2013年12月17日火曜日

第3回定例市議会報告④-保育指導と保育行政について(その1)

○野村淳一議員
 子育て問題の最後に、紋別市の保育行政についてお尋ねします。

 
 紋別保育所で、保育士による児童に対する不適切な行為、体罰あるいは虐待とも受け止められる行為があったとする報告が市議会代表者会議になされ、その内容は新聞でも報道されました。

 それによると、保育士が2歳児の両足をつかんで振り回す、押し入れに閉じ込めるなどの行為があったとするものです。

 これは、重大な内容を含んでいます。事実関係を明らかにする責務が紋別市にあります。

 そこでお聞きしますが、この事案に対しどのような調査がなされ、どのような事実が判明し、どのような対応をなされたのか、事件の経過も含めお聞きします。

 一番安全であるべき保育所でこのような事案が発生したことは極めて遺憾であり、驚きと怒りを禁じえません。これは、保護者や市民と、紋別市の保育行政と保育所との信頼関係を壊すものとならざるを得ません。

 なぜこのような事態が発生し、なぜ未然に防ぐことができなかったのか。なぜ直ちに発見し、なぜその場で止められなかったのか。強い疑問が残るものであり、当時の対応を含め、状況について重ねてお聞きするものです。

 問題は、紋別市がこの事件をどう捉え、どう教訓化するかということです。そして、二度とこのような事件を起こさないために、そして市民との信頼関係を構築するために、具体的な対策を講ずることではありませんか。いかがお考えか、紋別市としての対応をお聞きするものです。

 今回の事件を全体を通して見たとき、私は保育士個人の問題としてのみ見るのではなく、その背景に構造的な問題はないのか、そこまで踏み込んだ対策が必要だと思っています。

 保護者や市民との信頼を得るためには、第一に身内だけでつくった改善策ではなく、専門的な第三者を含めた抜本的な対策を検討すべきではないかと考えます。

 第二に、保育の質をしっかり守り、さらに高めていくためには、保育士自らの責任と能力の向上、そしてチームとしての保育力がどうしても不可欠であり、臨時職員に頼るこれまでの保育運営を見直し、行革によるコスト削減という保育行政の方向を改めるべきではないかと考えます。

 これらをもってこそ、信頼される紋別市の保育行政として再スタートができるのではないでしょうか。これらについての市長の見解を問うものです。

 さらに、当事者の保護者への説明及び他の保護者に対する説明はどうされたのかお聞きするとともに、その際どのような意見が出されたのか、それぞれお尋ねいたします。

 最後に、被害に遭われたそのお子さんは、今元気にしているのでしょうか、お知らせください。

○宮川良一市長
 保育行政につきましては、保育士による児童に対する不適切な指導に関する調査内容、結果、経過を含めた対応については、紋別保育所に入所している児童の保護者の方より、保育士から自分の子どもが体罰を受けているのではないかとの通報があったものであります。

 市としたしましては、事実確認のため当該保育士並びに保育所長をはじめとする関係職員に対し聞き取り調査を実施しており、その内容と結果についてでありますが、保護者から通報があった行為のうち、初めに足を引っ張り上げる行為につきましては、当該保育士がホールで当該児童の足首を持ち回転させたのを見て、他の職員が危険だと思い注意をいたしました。

 また、同僚保育士からの話では当該保育士と勤務していたとき、児童をしかった後、両足を持って数回転回したと聞いております。

 次に、ほっぺをつねる行為につきましては、当該保育士が当該児童一人を隣の部屋へ連れて行き、ふだん閉めない戸を閉めた後、部屋から出てきた際に児童の頬が赤みを帯びていたことから、当該保育士が頬をつねったのではないかと疑ったと他の職員から聞いております。

 次に、押し入れに入れる行為につきましては、当該保育士は当該児童が押し入れに入っている状態で押し入れの戸を数秒間閉めたと他の職員が話しており、また同僚保育士からの話では、当該保育士へ児童の姿が見当たらないと尋ねたところ、押し入れに入れたと答え、当該保育士が押し入れの戸をあけたら中に当該児童がいたと聞いております。

 当該保育士は、入所児童に対ししっかりとしたしつけを身につけさせたい思いやクラス担任になった気負いから指導を焦り厳しい指導になってしまったと話しており、体罰のつもりで行おうとしたわけではなく、誤解を招く不適切な行為が一部にあったと反省していると聞いております。

