2014年7月29日火曜日

2014年第1回定例市議会報告③―子育て支援と保育行政について

○野村淳一議員
 子育て支援と保育行政について質問いたします。
 まず、新しい紋別保育所と紋別児童館の建設についてです。
 
 平成26年度予算にも4億7000円余りの建設費が計上され、実施設計も示されました。

 私は、これら設計にあたって、保育士など現場の声や児童館に通う児童などの意見も反映させるよう求めてまいりました。

 また、保育所については、全国保育協議会の面積指針をもとに、ゆとりある広さが必要であることも訴えてまいりました。

 これらを含め、設計に当たってはどのようなコンセプトのもと検討されたのかお聞きするとともに、主な特徴点についてお尋ねします。

 また、建設に当たっては認証材の積極的な活用、火災ややけどの危険性のない暖房システムの導入、環境に配慮したエネルギー使用などが考慮される必要があります。その点での方向性をお聞きします。

 今議会に紋別保育所設置条例の一部改正案が提案されています。

 この中身は、指定管理制度の導入を意図したものです。改めて、市立保育所を指定管理に移行する必要性が果たしてあるのか、この改定の理由と目的についてお知らせください。

 北海道労働局は1月27日、道内の保育所220か所を対象にした立ち入り調査などを行った結果、全体の82%の181か所で労働基準法などの法令違反が見つかり、是正勧告したことを発表しました。

 その多くが労使協定の締結や届け出をせずに時間外労働を行わせた法定労働時間に関する違反、また労働条件を明示していない問題や時間外労働の割増賃金の不払いなどであり、保育士に対する多くの不当労働があったことが明らかになりました。

 言うまでもなく、保育士は子どもの養育にかかわる重い職責を担う仕事です。大切な子どもたちの安全と成長を育む、かけがえのない仕事です。

 しかし、厚生労働省による2012年の保育士の平均月収は約21万円で、全産業平均より10万円以上も低く、非正規雇用が増える一方です。その上、このような法令違反が続くようでは離職や採用難にますます拍車がかかるでしょう。

 子どもを安心して産み育てられる環境をつくるためにも、保育士の正規雇用の促進と待遇改善は待ったなしの課題です。それはすべての市民の願いでもあると信じます。


 まず、紋別市において、先に述べたような法令違反はないのか、お聞きします。その上で、紋別の保育士、特に臨時保育士の労働環境と労働条件について、それが職責に見合う待遇とお考えかどうか、どのような認識を持っているのか、お聞きします。また、臨時保育士の平均月収はお幾らでしょうか。そして、正規雇用の考え方と見通しはどうか、それぞれお聞きします。


 厚生労働省の保育所保育指針には、保育所の社会的責任として、保護者の苦情などに対し、その解決を図るように努めなければならないと定め、その解説書では、苦情の解決として、保育所が苦情解決責任者である施設長のもとで苦情解決担当者を決め、苦情受付から解決までの手続きを明確化し、書面における体制整備をすることが必要です。


 また、中立、公正な第三者の関与を組み入れるために第三者委員を設置することも求められていますと規定しています。


 この保護者からの苦情の解決について、紋別市ではどのように取り扱われているのか、お聞きします。


 さきの紋別保育所における保育士の不適切な保育指導の事案に関しても、まずは保護者からの苦情が発端だったと思います。


 この時、これら指針に基づいた措置が行われたのかどうかお聞きするとともに、この規定にそくし、中立、公正な第三者委員による検討が必要ではなかったかと考えるものですが、いかがお考えか見解をお尋ねします。


