2022年3月29日火曜日

家族介護と(ヤング)ケアラー支援を~2021年第3回定例市議会一般質問②(21,9,7)

〇野村淳一議員 

 次に、介護保険と高齢者福祉について質問いたします。  

【 家族介護の実態と介護者(ケアラー)支援を 】 

 2000年に介護保険制度がスタートし、介護の社会化が叫ばれ、介護を必要とする方は様々な介護サービスを受けられるようになりました。

 その一方で、在宅で介護する家庭介護はまだまだ先の見えない状況の中、介護者は様々な困難に直面しています。 

 昨年、紋別市で行った在宅介護実態調査を見ても、介護者の5割が子となっているものの、介護度が上がるほど、配偶者の割合が高くなり、老老介護の実態が見えてきます。

 また、介護者が仕事を辞めた、いわゆる介護離職の割合も3%に及び、介護のために仕事を何かしら調整している方も4割に達しています。

  一方で、介護保険制度では、同居家族がいれば、要介護者への炊事、掃除、洗濯などの訪問介護サービスの生活援助が利用できないという原則さえあります。

 このよう に介護保険制度と高齢者福祉を考えるとき、家族介護における介護者への支援を避けては通れません。 

 そこでまず、市内における家族介護の実態について、どのように捉え、どのように認識しているのか、お聞きします。

 また、さきにも触れた同居家族がいる場合の生活援助サービスの制限について、紋別市としてはどのような取扱いをしているのか、お尋ねいたします。 

 今、介護者をケアラーと呼ぶことが一般化してきています。

 これは、単に高齢者の 介抱や看病といった介護だけではなく、失業や障害、ひきこもりを含めた見守りや日常生活の世話といった幅広いケアを指しています。

 問題は、そのケアラーたちが先の見えない毎日連続する介護の中で心身の健康や社会的孤立、離職などに追い込まれ、 自らの人生や生活、将来が奪われかねないことにあります。

 安心の介護を進めるためにも、ケアラーへの支援は喫緊の課題だと考えます。特に社会的孤立をどう防ぐかが大事だと思います。 

 そこで、現在、介護者、ケアラーへの支援について、どのような取組が実施されているのか、また、その効果についてお聞きします。

 その上で、ケアラー支援についての認識とその具体化についてのお考えをお尋ねするものです。

【 家族介護への経済的支援を 】

 同時に、家族介護に対する支援では、経済的負担の軽減も重要な課題です。

 現在、介護度4・5の在宅介護に対し、紙おむつや尿取りパットなどの購入費として月6,500円分を支給する介護用品費給付事業があります。

 しかし、その金額は、制度創設以来、変わっていません。

 同じ制度でも、名寄市は月9,000円、深川市は8,000円などであり、コロナ禍において、その支出も増えています。

 経済的にも家族介護の負担を軽減するため、この介護用品給付事業の増額が求められていると考えますが、見解をお知らせください。 

 また、在宅で介護を続けるためには、介護される方にとっても介護をする方にとっても、安全で快適に介護を受けやすく、介護しやすい住宅環境の整備が必要です。

 段差の解消、手すりの設置、トイレや浴室の改修、寝室の増改築など、そこには介護保険制度ではカバーできない住宅改修も当然出てきます。

 また、介護予防の観点からも バリアフリーへの住宅改修は必要です。

 障害者も含め、家族介護の負担軽減のための住宅のバリアフリーへの改修工事に対し、紋別市としての助成制度の導入を検討すべきと考えますが、いかがお考えか、見解をお示しください。 

【 ヤングケアラーに対する支援を 】

 介護者、ケアラーの中でも、本来、大人が担うとされている家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳未満の子ども、これらを子ども・若者ケアラー、いわゆるヤングケアラーと呼び、その存在が、今、社会問題化しています。 

 2020年の厚労省の調査では、中学2年生の5.7%、高校2年生の4.1%がヤングケアラーとして確認される結果となりました。

 その対象も親やきょうだいなどで、日常的な介護のため、学業や進路に影響が出かねない状況にあるといいます。

 そうならないためにヤングケアラーへの支援が必要です。 表面化しにくい課題であることを踏まえ、紋別市としても、学校、福祉、地域の目でヤングケアラーを把握し、具体的に支援する体制を講じることが必要だと考えますが、その認識と対策についてお聞きするものです。 


【 答弁 】

〇宮川良一市長

 次に、介護保険と高齢者福祉についてであります。 


 1点目の家族介護とケアラー支援に関し、家族介護の実態をどのように捉え、認識しているかについてですが、市で現在把握している方は何らかの在宅福祉サービスを活用している状況であります。

 しかし、介護離職をされた方や老老介護の世帯も一定 程度存在し、徐々に増加しているものと認識しております。 

 同居家族がいる場合の生活援助のサービスの制限に係る市の取扱いについてですが、 同居家族がいる場合は原則利用できないものの、就労や疾病等でやむを得ない理由で家事が行えない場合は利用することができます。 