 関係機関への報告等につきましては、不適切な処遇を含む事故等が発生した場合、市は北海道へ報告する義務があるため、オホーツク総合振興局へ通報し、振興局並びに北見児童相談所職員による状況調査と振興局による指導監査が実施されており、指導監査の結果につきましては、体罰として認定はしていないが、不適切な処遇として、子どもに対し身体的、心理的苦痛を与えることが疑われるような乱暴な言葉がけ、行動の制限等が一部に認められるとの見解をいただいております。

 一方、今回の当該保育士が行った行為につきましては、体罰などの犯罪の可能性があることから紋別警察署へ相談し調査が実施されており、結果につきましては、執拗に行っていないこと、繰り返していないこと、故意に行ったとは判断できないことから、刑法上の暴力行為には至らない、行き過ぎた保育、しつけであると推定し、故意に不当な有形力を行使したとは判断できないとの見解をいただきました。

 市としたしましては、北海道、警察署の見解を踏まえた上で、当該保育士が行った行為は不適切な保育指導であったものと総合的に判断したところであります。

 当時の対応につきましては、保育所長が職員から相談を受け、当該保育士へ指導した後は改善されておりましたが、その後に通報がありました。

 職員が目撃した時点で適切に報告がなされず、常日頃から徹底されていなかったことが原因と考えております。

 市としての対策につきましては、再発防止に向けた取り組みといたしましては、保育指導の指針となる保育指導マニュアルを全保育士で作成し共有したほか、保育所内や課外活動で起きた事案を検証するとともに、職員の日々の業務に対する疑問や悩み、保護者からの意見、要望などについて、職員会議や職員研修を有効に活用し、全職員が共通認識のもと保育業務に当たるなど、職員の資質向上と風通しの良い職場環境づくりに努めてまいります。

 また、家庭と保育所の連携を図るため、連絡帳などの活用による情報交換の実施や保育士と保育所父母の会との交流の場を開催するなど情報共有に努めてまいります。

 第三者を含めた対策と臨時職員に頼る保育行政につきましては、今回の事案を教訓に、専門機関の講師を招聘し、再発防止と職員の資質の向上を図る職員研修を実施してまいります。

 また、本市の保育行政につきましては、紋別市第5次行政改革及び集中改革プランにおきまして、民間委託等の推進による事業の検討を進めてまいりました。

 しかし、国が示した幼保一元化等への移行が未定であったことから正規保育士の採用を控えておりましたが、本年の第1回定例会において議員にお答えしたとおり、3市立保育所のうち2保育所を指定管理者制度により運営し、1保育所を市が運営することにより正規職員を1施設に集約することが可能になることで、現在の状況を解消できるものと考えております。

 当事者及び他の保護者への説明につきましては、当事者の保護者には最初の説明から市の調査結果、警察の調査結果等について、遂次状況を説明させていただきました。

 また、保育所の保護者への説明につきましては、今月5日に説明会を開催し、これまでの経過と今後の対応等について説明を行っております。

 どのような意見が出されたかにつきましては、職員の適正な人員配置、関係する保護者からの聞き取り、PTSDカウンセリング、保護者と情報を共有する取り組みのほか、保育士の心身ケアの保持とスキルアップする取り組み、適正な人材と余裕を持った人員配置、職員の個別指導などの要望が出されております。

 当事者のお子さんの状況につきましては、現在も元気に通園していることを確認しております。

 最後になりましたが、当事者のお子さんをはじめ保護者の皆様に深くおわびを申し上げ、このような事案を再び起こさないよう職員一丸となり再発防止に努めてまいります。

○野村淳一議員
 いま市長のほうから事件の経過について、そして対応についてご報告をいただきました。

 最初にお聞きしたいんです。この事件が発覚するのが6月17日、保護者が市に通報して発覚したものです。

 保護者の方は子どもの異変に気付いたことと、それからある方から一定の情報を得て不審に思い、市に通報したものです。

 しかし、それは後からわかったんですが、先ほどの報告もありましたが、すでに4月ぐらいから繰り返し行われていた可能性があります。

 結局、紋別保育所はみずからの力でそれを正すことができなかった、そいうい力がなかったということなんです。これは、私は重大な問題だというふうに思えてなりません。

 もう一遍聞きます。この事態はわからなかったのか、わかってもとめられなかったのか、あるいは隠すというような動機が働いていなかったのか、改めて教えてください。

○内田誠児童家庭課長
 お答えします。同僚の保育士からの聞き取りでは、足首を回し押し入れに入れた行為につきましては1回限りでの行為であったため報告をしなかったということですが、顔をたたくように見られた行為は続いた行為であったため、保育所長に報告しております。