 昨年12月、最高裁決定を受けて、遺産相続についての民法が改正され、結婚している男女間の子どもと結婚していない男女間の子どもの相続分は平等になりました。


 しかし一方で、所得税法の寡婦控除は死別や離別によるひとり親を対象としており、同じひとり親でも結婚していない非婚の場合は対象になりません。


 結果、控除がない分納税額が増え、税額に応じて負担する保育料などが重くなることになります。


 これではおかしいと、非婚のひとり親世帯の経済的負担を軽減するため、寡婦控除を非婚にも適用し、保育料などを軽減する自治体が増えてきています。


 いわゆるみなし寡婦控除です。


 多くの場合、非婚のひとり親世帯は経済的に厳しい現状にあります。結婚歴の有無で格差が生まれるのは不合理であり、みなし寡婦控除の実施は当然であると思います。


 紋別市の場合はどのような対応を取っているのかお聞きするとともに、保育料について適用すべきだと考えますが、いかがでしょうか。


○宮川良一市長

 1点目の紋別保育所と児童館の建設につきましては、市立保育所長と父母の会会長、児童館厚生員と児童館母親クラブ会長で組織する懇話会に設計事業者と市の担当職員を加えた中で検討を重ね、児童館を利用する児童と保護者を対象にアンケートを行い、施設のコンセプトを構築し、設計に反映させたところであります。

 施設の設計に当たっては、小さな子どもたちの大きな家、家の中に森をつくるをコンセプトに、室内空間を木につつまれた、日だまりのある優しい空間としてイメージし、環境にやさしい木材や自然素材の活用、外壁には塩害に強い鋼板材の使用などを基本に検討したところでございます。


 施設の特徴といたしましては、子どもたちが木に触れ合い、ぬくもりを感じながら過ごせるように、室内には認証材などを活用するほか、保育所と児童館の玄関を共有し、保護者が児童の送迎の際に休憩や団らんができるスペースを設けたほか、保育所については、病気の回復期にお子さんを一時的に預かる病後児スペースの設置、各保育室は全国社会福祉協議会の調査研究で示されている広さを考慮したほか、児童館については、従来からの集会室や図書室、バドミントンなどの軽スポーツができる、ゆとりのある遊戯室の設置のほか、インターネット閲覧コーナーや児童館行事、子育て支援行事に活用できる子育て支援スペースを設けております。


 また、暖房設備につきましては、土壌蓄熱床暖房方式を採用することで室内の温度と湿度が一定に保たれるなど、健康と安全性に配慮したものであります。


 2点目の保育所の指定管理者制度の導入の理由と目的につきましては、本市の第5次行政改革において、民間にお願いできる業務については民間にを基本に取り組んできたところであり、基本方針に基づき、市立保育所の運営を民間事業所にお願いするものであります。


 3点目の保育士の労働環境につきましては、北海道労働局による調査が昨年12月19日に市立保育所2施設を対象に、名寄労働基準監督署により行われたところであります。


 本市におきましては、従前保育所は官公庁の事業所として労働基準法に基づく協定は不要と認識しておりましたが、保育所については保健衛生業に該当するとのことであり、労働基準法第36条の規定による時間外労働または休日労働をさせようとする場合の協定が必要であるとの指摘を受け、本年1月28日に各保育所において協定を締結し、是正をしたところであり
ます。

 本市における臨時保育士等の労働環境と労働状況につきましては、臨時保育士の平均月収は約17万円であり、日額賃金は全道各市との比較においては中位にあり、有給休暇や特別休暇を付与するほか、社会保険等に加入をしております。


 正規雇用の考え方と見通しにつきましては、みどり保育所は市内保育環境の変化を考慮し、市の直営で運営することから、正規保育士はみどり保育所に集約するため、新たに保育士を雇用することは現在のところ考えておりません。


 4点目の苦情処理の対応につきましては、紋別市児童福祉施設に関する苦情解決取扱要綱を定め、各保育所に苦情解決責任者及び受付担当者を置くとともに、利用者の立場に配慮した適切な対応を行うため、紋別市民生委員・児童委員連絡協議会から推薦をいただいた方々に第三者委員を委嘱し、苦情の解決に当たっております。


