態勢が大幅に縮小すると見られている問題に対し、住民レベルで対処方法を考えようとする有志による初会合が3日夜、遠軽町内で開かれた。話し合いでは、出産を控えた妊婦の不安解消を最優先とするほか、病院・行政への働きかけや住民・妊婦への啓蒙活動も必要との考えで一致した。また医師招へい活動も含め、情報を共有・一元化して遠紋総力で状況改善に取り組むため、病院、行政、住民が一体になった組織を立ち上げたいとの方向性も打ち出した。
10月以降の現実的な対応については、遠軽など東紋地区の妊婦は北見の病院へ、紋別など西紋地区の妊婦は名寄や旭川の病院への振り分けが想定されるが、一定数の正常分娩は遠軽厚生・広域紋別の両病院での受け入れも可能と見られる。
「妊婦の不安は計り知れない」
出席した元助産師は「分娩する病院の振り分けは必要になる。遠方で出産した場合、帰ってきてからの地域のフォローが大切。核家族化でお母さんは助けのメッセージを発せられずナーバスになりやすい。保健センターなどの社会資源を活用できることを、妊婦さんに知ってもらう取り組みも必要」など、周辺環境整備も進めるべきとの考えを示した。
いっぽう11月に出産を予定している女性は「いま現在、産む所が決まっていないのが不安。自分で探すのか、病院から提示してもらえるのかも分からない」と心情を吐露した。その夫も「産むのは安全安心なところであれば良いと思うが、出産前後の検診で、妻が1歳半の上の子を連れて遠くの病院まで運転しなけれなならないのが怖い。行政なりが、手を差し伸べてくれないのかと思う。妻を含め、いまおなかに子どもがいるお母さんたちの不安は、計り知れない」と、状況が見通せないことへのいら立ちも交えて語った。
いっぽう11月に出産を予定している女性は「いま現在、産む所が決まっていないのが不安。自分で探すのか、病院から提示してもらえるのかも分からない」と心情を吐露した。その夫も「産むのは安全安心なところであれば良いと思うが、出産前後の検診で、妻が1歳半の上の子を連れて遠くの病院まで運転しなけれなならないのが怖い。行政なりが、手を差し伸べてくれないのかと思う。妻を含め、いまおなかに子どもがいるお母さんたちの不安は、計り知れない」と、状況が見通せないことへのいら立ちも交えて語った。
交通費や宿泊費、費用面でも負担
遠軽や湧別の女性町議らも「1つの自治体や厚生病院だけで対処できる問題ではない。北海道が指定する周産期病院なのだから、住民の声を道に届ける必要もある。住民、行政、病院などいろんな活動があっても良いが、最終的には1つのものにまとめ、さらに上の段階へ働きかけなければ」「遠方の病院での自然分娩であれば、前もってホテル等での待機が必要になるなど費用面でも負担が大きい。町に対しては、北見で出産できる3病院の情報が得られる窓口の開設もお願いしている」などと、対処へ向けた方向性や、既に実行している策について述べた。
また横内市議と野村市議は、紋別の「守る会」での経験などから「医療は住民の思いを受けてくれる。啓蒙活動や講演会で頑張っている姿を見せることが必要。遠紋広域で守る会を結成して動かしていくことが重要だ。市町村がまたがると行政主導は動きにくいので、民間が主導するべき」「住民の声のバックアップがあると、自治体は道や国など上の組織に話をしやすい。遠紋の周産期拠点を守りたいという住民の声を集め、医局へ伝えることも将来の派遣再開に向けて有効では」などとアドバイスを送った。
住民意識の改革、情報一本化が要
このほか出席者らは「この難局には遠紋2次医療圏全体での連携が必要。行政や民間がみんな集まり、病院を支える団体になれたら」「一人残る可能性のある医師をバックアップする形も作りたい」「詳しい人から話を聞く勉強会もあったら良い」など、様々な思いや願いが語られた。
これらを受けて、遠軽側の取りまとめ役となった阿部君枝町議は「受診・出産病院の割り振り等に対する住民の意識を変えること、医師招へいも含めて情報を一本化することが求められる。限られた時間でなにができるか、会を重ねて少しでも見えるようにしたい」などと総括し、初会合を終えた。
9月末における常勤医師2人の引き上げは不可避とされ、残る1人が退任する可能性も指摘されている。出産ができるかどうかは地域の存亡にもつながることから、圏域全体で危機感を持って対処しなければならない重大な局面を迎えている。
(2015年8月5日付け)
(2015年8月5日付け)
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