 また、複数の職員が見た厳しくしかる行為については、この保育士はふだん真面目な性格から指導の一環として見られていた面があり、いずれの行為も保育所長指導後は改善されておりました。

 ○野村淳一議員
 しかし、結果としてこの2歳の子どもですね、この子どもは。その子どもの足を持って振り回していたわけです。あるいは押し入れにいわゆる軟禁したわけです。この事態は回数の問題ではなくて、その子にとっての恐怖というのはどれほどのものだったか、泣くことすらできなかったとさえ聞いています。

 この事態についての認識がどうだったのかということが問われているんだという気がしてなりません。

 警察の調査によってそれは事件性がないということで終わったようですが、しかし児童相談所、そしてオホーツク振興局の指導監査が、異例の指導監査です、これ保育所に指導監査が入るというのは管内では初めてだと思いますから、異例の指導監査が行われたんです。

 それは、いつその指導監査、改善命令が下ったんですか。

○内田誠児童家庭課長
 文章では6月19日に来ておりますが、6月20日に振興局の職員2名が市の方に来て指導監査の結果の報告を受けております。

○野村淳一議員
 先ほど市長のほうから答弁があったように、体罰とは言わないまでも子どもにとって心理的、身体的に苦痛を与えたという、そういう監査指導がありました。これは8月20日ということで間違いありませんか。

○内田誠児童家庭課長
 8月20日で間違いございません。

○野村淳一議員
 それに基づいて改善策をつくれと、そういう改善命令が下ったと思います。

 これは行政指導ですから1か月です。ということは、8月20日ですから、期限は明日です。9月19日です。

 この改善命令についてどうされているんでしょうか。提出しているんだとしたら、その内容も含めて教えてください。

○内田誠児童家庭課長
 今回の不適切な処遇の改善のほか、施設の目的、運営方針等、事故の報告、防止対策、保護者との連携、苦情処理の仕組み、自己評価などの指導を受けております。

 回答については、保育の指導となる保育指導マニュアルを作成するほか、再発防止と職員の資質向上を図る職員研修を実施し、全職員共通認識のもと保育にあたることなどを回答する予定でございます。

○野村淳一議員
 それらの内容がまた新たに監査の対象になってくるんだろうと思います。改善されることを私も期待はしたいんです。

 当該保護者の方には何回お会いして謝罪を含めた説明をされていますか。

○内田誠児童家庭課長
 保護者の方の説明につきましては、まず通報があった時に母親の方から聞いております。

 その後保育所内で保護者の方とその祖母の方について、状況を一度説明してございます。

 その間保護者の方が市役所のほうに来られた時に、状況について遂次説明をしておりますけれども、その後警察の調査が始まる前に一度保護者の方に今までの経過についてすべて報告し、その後警察の調査が出た段階でまた保護者の方に集まっていただきましてご説明をしたところでございます。

○野村淳一議員
 細かい話で恐縮ですけど、先ほど道の指導監査が行ったのは8月20日だというふうに言われました。その道の指導監査があった以降、道の指導監査の内容について保護者の方に説明をされましたか。

○内田誠児童家庭課長
 説明会を9月に実施しておりまして、そのときに道の指導監査の報告についてご説明したところでございます。

○野村淳一議員
 今課長が言った説明会というのは、9月5日保護者説明会の場のことを言っているんです。私が聞いているのは、道の監査が出て、そしてこういう状況でこういう指導があったということを含めて、保護者の方になぜ説明しなかったかということを聞いているんです。

 私は、保護者の方は自分の2歳の子どもがどんな事態になっていたのか、不安と、あるいは怒りを持って、不審を持ってずっと見ていた。

 逆に言うと、そういう実態を知らないから数か月にわたって子どもを保育所に送っていた、その自責の念もあるんです。

 その事実をしっかり知りたいと、なぜそいうことが起こったのかと。

 それに対して私は、保護者に対する説明というのは決して十分ではないと、信頼を得るような取り組みではなかったと叱責せざるを得ない。

 (つづく)


    

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