 なお、通常の苦情の申し出につきましては、各施設の受付担当者または第三者委員が直接受け付けすることができるものでありますが、さきの紋別保育所における保育士の不適切な保育指導に関しましては、保護者から市担当部局による調査の依頼が強くありましたので対応したところであります。


 5点目のみなし寡婦控除につきましては、本市において制度の適用は行っておりません。


 新聞報道では婚姻歴のないひとり親家庭に対しても税法上の寡婦控除をみなし適用し、保育料や公営住宅の家賃などを軽減する自治体もありますことから、国及び道内各市の対応状況について注視してまいります。


 <再質問>

○野村淳一議員
 保育の問題であります。
 指定管理の問題について教えてください。

 今、市長の答弁では、第5次行政改革の中で、民間にできるものは民間にという形で、方針上そうなっているという話でした。

 改めて聞きますが、紋別市の保育所を指定管理にする、行政改革にそう載っているわけですから、なぜその行政改革にそれが載っているのか、保育所を指定管理にするのか、もう一度教えてください。

○内田 誠児童家庭課長
 先ほど市長が答弁したとおりでございますが、民間にお願いできる業務については民間にを基本に取り組んできたところであり、住民サービス等の向上と基本方針に基づき運営を民間事業者にお願いするものでございますが、保育所におきましては、少子化の影響により出生率等から入所児童、対象児童数については定員割れをしている状況下にあるものの、女性の社会進出や経済状況による共働き世帯の増加、核家族化等の流れの中で保育所の入所率は横ばい状況にあり、子育てをしている親の社会環境の変化により保育のニーズも多様化している状況にあります。

 このようなことから、保育サービスの質を確保しながら柔軟に対応していくには民間活力の導入が必要であると思います。

 官では限界のある延長保育や一時預かり、休日保育、さらには病後児保育などの保育サービスの向上、民ならではの発想、独自教育などの事業展開が可能になるのではないかと考えてございます。

○野村淳一議員
 指定管理する、その理由の中に重要な言葉が抜けているんです。

 今回、どうしたんですか、前も、部長ですが、議論したときにこうおっしゃったんです。

 指定管理にする理由は住民サービスの向上と経費の削減なんだと、こうおっしゃったんです。間違いありませんか。

○佐藤久祐保健福祉部長
 お答えします。野村議員のご質問の件でございますけれども、まず経費の削減の部分も当然ございますが、地域住民のサービスの向上というものが大前提でございます。

 それで、紋別市の行政改革につきましては、行政コストの削減というものも柱でございますけれども、民間にできるものは民間に移譲していこうというような大前提で今まで進んできてございます。

 それで、この問題、あるいは除雪等についても民間移管をしていくということで、民間の力をおかりしながら保育の質を落とさないでいけるのが現在の手法というふうに考えてございます。

○野村淳一議員
 もともとこの問題が出てきたのは、行政改革のプランの中で出てきたんです。何が問題かと言ったら、行政改革ですよ。経費を削減することが最大の課題として、ここに公立保育所の民間移管と、それで指定管理が出てきたんです。

 例えば聞きますけども、私が質問して初めて分かったんですけど、この間、紋別保育所を27年に指定管理し、次いで渚滑保育所も指定管理にし、みどり保育所は公立で残すんだと、こういう話をされました。

 いったいこれは誰がどこで決めているんですか。教えてください。

○佐藤久祐保健福祉部長
 それにつきましては、庁内で検討を重ねて決定をしたということでございます。

○野村淳一議員
 保育の問題というのは極めて重要なことですし、市民のこれからの問題でも、子育ての問題でも重要な問題なんですよ。

 保育所はいったいどういう運営になるのか、だれが責任を持つのか。これは全市民的な問題じゃないんですが。

 例えばそういう方向を出すんだったら、紋別市の保育ビジョンを検討する、あるいはその策定委員会、検討委員会、あり方懇談会、学識経験者あるいは一般市民を含めて、紋別の保育のあり方を検討する。