 ケアラー支援の取組とその効果についてですが、在宅の介護サービスの総合相談に 関わる地域包括支援センターなど、様々な関係機関が相互に連携し、社会的孤立を防ぎ、介護や障害福祉サービスのデイサービス等を活用し、一時的な休息を取るようなことも介護疲れを緩和する効果が期待できると考えております。 

 ケアラー支援の認識と具体化についてですが、ケアラーの社会的認知度は十分に進んでおらず、北海道ではケアラーの認知度向上や支援強化に向け、条例制定の方針が出されていることもあり、社会全体で支える仕組みを構築していく必要があると考えております。 

 介護用品給付事業の増額についてですが、本市の実績といたしましては、年間の限度額を活用されている方は全体の7割程度であり、今後も推移を注視してまいりたいと考えております。 

 障害者を含め、住宅のバリアフリー改修工事の助成制度の検討についてですが、介護保険と障害福祉サービスにおける住宅改修による段差解消等で対応できると考えており、新たな制度を創設する予定はありません。 

 2点目のヤングケアラー支援の、学校、福祉、地域で把握し、支援する体制の必要性に対する認識と対策についてでありますが、現時点においては具体的な相談などは受けておりませんが、ヤングケアラーにつきましては、通学や進学等に影響するような事案も想定されますので、市教育委員会をはじめ、高齢者、障害者の相談窓口など、 関係機関と連携し、対応してまいりたいと考えております。 


【 再質問 】

〇野村淳一議員

 介護の問題についてです。 時間がありませんから、この問題については改めてやりましょう。

 ただ、その中で 介護用品給付事業についてお聞きします。 これは非課税世帯の方で、介護度4・5の方が対象です。

今、実績が何件かは分かりますか。また、これは申請ということなのでしょうか。どのように周知されているのかも含め、実態を教えてください。 

 ○飯田欣也介護保険課長

 お答えいたします。 まず、実績で言いますと、令和2年度になりますけれども、全体で238件で、月当たりにしますと20人ぐらいになります。

 金額としましては138万1,100円です。1件当たりが5,800円程度ということで、6,500円を使い切っていないというような平均値になっております。 

 なお、申請方法については先ほど議員がおっしゃったとおりです。

 ○野村淳一議員

 月で言えば、大体20人程度だということですね。これは申請ですので、ぜひ広げていただきたいと思います。

 私もあるドラッグストアに行って話を伺ってきました。足りないという話は聞かないと言っていましたが、その方は、例えば、1日3枚のおむつのところ、もし余裕ができれば、それが7,000円、8,000円になれば4枚にすることも可能になるのではないか、ゆとりのある介護ができるかもしれませんねという話をされていました。

 そういうことも含めてぜひ検討していただきたいですし、改めて頭に入れておいてほしいと思うのですが、一つだけ聞きます。 

 昨年の11月9日、厚生労働省の通知に任意事業における介護用品の支給に係る事業の取扱いについてという通知が来ていまして、その中にこんな文章があります。 

 介護用品の支給に係る事業の廃止・縮小に向けた具体的方策について、引き続き十分な検討を進められたいということです。

 今、厚生労働省が全国にこうした通知を出しているのです。 記憶があると思いますが、これは何を言っているのでしょうか。どきっとさせられます。

 紋別市ではどういうような判断なのでしょうか、教えてください。 

 ○飯田欣也介護保険課長

 この通知は今までも何度か出ていると担当から聞いております。

 国では縮小傾向というような考えを示しているのですけれども、各自治体からは、必要な事業なので、継続をお願いしたい、縮小については反対すると言っておりますし、今はまだ補助の対象になっております。 

 ○野村淳一議員 

 安心しました。ぜひ頑張ってください。 

 バリアフリーに対しては、考えていないという話でした。

 私は、これは本当に必要だと思っていますよ。制度の限度額は20万円ですからね。その枠の中でみんなは頑張っているのですけれども、本当はここをこうしたいとか、ああしたいと思っているのです。 

 バリアフリーに対しての補助事業は全道を見てもたくさんやっています。50万円の事業だったら、そのうちの2割の10万円を市が補助しますというような中身です。 

 昨日の議論の中では、商業施設環境整備について、全道一、利益を出しているのだ、あるいは、補助額を出しているのだと胸を張っておられましたよね。

 もちろん、それも必要です。介護について、これが在宅介護ということになったら、バリアフリーに対する住宅補助制度を考えないというのではなく、どこかで検討するぐらいにならないのでしょうか。これからは必要だと思いますが、いかがですか。 

 ○飯田欣也介護保険課長

 バリアフリーに対する補助に関し、住宅改修についてはございまして、段差改修、あるいは、引き戸に改良するなど、支援がないわけではございません。

 また、20万円が限度ですけれども、現状ですと1件当たり10万円を使っている人もあまりおりません。

 また、限度額は20万円ですが、何回かに分けることもできます。 その中で、段差改修については特に不満がある、あるいは、20万円では足りないというような声はこちらには届いておりませんので、このような体制で進めさせていただきたいと考えます。 

 ○野村淳一議員

 時間がありませんからあれですけれども、皆さんはその枠の中で頑張っているという話なのですよ。

 また改めてやるかもしれません。 

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