 その上で、どういう子育てをしていくのか、その中で保育はどうすべきか、保育行政はどうすのか。そのために、じゃあ形態はどうするのか。そうやって市民の中で議論する、その中で出されてくるもんじゃないんですか。

 どこの保育所を指定管理にし、どこを民間で認定し、ここは公立で残す、こんなもんを勝手に決められて、勝手ですよ、市民から見れば。

 突然紋別保育所が指定管理になるんだと言われているのと同じじゃありませんか。これが市民本位の行政と言えますか。もう一度教えてください。

○佐藤久祐保健福祉部長
 今の野村議員さんのご質問でございますけれども、私ども唐突にこの問題を出したわけではございません。

 当然、保育に欠けることのないような質の確保については、十分に民間の事業所でもできるというような前提でお話を進めさせていただきました。

 また、今月中に開催予定であります子ども・子育て会議の中でもその理解を進めていけるというような形で提案をしながら協議をしていきたいというふうに考えております。

○野村淳一議員
 そうであるなら、この保育所のあり方を子ども・子育て会議に諮問すればいいじゃないですか、いかがですか。

○佐藤久祐保健福祉部長
 子ども・子育て会議の中で、当然市町村事業という形でいろいろと皆様に、委員の方々にご説明をしなければなりませんので、その中で理解を得ていきたいというふうに考えております。

○野村淳一議員
 理解を得るということは、ちゃんと協議をし、変更する可能性もあるというふうに理解してよろしいですか。もう一回。

○佐藤久祐保健福祉部長
 協議を進めていくということでございますので、その中身については今どのようになるかをお答えはできません。

○野村淳一議員
 私は、その保育行政については本当にやっぱり市民的な議論が必要だということは改めて強調しておきたいと思います。

 住民にとってみれば、保護者にとってみれば、自分の子どもを預ける保育所ですよ。どうなるかわからない。それが27年にこうなるんだと言われでも、不安ですよ。これ、どうなるのか。

 こういう進め方は私は理解できません。私は指定管理の方向については厳しく指摘をし、反対したいと思います。

 その上で、苦情の問題でお聞きします。

 さきの紋別保育所の事案について、オホーツク総合振興局からこの苦情の解決について指導監査がありませんでしたか。

○内田 誠児童家庭課長
 指導監査で、苦情処理の対応について指導を受けているところでございます。

○野村淳一議員
 内容を教えてください。

(休憩)

○内田 誠児童家庭課長
 失礼しました。道からの改善する事項につきましては、苦情解決の仕組みについて苦情取扱要綱を定めているが、要綱通りに処理されていないので、速やかに当要綱に基づき苦情解決に当たり、今後苦情解決体制が有効に機能するように努めるようにということでご指導を受けたところでございます。

○野村淳一議員
 苦情解決取扱要綱に定めがある通り、それが運用されていなかったという指摘なんです。

 いわゆる第三者委員の設置を含めて、それはどうなんですか。されているんですか。されていないんですか。この指摘についてはどのように認識を持っているんですか。

○内田 誠児童家庭課長
 先ほど市長が答弁した通り、取扱要綱を定め、紋別市民生委員・児童委員連絡協議会のほうからご推薦をいただき、第三者委員を委嘱している状況でございます。

○野村淳一議員
 もう時間もありませんから最後にします。

 オホーツク総合振興局からもこういう指導監査が来ています。実際はこの苦情解決処理というのが機能していないという指導だったと思います。

 苦情というのはいろいろあります。しかし、それは苦情を受けて、それを真摯に受け止めて、そしてそれを保育行政に返していく、それがよりよい保育をしていく基本なんだということで、しっかりと苦情を受け止めて、それを公正公平に解決するということはこれからも重要なことです。ぜひこれは肝に銘じて進めていただきたいと思います。

 以上で終わります。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